転生とらぶる
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ガンダムW
1724話
近付いてくる俺を見て、最初に行動に出たのは当然のように綾子だった。
手に持っている物干し竿をそのままに、俺の方に近付いてくる。
トーラスカノンはガンダニュウム合金を破壊出来るだけの威力を持つビームなのだが、それを斬り裂いた割りには、綾子も物干し竿も特に怪我をしているような様子はない。
まぁ、ビームを斬った為か、綾子の顔に精神的な疲労があるのは間違いないが。
「お疲れさん」
「お疲れさんじゃないわ! 全く、無茶な真似をさせて……あたしがもし皆を守り切れなかったら、どうするつもりだったの?」
「そう言ってもな。他に手段はなかったし。……何より、綾子なら出来ると信じていたから任せたんだけどな?」
そう告げると、怒っていた様子の綾子の表情が少しだけ緩む。
「他に手段がなかったって……本当に?」
それでもこの辺の追及を忘れないのはさすがと言うべきか。
ともあれ、俺と綾子だけが生き延びるのであれば、それこそ幾らでも方法はあった。
俺と綾子なら、純粋な身体能力でこの場を脱出するのは難しくはないし。
だが、そうなった場合、確実に俺と綾子以外の面々には数多くの死傷者を出していただろう。
そうならない為には、あの方法が一番確実だった。
……まぁ、バルジ辺りをトーラスの頭上から落とすという手段もあったが……
さすがに今の状況でバルジを占拠したアンノウンが俺だというのを知られると、色々とやばい。
ああ、でも会議室の中での戦闘で炎獣を使ったのを考えると、鋭い奴はその辺りの事情に気が付くか?
特にあの場所にいたのは、ガンダムのパイロットを含めて頭の切れる奴だけだし。
その時こちらがどのような行動に出るのかは、その時になってみないと分からないが。
下手をすると、デュオと五飛がいなくなる可能性もあるな。
それどころか、シャドウミラーにいる面子のうち、残るのは俺と凛、綾子の3人だけになる可能性も十分にあった。
そうなったらそうなったで、また以前に戻るだけの話だが。
「周囲の被害を考えなければ、まだ何個か方法はあったけどな」
バルジを落とすという方法にしても、バルジ程の巨大な建造物であれば、MDや敵以外にも被害を与えていた筈だ。
それこそ、下手をすれば俺が保護した面子に死人が出ていた可能性もある。
そう考えると、やはりあれが手っ取り早かったんだよな。
ニーズヘッグを始めとした俺の持っている機体も、空間倉庫から取り出すのはともかく、それに乗って機体を起動させて……と考えれば、間違いなく時間が足りなかった。
おまけに機体が起動するよりも前に、MDや有人機に敵認定されていただろう。
そう考えれば、やっぱり今回の方法がベストだったのは間違いない。
「それより、これからどうする? オペレーション・サンライズとかが行われたらしいが」
その言葉で、ようやく我に返ったのだろう。最初に動き出したのはヒイロ、カトル、トロワの三人だった。
だが……当然ながら、会議室は消滅してしまっており、建物その物も殆ど使い物にならないくらいに被害を受けている。
そうである以上、当然のように通信装置は存在しない。
ましてや、MSは……
「アクセル、何とかならんか!?」
ガンダムのパイロット達の次に行動に出たのは、セプテム。
ヒイロ達が俺に話し掛けるのを遠慮しているところで、俺達に向かって話し掛けてきたのは、それこそこれまでの付き合いがあるからこそだろう。
「そうだな、MDを含めて敵もいなくなったし、どうとでも出来るぞ」
地面に倒れ込んでいる有人機のMSを一瞥しながら、そう告げる。
本来ならあのMSも空間倉庫に収納しておきたかったんだが……まぁ、それは後回しでいい。
どうせパイロットが焼け死んでいる以上、コックピットは色々と酷い事になってるのは間違いないし。
