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ファンタシースターオンライン2 -銀色を包む琥珀色の星-

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第6話 終わりの始まり

も「分かりやすいくらいに誘ってるね…」
こ「でも、行かなきゃ採掘基地が壊される。行く以外選択肢はない…か」
わ「他のアークスは第一採掘基地のほうに行ったみたいだね。私達だけで対処するしかないねぇ」
バ「戦う覚悟はしたはずです。恐れるものはありません!さぁ!いきましょう!」

そういい、メンバーは歩き出す。が、

ツ「………」

ツヴァイはそこに立ち止まっていた。拳を強く握りしめ、身体が少し震えていた。今でも後悔しているのだろう…彼らを巻き込んでしまったことを。

ラ「後悔をしているんですか?ツヴァイ」
ツ「…そりゃあ…ね」
ラ「私もです。ですが…もう後悔はしたくありません。後悔しないために戦います。私も、貴女も」
ツ「…そうだね。もう後悔したくない」

ツヴァイも歩き出す。後悔しないために。自分を仲間と言ってくれた彼らのために。






チームメンバーは程なくして、第二採掘基地へ到着する。が、そこは恐ろしく静かだった。

バ「静かですね…」
も「ほんとにダークファルスなんているの?」
アザ「あまり気を抜くなよ」
え「…アザトスの言う通りらしいぞ」

そう言って真正面を指差す。その先には、ダークファルスが立っていた。

「待ってた…この時を待ってた…とても長かった…長い長い時を…生きてきた…これでやっと…やっと会えるよ…マスター…」

ダークファルスは独り言を呟く。その瞬間、ばっ!とアザトスは距離を詰める。その手にはカタナを握りしめていた。

アザ「訳のわからない話を聞くつもりはない。私達は、お前を倒しにきたんだ」

そのままカタナを振り下ろす!

ガッ!

次の瞬間、アザトスは目を疑った。アザトスの振り下ろしたカタナは、受け止められた。素手で…だ。

アザ「な…なに…!?」
「…そう…貴女から死にたいんだ」

ゾクリと、殺気を感じる。その殺気に、アザトスの身体は一瞬硬直してしまう。その一瞬、ダークファルスの片手がアザトスの頭に伸びる!

ザシュ!!!

その切断音が鳴り、ダークファルスの両手は切断される。切断したのはバルバテスだった。バルバテスはアザトスを抱え、ダークファルスから離れる。

バ「全く!単身突撃なんて無茶しますねアザトスは!」
アザ「…あぁ…すまないマスター…助かった」
バ「こ、今回は偉く素直に謝りますね…」
アザ「正直…マスターに助けられていなかったら…私は殺されていた」

あの冷静で、いつもクールなアザトスがここまでハッキリと、自らの死を悟っていたことは、バルバテスにとっても衝撃的なことだった。

アザ「直接やり合ったから分かる。だからはっきり言う。この戦い…死…」
バ「この戦い!!生きて帰りましょう!!必ず!!!」

バルバテスは、アザトスの言葉をかき消すほど大きな声で、メンバー全員に聞こえるような声で、そう言った。メンバーは顔が引き締まり、気合いを入れ直す。無謀な戦いなのは、マスターであるバルバテスが1番分かっていた。だが、無謀な戦いだからといって、仲間の命を諦めることには繋がらない。それが彼の考えだった。

アザ「…ふっ…全く…うちのマスターには敵わないな…」

メンバーは一斉にダークファルスへ攻撃を開始する。確かに目の前のダークファルスは強い。今までのどんな敵よりも、遥かに強い。が、相手は1体。こちらの連携攻撃でその強さは縮められる。少なくとも五分五分までは縮められるだろう。そしてもう1つ。ダークファルスの再生能力だ。厄介な能力だが、簡単な話、その再生能力が追いつかないほど速く、ダークファルスにダメージを与えればいい。そうすれば死へ繋がるはず。これは賭けだった。複数人によるヒット&アウェイ、後方からの遠距離攻撃でダメージを休みなく与えていく。そしてついに…

