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ジョジョの奇みょんな幻想郷

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第一部 ケイオスクルセイダーズ
プロローグ ビギンズデイズ
  2.博麗神社到着

「─────あなたは食べてもいい人間?」
「人間は食用肉じゃねぇーよ」
 丞一は恐怖した。この少女の放つ殺気に。
 丞一は歓喜した。この少女の放つ殺気に。
『あちらはやる気のようですね』
「かるーく捻ってやれ、ニャル子!」
『イェッサー!』
 丞一はスタンドを出し、臨戦態勢を整える。
「夜符『ナイトバード』」
 少女がそう言うと、円弧状の無数のエネルギー弾、弾幕と呼ばれるそれが丞一を襲う。
『オラオラオラァ!!!』
 しかし、無駄だった。ダークワンのラッシュが全ての弾を弾き飛ばした。
「私のスペカが何かにはじかれたっ!」
「紫さんのやつほど強くはねぇな。こちらも行くとしますか」
「くっ!闇符『ムーンライトレイ』!」
「ふん。マヌケがぁ!知るがいい。『ダークワン』の能力はまさに『世界をひっくり返す能力』だということを」
 丞一の周りに弾幕がばらまかれる。そして、レーザーが放たれる。このとき、少女は勝った。確かにそう思ったろう。
 しかし、次のその瞬間気づいたときには丞一はその場にはいなくなっていた。レーザーは虚しく空を切った。
「青ざめたな」
「っ!」
 少女が振り返るとそこには丞一が手を振りかざして立っていた。何が起こったのか分からなかったがこれだけは分かった。やられたと。少女は目をギュッと瞑った。
「………」
「………」
 しかしいつまでたってもかざした手は振り下ろされることはなかった。
 そして、丞一はゆっくりと手を少女の頭へぽんっと置き、そのまま優しく撫でた。
「なんてな、そんな大人げないことするわけないだろ?俺も君に何もしないから、俺を食べるのはやめようね」
「うん。ごめんなさいなのだ」
「いいんだよ。わかれば。俺は慶条丞一。外世界から今し方幻想入りして来たんだ。よろしく」
「私はルーミア。妖怪なのだー」
「ところで、俺は八雲紫に博麗神社へ行けと言われたんだが、何処にあるのか知ってるか?」
「そーなのかー?」
「YES YES YES YES YES」
「なら、連れてってあげるのだー。霊夢とは友達なのだー」
『そーなのかー?』
 いや、見えるわけないだろ。というツッコミは野暮なのだろうか。
「そーなのだー」
 いやみえるんかい。というツッコミは野暮だな。きっとボケ要因は何でもありなのだ。丞一はそう自分に言い聞かせた。
 しかし、霊夢、というのはどんな子なのだろうか。

「丞一は姉妹はいるのかー?」
「いるにはいるが何故?」
「誰かと似てる気がするのだー」
「そうなのかー?」
「そうなのだー」
「「わはー」」
 誰かと似ている、そういわれたのは何年ぶりか丞一には分からなかった。
 そんなこと言われたのは昔遊んだ幼なじみが最後だ。
「ここなのだー。ここの石段を上れば見えてくるのだー」
「ありがとな」
 丞一はそう言うと頭をぐしゃぐしゃっと撫でる。するとルーミアは、わはー、と気持ちよさそうに唸った。
「またな。ルーミア。次は食おうとすんなよ。俺なんか食っても腹壊すだけだかんな」
 なんといっても、別世界での這い寄る混沌がスタンドなのだから。腹壊さない方がおかしいのだ。
「うん!丞一は友達だから食べないのだ!バイバーイ!ルーミアはクールに去るのだー!」
 何でそのネタをルーミアが知っていたのだろうか。
『嵐のような人でしたね』
「お前にだけは誰も言われたくはないだろうよ。それよりも、ルーミアとお前、会話が成立してたときがあったけどあれって何だ?」
『ああ!あれですか!いえですね、我々スタンドってらスタンド使いにしか見えないじゃないですか。ですから、』
「ギャグの時のみ、会話の成立または視認することが出来るんですー、とか言い出すんじゃないだろうな」
『ギャグの…………何で丞一さんはそうやって私の気づかいを無碍に返すんですか?』
「誰に対する気遣いか言ってみろ」
『………貴様等、見ているな!』
「貴様等ってだれだよ」
 あまり深く追求してはいけないようだ。このスタンドは何かと後付け設定をドンドンこじつけていくから嫌なのだ。しかもそれが、偶に伏線となりしょうもないことにつながるから尚タチが悪い。もしも、スタンドの性能値にフラグ回収力などがあったらこいつはAなど生っちょろい測定不可能がでるだろう。
「ニャル子、足だけスタンド化させて行こうぜ。三部の最終決戦の時みたいなやつ」
『あれですか!いえですね!わかりました。いやーさすが話が分かりますね!英語で言うと、アンダースタンドゥザスピーク!』
「意味合ってんのか?それっ!」
 丞一は三部の承太郎のように足のみスタンド化させ一気に跳躍した。




