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転生とらぶる

作者:青竹
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ガンダムW
  1723話

 その一言と共に、次の瞬間には俺の影から目に見えない程の速度で一気に影槍が飛び出す。
 まさに影で出来た槍。
 その数、90本近く。
 それぞれに数本ずつの影槍が向かい、胴体や頭部、四肢といった場所を貫いていく。
 同時に俺の身体を構成している白炎から炎獣が生み出され、重要人物達の護衛に回す。
 バルジの件を知っている者がいれば、炎獣について何か悟る者がいるかもしれないが……今この状況を考えると、とにかく数の多い敵をどうにかする方が先だった。
 その隙を逃さないように綾子が行動を起こし、人間ではなく半サーヴァントとしての身体能力を使って影槍が突き刺さりながらもまだ動ける男達を無力化していく。
 その一撃は致命傷といえる傷を受けている者もいるし、気絶で済んでいる者もいる。
 まぁ、どのみち影槍で多かれ少なかれ身体を貫かれているだろうから、生き残れる可能性は微妙なのだが。
 ともあれ、影槍と炎獣、それと綾子の力によって一瞬で会議室の中にいた裏切り者……トレーズの部下達は無力化された。
 死んでいる状態を無力化と言ってもいいのかどうかは疑問だが、その辺りは仕方がないと割り切ろう。

「……さて、これでお前の手札はなくなった訳だが、どうする?」
『アクセル……君は……』

 唖然とするトレーズだったが、俺の言葉を聞くとそう反応して見せる。
 いや、魔法を見てもすぐに反応出来る辺り、さすがにトレーズと言うべきなのだろう。
 事実、綾子以外の者達はただ唖然としていることしか出来ないのだから。
 ……まぁ、このW世界は完全に科学技術の世界だ。
 魔法の類は、それこそ物語の中とかにしか出てこないだろう。
 そんな中で、俺が当然のように自分の影を槍にする影槍という魔法を使ってみせたのだから、この驚愕は当然だった。
 ともあれ、こうして公の場――幸いにもTVカメラの類はなかったが――で魔法を使ってしまった以上、これから面倒な事が起きるのは間違いないだろう。
 もっとも、今の俺に妙な真似をしようものなら、それこそ魔法を使ってどうとでもしてやるが。
 そんな奇妙な……半ば開き直りに近い自分の状況に面白さを感じながら、トレーズに向かって口を開く。

「うん? どうしたんだ? お前の手札はなくなったんだろう? これからどうするのかと、そう聞いてるんだが」
『……』

 トレーズも、予想外の事態ともなれば言葉が出なくなるということがあるんだろう。
 現在はただじっと映像モニタの向こう側から、俺の方を見ていた。

「アクセル?」

 そんな中、奇妙な静寂が満ちている、それでいて濃厚な血臭が漂っている会議室の中に、デュオの声が響く。

「まぁ、言いたい事は分かる。分かるが……その話はまた今度な」
「……」

 俺の言葉に対し、デュオはそのまま沈黙を返してくる。
 まぁ、生身での戦いであれだけの力を見せていたのを考えれば、俺や綾子に色々と秘密があると判断してもおかしくはない。
 その件に関しては、今の状態から脱してからの方がいいだろう。
 ましてや、ノベンタ達を含めて他の勢力の人間に対しては……どう説明した方がいいのか、今から憂鬱になるな。
 そんな事を考えていると……ふと、こちらに向けられている強い殺気に気が付く。
 殺気? どこから? この場にいたトレーズの部下は既に殆どが殺されている。
 なら、どこから……と殺気を辿ると、それが向けられているのは部屋の外。
 それどころか、建物の外だ。
 それが意味するところを理解した俺は、咄嗟に叫ぶ。

