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Three Roses

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第三十話 論戦に向けて九

「しかしだ」
「それでもですね」
「この国を攻め落とせるか」
「相当な兵力を以てしてもわからない」
「それが現実ですね」
「失敗する可能性は高い」 
 島国であるこの国を軍事力で奪い取ろうとしてもというのだ。
「この国の海軍は質がいい、陸軍も精鋭だ」
「その彼等と敵地で戦えば」
「地の利は彼等にありますし」
「敗れる危険が高い」
「そうなりますか」
「戦争程不確かなものはない」 
 勝つかどうかわからない、そうしたものだというのだ。
「国庫を浪費し多くの者の命も賭ける」
「それで敗れてはですね」
「無意味な損失になる」
「だからこそですね」
「帝室自体がですね」
「代々出来る限り避けられてきた」
「そうだ、戦争は王国や他の国々にさせておく」
 あくまで、というのだ。
「我々は婚姻だ」
「そちらですね」
「そちらに励まれ」
「そしてこの国もそうしてですね」
「手に入れますか」
「そういうことだ、論戦に勝ち子ももうけ」
 そのうえでというのだ。
「この国を手に入れるぞ」
「わかりました」
「それではそのお考えの下です」
「この国も周辺の三国も手に入れ」
「統合して」
「帝国の領土としましょう」
「その一部にな、では進めていこう」 
 彼等の戦略、それをというのだ。
「いいな」
「わかりました」
「ではその様に」
「帝国本領からも学者の方々をお呼びしています」
「それではな」
 太子も応えてだ、彼も手を打っていった。
 そうしてだ、彼もまた動いていたが。
 セーラはその状況を彼女の国から伝え聞いてだ、彼女の側近達に話した。
「ここがです」
「はい、いよいよですね」
「この四国の正念場ですね」
「我々のものであり続けるか」
「それともロートリンゲン家のものになるか」
「それを決める第一のですね」
「その場ですね」
 セーラの側近達も主に応えて言う。
「今は」
「まさにそうですね」
「後はマイラ様が太子との間にお子をもうけられるかですが」
「そのことも大きいですが」
「しかしですね」
「まずは、ですね」
「若しです」
 この前置きからだ、セーラはあらためて話した。
「論戦に旧教徒達が勝てば」
「そうなればですね」
「四国は一気にですね」
「旧教に戻りますね」
「そうなってしまいますね」
「そうです、旧教の方にです」 
 まさにというのだ。 
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