世界をめぐる、銀白の翼
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第三章 X《クロス》
予兆
夜
学園都市
繁華街から少し外れた、ビル影の道
「はぁ・・・はぁ・・・・」
そこを、一人の少女が走っている。
その少女はこの都市の超能力者第三位を瓜二つの顔をしているが、額に当てているゴーグルが別人であることを表している。
彼女は妹達の一員で、「あの実験」で、最後に一方通行と戦った個体だ。
仲間からは一〇〇三二号、上条からは『御坂妹』と呼ばれる彼女が、今裏路地を走って何かから逃げていた。
『今ミサカは・・・謎の生物に追われています・・・・誰か救援に来てください、とミサカ一〇〇三二号は懇願します』
『懇願するというということは、かなりやばい相手なのですか?とミサカ一九〇九〇号は質問します』
『攻撃してもひるむだけで倒れません。対処に困ります、とミサカ一〇〇三二号は半笑いをしながら空元気を出します』
彼女がミサカネットワークを通じて仲間に連絡を取る。
そこで空元気だと自分で言ってはしょうもないのだが、そこを突っ込む者はいない。
『お姉様を狙ったのでは?と、ミサカ一三五七七号は相手のミスを指摘します』
『しかしたとえそうであっても、今の状況にはあまり関係がないです。言葉の通じる相手にも見えません。と、ミサカ一〇〇三二号は身に迫る危機を回避しながら・・・・・・』
「ガァァアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
そこで、彼女を追っていたそれが雄たけびを上げ、その鋭い爪を振りおろしていった。
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「EARTH」本部
その食堂
「橘さんが?」
「ああ、連絡が取れないんだ。何かの調査に向かった、っていうのは聞いていたんだけどさ」
二人の男が、円形のテーブルで少し遅めの晩御飯をとっている。
その人物とは、剣崎と一刀だ。
調査のこと自体は知っていたが、彼が何の踏査をしているのか、そして音信不通であることは知らなかった。
「何かトラブルに?」
「でもバックルは持って行っているから大抵の事だったら大丈夫だと思うけどなぁ・・・」
そう話しているテーブルから離れたところでは、理樹が何人かのメンバーと一緒に何かを話し合っていた。
「そろそろ一年だね・・・・」
「なにも起こらなねぇなぁ」
「で?なんて報告するつもりなんですか?」
そのメンバーは、理樹と上条とエリオだ。
「彼」がいなくなって、それからそろそろ一年だ。
あの事件から一年が経って、彼らは「彼」に報告をするという計画を立てていた。
彼ら、というのは勿論この三人だけではなく「EARTH」メンバーでだ。
どこで声をかけるか、というのはあの十五天帝・青龍の突き刺さっている場所で。
しかし、誰が声をかけるかが決まっていない。
「いや、ここは理樹か一刀じゃねえの?」
「僕としてはクラウドさんがいいんだけど・・・・」
「でも断られてしまったんですよね?」
「内容はどうするんだ?」
「『何もなかったです』・・・じゃない?」
「まあ確かにそうだけど・・・ねぇ?」
そんなことを話しながら、彼らの手が進んでいく。
今日の飯もうまい。
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とある世界
炎が、周囲を覆っている。
「――――は―――――ですか?」
「あ?・・・・え・・・・し、知らない!!俺は何も・・・・!!!」
炎の中に映るシルエットは、長身の女性と、へたり込んだ男性のものだ。
そして、前者が質問し、後者がおびえ震えていた。
しかし、それでも質問に答えた男性の言葉を聞いて、女性のほうは特にがっかりすることもなく、機械的に言葉を発した。
「では・・・あなたは――――――です」
「ひ・・・ひぃぃいいいいいい!!た、助けてくれ!!助けてくれ!!!」
炎の中で女性の声はよく聞こえなかったが、この男性にははっきり聞こえたようだ。
質問し、その手に握った剣を振り上げる長身の女性に怯え、質問された男が四つん這いになって逃げだす。
しかし炎は周囲を覆っていて、逃げ道はない。
逃げられるとしても、死を覚悟してこの炎を突破しなければならない。
と、そこに何か動く影を見た。
そのシルエットは、自分を襲おうと背後に迫っているそれとは違う。
「た・・・助かった・・・・お、おい!!聞こえてたら助けてくれ!!!こ、こいつを・・・え?」
炎が踊り、そのシルエットが明らかにされ、瞬間
その姿を見て、一瞬ほころんだ顔が最初よりも恐怖に染まった。
それは、瞳に映ったその姿が、異形のモノであるからであろう。
「な・・なんだよ!!なんなんだよ!!てめえなんなんだぁアアアアアアア!?」
ドンドンドン!!!
