聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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678部分:第九十七話 降臨への儀式その六
第九十七話 降臨への儀式その六
「いよいよじゃのう」
「そうですね。機は熟しました」
「その時が来ました」
四闘神達だった。彼等が口々にエリスに応える。
「では」
「今から」
「参るぞ」
エリスはその彼等にまた告げた。
「護りは八大公達に任せる」
「トラキアの今の護りはあの者達にですね」
「任せると」
「例え黄金聖闘士共が総掛かりで来ようとも」
また言うエリスだった。
「八大公を全て倒すには時間がかかる」
「そして我等はその間にアーレス様をこの世に降臨させる為の儀式を終え」
「遂にアーレス様が」
「おそらく今仕掛けたりはするまい」
エリスはこうも呼んではいた。
「しかしじゃ」
「念には念を入れてですね」
「あの者達に警護をさせると」
「左様じゃ。今が最も大事な時」
エリスの言葉が引き締まった。このことを誰よりもわかってそのうえで言っている、今の彼女の言葉はまさにそうしたものであった。
「だからこそじゃ」
「それでは是非」
「その様に」
「頼んだぞ。それではじゃ」
「はい、では」
「今こそ」
エリスが己の座を立ち八大公達も続く。彼等が向かったのは宮殿の中でも最も奥深くにある一室だった。そこは紅く輝く宝玉の柱と床、それに紅の絨毯があった。
数段の階段の上には玉座があった。それもまた紅く輝いている。四人はそこにやって来たのであった。
まずはだ。デイモスがエリスに告げたのだった。
「ではエリス様」
「わかっておろうな」
「はい」
一言で答えた彼だった。
「既に」
「わかっていればよい。ではじゃ」
ここで他の三神も見る。彼等もまた同じであった。
「よいな」
「今より」
「アーレス様御降臨の儀式を」
「今こそ我等の彼岸が達成される時」
エリスは厳かに告げた。
「それではじゃ」
「今より我等五人で」
「アーレス様の玉座を取り囲み」
「そのうえで」
「御降臨を」
「力を集めよ」
また言うエリスであった。
「アーレス様の玉座に」
「我等五人の力をアーレス様の玉座に」
「そして今ここに」
「アーレス様が復活され」
「そのうえで」
「我等の理想とする世界が」
口々に言いながらであった。それはその言葉そのものが呪文であるかの如く発せられる。そうしてそのうえで遂に、であった。
「いざ!」
「我等が主よ!」
「再びこの世に!」
「出られよ!」
四闘神が口々に言う。
「我が兄にして偉大なる戦いの神!」
エリスもここで叫ぶ。
「今こそおいで下さい!」
「アーレス様!」
「この世に再び!」
巨大な紅い柱が玉座を包み込んだ様に見えた。そしてその柱が完全に消えたその時にはだ。玉座に誰かが座っていた。それは。
「再びだな」
「おお、その御声は」
「まさしく」
「貴方様なのですね」
「夢にまで見た我等が主」
まずは四闘神が恍惚として述べた。
「偉大なる戦いの神」
「天帝ゼウスとその后ヘラの正統なる御子」
「そして破壊と流血を司られる方」
「我等を治める唯一の存在」
それが何かというとであった。
「アーレス様」
「遂に戻られたのですね」
「この世に」
「礼を言う」
その声は若々しいものであった。そしてその身体もだ。
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