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ジョジョの奇みょんな幻想郷

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第一部 ケイオスクルセイダーズ
プロローグ ビギンズデイズ
  4.VS魔理沙・早苗~クレイジーダイヤモンドは砕けない~

「─────始めなさい!」
「先手必勝っ!」
 丞一は俺の主武装を右手に構え投擲する。
 スタンド使いの中にはスタンドは勿論だが、武器も使う人もいる。例えば三部Dioやプッチ神父のナイフ、ジャイロの鉄球は別物かもしれないが、それらが代表例といえる。そこで丞一は考えた。
「スタンドバトルって、武器も組み合わせて使ったら強いんじゃね?」
 と。
 そして、丞一が精錬させた武器が。
「フォーク、か」
 投擲したそれをを魔理沙が防ぐ。銀色の輝きを放つ三叉。百均にも売っている、人類が生んだ恐らく最強(丞一の持論)武器。それがフォークだ。
「たかがフォークで何ができる!」
「たかがフォーク、されどもフォークだ。お前はこのフォークの恐ろしさを知らない─────そして!お前はこれからその恐ろしさを知ることとなる!!残り一秒!」
「はったりなんだぜ!喰らえ!恋符『マスタースパー(ry」
「0だ」
 ドスドスドス、という効果音を鳴らし魔理沙の脳天に三本のフォークが刺さった。
「ガサC!」
「魔理沙さん!」
 魔理沙が不意に頭を天井をぶつけたときのように頭を抱え込みしゃがみ込む。
「安心しろ。死にはしない。死にはしないが、クリティカルヒットが確定で当たり、壮絶な痛みが長く続くだけだ」
「あ、安心できねぇぜ。死にはしないが、喰らいたくない攻撃だぜ。たかが三本でこの威力数十本でも刺されれば痛みのあまりショック死するレベルだぜ」
 なんだその威力は。丞一のフォークはゴールド・エクスペリエンスなのだろうか。もしかしたら今魔理沙は、鋭い痛みをゆっくり味わっているのかもしれない。
「でもいつ間に投げていたんだ!私には一本しか見えなかった!」
「何言ってるのよ。投げてたじゃない。あんたに投げたのと同時に左手で三本のフォークを」
「Exactly(そのとおりでございます)。一投目のフォークは視線誘導のためのミスディレクション。本命は一本目と同時に上に投げた二投目のフォークだったというわけさ。さて」
 丞一が再びフォークを構えると、魔理沙の顔は青ざめ、ひっ!と悲鳴を上げておののいた。
「青ざめたな。俺のフォークは恐怖を植え付ける。いいか─────これが、フォークを刺すということだ」
 丞一がスタンドの能力を使う。
 丞一のスタンド『ダークワン』の能力は『重力を自在に操る』ことだ。似たような能力を持つ『C─MOON』と間違えられるが、あれは本体であるプッチ神父を中心に重力を反転させる、つまりスタンドに触れたものを裏返しにする能力だ。プッチ神父の名言でもある「パンチは必ず一発だけだ」というのもその能力の性質上仕方なくなのである。
 だが、『ダークワン』は『自在』に操るのだ。反転だけでなく、重力の方向を好きに操ることができる。簡単に言ってしまえばラッシュができる『C─MOON』だ。
 『相対性理論』。それは、ジョジョ界の時止めにも大きく影響を与えている理論だ。簡単に解すれば、時間が止まろうと、重力はかかり続ける。重力と時間、空間は隣り合う密接な関係にあるということだ。さらには光速に近づくにつれ、時間のすすみは遅くなるともある。『スタープラチナ・ザ・ワールド』は後者の法則に則り時を止めているのだ。
 『双子のパラドックス』。それは『相対性理論』を決定付けるもので、宇宙に行った双子Aと地球の双子Bの同じ時間での歳の取り方では、Bの方が歳を取るということだ。つまり、無重力に近いほど時間のすすみは遅くなるということだ。
 つまり何を言いたいかというと、前者の法則を使えば重力を操作することにより、『スタープラチナ・ザ・ワールド』のように時を止められるということだ。


