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提督はBarにいる。

作者:ごません
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栗でホワイトデーを・1

「さーて、どうしたもんかな……」

 ホワイトデーの差し迫ったとある昼下がり、俺は1つの段ボール箱の前で首を捻っていた。中に入っているのは大量の栗の甘露煮。馴染みの食料品店のオヤジから、『半額でいいから引き取ってくれ』と泣き付かれて買い取った代物である。なんでも、正月のおせちの需要を当て込んで仕入れたらしいがそれはそこ、おせちは最早作る物というよりも買う物と化している。そうなれば当然栗きんとんの材料になる甘露煮も売れないワケで。

「とりあえず、幾つか作ってみっかぁ……」

 眺めて悩んでいても埒が明かない。取り敢えず、作れそうな物を幾つか作ってみて、良さそうな奴を今年のホワイトデープレゼントにするとしよう……勿論、恒例のスイーツチケットも同封して。



《候補その1:栗のブランデーケーキ》

・栗の甘露煮:250g

・ブランデー(ラム酒でも!):大さじ3

・卵:3個

・砂糖:100g

・バター:120g

・薄力粉:120g

・飾り用のナッツやレーズン等:適量




 飲兵衛ばかりの我が鎮守府、当然ながら酒の香りのするブランデーケーキは好まれやすい。まぁ、甘露煮をブランデーケーキに使うにゃあ下準備が必要だが。

 甘露煮をザルにあけて水気をある程度切って、小鉢等に入れて酒に漬け込む。一晩位浸けておいた方が確りと香りも付いて美味くなるぞ。……あ、直径2cm以上ある粒は半分に割った方がいい。焼き上がっていざ食べる時に食べやすいし、栗の偏りが出にくい。まぁゴロゴロした食感がある方が良いというならば強制はせんがね。

 室温に戻しておいて柔らかくなったバターをボウルに入れ、砂糖を加えて白っぽくなるまで泡立て器で混ぜる。同時進行で溶き卵も作っておく。

 練ったバターに溶き卵と栗を浸けていた洋酒、栗を加えて更に混ぜる。栗の粒が大きい時、偏りを少なくしたい時には実は後で加える。

 薄力粉を軽く振るっておく。今回は入れなかったが、ふっくらと焼き上げたい時にはベーキングパウダーを3~4g程度加える。振るった薄力粉をバターのボウルに加えてゴムへら等でサックリと混ぜる。粉のダマが残らないように、しかし混ぜすぎに注意。

 パウンドケーキの型にクッキングペーパーを敷き詰め、生地を流し込む。栗の粒が大きい場合にはこのタイミングで生地の中に埋め込む。粒が大きければ大体の栗は生地が固まる前に自重で下へ下へと沈んでいくので、栗のほぼ全体が生地の表面に顔を出していなければOKだ。飾り用のナッツやレーズンを用意しているなら、ここで上に散りばめておく。

 オーブンを150℃に余熱し、型に入れた生地に膨らみ過ぎ防止用の割り線を入れたら、オーブンに入れて約一時間じっくりと焼く。ブランデーケーキは焼きたてよりも、冷まして生地が馴染んだ方が美味いからな、試食は後回しだ。





 さて、おつぎは栗菓子の定番『モンブラン』でもつくってみるかね。今回はノーマルなモンブランと焼きモンブランの2種類を作るとしよう。

《候補その2:家で作れる甘露煮モンブラン》※分量8個分

(土台)

・卵白:Mサイズ卵1個分

・コーンスターチ(無ければ片栗粉):10g

・粉砂糖:10g

・板チョコ:適量(20~30g)

(クリーム)

・生クリーム:100cc

・砂糖:大さじ1/2

・ブランデー(お好みで):小さじ1

(マロンクリーム)

・栗の甘露煮:150g

・生クリーム:100cc

・甘露煮のシロップ:100cc

(飾り)

・栗の甘露煮:半分にカットした物4粒分と、4等分にした物を2粒分


 まずは下準備がある。キッチンペーパーにコンパス等を使って直径5cm位の円を8つ描く。これがモンブランの土台を焼く時の目印になる。そしてオーブンを140℃で余熱しておく。

