提督はBarにいる。
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
栗でホワイトデーを・3
さてさて、稀少な艦娘当事者からのアドバイスだ。栗の甘露煮を使った和菓子、作ってみるとしようか。
《候補4:ご家庭で出来る!栗入り蒸し羊羮》
・栗の甘露煮:150g
・こしあん:280g
・薄力粉:30g
・片栗粉:5g
・砂糖:30g
・塩:少々
・お湯(60℃くらい):45~60ml
※成型にパウンドケーキの型とクッキングシートを使うので、それも忘れずに!
一般的に羊羮と言えば寒天を使った練羊羹(ねりようかん)か、寒天を少な目にしてプルプルの食感にした水羊羹(みずようかん)がメジャーだろう。しかし今回は薄力粉を加えて蒸し上げる蒸し羊羮にチャレンジしてみようと思う。
まずは栗の下拵え。栗の甘露煮をシロップごと鍋に入れ、火にかける。一煮立ちしたらザルにあけて汁気を切る。こうする事で栗にシロップの甘味を更に染み込ませるのだ。
お次は羊羮本体を作っていく。薄力粉、片栗粉、砂糖をそれぞれ粉ふるいにかける。その際、粉同士を混ぜないように注意。ふるい終わったらこしあんと薄力粉を練る。サックリとではなく、粉っぽさが無くなるまで混ぜる。
薄力粉とこしあんが混ざったら、同様に片栗粉、砂糖、塩も混ぜ、粉っぽさが無くなるまでよく練り上げる。しかし、これだけでは蒸してもボソボソになるだけで、和菓子独特のあのねっとりとした口当たりは生まれない。その為には……水分である。
60℃くらいのお湯を、少しずつ練ったあんこに加えながら更に練る。水分がプラスされてとろみが付きはじめたら頃合いだ。目安としては、生地を混ぜていたヘラ等に付けて垂らし、リボンが折り重なるような状態になればOK。弛すぎると上手く固まらないし、水が足らないとボソボソになる。まぁ、その辺は経験だから要練習だな。
生地が出来たら煮詰めておいた栗を生地に混ぜ込み、クッキングシートを敷き詰めたパウンドケーキの型に流し込む。空気抜きをしたら、蒸し器に入れて中火で30分程蒸す。
蒸し上がったら蒸し器から取り出し、表面を均す。冷えて固まるまでは完全には固まっていないので、熱い内に均してしまおう。完全に冷めて固まったら食べやすい大きさにカットすれば完成だ。
「うん、これはこれで中々……」
出来上がったばかりの栗羊羮を、緑茶と共に試食。どちらかと言えばコーヒーや紅茶派だが、やはり和菓子にゃ緑茶だよな。練羊羹に比べると滑らかさは無いが、その分和菓子の練りきりみたいな独特の食感がある。そこに栗のコリコリとした食感がアクセントになって、これまた美味い。ホワイトデーのお返しに和菓子、アリかもしれん。
「うーむ、これでも余りそうだな……」
残っている栗の甘露煮の量と、試作に使った栗の量から、大体の消費量を計算してみたが、まだ余る。最初の予定だと300人分も作れば余らないだろうと皮算用していたんだが、見通しが甘かったらしい。
「……仕方ねぇ、余りそうなのは今日のお通しにでもするか」
栗の甘露煮、甘いから料理には使いにくそうに感じるが、逆にその甘さを活かした使い方をすれば立派な食材になるのだ。
《鶏肉と栗の甘辛大葉チーズ和え》
・鶏モモ肉:240g位
・ベビーチーズ(クリームチーズ入りがオススメ):2個
・栗の甘露煮:50g
・大葉:2~3枚
・塩、胡椒:少々
・酒:小さじ1
・片栗粉:大さじ1
(タレ)
・砂糖:小さじ2
・甘露煮のシロップ:大さじ1
・酒:大さじ1
・醤油:大さじ1
・輪切り唐辛子:適量
・片栗粉:小さじ1/3
・サラダ油:大さじ1