あのトーラスを入手しても、それこそキブツにそのまま突っ込むというのが一番分かりやすい使い方だろう。
そしてキブツに突っ込むのであれば、それこそトーラスの1機や2機よりも隕石の1つや2つの方がいいのも事実だし、それ以外でも各世界から産業廃棄物を始めとしたゴミが大量にホワイトスターには運ばれてくる。
……まぁ、ホワイトスターと連絡が取れない現在の俺では、そんな心配はするまでもない事だが。
一応ここは連合軍の勢力圏なんだし、ここに置いておけば連合軍が何とかしてくれるだろう。
ましてや、放っておけばそれこそトレーズ達に回収されるだろうし。
……蛇の炎獣がMSの内部を移動していく際に何ヶ所も焼いているのを考えれば、回収しても使い物になるのかどうかは分からないが。
「アクセル、では頼む。私は現在の連合軍がどのような状況なのか……そして地球がどのようになっているのかを確認しなければならない」
セプテムと俺の話を聞いていたノベンタが、深々と頭を下げてくる。
本来ならノベンタは連合軍のトップ……実質上地球圏における最大勢力のトップだ。
そんなノベンタが他人に頭を下げるというのは、とてもではないがいい事ではない。
だが、それでもそうせざるを得ないのだろう。
「分かった。けど、俺が移動するのはHLVを置いてある場所だ。そこに行けば、通信機も使えるだろう」
HLVはシャドウミラーの中でもかなり力を入れて生み出された代物だ。
その中には、当然通信装置の類も充実している。
少なくても、ここで無事かどうかも分からない通信装置を瓦礫の中から探すよりは圧倒的に素早く周辺の状況を確認出来る。
また、移動するにしても……
「事情を知りたい奴は俺の側に来い。すぐにHLVに転移するぞ」
転移? と一瞬疑問を浮かべた者も多かったが、結局今はそれどころじゃないと判断したのか俺の回りに集まってくる。
集まってくるのはいいんだが……
「何でお前達まで来るんだ?」
何故か集まった者の中にはデルマイユを始めとしたロームフェラ財団の者達までもがいた。
元々は俺達に対して強気に出る為に用意した兵士達は、実は全てトレーズの部下だったという事が判明し……今のデルマイユ達の人数はそう多くない。
この程度の人数を運ぶのは、俺にとっても特に労力を必要とはしない。
だが……それでも、これまでのロームフェラ財団と俺達の関係を思えば、こうした態度に出られるとは思えない。
ましてや、トレーズという存在をみすみす放置してこのような手段に出るような相手を。
「ぐっ、それは……儂等も現在の状況を知りたいからに決まっておるじゃろう」
「ご自慢の金の力や伝統の力で何とかしたらどうだ?」
そう告げると、デルマイユの顔は怒りか屈辱か、それとも羞恥か……どのような理由かは分からないが、真っ赤に染まる。
……もっとも、ここで無駄に時間を浪費するつもりもない。
小さく溜息を吐いてから、改めて口を開く。
「頭を下げてお願いしますと、そう言えば連れて行ってやってもいいぞ? どうする? ああ、勿論無理にとは言わないが」
その言葉に、デルマイユの顔はより一層赤くなる。
血圧が高くなって、脳の血管がプッツンといったりしないだろうな?
ふとそんな事を思うが、そうなったらそうなったで構わないという思いもある。
そもそも、今回の地球で起きた争乱の大部分はロームフェラ財団が……いや、それを実質的に取り仕切っていたデルマイユが起こしたようなものなのだから。
そんな男が死んでも、俺は別に構わない。
他のロームフェラ財団の者達がデルマイユに懇願するような視線を向ける。
まぁ、ここで俺に放って置かれれば、死ぬという事はないだろうが……それでも自分達の勢力圏内に戻るのが大変なのは間違いない。
既にここにいた敵は全て倒しはしたが、それを不審に思ったトレーズ……いや、正確にはレディ・アンだと思うが、そのレディ・アンが援軍を寄越さないとは限らない。
それとも援軍ではなく、一気に生き残りを消し去る為に全員纏めてミサイルか何かで吹き飛ばそうとするか?