ガクンッ

「くっ…」

ダークファルスの身体に限界が訪れ、身体のバランスを崩す。

バ「今だよ!ツヴァイちゃん!ラフィルちゃん!」

ツヴァイとラフィルが突っ込み、ツヴァイのツインダガーとラフィルのダブルセイバーが、ダークファルスの身体を切り裂く!その斬り傷はかなり深く入った。ガクッ…とダークファルスは膝を着き、そのまま微動だにしなくなる。

アザ「やった…のか…?」
バ「いや…まだ生きてます…でも、再生能力が追いついてない。今がチャンスです!トドメを…」

そう言いかけた。

「…やっぱり…こんな…アークスとも…ダークファルスとも言えない姿じゃ…勝てない…か」
バ「くっ!これで、終わりだ!」

バルバテスはダークファルスの首目掛けて、ソードを振り下ろす。振り下ろそうと…した。

「…仕方ない…これも…マスターに…会うためだもんね…マスター…私のこと…嫌いにならないかな…」

そう、口にした瞬間、ダークファルスを中心に爆風が起き、メンバーは後方に吹き飛ぶ。

こ「な…なに…?」

煙が晴れ、そこに立っていたのは…先ほどのダークファルス…とは少し違うようなダークファルスが立っていた。先ほどのダークファルスがアークス寄りの姿に対し、今の姿はダーカーよりの姿だった。翼と尻尾が生え、かなり化け物らしくなったと言うべきだろうか。更に、先ほどの傷は完全に塞がっていた。

く「はは…こりゃまた…化け物だね…」
わ「変身して、更に傷まで回復するって…どんなチート能力なのさ…」
メ「流石にこれは…連携でどうにかなる相手じゃなさそうですわね」

ダークファルスは、右腕を掲げる。そこへ紅く禍々しい槍が出現する。その矛先を、メンバーの後方にある、採掘基地へと向ける。

アザ「なんだ…?何を…する気だ…?」

その矛先に、炎と闇の力が集束していく。その力は次第に巨大になっていった。

こ「あれは…まずいッ!!わかば!くれあ!メルティ!」
わ「分かってるよ!」
く「あんなの放たれたら、採掘基地が粉々にされる!」
メ「なら、同じ力で押し返すだけですわ!」

こにぃ、わかば、くれあ、メルティの4人はダークファルスと同じく、炎と闇の力を集束し始める。そして…

4人「「フォメルギオンッ!!」」

ダークファルスと4人の複合テクニック、フォメルギオンは同時に放たれた。2つフォメルギオンは衝突し、衝撃波が生まれる。力の差は五分五分…いや、4人の複合テクニックが押されていた。

こ「くっ…!押し…切られる…!」
わ「まだ…!ここから…押し返す!」
く「まだいける…!まだ…!」
メ「こんなとこで…終われませんわ…!」
「……チカラ…モラウ…」

そう、ダークファルスは呟いた。その瞬間、ダークファルスのフォメルギオンは押し切られた。

め「お姉様達のフォメルギオンが…勝ったのですか…?」
バ「いや…違う…ハッ!しまったッ!」

バルバテスは後ろを振り向く。チームの1番後方、最も守らなければならない者のほうを向く。それは…ツヴァイだ。ダークファルスはツヴァイの目の前に立っていた。槍を構え、攻撃する寸前だった。

バ「やめろッ!!」

バルバテスは走り出す。それに気づいたメンバーも一斉に走り出す。が、

「モウ…オソイ」

ダークファルスは槍を、突き刺した。そこにいる誰もが、その光景に驚愕した。槍からポタポタと紅い血が流れ落ちる。それを1番近くで見ていた少女は叫ぶ。自分の身代わりに、ダークファルスの攻撃をまともに受けた、その少女に…。

ツ「ラフィルッ!!!!!」

ツヴァイは叫んだ。自分を守ったラフィルに向けて。そのラフィルの胸には、紅い槍が突き刺さっていた… 
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