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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第三章 X《クロス》
  出動



翌日の朝


「え?協力要請?いいけど」



理樹が自分の部屋で男メンバーたちと一緒にツイスターをやっていると、通信モニターが開いてそんな連絡が入ってきた。


通信相手はティアナ。
執務官である彼女が今担当している事件に、協力してほしいとのことだった。


「いいけど・・・・ティアナさんが要請してくるってことは・・・・」

「並みの事件じゃねぇってことだな。筋肉の出番か」

「どんな事件なんだ?あ、理樹、左手を青」



『ツイスターしながら聞かないでください・・・・・連続放火殺人です。現在で十一件、死傷者多数。二つの次元世界で起こっているんですけど・・・』

「そんなかしこまらないでよ・・・・同い年じゃないか・・・と、右足を黄色?」

『だから・・・まあいいわ。それで・・・・』

「うん、協力するよ。死人が出ているならなおさらだ。僕らは・・・・」

『救えるものは、根こそぎ救う、よね?』

「その通り。じゃあこれからリトルバスターズがそちらの事件に協力するよ」

『ありがとう』




そうして通信が切れ、入れ替わりに事件の報告書が出てきた。


ツイスターを取りやめ、彼らが部屋から出る準備をしていく。



「さ、行こうか。相手は放火魔らしいよ」

「大丈夫だ。俺の筋肉のほうが熱い」

「ふ、任せておけ、理樹」





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その隣の部屋で、北郷一刀はある連絡を受けていた。



「橘さんが?」

『おう、今オレの部屋にいる』



それは上条からの電話だった。



上条が言うには、昨晩遅く―――日付が変わって三時間が経とうとした頃に扉が開かれたのだ。
最初こそ空き巣かと思ってフライパンを振り上げた上条だったが、電撃で反撃された彼はその姿をみて即座に部屋に入れ、介抱した。



橘は意識不明・・・というか眠っている。
御坂妹はこの部屋のソファの上で眠っていたが、今はすでに起きていてインデックスと共にテレビを見ているらしい。







『御坂には連絡したから、すぐこっちに来ると思う。それから妹の言うには、化け物はカードに吸われて消えたらしいぜ』

「アンデット?だけどそれはたしか・・・・」


そう、倒され、カードを突き立てられて消えたとなればそれはアンデットと同じ反応だ。

不死生物たるアンデットは、一部の例外を除いてカードに封印という手段でなければ倒せない。
ダメージを与えても、いずれすぐに復活してしまうのだ。




しかし




「アンデットは52体、きちんと封印されてるはずだよな?」

「そうですね・・・・確かそうだったはずです」


一刀の横で、彼の秘書替わりをしている朱里が答え、資料を雛里がもってきた。
それをみて、やっぱりそうだと頷く一刀。

「アンデットはジョーカーである相川始を除いて全員封印済み・・・・」

『でも、御坂妹が言うにはアンデットとしか考えられないってよ』

「うーーーーん・・・・・よし、今からそっちに行こう。朱里、剣崎さんを呼んでくれないかな?」

「はい、ご主人様」



そうして通信を切り、部屋から出ていく一刀。





と、そこでこれからどこかに行こうとしている理樹たちとぶつかりそうになった。



「おっと」

「あ、一刀。これから僕たち、ティアナさんの事件の協力に出てるから」

「こっちもだ。橘さんがアンデットみたいのを追っていたらしいぜ」

「そっか・・・お互いに頑張ろうか!」

「おう!!」




そうして、二人の翼人が、その場を後にする。

理樹はリトルバスターズの残りのメンバーと合流して、ティアナのもとに。
一刀は剣崎と数名の武将と共に、学園都市の上条の部屋へと。




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「これが雛見沢!!空気がうめーーーー!!!」

「大自然ーーーー!!!」


「お前ら・・・ガキじゃないんだからみっともなくはしゃいでんじゃねぇ」

「きれいな土地だねぇ」




ところ、大きく変わって雛見沢村は古手神社の展望台


そこに門矢士をはじめとしたディケイドのメンバーが観光に来ていた。



ユウスケと夏海はこの大自然の前に感動しまくっており、それを見て士は頭を抱え、海東はさらにそれを見て面白そうに笑っていた。
近くにはパタパタとキバーラも飛んでいたが、何を気に入ったのか森の中に入って行ってしまった。呼べばすぐに来るらしいが。




