FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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日常編3
女子か
前書き
軽くやりたい話を数話やってから簡単に修行でもやってみようかと考えている今回の日常編。修行なんてどんな感じにすればいいからグタグタになる可能性が否めないけど。
シリルside
カノッコ村でのクエストを成功させてすでに一週間ほど経った。俺たちは村でのどんちゃん騒ぎに連日付き合わされ、帰ってきたのは三日ほど前のこと。ただ、原因はそれだけじゃなく、レオンがどうしてもお汁粉が名物のラーメン屋に行きたいと言って聞かなくて、寄り道もしたからそんなに日にちが経ってしまったんだけどね。
「で、当の本人は家で療養中か」
「誰に言ってるの?」
帰ってきてからは色々とすごかった。あの大ケガのレオンを見てギルドは騒然。本人は大したことないって言うんだけど、歩くことすらままならないんじゃあ心配するのも無理はない。なので、リオンさんの一言で彼は自宅での療養というなの謹慎状態となっている。
「今日はどうするの?」
「まだ疲れてるから仕事は早いよね~」
できるだけ疲労を軽減させたいのか、猫の姿でダージリンティーを飲んでいるシャルルと机の上に寝転がり、グタァッとしているセシリー。彼女たちもあの依頼と慰労会で非常に疲れているらしい。サクラに至っては、いつも俺よりも早くギルドに来ているはずなのに、今日はまだ姿を見ていないし。
「オハヨーございまーす!!」
噂をすればなんとやら、声高らかにギルドに入ってくる最年少魔導士。思えばこいつは俺たちの中で一番騒いでいたはずなのに、一番元気に帰路についた記憶がある。無邪気が成せる技なのか、はたまた単に疲れ知らずなだけなのか。
「シリル先輩!!今日はどんな依頼に行くんですか!?」
「元気だな、お前」
もう次の依頼に行く気満々のサクラにこの場にいる四人は感心の眼差しを送る。この場にいないシェリアとラウルは、レオンのお守り役を買って出たためギルドには来ていない。俺たちも昨日まで体を休めるためにお休みしてたから、ギルドに来たのは久しぶりのことなんだけど。
「今日も休もうよ~、シリル」
「報酬もちゃんともらえたし、もう少し休んでもいいんじゃない?」
サクラの言葉に対しやる気がないセシリーとシャルルはそんな提案をする。正直俺ももう少し体を休ませたい気持ちがあるし、今日は依頼に行かなくてもいいんじゃないかな?
「今日は依頼はいいよ。もう少し休もう」
「じゃあなんでギルドに来たんですか?」
実はサクラは昨日も一昨日もギルドにやって来ていたらしい。ただ、俺たちが昼を回っても来ないから、やることがなくて引き上げていたらしいけど。
「家でじっとしてるのももったいなくて・・・」
休むのも大切ではあるけど、家でずっと寝ているのはやっぱり味気ない。なのでこうして出てきたわけなんだけど、いざ何をしようかと言うのがないので困ってしまう。
「じゃあ、これでも使ってみる?」
すると、ここまで沈黙を貫いていた少女がポケットから一枚の券を取り出す。
「あ、それって・・・」
「うん!!この前のマーガレット祭の景品!!」
彼女が取り出したのは以前行ったマーガレット祭のゲームトーナメントでの優勝の副賞だった食べ放題券だった。
「それで食べ歩きでもするの?」
「いいね~!!面白そう!!」
あまり乗り気ではないシャルルともうすでに楽しそうなセシリーと二匹の猫は正反対だ。でも、意外といいかもしれない。これがあればお金はかからないし、使用する機会もなかったから、こういう時でもなければ使わなくなっちゃうし。
「シェリアたちがいればオススメのお店とか聞けたんだけど・・・」
「でも俺たちでおいしいお店を探すのも楽しいんじゃないかな?」
席から立ち上がり喋りながら外へと歩き出す。全員の意見を聞く前に動き出したため、サクラたちは置いていかれたと勘違いして大急ぎで後ろへとくっついてきていた。
「最初はどのお店に行く?」
「そうだなぁ・・・」
街を探索しつつ最初に入る料理店を探す。リオンさんに連れられて行ったところもいいけど、できれば新しいところがいい。それに、彼に連れられて行ったのはジュビアさんとデートで行きたいところだったから、今日のイメージとは少し違うんだよなぁ。
「適当に入ってみればいいんじゃない?」
「時間はたくさんあるしね~」
「シリル先輩に任せるであります!!」
いつまでも決めないでいると時間だけが経ってしまう。人型になって後ろからついてきている猫と少女に半ば急かされたので、とりあえず適当なお店に入ってみることにする・・・とは言っても、あまり適当すぎると・・・
「・・・」
結局行き詰まってしまうと、隣の少女がある場所から一切視線を動かしていないことに気が付き立ち止まる。
