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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
  真・恋姫†無双 ~超激戦、更に闘う者達~



「力を借りんのも大変だぜ。変身!」

蒔風の手にガタックゼクターが飛んできて、それをベルトに装着する。


《Henshin》

ウィーン・・・・・ガウン!



蒔風がガタックマスクドフォームに変身し、両肩のバルカン砲を翠と霞にぶっ放す。

キュボボボボボボボ!!と次々に放たれたそれを、超高速移動法「風足」でかわし蒔風に向かう二人。



「キャストオフ!」

《cast off―Change Stag Beetle!》


迫る二人を視認し、砲撃しながらガタックゼクターのホーンを反転させ、ライダーフォームへとキャストオフする。
そしてそのままクロックアップし、蒔風も超高速の世界に突入する。



ガタックの双剣、ダブルカリバーを肩から抜き、右で翠を、左で霞を相手取る。


「っ!?お、お前!?」

「これに着いて来るんか!?」


翠と霞が驚愕の声を上げる。
それはそうだ。こんな速度について来たものは、今までに誰一人としていなかったのだから。

そんな二人に蒔風がムカッ、として声を荒げた。


「誰が教えたと・・・・・思ってんだい!!」




ザキッ!!



鋏状に組み立てたダブルカリバーで霞の飛龍偃月刀(ひりゅうえんげつとう)を挟み、カリバーを地面に突き刺しそれの動きを奪う。

そこから翠の腹を掌底で突き飛ばし、ゼクターのホーンを戻してボタンを三回押す。


《1,2,3!》


そしてホーンを再び元に戻し、その技の名を叫ぶ。


「ライダーキック!!」

《Rider Kick!!》



ドゴゥ!!


蒔風の飛び回し蹴りが放たれる。
それを十字槍「銀閃」で受け止める翠だが、如何せん突き飛ばされた直後だったのが悪かった。
体勢を崩した状態では防ぎきれず、体が弾き飛ばされる。


そしてカリバーから武器を引き抜こうと躍起になっている霞にデコピンを放とうと手を伸ばす蒔風。


当然霞は武器から手を離し、それを手で払って避けるがその隙に足元を掃われて地面にすっ転んでしまい、変身を解いた蒔風が土惺で地面に拘束してしまう。



周りの人間は目の前の光景が信じられなかった。



数ある武将が尽く敗れ、更には最速を誇るあの二人ですらも、姿を現したと思ったらやられていたのだから。



そして蒔風がついに軍の中に走り込む。
その場から後退する戦闘の出来ない軍師やトップの人間が下がらされ、戦える人間が蒔風に向かって来た。


宝剣「南海覇王」を呉の小覇王・孫策(真名・雪蓮(しぇれん))が、大鎌「絶」を華琳が振るう。


蒔風が左手で左腰にある日本刀「林」を抜いて雪蓮の攻撃を防ぎ、華琳の鎌を刃の内側に踏み込んで避けた。
だが華琳は鎌をそこから引き、蒔風の後ろ首を狙う。

だが蒔風が空いた右肘で華琳の鎌を掴んでいる腕の肘の裏を打ち、カクリと曲げる。
当然鎌の狙いも逸れ、蒔風の後頭部には鎌の柄がコツンと当たっただけだ。

そして蒔風が華琳に追撃をかけようとした瞬間、目標の身体が消えた。


瞬間的に危機を察知した雪蓮が華琳の襟首を掴んで後ろに引っ張ったからだ。
蒔風が上体をお辞儀して後ろの鎌を避け、離れた二人を見ながら両手を地面にバンッ!と当てる。


すると二人の周囲の地面が板状に起き上がり、囲って閉じ込めてしまった。


そして蒔風が一刀がいるであろう方向に向き直り、足を止める。



「ふ・・・・・まさかここまで来るとは思わなかったぞ・・・・・だが悪いが主殿には近づけさせん」


「・・・・・・超雲、か」

「その通り!!北方常山の超雲子龍!!いざ尋常にアダッ!?」



名乗りを派手に上げる超雲・・・・星に蒔風が容赦なくデコピンを弾く。

額を押さえて涙目になりながらも威勢の下がらない星が蒔風に叫び続ける。


「ここは通さんとアテッ!おいウツッ!?ちょイタッ!!待っアダッ!」

「う~ん、楽しい。お前に関しちゃあの感情忘れているならなおよろしい」


ズンズンと歩を進めながら蒔風が星にデコピンしていく。
星はそれに一回一回のけ反りながら後退させられ、ついに小石に躓いて転んでしまう。


その脚を蒔風が掴み、ジャイアントスウィングの要領でブン回して投げっぱなす。



そして障害は無くなった。




たった一人の最強の武将を残して。








「あわわ・・・・ついに最後の武将になっちゃいました・・・・・・・」

「れ、恋さん!!お願いしましゅ!!!!」




「わかってる」





ドンッ!!!!!!!