「喜んでもらって何よりなのです」

「あぅあぅ、僕もうれしいのですよ」



と、そこで後ろから声が掛けられた。


この神社の主、古手梨花と古手羽入だ。


時間はちょうど一時。
彼女らは早めに学校が終わったこともあり、彼らの案内を買って出たのだ。


ちなみに年長組はまだ授業中、沙都子は悟史を待って学校にいる。



「こんな平日からぶらぶらできるなんて、大人はうらやましいのです」

「またまた、梨花だって十分もう(ゴスッ)あぅッ!?」

「なにか・・・・いいましたですか?にぱー♪」




そんなことを言いながら、麦茶の入った大きな水筒とビニールシートを抱えてきた二人を見て、士が「?」となるが、体よく暇人と言われたことに気付いた海東は少し落ち込んでいた。
ユウスケと夏海は持ってきてくれた二人に感謝しながら、急いでそれをかわってシートを広げるのを手伝いに向かう。


「冷たい麦茶をお持ちしましたですよー」

「ごめんね、ありがとう」

「汗だくじゃないですか。本当にすみません」


「幼女にへりくだっているな、夏みかん」


「士君も手伝いなさい!!」

「は!こうして首さえ押さえちまえば笑いのツボも・・・(ゴシャッ!!)パンチは反則だろう・・・・(ドサッ)」


「これが後に雛見沢六回目の惨劇と呼ばれ・・・・」

「大樹さんも物騒なこと言わないでください!!!」



その様子を笑いながら眺めている梨花と羽入もシートの端に置く石を持ってきて、六人でゆっくりと休憩を取っていた。



「どうですか?雛見沢は」

「いいところだな。景色もきれいだし、空気もうまい」

「じゃあ都会の空気はまずいのですか?」

「ここよりは澄んでないなぁ」



と、そんなことを話していると、どこからか「カランカラァン・・・」という軽い音が聞こえてきた。

それを聞いて「なんだ?」と考える士たちだが、梨花が立ち上がりながら説明していた。


「沙都子のトラップなのです。と言っても、誰か来たというのをお知らせする程度なので、多分沙都子やレナたちが来たのです。迎えに行ってきますですよ」

「あ、じゃあ私も行きますよ」

「いってらっしゃーい」

そういって、梨花と夏海が境内のほうへと向かい、ユウスケが送り出す。
そして話をしようとする三人だが、羽入だけは何かを考えていた。



「どうしたの?羽入ちゃん」

「・・・・・おかしいのです」

「なにが?」

「沙都子をはじめとした部活メンバーはみんな、この神社内に沙都子のトラップがあるということは知ってます。そう簡単に引っかかるはずがないのです」


「・・・・どういうことだ?」

「もしかしたら、本当に侵入者なのかもしれないのですよ・・・・・」


「・・・・マジ?」

「行ってみた方が――――」





―――――ジャギィ!!ギャン!!ゴォン・・・・・!!!





「!!!」

「あの音は・・・まさか!!」

「梨花!!」

「夏みかん!!行くぞユウスケ!!」




遠くから金属のぶつかる音と、爆発音が聞こえてきて、四人がその場に向かって走る。



その場にたどり着くと、足首をひねってしまったのか座り込んだ梨花と、仮面ライダーキバーラに変身して彼女を守っていた夏海がいた。


「あいつらは・・・・」

「いいから!!行くぞ士!!」


士が彼女らを取り囲んでいる三体の化け物を見て頭を捻るが、今はユウスケの言うとおりだ。
ユウスケがキックで首の長い一体を押し出し、階段のほうへと連れ込んでいく。


それにならって士も思考をやめ、キバーラと鍔競り合っている、棘のついたレイピアのような武器を使うバラの花びらを散らしている化け物を横から蹴り飛ばして、カードを構えた。



「せっかくの観光に出てきて・・・覚悟できてんだろうな!!変身!!」


《KAMEN RIDE―――DECADE!》


そうして、ディケイドへと変身した士がライドブッカーでその化け物に切りかかっていき、相手をした。


しかし、それでもまだ一体残っている。
その一体――なにやら豚のように見える化け物が、キバーラ、というよりも梨花に向かって突進していった。


が、その腕はディエンドに変身していた海東につかまれ、そのままインビジブルのカードで一緒に消えて行った。







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「ブシャァアアアアアアアアアアアアアア!!!」

「やれやれ、僕が家畜の相手とはね」

《ATTACK RIDE―――BLAST!!》



森の中
そこで、インビジブルを解除して姿を現したディエンドと化け物が交戦していた。

と、言っても相手は突進してその爪で抉ることしか考えていないのかそれしかしてこず、ディエンドの変幻自在な弾丸に、一方的な攻撃を食らっていた。



「悪いけど、まだいるかわからないからね。あっちも心配だし、手早く終わらせてもらおう!!」

《FINAL ATTACK RIDE―――DI DI DI DIEND!!》



「グブルァァァアアアアアアアアアアアア!!!!」

「バイ」



ドンッ!!ズゴォア!!!