原作であった、ニューエドワーズ基地のミサイル自爆のように。
綺麗なレディ・アンならそんな事はしないだろうが、残念ながら今のレディ・アンは汚いレディ・アンの可能性が高い。
そう考えれば、その可能性は十分にある。
そしてトレーズの肉親であるデルマイユは、当然その副官のレディ・アンについてもよく知っているだろう。
そう考えると、ここに置いていかれるかもしれないというのは、デルマイユにとって大きな意味を……文字通りの意味で生きるか死ぬかの瀬戸際なのだろう。
勿論デルマイユの考えがそこまで及んでいるのかどうかというのは、全く別の話になるが。
「……頼む。儂等も連れていって欲しい」
「へぇ」
色々と葛藤はあり、顔色は赤いままだったが、それでも俺に向かって頭を下げてきたデルマイユに、思わず声を上げる。
ああいう風に言った以上、てっきりデルマイユは俺の言葉に従わないのではないかと、そう考えていた為だ。
だが、実際には自分の命惜しさか、それともここの置いて行かれるのが心細かったのか……はたまた一緒に来た連中に対しての責任感からか、ともあれこうして頭を下げた。
かなり……そう、いわゆるらしくない行動なのだ。
だが、こちらから付けた条件を向こうが呑んだ以上、こちらとしても連れていかない訳にはいかない。
「分かった。素直に頭を下げた事に免じて連れて行ってやる」
「ぐぬぅ」
悔しげに呟く小さな呻き声がデルマイユから聞こえてきたが、こちらとしてもそれには構っていられない。
ともあれ全員を俺の近くに集める。
「なぁ、おい。これからどうするんだよ?」
皆が……正確には綾子以外の全員が抱いている疑問を口にするのはデュオ。
もっとも、それも分からないでもないが。
俺がオカルト染みた何かを使うというのは、既にその目で見たから皆が知っている。
MDに触れただけで消すというのすら見ている。
……それを言うのなら、綾子は物干し竿でビームを斬り裂くなんて真似をしてみせたが。
寧ろ、どちらかと言えばそっちの方が驚愕の光景だったよな。
それに比べれば、俺の魔法はそこまでインパクトは強くない気がする。
ヒイロなんかは思い切り俺を疑いの視線で見ているが。
以前サンクキングダムであったパーティで遭遇したのが俺だと確信したか?
普通なら、それこそ俺の弟とか親戚辺りを想像するのだろうが、今回の場合は違う。
何しろ、魔法というのをその目で直接見たのだから。
「まぁ、どうなるのかは見てのお楽しみだな。……行くぞ」
呟くと同時に、これから何かが起こるというのを知らせる為に、指を鳴らす。
同時に、俺の影が広がり……その場にいた全員を呑み込み始める。
「おっ、おい! 一体これは何なんだよ!」
「アクセル・アルマー、貴様ぁっ! 一体何を企んでいる!」
「くっ、これは一体……トロワ、大丈夫かい!?」
「ああ、俺はな。だが……この影、か? これから抜け出す事は出来んな」
それぞれに騒いでいる声を聞きながら、俺は落ち着かせるように口を開く。
「安心しろ、これは別に攻撃魔法という訳じゃない。ただの転移魔法だ。これがあれば、すぐにHLVの中に到着する。……どうしても怖いという奴がいるなら、目を閉じていろ。影を抜けるのはすぐだからな」
影の転移魔法というのは、この世界でもかなり使った魔法だ。
まぁ、誰にも見られずにどこかに移動するのに、これ以上便利なものはないしな。
特にOZの基地からMSを盗むといった行為や、ウィナー家の有している倉庫からガンダニュウム合金等を盗むのには必須の代物だった。
……これを見せた事で、その辺りを突っ込まれる可能性も十分にあるが……まぁ、それはそれ、これはこれだろう。
もう魔法の存在を見せてしまった以上、こちらとしては開き直るしかない。
俺の言葉に、何人かが目を瞑っているのが見えるが、中には怯えていると思われたくはないのだろう。
じっと目を開けている者の方が多い。
まぁ、その気持ちも分からないではないが。
ここで怯えるというのは、自分だけの問題ではない。
自分が所属している組織についても侮られる原因となるのだ。
それを思えば、どうしても俺の言う事に従って目を閉じるなんて真似は出来ない者の方が多いのだろう。
ちなみに、最も多く目を閉じていたのはロームフェラ財団から来た者達だった。
デルマイユは、それでも組織の長としてのプライドがあるのか、目を開けていたが。
まぁ、ロームフェラ財団からやって来たのはあくまでも交渉員……言わば文官だ。
そう考えれば、怯えてもおかしくはないのか。
……まぁ、同じ文官でもドーリアンはしっかりと目を開けていたが。
そんな風に考えながら、俺達は全員が影のゲートに身体を沈ませるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1360
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