世界をめぐる、銀白の翼
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第四章 RE:BIRTH
脱出!合流!!爆発!!!
駆ける、跳ねる、奔る
蒔風舜が、街の屋根を飛ぶように移動する。
向かうは中心部。
(用紙にあった地下牢のある場所は街の五か所・・・・)
すなわち、線で繋げば円形の街の中にきれいな四角形ができる四ヶ所と、その中心。
(どこにだれがいるかは分からないが・・・・騒ぎも起こせば脱出できるだろう)
と、そこで自分のいた牢からかっぱらった拳骨ほどの大きさをした、黒い塊を取り出してピンを引き抜く蒔風。
中身は爆薬と鉄片。いわゆる「手榴弾」と呼ばれる代物だ。
「ま、自分らの武器なんだから、責任持って吹っ飛びなさい」
そうつぶやいて、気配のない家の屋根にそれら二十個あまりを置き去りにし直後、それが爆発して爆風で加速する。
狼煙は上がった。
反撃開始だ。
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矢車想もまた、街を駆けている。
目的地は特に決めてない。
だが全員がバラバラであろうともいくつかに分けられようとも、蒔風なら抜けだすだろう。
だったらただで済ますわけがない。
絶対に何か目立つことをするはずだ。
ドドンッ!!ドババババババババンッッッ!!!
そう考えていると案の定、爆音と煙、炎が遠くから聞こえ、はっきりとわかる目印を出してきた。
「あそこか」
そう小さくつぶやき、矢車が駆ける。
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さて、ここで現在の各人の位置を表して見よう。
街は円形。
左下の隅にある地下牢から脱した蒔風は中心部に向かう途中で、その道中には手榴弾による爆発がある。
矢車は左上にある地下牢にいて、そこから爆発地に向かってまっすぐ進む。
キャロとジークは右上から脱出し、蒔風と同じように中心部へと走っていた。
「爆音!?」
「ふむ・・・・おそらくは我が友によるものだな。派手にやっているようだ」
そのキャロの耳にも、小さくはあるが爆音が聞こえてきた。
と、そこで町中の明かりが灯る。
今までは街の外壁がうっすらと光っていただけだったのが、一気に明るくなった。
「おぉ?」
「これは・・・・!!ジークさん!!敵が来ます!!」
「うむ」
その光景にジークは興味ありげに感心するだけだが、キャロのケリュケイオンが敵影を感知、臨戦態勢に入ろうとする。
その直後、走り抜けた後方の家という家から人が飛び出してきて、手に握った銃を構えて一斉に放ってきた。
銃の形は両手で構え、脇で挟むように固定するほどの大きさのものだ。
地方のお土産屋さんで売られている簡単な玩具にも見えなくない、チャチな外見はしていたものの、この状況で玩具だと思うバカはいないだろう。
《Protection!》
ギャゴォォォオオオオッッ!!
とっさの判断でケリュケイオンがドーム状のバリアを張り、その攻撃を弾く。
そのレーザーがバリアに当たって削るように後方へと飛んでいく音からして、その威力を推し量るキャロ。
飛び出してきたのは弾丸ではなく、単発のレーザーだ。
その大半はドームの形によって後方へと逸らされていくが、二、三発はどうしても直撃する。
そして、その銃の威力は・・・・・・
「そんな・・・・たったこれだけで!!」
ただ二、三発当たっただけで、すでにキャロのバリアに穴を開け、破壊した。
「むぅ・・・・おいそこの小竜」
「きゅ!?」
「女児を連れ、飛ぶがよい」
「・・・・・きゅくっ!!!」
銃の威力に少し考えたジークが、フリードに話しかけて指示を出す。
それに一瞬だけ考え込むフリードだが、今は主が危険にさらされている場。そんな暇はなく、即決した。
「行け!!召喚士!!」
「え?きゃぁ!!!」
「きゅむ!!」
そして、ジークがキャロを放り上げた。
そのキャロを巨大化したフリードが咥えながら上昇していく。
「我が友の下へと行くがよい!!私は後を追う!!」
そうジークが叫ぶのを聞き、フリードがその両眼で街の反対側を見る。
そこには肉眼では小さな点で、巨竜となったフリードの目でははっきりと、屋根の上を走る蒔風の姿が見えた。
ドゥッ!!という風の音をまき散らし、フリードが一気にその方向へと飛んで行った。
ジークはそれを、無数のレーザーを自身から放つ無数の羽根で逸らしながら見た。