「ウェンディ?どうしたの?」
「あれ・・・」
自分の見ているものの方向を彼女は指さすので、とりあえず俺もそちらを向いてみる。そこには、何とも真新しい感じのスイーツ店が建っていた。
「あ、これ決まったわね」
「この二人じゃ・・・」
「え?何がですか?」
後ろで何やら話し声が聞こえるけどそんなの関係ない。俺とウェンディは目を合わせると、一度大きくうなずき手を繋ぐ。
「あのお店に決定!!」
「レッツゴー!!」
スキップしながら目の前のお店へと向かう俺とウェンディ。忘れてるかもしれないけど、俺たちは甘いものが大好き。つまり当然スイーツが好きなわけで、こうなるのはごく当たり前のことなんだよね。
「やっぱりね」
「スイーツって普通最後に食べると思うんだけど・・・」
「女子か・・・って、女子でしたね、二人とも」
何やら愛弟子に貶された気がするけど今はどっちでもいい。心が高鳴って仕方がない俺たちは、後ろの三人が付いて来ていないのにも関わらずそのままの勢いでお店に入る。
「いらっしゃいま・・・あら」
お店に入ると例によって店員さんが迎えてくれるんだけど、すごく意外な人がいてちょっとびっくり。
「何してるんですか?シェリーさん」
俺たちを迎えてくれたのはなんと同じギルドの仲間のシェリーさんだった。ウェイトレスの格好をした彼女に出迎えられて、頭がスイーツから彼女がこの場にいる疑問へと切り替わる。
「私もそろそろ結婚ですし、新しいこともしておこうかと・・・」
シェリーさんはまもなく連合軍の時に仲良くなった青い天馬のレンさんと結婚する。ただ、オババ様が他のギルドと仲良くするのがあまり好きじゃないし、これを機に同居するらしく彼女はギルドを去ってしまう。なので、その時までに色々な仕事を経験しようということなんだろうけど、同居してからでもいいんじゃないだろうか?それは俺が楽観視しすぎか?
「あら?シェリーじゃない」
「最近見ないと思ったら~」
「オハヨーございます!!」
あとから遅れてやってきたシャルルたちも同様の反応を見せる。あまりギルドの人に見られたくなかったのか恥ずかしそうにお盆で顔を隠していたけど、後ろから店長の視線を感じ慌てて仕事に戻る。
「五人?」
「はい」
ただ、知り合いに対する対応といった感じでウェイトレスの対応とはちょっと違う。でも俺たちはそんなことは気にしない。早くケーキを食べたいし、相手も知ってる人の方が気兼ねなく食べれるから。
「ではこちらの席に」
人数を把握してから席へと案内してくれるシェリーさん。彼女の後ろに付いていきながら周りを見渡すと、すべての客が女性であることに気が付き、ちょっとしり込み。
「俺ってもしかして場違い?」
「大丈夫だと思うよ?」
「シリル先輩は女の子にしか見えませんから!!」
案の定な回答に安心していいのやら悲しんでいいのやら。違和感がないのはありがたいけど、それもそれで悲しくて仕方がない。もっと身長が伸びればいいんだけどなぁ・・・なんで変わらないんだろう。
「こちらの席へどうぞ」
そういって彼女が案内してくれたのは窓際の日当たりのよい席!!なかなかいい席だったので少しテンションが上がる。
「ご注文が決まりましたらそちらのボタンを押してください」
「「「「は~い」」」」
いつの間にか通常のウェイトレスのように接客をしていたシェリーさんが離れていく。それから俺たちはテーブルに備え付けられているメニューを開く。
「あ!!これシャルルさんみたいですね!!」
「ぶはっ!!」
「ケンカ売ってるのかしら?」
最初に開いたページのあるケーキを見てサクラがとんでもないことを言う。そのケーキはシロクマの顔を模したもの。サクラとしては色がシャルルと似てると言いたかったんだけど、言葉の綾でシャルルがシロクマに似ているように聞こえている。
「じゃあ僕はシャルルそっくりのこのケーキに(笑)」
「あんたは黙ってなさい!!」
怒ったシャルルがサクラの頬を引っ張っていると、面白がったセシリーがそれに乗っかる。これはもうシャルルはずっと怒鳴っているパターンかもしれないな。
「わぁ!!シリル!!おっきいパフェもあるみたいだよ!!」
「え!?どれどれ!?」
大騒ぎの三人の傍らでずっとメニューを見ていたウェンディが目を輝かせながら俺にそれを見せてくる。彼女が指さすものを見てみると、そこには色鮮やかなトッピングがされたパフェの写真が載っていた。
「オォッ!!すごく美味しそう!!」
「でしょ!?」
それを見て俺のテンションも一気に上がる。最初はケーキを食べようと入ったんだけど、これを見たら食べないわけには行かない。でも、見た感じ大きそうだし、これを頼むと他のものが食べられるか疑問だ。
「ねぇ、一緒に食べない?」
「いいね!!」