「皆、その場に伏せろ! 外から狙われているぞ!」

 叫ぶと共に、俺は混沌精霊としての力を使って炎の壁を作る。
 それこそ、数千度に匹敵するかのような、それ程の熱さの炎。
 ……それでいて周囲には殆ど影響がでないようになっているのは、魔法の便利さというものだろう。
 いや、この場合は俺の皆を守るという力が味方に対する炎の熱を通さなかったというのが正しいか? ……ノベンタ達ならともかく、デルマイユにまでそれを適用させてる時点でその線はなさそうだが。
 そんな事を考えている間にも、事態は進む。
 壁が破壊され、ビームが飛んできたのだ。
 ガンダニュウム合金ですら破壊出来るだけの威力を持つビーム。
 だが、それだけの威力のビームを持ってしても、俺の生み出した炎の壁を破壊する事は出来なかった。
 そしてビームの奔流が周囲を消え去ると……会議室は殆ど跡形もない状態となっている。
 それでも会議に参加していた者達は殆ど全員が無事なのは、それこそ俺の生み出した炎の壁のおかげだろう。
 だが……会議室が破壊され、外の様子を確認出来るようになったところでこの場における最悪の事態を目にする。
 何故なら、周囲に居る筈の護衛のトーラスは、揃ってこちらにトーラスカノンの砲口を向けていた為だ。
 それを確認しながら、俺は苛立たしげに視線をこちらにトーラスカノンを向けているトーラスの1機……つい先程俺達を殺そうとした機体に向ける。
 俺が殺気を感じる事が出来たのは、この機体が有人機だったからだ。
 自分がその手でここにいる面子を全員殺すという誘惑に勝てなかったのだろうが……だからこそ、俺に殺気を感じ取られたのだ。
 もっとも、殺気といっても欲望に濁った醜い殺気だったが。
 ちっ、どうする? こっちを狙っているトーラスは全部で20機を超えている。
 これは、この会議を護衛する役目を負っていた全てのMDが敵に回ったという事を意味している。
 つまり、トレーズ派……いや、トレーズ配下の者は連合軍のかなりの部分にまで食い込んでいた訳だ。
 でなければ、この大事な……それこそこれからの連合軍の行く末を決める為の会議に揃ってトレーズに内応している者を任されるような事は出来ないだろう。
 さて……正直、本当にどうしたものか。
 まぁ、ぶっちゃけトーラスカノンでは俺が攻撃を食らってもどうにか出来る筈もない。
 であれば、それこそこのまま攻撃させてもいいんだが……そうなると、俺以外――綾子なら何とかなるかもしれないが――が死んでしまう可能性が高い。
 かといって、1機や2機くらいであればどうとでも対処が可能なのだが、これだけの数がいるとなると……
 ちっ、仕方がない。もうどうせ魔法は見せたんだ。なら、これくらいは見せても構わないだろう。

「綾子、少しこいつらを頼む!」

 叫び、空間倉庫から取り出した物干し竿を放り投げる。
 いきなりどこからともない空間から姿を現した長刀に、周囲からは唖然とした視線だけが向けられた。
 まぁ、この件も後で知らせる必要はあるか。

「ちょっ、アクセル!? これを貰ったのはいいけど、どうしろってのよ!」
「ビームを切れ」
「……本気?」
「ああ」

 綾子の能力を最大限に発揮し、そこに物干し竿という使い慣れた武器があれば……綾子にもあの程度のビームくらいは切断出来てもおかしくはない。
 半サーヴァントとしての能力を最大限に発揮出来れば、の話だが。
 会議場が消えて、こちらに向かってトーラスカノンを撃とうとしているトーラス。
 それを見ながら、俺は一言呟く。

「加速」

 速度を上げる、精神コマンドの加速。
 それと瞬動を組み合わせ、一気にMDとの距離を縮めていく。
 そうして横を通り抜けざまに、MDの装甲に触れ、空間倉庫に収納する。
 それを見た者は、何が起きたのかは全く分からないだろう。
 分かるのは、ただ突然MDが1機消えた事だ。
 そして……仲間がいきなり消えたという混乱は、MDにも広がる。
 本来ならMDには仲間を心配するという心のようなものは存在しない。
 それでも、AIには仲間の反応がいきなり……それも綺麗さっぱり消えたのだというのを認識すれば、理解出来ないが故にMDも判断出来ずに混乱するだろう。
 にしても、MDを嫌っているトレーズがMDを使用する?
 今更ながら、その事に疑問を抱く。
 原作で地球を率いてホワイトファングと戦ったトレーズだったが、その時もMDは使っていなかった。
 全てが有人機のMS……それも殆どがリーオーで戦いを挑んだのだ。
 そのトレーズがMDを使うというのは、それこそ違和感しかない。
 となると、恐らくこの作戦を考えたのはトレーズではない、か?
 いや、正確には最初に行われた各組織にトレーズへの内応者を仕込んでいたのはトレーズによる策だが、こちらのMDは……恐らくレディ・アン。
 だとすると、いわゆる綺麗なレディ・アンにはまだなっていないと考えられる。
 7機、8機、9機……加速を繰り返し使い、瞬動と合わせてMDを空間倉庫に収納していきながらそう考える。
 だが……13機目の機体に手を触れたところで、それを空間倉庫に収納する事が出来なかった。
 それでも、焦るような事はない。
 何故なら、元々空間倉庫というのは生き物を収納出来ないようになっているからだ。
 つまり、俺が触れているこのトーラスは有人機なのだろう。
 なら……やるべきは、空間倉庫ではない。