「ガァアアアアアアアアアアアア!!!」

ドォォォンッ!!!




ディエンドのファイナルアタックライドに、その化け物が爆発して消滅する。
が、ディエンドはなにやらすっきりしていないようで、顎に手を当てていた。


(あの腰のベルトは・・・・だとすると、君らは一体なんなんだい?)



そう考えながらも、(夏海は大丈夫だろうが)梨花や羽入が心配である。
森を走って、彼女らのいる境内へと向かった。







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「う・・・わぁぁああああああああああああ!!!」

「ンゴォォォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」




一方、ユウスケ


場所は、階段を二十段ほど降りたところ。
化け物を階段まで蹴り飛ばし組み付いたのはいいものの、そのまま階段を転がり落ちそうにまでなってしまい、化け物のキリンのような長い首にしがみついて落ちないようにしていたのだ。



この神社の階段は長い。しかも、途中途中に平たく広い段差もないのだ。

生身で転がり落ちたらただではすむまい。というか死ぬ。



だから彼は必死になってしがみついたのだが、化け物はそれを振り落とそうと首をぶん回して暴れていた。



「うわっ!!ちょ・・・落ち・・・落ちるッッ!!!」

「ゴおオオオオオオ!!!」


「え?うわぁっ!!!」




と、そこで化け物の首がビタッ!と止まり、一瞬後にまた振られた。

その動きについにユウスケの体が宙を飛び、階段から放り出される。



「いィィィィいいいいいい!!!へ、変身!!!」



しかし、彼とて仮面ライダーだ。
空中でベルトのスイッチを入れ、ドラゴンフォームに直接変身して、木の枝の上に着地した。



「ふぅ・・・・じゃあこれで!!」



そこでさらに木の枝を折り、それをドラゴンロッドに変化させて構える。



「来い!!」

「ブフォァアアアアアアアアアアアッッ!!」


そのユウスケの声に反応し、その化け物が首を伸ばしてクウガのいる場所に振るってきた。


「タァッ!!」


足場にしていた太い枝が砕けるが、クウガが跳躍してそれを回避し、その長い首に向かってドラゴンロッドをブチ当てた。


相手の首は長い。
そして、ロッドで打ったところはその先端ともいえる後頭部。

そこを殴られて、化け物の体がぐらりと揺れて階段からよろける。



「グフォ・・・・」

「落ちろ!!!」



とそこに、化け物の後ろに着地したクウガがその背中を蹴り飛ばして階段から突き落とした。



その衝撃に、化け物が手足をじたばたさせながら落ちていく。
「転がり落ちて」ではなく、「宙に放り出されて真っ逆さま」に。


ドォン!!という凄まじい音を立てて化け物が地面に落ちる。


うつぶせに落ちたそれが、仰向けに体を返したその瞬間、視界に太陽が入りその中心に、青き戦士が金色の雷を携え、ロッドを突き立てて落ちてきた。




ドガッッッ!!!ギィィィイイイイイ、ドォン!!!





ライジングドラゴンフォームとなったクウガが、キリンのような化け物の腹部にロッドの先端を突き刺してエネルギーを送り込む。
そのエネルギーによって化け物は爆発、炎は火柱を上げ、クウガはマイティフォームに戻った。


しかし



「?・・・!!こいつ・・・・」


ユウスケは見た。
爆発したその炎の中に、その化け物が原形を留めたままで焼けていっているのだ。

そのベルトのエンブレムが、パキン、といって縦に割れた。




「ユウスケさーーーーん!!」

「どうし・・・・えぇ!?な、なんですかこれ!?」



と、そこに圭一とレナが走ってきた。
詩音と沙都子は悟史の定期検診に付き合っているらしい。


二人が神社の階段の前で焼けているそれを見て驚愕するが、ユウスケは信じられないものを見るような顔をして、呟いた。


「わからない・・・・アンデットは全部、封印されているはずだ・・・・でもこいつは・・・・」





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敵は、アンデット

それはとっくにわかっていた。
門矢士は、最初からそれは解っていた。

ベルトを見て、一発だ。


しかし、おかしい。
アンデットはすでに(あくまでもこの世界のは)全種封印されていたはずだ。

しかもこいつ、否、こいつらは・・・・


「キリンに豚にバラのアンデット・・・・?そんな奴らはいなかった!!」


ガキィ!!


