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Three Roses

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第三十話 論戦に向けて十

「向かいます、そしてそのうえで」
「ロートリンゲン家のものとなる」
「四国全てが」
「そうなってしまいます」
 セーラはまた言った。
「そして治めていても」
「あくまで、ですね」
「ロートリンゲン家の領土の一部」
「そうとしか扱われず」
「立場は低いですね」
「ロートリンゲン家は本領の統治を優先させるでしょう」
 間違いなく、というのだ。
「あの国の諸侯達は強いです」
「その力もですね」
「強く」
「まだ皇帝も油断出来ない」
「そうした力がありますね」
「その彼等を抑え」
 そしてというのだ。
「国内の統治を進めていきます」
「必ず、ですね」
「そう考えていますね」
「まずは」
「何といいましても」
「そうです、民の為のこともです」
 ロートリンゲン家としてもというのだ。
「考えないとなりません」
「その通りですね」
「民なくして国はありません」
「その民の暮らしを安心させられれば」
「国は豊かになる」
「そのことも考えていますか」
「まずはです」 
 何といってもというのだ。
「そこからです、そのうえで異教徒達にあたります」
「しかしですね」
「四国はその次ですね」
「帝国本領の内政が最優先で」
「その次は、ですね」
「異教徒の帝国との戦いであり」
「その次に四国ですね」
 この国を含めての周辺諸国の統治もというのだ。
「そうなりますね」
「帝国からしてみれば」
「四国の優先順位は低いですね」
「三番目となりますか」
「そうなります、しかも国内の諸侯を抑え民達の暮らしをよくすることに」
 本領の内政の具体的な内容だ。
「相当な力と時間をかけるでしょうから」
「それに、ですね」
「ですからこちらまでとなりますと」
「相当に先になりますね」
「その間四国は放置されますか」
「異教徒の帝国との戦いもありますし」
「とても力を回せません」
 帝国としてもというのだ。
「暫くは只の王国への剣です」
「その喉元に突き付けた」
「それに過ぎず」
「我々の内政やそうしたことはなおざりになる」
「ロートリンゲン家のものになれば」
「そうなると思いますので」
 だからこそというのだ。
「私もこの国の新教徒達の間で随一の学者を送ったのです」
「そうだったのですね」
「何といっても」
「そうされたのですね」
「はい」
 まさにとだ、セーラは側近達に答えた。 
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