銃声が鳴り、その異形から火花が爆ぜる。
しかし、その銃弾に少しよろめくだけで全く意に介していない。
そして、その鋭い爪が男に食い込み・・・・・・
「グ・・・ぎゃぁぁアアアアアアアああああああああああああああああ!!!!!」
男の体が裂かれ、その体がただの物言わぬ肉と骨へと変わった。
そしてそれは、今この炎によって焦げていっていた。
「あなたは・・・・・」
「・・・・・・・・・」
その女性がスピーカーから出るような声を出して、視界に入ったその異形に問いかけるが、それは踵を返してその場を去る。
「探し出してもらおうか。礎となる、その魂を」
「・・・・・・・・・」
炎の中にその異形が消え、立ち尽くす女性もその場から消えた。
遠くからサイレンが聞こえる。
しかし、救える命は、すでにそこにはない。
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再び学園都市
裏路地の中の裏路地、ザ・裏路地ともいえるような、薄暗い通り。
「はぁ・・・・はぁ・・・・ここまでですか・・・・と、自分の身の危険を顧みながら・・・・」
そこでついに御坂妹は地面に倒れ、迫る化け物からズリズリと下がるものの、塀に背中が当たってその後退が止まる。
「ガぁぁアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
そして、その化け物の鋭利な爪が振り上げられ――――――――
《バレット―ラピッド―ファイア――バーニングショット》
ドンドンドンッッ!!!ドォン!!!
そして、機会音声とともに炎の弾丸が飛んできてその化け物を吹き飛ばした。
その弾丸の飛んできた方向を彼女が見ると、夜の闇でできたビルの陰がそこにあるだけだ。
直後そこから、一枚のカードが飛んできてその化け物に刺さり、身体が吸収されてていく。
「これは・・・・」
「大丈夫・・・・か・・・・?」
その闇に向かってカードが戻り、それを手にした赤き銃士が息も絶え絶えに聞いてきた。
その手にあるカードには先ほどの化け物が描かれていたが、溶けるようにその絵が消える。
「あなたは確か・・・・」
「仮面ライダーギャレン、橘朔也・・・だ・・・・・・頼む・・・急ぎ・・・・「EARTH」に連絡を・・・・ぐっ・・・・」
「大丈夫ですか!!とミサカは体を抱えながらも、あなたに問いかけます!!」
倒れたギャレンの変身が解け、橘が御坂妹に抱えあげられる。
(この近くで、問答無用で助けてくれそうな方は・・・・・とミサカは目的地を決定してそこに向かいます)
そうして二人の影が、第七学区の学生寮に向かう。
しかし、その背後には、先ほどと姿が違うながらも、同じような異形がいた。
to be continue
後書き
はい!!始まりました第三章!!
蒔風
「みんながんばれー」
時期としてはもうすぐ蒔風が消えて一年になろうとするころです。
で、そのタイミングでこう・・・なんかしようとしているわけですな、彼らは。
蒔風
「記念とも違うし、一周忌とも違うしなぁ」
そして、うごめく影達。
蒔風
「なぁ、これって章のタイトルとかからしてメインになるのは・・・」
そこは黙って!!
いやさ、わかると思うけどさ。
しかしそれだけでは終わらないのがこのめぐ銀。
多くの世界のファクターが織り交ざって、どうにかこうにかしていくぜ!!
蒔風
「次回、動き出す「EARTH」」
ではまた次回
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