「『ダークワン・ザ・ワールド』!時よ止まれ!」


ドォォーーーーン!カチコチ……

 世界は灰色に包まれた。
「魔理沙、お前はチェスや将棋で言う詰み(チェックメイト)にはまったのだ!大丈夫さ。死にはしない」
 そう言い、丞一はフォークを滅多投げした。
『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄、無駄ァ!!』
 投げられたフォーク群は全て、魔理沙の眼前で静止する。
「これが『ザ・ワールド』だ。もっとも時の止まっているお前には見えもせずかんじもしないだろうがな───────時は動き出す」
 世界は元の色を取り戻し、魔理沙の目の前にフォークが現れる。
「絶望が貴様のゴールだ」
 誰もが魔理沙にフォークが刺さる光景を目に浮かべた。それは魔理沙本人さえも同じだった。



『ドラァ!』
 しかし、フォークは謎の手によって防がれた。
『ドララララララララララララララララララァ!』
 その姿は霊夢も魔理沙すらも見えはしなかった。しかし、丞一その姿をはっきりととらえた。
「グレート!まさか、時間まで止めるとは思っても見ませんでしたよ」
 体のいたる所にハートマークがあしらわれ、頚部に数本のパイプの様なものが見られる。ロボットかサイボーグの戦士といったものを彷彿させるその姿は、『破壊されたものを直す』という、もっとも優しい能力。
『やはりでしたね。丞一さん』
「ああ。今思えばヒントは転がっていたんだ。ニャル子のバカみたいな自己紹介に呆然としたり、魔理沙の話口調からして最近手に入れたという『死ななければ直す』という能力。ヒントはあったんだ。あんた、スタンド使いだったのか。早苗!」
 犯人を暴いた、探偵様々に指を指す。すると早苗は不適な笑みを浮かべる。
「Exactly(そのとおりでございます)。改めまして、私はプレッシャーを跳ね返す守矢の風祝、東風谷早苗と呼んでください!そして、ジョジョを知っているならご存じでしょうが『クレイジーダイヤモンド』と私はこいつを名付けて呼んでいる」
 いきなり、この子とばしてきてるな。初っ端からダービー兄やって仗助、吉良とやってきた。
 ならば、こちらもそれ相応な態度で応じるべきだ。そう思い、応える。
「………『クレイジーダイヤモンド』。射程距離一、二メートル。破壊されたものを直す能力がある」
「あなたに対してその能力は必要ないですね。ただぶちのめすだけですからね!」
『ドラァ!』
「やれ!ニャル子!」
『YES,Iam!オラァ!』
 拳と拳、脚と脚がぶつかり合う。
 『ダークワン』と『クレイジーダイヤモンド』。体格差は歴然だが、『ダークワン』はすばしっこい。小型かつ高性能というやつである。
 『クレイジーダイヤモンド』の蹴りをジャンプしてよけた『ダークワン』は空中で宙返りをし、『クレイジーダイヤモンド』の首を手刀で狙う。それを察知し、手刀を肘で迎撃する。肘とは人体でもっとも堅い部分である。痺れて腕が動かない。防御ができなくなったとみた早苗はここから畳みかけた。
『ドラァ!』
 右ストレートを首を傾けることにより、かわす。
『ドラァ!』
 間髪を入れず左ストレート。同じく逆に首を傾けるも、かわしきれず頬をかすめてしまう。
『ドララララララララァ!』
『そういうことですか。フン!フン!』
 痺れから解放された『ダークワン』が拳を合わせるようにラッシュを止める。
 丞一はこの展開を知っていた。この展開は三部の最終決戦のあの伝説的ラッシュバトルの展開である。
「ラッシュの早さ比べか……」
 よろしい。ここまでお膳立て──誰もしていない──されてはするしかないではないか。
『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!』
『ドラララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララ!』
「な、何なんだぜ!あの二人!何が起こってるだぜ!」
「わからないわ!でも何かと何かがぶつかるような音が聞こえるわ。すごい衝撃、空気のふるえがここまで伝わるだなんて!」
 ガシガシガシ!と音を立て空気をふるわせる。