一人で食べるとお腹いっぱいだけど、二人で食べればお互いに他のものも食べれるしいいと思う。ウェンディも同じように考えてくれていたようで、すぐに賛同してくれた。
「じゃあこのパフェにモンブランも付けてっと」
「私はショートケーキにしよっかな」
次から次へとメニューを眺めながら食べたいものを挙げていく。でも、美味しそうなものがたくさんあって目移りしちゃうなぁ。
「迷うわね、これだけあると」
「シャルルケーキじゃなくてこっちにしようかな~?」
「勝手に命名しないで!!」
メニューを見ているうちにセシリーたちもどんどん迷っているようで、じっとメニューを凝視している。
「ま、大丈夫か」
そう一言言ってメニューを閉じる。食べ放題券があれば費用は気にしなくていいし、スイーツならいくらでも食べられるからあとから追加すればいいやぁ。
「ボタン押しちゃっていい?」
「いいよ」
店員を呼ぶためのボタンを押し、しばらくすると今度はシェリーさんとは別の店員さんが来る。俺たちのこと避けたのかな?とか思いつつ注文をして、頼んだ品が来るまでみんなで雑談をすることにした。
「お待たせしました」
それから数分ほどで頼んだケーキやらパフェやらが到着する。それぞれ頼んだものを受け取ると、すぐさまフォークに手を伸ばす。
「パフェがまだ来てないけど、さっきに食べちゃお」
メインとして注文したデラックスパフェってのかまだ来てないけど、目の前に美味しそうなケーキがあって我慢できるわけがない。なので、それの到着を待たずして早々に食べ始める。
「「おいしい♪」」
思わず声が重なった。一口食べた瞬間に口の中に広がるクリームが、至福の時を与えてくれる。
「あんた、男になる気ないでしょ?」
「へ?」
モンブランに舌鼓を打っていると、斜めに座る猫耳少女から妙なことを言われ思わず間抜けな声が出た。彼女が何を言いたいのかはわからないけど、好きなものは好きでいいんじゃないかな?
「シリル!!こっちもおいしいから食べてみて!!」
シャルルの発言は気になるけど、今はこっちの方が気になる。ウェンディが選んだショートケーキもイチゴが大きくてすごく美味しそう。食べている本人も喜びを共有したいのか、フォークで一口分取ってこちらに向ける。
「あーん」
「あ~ん」
差し出されたそれを大きく口を開けて食する。そのショートケーキを食べて思わず頬が緩む。
「イチャイチャしすぎじゃない~?」
「百合の花が見えます!!」
「ジロジロ見ちゃダメよ」
俺たちの様子をじっと見ているセシリーとサクラ。それに対し目を合わせようともしないシャルル。様々な反応を少女たちは見せるが、お構い無しに俺たちはケーキを食べている。
「お待たせしました。こちら、デラックスパフェになります」
そこに待ちわびていたメインの品がやって来る。そしてそれを見た全員の第一印象は・・・
「「「「「デカッ!!」」」」」
その一言に尽きた。とにかく大きい。俺たちの半分くらいあるんじゃないかというほどに大きくて、それ以外の感想が出てこない。
「な・・・なんかすごいね」
「予想の上を行ってたよ」
名前からして大きいのは想像してたけど、ここまでとは思っていなかった。だからかなり驚愕しており、上から下まで何度も見返している。
「手伝いましょうか?」
「いや、大丈夫」
気を遣ってシャルルがそう言うが、今回はお断りさせてもらうことにした。確かに大きいけど、美味しそうなことには間違いないから、ちょっともったいない気持ちが出てきて。
「ごちそうさまぁ」
空になったパフェの器に使用したスプーンをいれる。ついでに先にお腹いっぱいになってしまった少女の分も入れておくことにした。
「あれが空になるんだ~」
「よく食べれたわね・・・」
「シリル先輩も大喰いなんですね!!」
それを見ていた三人は目を点にして唖然としている。俺も食べれるか心配だったけど、このデラックスパフェは味が層ごとに異なっており、飽きることなく先に進めることができた。もう一個頼むなんて暴挙は絶対にできないけど。
「じゃあ帰ろっか」
「そうだね」
みんなお腹いっぱいになったのでお会計をしてお店を後にする。もう日が落ちてきており、辺りは赤く染まってきていた。
「今日はすごいリラックスできたね」
「うん!!美味しかったし楽しかった!!」
みんな大満足だったようで和気藹々と帰路につく。今日のことをレオンに言ったら悔しがりそうだなぁ、後でからかってみるか。
そんなことを考えながら、それぞれ食べていたスイーツの感想を話しつつ、自宅へと向かったのであった。
後書き
今回のお話と掛けまして、通常時のブレーカーと解く。
尻「その心は?」
オチない。
尻「オチろー!!」
ちゃんとオチを作れなかったので以前見た謎かけで誤魔化してみました。おかしいなぁ、昨日まではオチを覚えてたはずなのに・・・
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