「52種の生物に、お前らはいなかったはずだ!!」

「フシュルルルルル・・・・」


そう、その52種のアンデットの中に、そんな生物はいなかった。

だったら、こいつらは一体何なのか。



「お前ら一体なんなんだよ!!」



そう叫びながら、士がバラのアンデット「ローズアンデット」を蹴り飛ばした。
しかし、鞭のように伸ばした棘付きの茎をディケイドの腕に絡ませ、一気に引っ張って入れ替わるようにして彼の後ろにいる梨花たちに突っ込んでいった。



「させっか!!」

《ATTACK RIDE―――CLOCK UP!》


だが、超高速で動き出したディケイドがその間に割って入り、さらにカードを装填する。


《FINAL ATTACK RIDE―――DE DE DE DECADE!!》


黄色のホログラムカードがローズアンデットに伸び、そこに向かってディケイドがライドブッカーを槍投げのように構えてから投げ放った。

ライドブッカーがホログラムを通過するたびにその刀身にはマゼンタ色のエネルギーが蓄積されていき、巨大な刃となってローズアンデットを突き貫く。


貫かれたローズアンデットは爆発、消滅し、ライドブッカーはそのまま飛んで行って階段の下で倒されていたアンデット、ジラフアンデットに突き刺さってそれをも吹き飛ばし消した。



「いったい・・・・何が起きている?」



森の中から海東が、周囲にはもうアンデットはいないようだと出てきた。
階段の下からはライドブッカーを持ってユウスケ達が駆けあがってくる。





観光はどうやら、ここまでのようだ。






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「なんだこれは・・・・・」

「橘さん!!!」




一刀が連絡を受けて一時間後
学園都市の学生寮、そこの上条の部屋



そこ部屋の前に立った一刀たちが目の当たりにしたのは、吹き飛んだドアと、荒らされた部屋、倒れている上条と橘だった。



剣崎と一刀が即座に中に飛び込み彼らを抱えあげると、彼らの呼吸音が聞こえた。
どうやら、死んではいないらしい。


「よかった・・・上条!!大丈夫か!!!」

「う・・・お・・・・」




「・・・・・・・ご主人さま」

「ん?」



と、そこで共にやってきていた愛紗が部屋の隅を見、一刀に声をかけた。


「そこの隅・・・結界のようなものが張ってあります」

「え?」




そう言った瞬間、部屋の隅が柔らかく歪み、その中から血まみれの土御門とインデックス、そして御坂妹が現れてきた。




「とーまぁ!!大丈夫なの!?」

「大丈夫、死んではないよ。怪我はひどいけど・・・・・」



「大丈夫ですか!?橘さん!!・・・・・くそ・・・いったい誰が・・・!?」



インデックスが上条に駆け寄り、入れ替わるようにして土御門に駆け寄る一刀。

剣崎は橘をしっかりと寝かせ、憤っていた。



「なにが・・・起きたんだ?」

「・・・・お姉様(オリジナル)が連れ去られました、とミサカは結果を簡潔に述べます」

「な・・・・!?」



一刀に、御坂妹が報告する。



「この部屋で起きたことの一部始終を、ご報告します、とミサカは言葉をつづります」






敵はアンデット。
しかし、その出自は明らかにならず。






to be continued

 
 

 
後書き


蒔風
「さぁて、事件が本格的に始まりましたな」

まずは不死生物復活と、希少能力持ち少女の襲撃です。


蒔風
「「原典」を知ってる俺でもあんなアンデットは知らんぞ?何だあいつら」

それはまあ・・・今度で


蒔風
「でも原典は何となくわかったな。あの二つだねぇ」


ええ、あの二つです。
それを大元にしています。


そこを「めぐ銀」風にアレンジ!!


蒔風
「さて・・・みんなは救えるんでしょうかね?」


そこを含めて、お楽しみに!!


蒔風
「次回、数時間前にあったこと、回想」


ではまた次回
 
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