 しかし、均衡は長く続かなかった。
『無駄ァ!』
「クッ!」
 ラッシュを制したのは『ダークワン』だった。倒れる早苗に向かってさらに追撃を加えんとさらに拳を向ける。
 しかし、拳を叩き込む前に顎に強い衝撃が伝わった。蹴りだ。『クレイジーダイヤモンド』の真上に放たれた蹴りが『ダークワン』の顎をとらえ、その衝撃が本体である丞一に伝わったのだ。
『ドラァ』
「がぁ!」
「すっとろいですよ、『ダークワン』!」
『一筋縄では行きませんね、丞一さん』
 丞一はさらに、フォークを投擲する。その数16本。どうやっているかと聞かれたら、何となくできるとしかいえない。しかし、
『ドララァ!』
 地面を殴りつけ砕き能力で直すことによって、境内の石版を壁にしフォークを防ぐ。
「無駄です!フォークは私には効きません!」
「……思いこむということは何よりも恐ろしいことだ。しかもそれが自分の能力や才能を優れたものと過信しているときはさらに始末が悪い」
 そのとき、肩にフォークが刺さる。
「がぁ!な、何で!そうか!また空に」
「こうもまた同じ手にかかるとはな。手品としたら上々というものだ。こっち風に言うなら、消失『ミスディレクション』、と言ったところかな!(シュバッ!)」
「っ!?」
 丞一が駆け出すと、一瞬で早苗の目の前に現れた。そして、後ろに逃げようとした早苗を逃さず腕だけスタンド化させ首を掴み持ち上げる。
「早苗、君はこう考えているな。『時を止められた間に近づかれた』と。だが、俺は時を止めていない」
「がっ!う、嘘だ。そ、れじゃあ、あの瞬間移動は説明が」
「縮地。俺はあの歩法をそう呼んでいる」
 縮地。または縮地法。数々のマンガで採用されている一瞬で距離を詰める謎多き古武術の歩法だ。やれ、頭を上下させない歩法だのなんだ言われているが、丞一はこれを重力を一歩で最大限利用することでこれを再現した。普通ならば不可能であるこの技を丞一はスタンドの能力を使うことで可能にしたのだ。
「さて、早苗。君はこの俺に対し善戦したと思っているよ。いや、その言い方では失礼か。一つ違えば違う結果があっただろう。そんな貴様に敬意を払いこの技で締めるとしよう」
 丞一は残ったスタンドの左手の人差し指を早苗のわき腹に添える。
 穿点『ミツバチ』。
 刹那、早苗のわき腹には人差し指大の風穴があいた。
「がふっ!」
 早苗は吐血をした。
「早苗!」
「お前!いったい何をしたんだ!」
「……重力というのは、常に面に働き続けるものなんだ」
「い、いったい何を言っているんだぜ?」
 丞一はかまわず続ける。 
「そして力というのは、かかる面積を小さくすればするほど力は大きくなる。例えば、雪が積もっているとき、靴で雪の上を歩くと靴は埋もれるが、艝などだと埋もれないだろ?そしてそれは重力にも同じことがいえる!常に面で働き続けている重力を点で同じ力を加えれば、それは貫通する」
 丞一はそういいながら早苗をそっと地面に降ろした。
そして霊夢の方へ歩いていった。
「すまないが、霊夢。包帯とかないか?貫通はしてるけど傷は小さいから、すぐ治療すれば」
「まだ、決着には早いんじゃないかしら」
「何を言って……なん、だと」
 早苗は立っていた。白が目立つその巫女服を血で汚しても立っていた。
「まだ、勝負は、ついていませんよ」
「……やめておけ。傷は小さいとはいえ、わき腹が貫通していて血も流れてる。最早、立っているのもやっとなんじゃないか?」
 丞一の言う通り、早苗の足は震えており、立っているのもやっとというように見えた。しかし、そんなことは関係ないと言わんばかりに、早苗はスタンドを出した。
「………『クレイジーダイヤモンド』の能力は『直す』能力」
「だが、死人、自分は直せない」
「そして、ジョジョ!次にあなたは「もう終わりだ。勝負は決している」と言う!」
「もう終わりだ。勝負は決している、ハッ!」
「あなた、さっき、自分で言いましたよね?『思いこむということは何よりも恐ろしいことだ』と。その言葉そっくりお返し、します」
「な、何を、まさか!」






「『直す』!」


 
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