「死ね」

 その言葉と共に、俺の指が一瞬白炎に姿を変え、そして白炎は炎獣に姿を変える。
 細長いその蛇は、MSの装甲の隙間から内部に入っていく。
 MSといっても、関節部分まで含めて全てが装甲に覆われている訳ではない。
 そもそも、関節までもが装甲に覆われていれば歩けないだろうし。
 人間が入っていくのは無理な隙間であっても、蛇であれば……ましてや炎獣であれば、問題はない。
 有人機をその場に残し、再び次々にMDを収納していく。
 有人機も何機かあったが、そちらは蛇の炎獣をプレゼントしておいた。
 だが……幾ら加速と瞬動を両方使ったとしても、1機ずつではどうしても時間が掛かる。
 いっそのこと、全員影のゲートで纏めて転移させてしまえば良かったのか?
 そうも思うが、標的のノベンタ達が影に沈んでいくような光景を見れば、取りあえずといった感じでビームを撃たないという保証もない。
 デルマイユを含めてロームフェラ財団のメンバーはどうなっても構わないが、それ以外のメンバーは、それこそこれからW世界の未来を築いていくのに必要な人物だ。
 こんな場所で殺す訳にはいかなかった。
 ともあれ……残っていたトーラスのうちの1機が、不意にノベンタ達がいる方へと向かってトーラスカノンの砲口を向ける。
 俺が空間倉庫にトーラスを収納するという方法で排除し始めてから、ここまで十数秒。
 MDにしては随分と判断に迷ったし、有人機であれば随分と判断が早い。
 ともあれ、トーラスカノンからビームが放たれ……

「綾子っ!」

 俺が叫んだのと、綾子が物干し竿を構えて前に出るのは殆ど同時だった。
 綾子を焼き尽くそうと……いや、存在その物を消滅させようと、ビームが着弾……する寸前、綾子は気合いを込めて叫ぶ。

「やああああああああああああぁぁぁぁぁっ!」

 その叫びと共に、振るわれる物干し竿。
 俺が金ぴかから奪った各種の武器に比べれば、それこそ問題にならない程度の性能しかない長刀。
 だが……その長刀は、それこそ長さを感じさせず一瞬にして大きく振るわれる。
 俺だからこそその長刀の軌道を見る事が出来たのだろうが、それ以外の面々……綾子の後ろにいた者達は、その一撃を視認出来なかっただろう。
 それでも、結果は目に見える形で現実に現れる。
 真っ二つにされたビームが、綾子を中心にして左右に分かれていき、結果として背後にいるノベンタ達はビームによって被害を受ける事はなかったのだから。
 勿論全く何の被害も受けなかったという訳ではない。
 幾ら魔力を込めた一撃で切ったとしても、ビームから発する熱を完全に遮断出来たりする訳にはいかない以上、多少の火傷をした者はいるだろう。
 ……トーラスカノンを撃たれ、生身の状態で多少の火傷程度というのがこの世界の人間には信じられないのだろうが。
 ともあれ、その間にも俺は動き回り……ビームの余韻が完全に消えた時には、既に綾子に向けてトーラスカノンを撃ったトーラスも俺の炎獣によって死んでいた。
 有人機だったのを考えると、それなりに腕利きの人物がパイロットだったのだろう。
 トレーズの部下としては、当然かもしれないが。
 ともあれ、こうして会議場になった場所は大きく被害を受け、それを行ったMDは全てが俺の空間倉庫に収納され、唯一MSだけが地面に擱座している状態となる。
 MSの方は炎獣によって既にパイロットが死んでいるのは間違いなく……何とかこの場の安全を確保する事に成功したと言ってもいい。
 ただ、問題は……俺の件をどうやって他の連中に説明するか、だな。
 今はまだ呆然としている状態だったが、それでもそう遠くない内に我に返るのは間違いないのだから。
 これからの面倒を思いながら、ともあれ全員無事に助け出す事に成功したと安堵しながら綾子達の方に向かって歩き出すのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1360 
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