ファンタシースターオンライン2 -銀色を包む琥珀色の星-
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第7話 受け継がれる意志
前書き
今回は短い目になってしまいました。キリのいいところだったから仕方ないね。
ツ「…ラ…ラフィル…どう…して…」
ラフィルはツヴァイを突き飛ばし、ダークファルスの攻撃をまともに受ける。ダークファルスの槍はラフィルの腹を貫通し、矛先からはラフィルの血が流れ落ちる。
ラ「ゔっ…がはッ!はぁ…はぁ…!」
「オマエ…チカラモッテナイ…ジャマ…スルナ」
ラ「ツヴァイには…手を…出させない…!」
「ジャマヲスルナラ…オマエカラ…ケス」
そう言い放ち、ラフィルの腹に刺さった槍を強引に抜き取り、もう一度構える。が…
ガキンッ!!
その槍をアザトスが止める。
アザ「いい加減にしろよ化け物。てめぇの相手は私達だってこと…忘れんなッ!!」
アザトスはダークファルスを後ろへ押し返す。ダークファルスが離れたことを確認したツヴァイはすぐに倒れたラフィルの元へ駆け寄る。
アザ「くれあッ!お前はラフィルの治療へいけ!手遅れになるぞ!」
く「分かってる!」
くれあもラフィルの駆け寄る。
ツ「お願い!ラフィルを助けて!お願いだから!」
く「大丈夫、すぐ治療するから。まず傷を見せて」
くれあはラフィルの傷を確認する。ラフィルの腹には穴が開いており、その傷口からは、大量に血が流れていた。
く(これは…!急所である肝臓に大きな傷…それによる大量出血…これだけ酷い傷じゃあ…治療が終わる前に…ラフィルは…いや…でも、諦めないッ!)
くれあはラフィルの治療を開始する。自分の持てる全てを費やし、ラフィルを助けることだけに集中する。だが、
ガシッ
ラフィルの手が、くれあの腕を掴む。とても弱い力で、掴む。
ラ「くれあ…さん…もういいです…余計なフォトンを消費する…だけです」
く「何言ってるのさ!まだ助けられるかもしれない!まだ…!」
ラ「自分の…身体です…もう…手遅れなことも…分かってます…」
く「でも…私達はまだ…!君達の為に…何もしてあげられてない…」
ラ「私達の為というなら…最後に…ツヴァイと2人きりで…話をさせてください…それが…私の最後の…願いです」
く「…っ!」
くれあは涙を堪え、戦闘へと戻る。仲間の最後の願いを、聞かない訳にはいかなかったからだ。
ラ「ツヴァイ…何を泣いているんですか…」
ツ「だって…ラフィルが…ラフィルが…」
ラ「何を悲しむ必要があるんですか…貴女は私、私は貴女。私が貴女を守るのは…当たり前のことです」
ツ「私はラフィルなんかじゃない!!私はただの狂気だ…感情の1つでしかない…ラフィルのパーツだ!元になる本体が消えたら…パーツはどうすればいいの!?」
ラ「まだ…そんなことを言っているんですか?ツヴァイ、貴女はもうパーツなんかじゃない…様々な感情を持った…1人の…人間です。色々欠けている部分は…ありますがね…ふふ」
ツ「なんで…なんで笑っていられるのさッ!!ラフィル、死んじゃうんだよッ!?今まで頑張ってきたラフィルの姿を私は知ってる!星のため、民のために、どれだけ頑張ってきたか知ってる!だからラフィルはこんなとこで死んじゃダメだよッ!!」
ラ「まだ…ツヴァイの為に頑張っていません…ツヴァイ…私のフォトン、感情、記憶、全てを、貴女に託します」
ツ「そんなことしたらラフィルは!?ラフィルは消えちゃうんじゃないの!?」
ラ「違いますよ…私は…貴女は一部になって生き続けます…貴女と…共に…ゔッ!」
突然ラフィルは吐血をする。身体に限界がきたのが分かる。ツヴァイもそれは分かっていた。
ラ「はぁ…はぁ…ツヴァイ…もう…時間がありません…早く…私の手を…握ってください…」
ツ「ラフィル…」
ツヴァイはラフィルの手をしっかりと握り締める。その手は既に暖かさを失いかけていた。
ラ「ツヴァイ…貴女は…1人じゃ…ありませんよ…大切な…仲間がいるのだから…」
ツ「うん…うん…!ありがとう…ラフィル…」
ラフィルの身体に光り輝き、ツヴァイの身体へ吸い込まれていく。ラフィルの身体が消える直前、口元が動く。何かを言ったが、聞き取れなかった。でも、すぐに分かる。自分の放った言葉だ。分かるに決まっている。
_____________『おかえり…私』
ツ「…ただいま、私」
そう言って、ツヴァイは武器を手に立ち上がる。そして、顔を上げ、真っ直ぐ正面を見る。
ツ「受け取ったよ…貴女の意志」
ラフィルから受け継いだ意志は今、新たなる形を経て、復活する。
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