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ジョジョの奇みょんな幻想郷

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第一部 ケイオスクルセイダーズ
プロローグ ビギンズデイズ
  3.開戦の火蓋切って落とされる

『昨日起きた三つの出来事!一つ!丞一、幻想郷の地に立つ!二つ!『宵闇の妖怪』ルーミアと戦い勝利する!三つ!博麗神社に下宿する!第三部完』
「しねぇよ。させねぇよ」
 人様の家で何をやっているのだこのスタンドは。それをダークワンに聞いてみる。
『そんなの、ゼンカイノデキゴト、もとい昨日の出来事を説明をしていたに決まってるじゃないですか!いいですか?世の中には前回のあらすじに五分以上費やすアニメもあるんですよ』
「だけど、何でお前がやってるんだ?」
『と、いいますと?(ネタ来いネタ来い』
「心の声漏れてるぞ。ここには俺とお前しかいないのに、誰に説明しているんだよ」
『………………』
「………………」
『………ほら!もしいつか手記を記したりするときに役に立つじゃないですか!』
「確かにお前の名前は『暗きもの』からとったが、思い出したようにクトゥルーネタを持ってくるんじゃない」
 つっこめる人材が限られるじゃないか。
 馬鹿をやっていると、霊夢も起きたみたいだ。眠そうな顔で、特徴的な大きいリボンもあのよくわからない装飾物もつけていない。
「おはよう、霊夢」
「おはよう、丞一」
「待っててくれ、すぐ朝飯の準備しちゃうから」
「いいわよ。私がやるわ」
「その言葉は、その髪をちゃんと整えてから言ってくれ。かわいい顔が台無しだぞ」
 丞一はそう霊夢の寝起きと一目見れば分かるような髪を指差した。
「なっ!?何言ってんのよあんた!」
「えっ?なんかおかしいこと言ったか俺?」
 丞一は何のこっちゃ、という顔だったが、当人のスタンドは、あーあ、待ったやりやがりましたよ、と呆れ果てている。霊夢もああ、なるほど、と悟った。これが、朴念仁、天然ジゴロというやつなのだ、と。
「ところで、お前んちの食材事情だから分かってるだろうが、また昨日と同じものな」
「昨日は、何だったかしら?」
「何って、白米、具なし味噌汁、たくあんの三種だっただろうが。まさか忘れちまったのか」
「うーん。何故か昨日の夕食の記憶がないのよね」
「まだ寝ボケてるんだろ?顔でも洗ってスッキリしてこい。そして髪も整えろ」
「そうさせてもらうわ」
 そう言って、霊夢はうーんと唸りながら洗面所に向かった。
『もしかして、霊夢さんのあれは紅王症候群ではないでしょうか』
「は?何それ」
『まるで、時間が消し飛んだように感じてしまうものです。それはまるで、『過程』が消し飛ばされ『結果』だけが残るのです!』
「それただの永遠の絶頂を求めた人じゃねーか」







食事終わりまで『メイド・イン・ヘブン』!時は加速する!






「じゃあ、早速だけど調べましょうか。あなたの能力」
「で、俺はいったい何をどうすればいい?」
「さて、ここで分岐点よ。丞一」
「What?」
「二択よ。それ次第で私の立ち居地が決まるわ」
「What?」
「ズバリ、私がボケかツッコミか」
「お願いします。霊夢さんにはツッコミでいてくださいお願い、ってこんなことやってる時点でお前ボケじゃねーか!」
 丞一は言ってから、ハッ!と気づいてしまった。完全に後手に回ってしまった。
「安心しなさい。私は基本中立だから」
「だといいんだが」
「だとすればどうしましょう。まじで実験台になるやつがいないわ」
「ゲスいなぁ」
「何でこんな時に魔理沙は来ないのよ!」
「その魔理沙って人に同情するよ」
 魔理沙なる人物はなかなかに可哀想な立ち位置にいる人だったが丞一は、ボケキャラでなければいいんだが、と自分の身を案じていた。
 すると、上空から人の気配を感じた。しかも二人もだ。
 片方は、箒に乗った白黒の服を着た金髪の魔女っ子。もう片方は、霊夢に似た巫女服を着た緑色の髪の子だった。
「霊夢~。遊びに来たぜ~」
「右に同じでーす」
「あんたたちね。ちょうど良かったわ」
 霊夢がゲスい笑顔を浮かべていた。その笑顔は丞一が喧嘩相手に、ダークワンも喧嘩相手にオラオラ無駄無駄しながら向ける笑顔だった。
「おっ、こんにちはなんだぜ。丞一」
「いや俺お前のこと知んないんだけど」
「………最後にあったのは世界が一巡する前のことだったな」
「この世界にはプッチ神父でもいんのか?」
 メイド・イン・ヘブンなんて誰も使ってすらいないだろう。それとも、プッチ神父がこの世界にいて幻想入りでもしているのだろうか。
「冗談はさておき、私は霧雨魔理沙!霊夢の親友だぜ!」
「あの私は知らないんですけど。もしかして、霊夢の彼氏さんですか?」
「違うわよ。こいつは昨日幻想入りしてきたのよ」
 何故だろうか、丞一は否応になく嫌なことが起こるような気がしてならなかった。否、面倒くさいことと言ったところだろう。理由は簡単。ダークワンが俗に言ういたずらっ子の顔をしているからだ。
「ボーとしてないで自己紹介でもしたら」
 考えてもしょうがないため、ポルナレフのジョジョ立ちをする。
「丞一……名のらしていただこう……慶条丞一!」
『────星から星の泣く人の 涙背負ってスタンドの始末 いつもニコニコ丞一さんの隣に這い寄る混沌ニャルラトホテプ!お呼びとあれば、即、SAN上!』
 このスタンドは何をしたいんだろうか。見えないということを失念しているのではないだろうか。霊夢と魔理沙は当然のことながら無反応だ。だが、緑色の巫女っ子は違った。大きく目み見開かせていた。
「それで、霊夢。ちょうどいいってどういうことなんだぜ?」
「あんたたち、丞一と弾幕ごっこをしなさい」
「はあ!?霊夢、お前何言ってるんだ!頭でもおかしくなったのか!こいつはたった一日前に来たばっかり何だろ!」
「昨日の夕方に来たばっかりね。確かに普通のやつなら魔理沙と同じ考えでしょうね。でも、丞一は普通じゃないわ。あの紫が連れてきたんだもの。一癖も二癖もあるに決まってるわ。文句はないでしょ。丞一」
「二人が相手か?本気を出していいんだろ?」
「当たり前じゃない。言っとくけど二人とも本気を出さなきゃだめよ。丞一の能力が分からなきゃ意味がないんだから」
「………はあ、わかったよ。やりゃあ、いいんだろ。死ななけりゃ早苗が何とかするもんな」
「え?は、はい。死ななければ私が直しますから」
 『死ななければ』『直す』。この言葉を丞一は聞き逃さなかった。
「なら良かった。うっかり殺さなければ一応怪我しても大丈夫みたいだな。思いっきり──────お前らを負かせられる」
「私をなめすぎじゃないか?これでも、霊夢と一緒に結構な数の異変を解決してきたんだぜ」
「なめちゃいないさ。むしろ警戒しているまでもある」
 魔理沙が早苗といった子のことを。記憶の奥底の方で何かが引っかかる。何かが早く気づけよと信号を送っている。
「ただただ、俺は事実を予言しただけさ」
「魔法使いに予言なんて十年早いぜ!」
「始めなさい!」


 
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