さて、作っていくぞ。鶏肉は余分な脂を取り除いて、小さめの一口大にカット。ベビーチーズは1.5cm角になるように……大体、6等分すればそれくらいの大きさになる。栗は肉よりも小さくなるようにカットし、大葉は千切り。おっと、タレの材料を混ぜ合わせておくのも忘れずにな。
鶏肉を焼いていくぞ。鶏肉に塩、胡椒、酒を揉み込んで下味を付けたら、片栗粉を全体にまぶしておく。フライパンにサラダ油を熱し、鶏肉を皮目からカリッとするまで強火で焼き上げる。中までしっかり火を通し、焼き色が付いたら皿に移しておく。栗も香ばしい方がいいなら今空いたフライパンでサッと炒めてやるといいかもな。炒める工程が終わったら、キッチンペーパー等でフライパンの中の余分な脂を拭き取る。
具材と絡めるタレを作るぞ。油を拭き取ったフライパンに混ぜ合わせておいたタレの材料を入れ、かき混ぜつつ加熱。フツフツと沸いてきたら鶏肉を入れて絡め、お次は栗も入れて更に絡める。よく絡んだ所で火を止め、余熱が残っている状態でベビーチーズを加える。
ベビーチーズはプロセスチーズの為、溶けにくい。なので食感を残しつつチーズを絡めたい時にはうってつけだ。余熱でチーズが柔らかくなってきたら皿に盛り付け、仕上げに千切りの大葉を散らせば完成。
「どれ、一口味見を」
鶏肉と栗、チーズを一緒に口の中へ放り込む。甘辛いタレと鶏肉の相性は鉄板だな、やっぱり。そこに栗のホクホクとした食感とチーズのマイルドな塩気が絶妙の塩梅を醸し出す……あぁ、白飯かポン酒が欲しい。
さて、まだ余りそうな気配の栗の甘露煮。
「最終手段だ、ポタージュにでもしちまおう」
《栗の甘露煮で!?栗のポタージュスープ》
・栗の甘露煮:250g
・玉ねぎ:1個
・セロリ:1/2本
・バター:大さじ2.5
・薄力粉:大さじ1.5
・コンソメキューブ:1個
・ローリエ:1枚
・生クリーム:100cc
・塩、胡椒:適量
このレシピ、本来なら茹でただけの栗を皮を剥いて作るレシピなんだが……今回は変則の残り物リメイクという事でひとつ。普通の栗の場合は鬼皮と渋皮を剥いて、水に浸ける。2~3回水を取り替えながらよく水に晒して灰汁抜きをしたら、半分にカットしないといけないんだが。今回は甘露煮を使うので、灰汁抜きまでの工程は丸々カット。しっかりとシロップを切ったら、半分にしておく。
玉ねぎとセロリは薄切りにして、鍋にバターを溶かして中火で炒めていく。透き通ってきたら栗を加えて更に炒め、薄力粉をふり入れて軽く炒める。
粉っぽさが無くなってきたら水を600ccとコンソメキューブ、ローリエを加えて鍋底をこするようにしながら木ベラでかき混ぜる。煮立ってきたらアク取りをして、火を弱めの中火まで落として15分程コトコト煮る。
鍋からローリエを取り除いて粗熱を取り、鍋の中身をミキサーに移して栗が細かくピューレ状になるまでミキサーにかける。ピューレが出来たら裏漉し器を通してピューレを鍋に戻す。
生クリームを加えて、弱めの中火でゆっくりとかき混ぜつつ温める。味見をして、塩、胡椒で味を整えて盛り付ければ完成。甘露煮を使ってるからかなり甘口になっているから、味の調整は慎重にな。
「うん、カボチャのポタージュに比べると香ばしいな」
カボチャのポタージュ同様、ほっくりとした甘味があるが、栗を炒めた事による香ばしさがプラスされている。朝ごはんとか、酒の〆に胃を労るにはいい感じだ。
どうにか今年も所属する艦娘全員分の菓子を準備できた。チケットの仕込みもバッチリ、今年は誰が引き当てるのだろう?しかしそれよりも切なかったのは、菓子よりもツマミやスープの方が好評だった所だ。
「まぁ、ウチらしいっちゃあウチらしいんだがね」
後書き
どうにか間に合いました。次回からは予告通り、『艦娘とスイーツと提督と』の第二弾になります。恐らく投稿は3月14日になると思いますので、お楽しみにm(_ _)m
ページ上へ戻る