そっちか、とでもいいそうに顔を見上げて、走り出す。
威力の大きなものは、横からの衝撃に弱い。
狙撃手が横風を気にするのはそのためだ。
そして、レーザーもジークの羽根もエネルギー。
ならば逸らすことはそう難しくない。常に自分に当たるのは二、三発くらいだし。
武器の威力は呆れるほどのものだが、その使い手が素人同然なのだ。
そんなことを考え、ジークは上空のフリードを追って走る。
言っておくが、あくまでも優雅に、である。
こんな時でも、彼は自分のスタイルを崩さない。
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そのころ、矢車は蒔風による爆発が起こったに到着していた。
曲がり角の先にザザッ!!と勢いよく飛び込む矢車。
そこにいたのは
「・・・・・・・」
「・・・・ああクソ、どうせ俺なんか・・・・」
無言でこちらを見る、ひとりの男とその護衛か何かの十人くらいの人間だった。
当然だろう。
あれだけの爆発で敵が何事かと思わないはずがない。
情報の確実性を求めるためにこうして直接見に来たのだろう。
そして、矢車はそこに飛び込んで行ってしまったのだ。
護衛らしき十人の腰には日本刀がぶら下げられており、呆れたような眼をした男が顎を向けるとその住人が一斉に刀を抜き放って突っ込んできた。
「ハァあ・・・・」
と、その十人の内三人ほどに、小さな手のひらに乗るほどの緑の塊がぶつかった。
それは地面を撥ねて矢車の手に収まり、馳せ参じる。
「変身」
《Change!KICK HOPPER!!》
そしてベルトの台座にスライドインし、起動音と共にその体に装甲がまとわりつく。
ここでついに仮面ライダーキックホッパーへと変身した矢車が、七人&遅れてくる三人と交戦する。
最初の七人の内二人が同時に、刀を振りかぶり
「ッ!?」
長年の戦士の勘が、矢車の背筋に悪寒を走らせた。
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ヒュィッ・・・・パッ!ゴシャァァァアアアアアッッッ!!!
ちょうどのその時、蒔風の走る後方から音が聞こえた。
まず最初に、空気を斬る音。
そして次に、何かを斬った太刀音。
その直後に、建物が崩壊する倒壊音だ。
耳に入った以上気にはなるものの、もう彼の前方にはフリードの姿が見えている。
それに建物が崩れたぐらいでは、対象が矢車でも影山でもエリオでも問題はないだろう。
先の二人はZECTで隊長を務めた経験者だし、エリオだってだてにセンターガードだったわけではない。
キャロだったら飛んで行っただろうが、その無事は目の前の竜が証明しているし。
彼のために言っておくと、決して放置ではない。
彼らに対する信頼である。
「ま、いっか」
今の一言は聞こえなかった。
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蒔風に向かって飛ぶフリードは、すでに合流できる勢いである。
見た感じは残り二百メートル。
その距離で、蒔風がキャロに向かって叫んだ。
「どっから!?」
「こっちからです!!」
蒔風の質問に、キャロが真後ろを指さして自分が出てきた場所を示す。
キャロの声は風の音で聞こえないが、どこを指さしているのかはわかった。
それでは、脱出できていない場所は二か所、ということだ。
中心は誰もいないし、さっきの太刀音は戦闘によるものだろう。
自分は遭遇しなかったから、おそらく左上から来た誰か。
と、なると後はこの中心と右下の施設。
中心はともかくとして、右下は面倒だ。
だから
「フリード!!ブラストレイ!!」
「ガオオオオオオオオオオオオオおお!!!」
蒔風がその方向を指でさして、フリードに号令をかける。
フリードは方向を変え、ドリフトのようにブレーキを掛けながらその方向を見た。
そして、口を開いてその手前に火球をためていき発射準備が整う。
そのフリードの鼻面の上に飛び乗り、蒔風が獄炎を混ぜて「発射ぁ!!」と叫びそれを打ち出した。
自分ではうまくできなくても、こうして力を付加する程度ならできる。
その火球は遠くへと飛んでいき、施設があるであろう場所を炎に包んで吹き飛ばした。
「よしっ!」
「よし!じゃないですよ!?」
荒っぽいやり方に驚くキャロだが、まああっちはあれでどうにかなるだろう。
と、そこで蒔風がジークを見つけた。
後ろから銃を持った人間に追われ、そのままこっちにくるようだ。