 土台のメレンゲを作っていくぞ。卵白に粉砂糖を5g加えて泡立てる。角が立つまでしっかりと泡立てるように。それが出来たら篩に掛けたコーンスターチと残りの粉砂糖5gを加えて、ゴムへらで泡を潰さないようにサックリと混ぜる。底からしっかりと掬うようにして混ぜるように、な。それが出来たら絞り袋に生地を入れ、先程描いた円からはみ出さないように厚さ5mm~1cm位になるように絞り出して成形。

 140℃に余熱したオーブンで30分焼き上げる。天板をセットするのは一番下の段にするように。上にセットすると焦げちまうからな。30分焼いたら、今度は温度を100℃に下げて15分焼く。

 土台の焼き上がりを待つ間にマロンクリームを作るぞ。栗の甘露煮、シロップ、生クリームをミキサーに入れ、栗の塊が無くなるまで回す。粒が無くなったら鍋に入れて中火で加熱しながらかき回す。焦がさないようにとろみが付くまで混ぜるぞ。水気を飛ばしすぎて固くなったら、牛乳か生クリームを少し足して軽く延ばしてやる。大体、絞り袋に入れて絞り出せる位が目安かな。仕上げに裏漉し。これをやると、きめ細かくて口どけの良いマロンクリームになるぞ。


 お次はホイップクリームを作る。生クリームと砂糖、香り付けの洋酒を加えてホイップする。コイツがモンブランの土台の上に乗って形を作るクリームだからな、フワフワよりもしっかり目のクリームが理想だ。後は板チョコを湯煎しておけば準備は完了だ。


 さぁ、メレンゲ生地が焼き上がったぞ。焼き上がった生地に湯煎しておいたチョコを塗って冷蔵庫で冷やす。こうすると土台のサクサク感が増して美味しさがUPするぞ。チョコを触って指に付かなければOK。お次は半分に切った甘露煮を土台の中心に置き、生クリームを被せて山の形を作る。成形したら冷凍庫に入れ、10分程凍らせる。こうするとホイップが固まって次の行程がやり易くなるぞ。お次はマロンクリームを周りに巻き付けるように絞り出し、てっぺんに4等分にした甘露煮を飾れば完成だ。


「うん、久しぶりに作ったが中々の出来だ」

 さぁて、お次は焼きモンブランだ。


《候補その3:新感覚スイーツ!?焼きモンブランパイ》※分量6個分

・冷凍パイシート:1枚

・6枚切り食パン:1枚

・栗の甘露煮:適量

・カスタードクリーム:適量



 まぁ、焼きモンブランとは銘打ったが……その実、マロンパイに近いんだよな。ただし、某有名ハンバーガーチェーンのように揚げるのではなく、焼くんだけどな?

 まずは冷凍パイシートを冷凍庫から出して室温に戻しておく。

 お次は食パン。耳を切り落とし、3cm四方の正方形を作る。

 パイシートが室温に戻っていたら麺棒で均等な厚さに延ばし、8cm四方の正方形を食パンと同じ枚数だけ取っておく。

 マフィンを焼くアルミカップにパイシートを広げて入れ、そこに甘露煮のシロップに軽く浸した食パンを置く。甘過ぎるのが苦手だったり、シロップを捨ててしまった場合には浸けなくても大丈夫だぞ。

食パンの上にカスタードと好きな大きさにカットした甘露煮を載せ、パイシートで全体が溢れないように包む。包むのが難しいなら、パイシートを倍の枚数取って、2枚重ねにして端をくっ付けて閉じるのも簡単だぞ。

 後は200℃に余熱しておいたオーブンで15分焼けば出来上がりだ。




「うーん、取り敢えず3品か。そろそろブランデーケーキが馴染んで来た頃だし、試食してみっか!」

 さてコーヒーでも淹れようと再び立ち上がったその時、部屋のドアをコンコン、とノックする奴が現れた。ダレカ匂いでも嗅ぎ付けたかな?

「鍵なら開いてんぞ~」 
 

 
後書き
 さて、誰がやって来たのでしょう……?←考え付いてない

リクエストされたら出てくる、かも?w 
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