方天画戟を地に突き立てて、そこに在るのは天下布武。
三国において最強となし、立ち並ぶものはすでにない。

頂点は、かけ離れているからこそ頂点なのだと言う事がよくわかる。



すべての者を抜き去って、最強の座にいる武将。




その名は呂布。字は奉先。真名は恋。


三国無双の最強が、ついにその武を振るいに来た。






「前に来た時はなんやかんやで戦えなかったからなぁ・・・・・・・行くぞ」

「・・・・・・・・・こい」








蒔風が大剣・獅子天麟を中段にを構え、恋も下段に方天画戟を構える。




まず、その光景にも皆が驚く。
恋は基本、構えない。肩に乗せて、攻撃に応じて迎え撃つだけだ。


だが、その恋が構えた。



気付けば皆二人から離れていた。
近づけば、巻き添えを食らい、最悪命を落とすかもしれない。










「・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・












「ダァッ!!!!」「ンンッ!!!!!!」



ドゴォオアッ!!!!!!!



大地と大気と天を揺るがせ、二人の武器がぶつかり合った。


その衝撃に地面はクレーター状に窪み、一瞬だけ二人の足が浮いて、その中心に降りる。





ギギギギギギギ・・・・・・ガキュッ・・・・・・ギャギャギャギャギャギャ・・・・・・・・・




二人の武器が鍔迫り合いし、軋んだ音を出す。それがだんだんと接点をずらし、再び二人同時にガキッ!!と組み直し押し合う。





「ああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

「ハァァァァアああああああああああああああああああああああ!!!!!!」




そして一瞬の攻防が展開される。

恋と蒔風が同時に弾き、恋の方が早く薙ぐ。
それを蒔風が受け止め、上方に向かって弾かれる。

回転して蒔風が飛び、地面に落ちてもなお回り続けてその勢いを自分の物とし、その勢いを利用して恋に向かって獅子天麟を叩きつけた。
それを後退ジャンプでかわす恋。恋がさっきまでいたところには一筋の伸びた斬撃の跡があり、そこがチリチリと燃え上がっていた。

それを追ってジャンプする蒔風と、空中で迎え撃つ恋。
まるで浮いているかのように二人が宙で攻防を繰り返す。





ガンガンガンガン!!!ギィン!!ギャギャッ!!!ガァン!!!・・・・・ゴッ、ドォン!!!!





そして数合の打ち合いの後、弾かれて岩場に激突したのは蒔風だ。
ガラガラと崩れる岩場の中の蒔風の目の前に、恋が飛びこんできてさらなる一撃をぶち込む。

それを蒔風が横っ飛びでかわし、外れた恋の攻撃が大地を割って沈めていく。

まるで、開いた本を閉じていくかのように地面が割れて、本が閉じていくように盛り上がる地面の壁を左右交互にジャンプして上がっていく。



そして、その「本」が閉じられた。


割られて跳ね上げられた地面は一つの巨大な台地となり、高さは十五メートルほど。
その屋上とでもいえる場所の広さは体育館ほどもある。


そしてそこの上に先に乗り上げ着地し、あとから追って飛んできた恋が振り降ろしてきた攻撃を転がって避けてしゃがんだ状態で即座に剣を突き出す。

それが恋の腹部をかすり、浅く切りつける。
だがそこから蒔風が追撃をかけるよりも早く、恋の外した振り下ろしの一撃で岩場が崩れる。


ガラガラと崩れる岩場に二人が呑まれ、だがそれでも二人は落ちながら打ち合っていた。
そして落下位置が中腹に至ったところで、その岩場が爆発した。


二人の振るう武器の威力がついに頂点に達し、それが二人と共に落ちる岩石を吹き飛ばしたのだ。



倒された者、目を覚ました者、その戦いを見守る者がその衝撃波と砂嵐に顔を覆う。



だがその間も剣撃の音は止まない。

その一撃一撃の衝撃に足場になっている岩場だった瓦礫がどんどん吹き飛ばされ、周囲の地面、否、大地に斬撃が切り刻まれていく。
その範囲はだんだんと広がりながら濃くなっていき、二人の中心部などもうすでに斬撃の跡がないのはどこなのだろうかという域にまで至っている。



そして





ドォオオオオゥゥゥウウウ!!!!!!!!!