なんでいるんだろ、と思った彼だが、味方がいるなら心強い。
「ジーク!!」
「おお!友よ!!」
「使え!!」
そういって、蒔風が中心部の地下牢があろう建物の上に飛びおっりながら、ちょうど真下を通るジークに向かって何かを投げた。
それは「∞」のマークの入った、蒔風の持つライダーパスだ。
それを見てジークはフリーエナジーを以ってデンオウベルトを出し、腰に巻きつけそれをキャッチした。
《Wing foam》《full charge》
「ハァッ!!」
変身とフルチャージを同時にこなし、タンッ、と跳ねて逆さまになりながら後方の人間に向かってハンドアックスとブーメランにしたデンガッシャーを投げ放った。
無論、狙うのは銃器のみ。
追ってくる全員のそれを見事破壊し、ジークがそのまま走り去る。
《ジーク!なんでいるのかは後で聞く。そっから向こうにある倒壊地域見えるか!?》
ジークの頭に、蒔風からの念話が飛んできたのだ。
蒔風の言う場所は、彼が手榴弾を置き、そして矢車がいるであろう場所だ。
《見えるぞ》
《そっち行ってくれ!誰かいるはずだから!!》
《友の頼みならしょうがないな。では》
いくらなんでもそこまで空気の読めないジークではないらしい。
蒔風の言葉に軽く首肯して、そのままその地へと向かっていく。
一方蒔風はというと、フリードから飛び降りながらジークにライダーパスを投げ、屋根に着地すると同時に獅子天麟を叩きつけて突っ込んでいた。
屋根だけでなく、床までぶち抜き、影山のいる地下牢にまで突っ込む。
そういう強引な突っ込み方だったため、地下の床に着地するころにはそこを見張っていた人間は見事に気絶して地面に倒れていた。
「影山orエリオ!!いるか!!」
「舜さん!!」
どっちかわからないので二人の名を呼ぶ蒔風に、同じく降りてきたキャロが声をかけた。
見つけたのか、と蒔風がよると、そこには驚くべき光景が・・・・・
「ね・・・・・」
「寝てる」
「zzz・・・・」
「「・・・・・・はぁ・・・・」」
この騒ぎの中、見事に寝ている影山だった。
その姿にキャロと蒔風が同時にため息をつき、蒔風なんかはつきながら膝を落とした。
「げ、元気出してくださいよ!無事だったんですし!ね?」
そういって元気づけてくれるキャロ。
うん、なんか元気でる。というか癒される。
と、そこに
「もう食えないよ兄貴・・・・」
そんな寝言が聞こえ
「(イラッ)起きろやゴラァ!!(ゲシッ!!)」
蒔風の蹴りがぶち込まれた。
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そのころ、右下の地下牢。
訂正。地下牢「だった」場所。
そこの瓦礫から「ボコリ」と人の腕が突き出してきた。
それは白いバリアジャケットを纏った少年のもので、ついに全身があらわになった。
「はぁ・・はぁ・・・ス、スバルさんからこういう時の対処法を聞いてなかったらヤバかった・・・・」
その手にはストラーダが握られており、今にもブースターから炎が吹き出しそうである。
わかってる。
あの炎はフリードのブラストレイに蒔風の獄炎が練り込まれたものだろうということは解ってる。
わかってるさ。
そしてこれは僕を救い出すための方法だってね。
ああ、大丈夫。僕は冷静さ。だから―――――
「一発殴ってもいいよね♪(にこっ)」
その笑み、ショタ好きのおねーさんなら一発で墜ちたであろう。
しかし、実際に見ると怖いこと怖いこと・・・・
エリオがストラーダにつかまって飛ぶ。
フリードの姿は見えている。
その後を、家から飛び出してきた人たちが追う。
皆、あの銃を持っており、機械のように走っていく。
全員の脱出が終了した。
しかし、街から出られるということにはならない。
to be continued
後書き
全員脱出完了!
エリオ?リア充は爆発するものでしょ?wwwwww
ちなみにエリオには悪意はありません。
心境としては「あっはっは、あの人はしょうがないなぁ~(黒)」といった感じです。
銃の威力としては一発で《FINAL ATTACK RIDE―――DE DE DE DEEND!!》くらいですね。
途方もないなおい。
そして、ここの住人達もついに参戦してきましたね。
一体どういうことなのでしょうねー?
次回、敵兵の危険武器
ではまた次回
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