少年移動中




「よっと、疲れるなこれ。にしても時間が時間なだけあって、誰もいないな」
 丞一の携帯をみると六時半を指していた。しかも、今の季節は九月半ばだ。
 まだ日は長いとは言え、この時間帯は暗いからな人が寄りつかないのもうなずける。
「せっかくだし賽銭でも入れてきますかね」
 丞一は願掛けもかねて、五十円──五円がなかった。ご縁だけに──を入れて、二拝二拍手二拝。
『丞一さん。今のだけはうまくないです』
「何心読んでんだよ」
「何?こんな時間に参拝客?危ないから早く帰った方がいいわよ」
 横から脇を露出した紅白を彷彿させる巫女服を着た少女が立っていた。
「────ご忠告どうも。あんたが博麗霊夢さんで?」
「そうよ。私が博麗霊夢。あんたは?見ない顔だけど」
「そりゃ、数十分前に紫さんに連れてこられたばかりだからな」
「紫に!?」
 霊夢は知り合いなのかその話を聞きたいそう驚いた。
「おっと、自己紹介が遅れたな。「誰だ?」って聞きたそうな表情してんで自己紹介させてもらうがよ、俺はおせっかい焼きの慶条丞一。さっき言った通り紫さんにはずっと勧誘されてたんでくっついて来た」
「ええ、よろしく。で、紫が連れてきたってことはここに来たのは用件があるんでしょ」
「ああ、じつは」





説明が終わるまで『キングクリムゾン』!






「っていうのが、ここ『幻想郷』でのルールよ」
 結局、ルールの説明まで端折った。
 つまり、要約すると『妖怪が異変を起こし、人間(主に博麗の巫女)が解決する』『そしてそれはスペルカードルールという決闘方式に則って行われる』。ということだ。
「そして能力の方だけど、詳しくは明日になってからね。新旧含めて」
「はて新旧含めてとは?」
 丞一はわざとらしく肩をすくめてみるもごまかせなかった。
「とぼけないで。あんた、の近くに霊みたいなのいるでしょ。しかも、あんたは何かを隠してる」
「根拠は?」
「勘よ」
「成る程、勘ね。って勘!?」
「私の勘はよく当たるのよ」
 開いた口が塞がらない。そして霊夢もそれ以上言及してこなかった。
 まさか、霊感ならともかくたかが勘でスタンドが半ば看破されるとは思いも寄らなかった。
 ただこれで分かったことは霊夢はただ者ではない実力者であることと、ギャグ要員ではないということである。
「で、俺の寝床を提供してくれそうな心優しき御仁はお知り合いにいますかね、霊夢さんや」
「ん?何で?」
「いや、何でって。そりゃ今夜だけでも見つけなけりゃ野宿する羽目になるからな」
「は?ここに泊まればいいじゃない?」
「……………………は?」
「え?」
 何をどういう意味で言ったのだろうか、この女は。
「だから、博麗神社に泊まればいいと言ったのよ」
「ナチュラルに心読むな!ってそうじゃなくて!何言ってるのか分かってんの!?お前は女!俺は男何だよ!起きちゃマズいことが起こるかもしれないだろ!」
「お前じゃなくて霊夢って呼びなさい」
「そんなとこどーでも良いわ!」
 誰も気にしないよ。気にするべきところはそこではないだろう。日本政治を見直すようにマクロな視点で見直してほしい。年頃の男子と女子が一つ屋根の下にいること自体が問題なのだということに気づいてもらいたい。
『ほんとはそんなことする度胸もないですけどね』
 このスタンドはほんとに黙っていてほしい。別世界、というか元ネタは夜這いするような輩なのだから。
「大丈夫よ。あんたはそんなことしないでしょ」
「会って時間もたってないのに大した信頼だな」
「そんなことするやつを紫が連れてくるわけないもの。それに、あんたはそんなことできないでしょ。私の勘がそう言っている」
「どこの実力派エリートだ」
 むしろ、何故そのネタを知ってるか問うと、何でも知り合いが原作コミックを持っているのだとか。
「というわけで泊まりなさい。わざわざこの時間にで歩かせるほど私は鬼ではないわ」
「ならお言葉に甘えて。せめて夕飯ぐらいは作らせてくれ台所借りるぞ」
「じゃあお願いするわ。たいしたものないけど」





夕食が終わるまで『キングクリムゾン』!







「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
「風呂は出来てるから先いいわよ」
「何だか悪いな」
「私の後にあんたが入るのもなんだかどうなのよ」
「………そうだな」
 丞一は素直に先に入らせて貰うことにした。
「あ、そうだ。霊夢、洗濯物あるならしばらく晴れが続くらしいぞ」
「ふーん。なんでわかるのよ?あんなの能力」
「違う違う。天気予報っていって天気を予測して教えてくれるんだよ」
「なるほどねー。外の世界って何かとすごいのね」
「まあな」








『あ、この先、特に書くようなことなかったんで、一旦きりまーす』



 
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