二人が一気に距離を開き、その周囲に溜まっていた斬激も一気に弾き出されて周囲二十メートルの物を次々と切り刻み始めた。
陣形成のための布、旗、竹などの柱だけでなく、積み上げられた石、転がる武器、そして鋼の盾までもが切断されて見るも無残な姿となっていく。


蒔風と恋の身体には無数の切り傷ができており、しかしその眼は死んではおらず、息もまだまだ切れていない。




この化け物はいつになったら止まるのか。
皆がそう思った瞬間、二人は再びぶつかり合う。




蒔風が獅子天麟を恋に槍のように投げ、それを恋が空中で身を捻ってかわし、蒔風に突進する。
蒔風は握るは風林火山。「風林」「火山」にそれぞれの柄のケツの部分を繋ぎ合わされ、一対の剣として存在するその刃は離れた敵ですら切り刻む。

蒔風が両手のそれをステッキのように振り回し、恋に向かって斬撃を飛ばす。
それをすべて紙一重でかわしながら恋が蒔風の腹部に向かって方天画戟を突きこむ。

その攻撃を回転で避け、恋の腹部を蹴って再び距離をとる蒔風。

そして切演武を始める。




恋の周囲を斬撃が回り、それが集束する。
それを一閃で掻き消し、蒔風に向かう恋。



膨大な量の斬撃が津波の形をして襲いかかるが、それを恋が足に力を込め、軽快に飛び越えてかわしてしまう。



斬撃の砲撃「秋風」を蒔風が空中の恋にぶっ放す。


そこでついに恋が反撃する。
恋も同様に方天画戟を振りかぶり、蒔風の物と同様の斬撃砲を放った。


二つの膨大な斬撃がぶつかって、押し合うこともなく一気に弾け飛ぶ。



二人は自身にまで飛んでくる斬撃を武器で弾くが、そのあまりの量についに武器を落としてしまう。




蒔風がさらに武器を出そうとするが、それを出そうとした瞬間、恋の拳が蒔風の顔面を捉える。

結局武器を出せず、蒔風がその拳を上受けで受け、掴み捻った。
だが恋はそれに対し身体ごと回転して回避し、その回転で蒔風の顎に蹴りをぶちかました。


それを見た蒔風がとっさに恋の腕を離して蹴りを仰け反って回避、上体を戻した勢いで腹部に拳を叩き込む。


恋は蒔風のその拳を反対の足の裏で受け、そしてそのまま吹っ飛ばされた。
地面が一直線に抉れ、恋の身体が地面に跳ねて空中で一回転、そして着地する。


蒔風、恋共に衝撃で体中軽い怪我をしていたし、頬は煤コケている。



だがそれでも口元はよく見ないとわからないほどに笑っていた。




周囲の大地には抉れた跡、斬られた跡、潰れた跡が残っており、とてもじゃないがこれがたった二人の人間の戦闘によるものだとは、到底思えないほどの被害。
だからと言って大勢の人間が行った戦闘でもこうはならない。




それは化け物。
人を越えた存在と言ってもいいほどの、言いかえれば、武神。


その域に達した者による戦闘の跡だと言って、何とか説得できるような物だった。





周囲の地形を丸々変更させた二人が、ジリジリと互いの距離を狭める。

















そして蒔風が走り出した。





だがその方向は恋にではなく、離れて避難していた北郷一刀その人にである。



恋がとっさに駆け出すが、蒔風の方が早い。



周囲にいた近接戦闘のできない弓の武将三人の矢をかわして一瞬のうちに気絶させ、軍師をかき分け、ポワポワした少女と見慣れた褐色肌の少女・蓮華を抜き去り、一刀の身体をひっつかんでその場から走り去ってジャンプし、先ほどの岩場と同じくらいの岩場に着地して一刀を下ろす。








「お前一体何者だ・・・・オレの仲間を!!覚悟はできてるだろうな!・・・・この・・・・・・やろ・・・・う・・・・・・・・」






最初の方は敵意をこめて、思いっきり叫び散らした一刀の声だが、だんだんと小さくなり、目が開かれる。


そしてあぁーーーーーーー・・・・・と言った感じにしゃがみこんでしまう。



OTLである。



「思い出してきたか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「思い出してきたか?」

「思い出したよッ!!!あー畜生!!!!」



蒔風がニヤリと笑って一刀の手を取って握手を交わす。


「久しぶり。こんなんで悪かったな」

「ホントだよ。事情はこっちにも来てるから大丈夫だ」


耳をすませると地上の方であーーーーーーーーーーー!!!!!という声が聞こえてきた。



「どうやらあっちの方も事情を飲み込んだようだな」

「みたいだな」

「じゃ、新しい子を紹介してくれ。あと、疲れた」

「おっけ。うちにはいい医者がいるんだ。にしてもまた「奴」が?」

「そうだ。すまねえな。あと、なんでいきなり軍で待ち構えていたのか、教えてもらうぞ?」

「城に帰ってからな」





二人の青年が崖の上から下りてくる。
全武将が彼らを迎える。



こうしてやっと、この世界での第一歩が踏み出された。


















to be continued
 
 

 
後書き

アリス「やっと終わりましたか」

やっとです。
自分としては恋との戦闘を激しくできたかな?というところでした。


ア「あれ聞きながらならそりゃああもなります」


戦闘シーンは完璧にFF7ACでしたよ。


燃え過ぎてどうかなりそうだった。



ア「次回、戦い終わって」

ではまた次回









誇りを笑い飛ばされて 頭打たれて血を見つめ
苦しみ噛み締める前に 上を向いて足を踏み出して行け
強さが欲しいなら その手で掴み取れ
 
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