聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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677部分:第九十七話 降臨への儀式その五
第九十七話 降臨への儀式その五
「何があろうと勝たなければならない」
「そういうことですね。では」
アフロディーテはその手に白薔薇を持っていた。その鮮血により紅く染まっていくその薔薇をだ。持ちながらの言葉だった。
「私も」
「ベリアルの炎が勝つか私の氷が勝つか」
カミュもまた己の相手のことを考えていた。
「それが決まるか」
「対するは四闘神と八大公です」
シャカも目を閉じたまま述べる。
「そして争いの神エリスです」
「その先にはアーレスがいる」
ミロは彼のことも考えていた。
「あの破壊と流血の神がか」
「この戦い、勝たなければ意味がない」
アイオリアも険しい顔である。
「どうするかだな」
「はい、それではです」
ムウがまた言う。
「その時にこそ」
「戦力はかなりのものだ」
「トラキアの力はだ」
サガもアイオロスも敵の戦力を侮ってはいなかった。
「それと対して勝利を収める」
「その為にはだ」
「私も。あの技を使うしかない」
「そうだな。私もだ」
二人はここでさらなる覚悟を言うのだった。
「さもなければ勝利を収めることはできない」
「ならばだ」
「じゃあ俺もあの技を出すか」
デスマスクも相変わらず口元だけで目は笑ってはいない。いつもの余裕に満ちた態度をわざと作っている感じであった。
「あまり出したくはないんだがな」
「あれをか」
「出すというのだな」
「ああ、そうさ」
こうアルデバランとカミュにも返すのだった。
「御前等だってとっておきの切り札出すんだろう?」
「そうだな」
「この戦いではだ」
二人もそれを否定しないのだった。険しい顔で答えたのはその証であった。
「出すしかあるまい」
「こちらも命懸けだがな」
「私もまた」
アフロディーテもいつもよりも深刻な顔だった。
「あの技を」
「シュラ、貴方もですね」
「無論だ」
ムウの問いに答える。既にその顔は剣そのものだった。
「ベールを倒すとならばだ。何がどうなろうともだ」
「アイオリア、御前は」
「あの技を出せばどうなるかわからない」
アイオリアはミロの言葉にその表情を鋭くさせていた。
「しかしだ。出す」
「そうか。わかった」
「誰もが同じですね」
ムウもだというのだ。
「それは」
「ではその時はです」
シャカもまたであった。その凄まじい小宇宙を既に発していた。黄金の光が最早処女宮を覆い十二宮にまで及ぼうとさえしていた。
「命を賭けて戦いましょう」
「命を賭けたその先にだ」
アイオロスも既に意を決していた。
「全てがあるのだから」
「その通りだな。それでだ」
サガはその赤い星を見ている。
「その時はだ」
「よし、トラキアに向かう」
「そのうえで戦う」
「そして勝つ」
何につけてもだった。勝利を収めなければならないというのだった。
「アーレスに」
「全てをかけて」
「よし」
こう言い合い誓い合うのだった。そうして。
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