世界をめぐる、銀白の翼
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
リトルバスターズ ~それがきっと幾千もの力になる~
恭介が電話相手を呼び出し、ほどなくしてその人物がやって来た
「ど、どうも~~~」
おずおずと入ってきたのはこれまた少女だ。
なんだか気まずそうだ。
だが、入ったら入ったで一気に恭介のもとに行き、首根っこ掴んで部屋の隅に引っ張って、こそこそと話し込んだ。
「理樹君のピンチって言うから来たのにピンピンしてるじゃない!」
「なるのはこれからだそうだ」
「時に・・・お前は「あの世界」でのことは覚えているか?」
「うっすらとね・・・・理樹君のことは覚えてるけど」
「恭介、彼女は?」
「ああ、こいつは朱鷺戸沙耶。例の虚構世界に迷い込んでいた奴だ」
「そこではスパイごっこをして大いに楽しんだわ~・・・・・・ってあんたいつの間に!?」
と、ここで沙耶が蒔風に気づく。
「え?最初からいたけど」
「そんな・・・・あたしはスパイなのよ・・・・そりゃ確かに本物じゃないけどさ・・・・・」
「もしかして・・・・・さやちゃん?」
そこに小毬が離しかけてきた。
その声に沙耶が振り返る。
「やっぱりさやちゃんだ~。こんにちは~」
「ああ・・・・・えっと、神北さん?」
「小毬でいいよ~。さやちゃんもリトルバスターズに入るの?」
「え゛?あ、あたしは・・・・」
「理樹、どうする?」
恭介がニヤニヤしながら理樹に聞いた。
おそらく理樹がどう答えるのかわかっているようだ。
「いいよ。朱鷺戸さん。っていっても今は大変な時だから・・・・・」
「いいえ!入ります!いれて下さい!絶対入る!!」
そこまで言った理樹の両手をガッシ!と掴んで沙耶がまくし立てる。
その勢いに若干びっくりしながら理樹はよろしく、と返事をした。
沙耶が理樹の手を掴みながら「よっしゃー!!」と叫んでいる。
「フカーーーッ!!理樹の手を離せーーーーー!!」
そこに鈴のハイキックが飛んで来るが、沙耶がヒラリとかわし、距離をとる。
「り、鈴?」
「理樹はあたしのだ!!」
声高だかにそう宣言する鈴に、皆がやれやれと頭を振る。
「はっはっはっ、鈴君も可愛いヤキモチを妬くなぁ。ああ・・・・可愛い・・・」
「来ヶ谷さん、そのワキワキした両手をどうにかしてください」
「む?すまないな。だが西園女史もよい題材が一人増えたのではないか?」
「そうですね・・・・彼は一見攻め・・・・・いえ、受けにも回れそうな・・・・」
部屋の隅でそんな会話が行われているとはつゆしらず、沙耶に説明していた蒔風の背筋にゾクリと悪寒が走る。
「ま、まあ、とりあえずこんな感じだ」
「なるほどね・・・・私が呼ばれた理由がわかったわ。ようはその「奴」を探すか、理樹君の護衛ってところ?」
「そうだ。舜、問題は?」
「あるわバカモン」
蒔風が恭介にチョップでツッコんで答えた。
「「奴」相手に偵察なんて自殺行為もいいとこだ。学校ごと・・・とはいかなくても、まあ確実に消されるぞ」
「そうか・・・・」
「護衛をつけてもいいが、「奴」にもそういった使えるやつがいてな。おそらく意味をなすまいよー」
「だったらどうするんだ?このまま待てと言うのか」
謙吾が蒔風に言った。
それはそうだろう。
彼にとって最高の親友が狙われているのに、待っているしかできないとは。
だが、そんな謙吾に、いあや、その場の皆に蒔風は言う。
「そうだ、待て。それしかないんだ。この戦いはいつだって後手なんだよ。それでも勝ってきた、俺を信じてくれないか」
蒔風が頭を下げてそう言った。
「僕はそれでいいよ」
「理樹!!」
理樹の言葉に蒔風が頭を上げる。
「守ってもらえるだけでも十分だよ。舜がいなかったらただ殺されているんだろうし」
「そう・・・・だな」
「理樹がそーいうならいい」
真人や鈴の言葉に、恭介が続いた。
「確か「奴」が来るのは・・・・・」
「明後日ころだな。この世界はほとんどが"輝志"に該当するからな。"輝志"の世界は少ないけど、構築がややこしいんだ」
「だったら今は大丈夫なんだね」
「今は・・・な。それに心配するなよ!!オレは世界最強だからな。明後日だって何も心配はいらないさ」
蒔風のその言葉にメンバーの一人が顔をしかめる。
が、それが何だか確信が持てなかったのか、すぐに元の表情に戻った。
「だったら今は対策を練ろう!!ミッション名「世界の捕食者から理樹を守れ」だ!!!!」
「ちょ、ちょっと恭介!皆を巻きこんだらだめだよ!!」
そう言って恭介を止める理樹だが、それを真人や謙吾、さらには女性陣までもが止めた。
「水臭いぞ理樹。お前の危機に立ち上がらなくて何がリトルバスターズか」
「そうだぜ!!そんなに強い奴なら、俺の筋肉さんの出番だしな!!!」
「ふむ、このまま少年が死んでは私も悲しいからな」
と模造の日本刀を手入れしながら来ケ谷が言う。
「まだ夢の恭×理をこの目で拝んでいないのに死なれては困ります」
と両手にグッ、と力を入れる美魚。
「リキを死なせはしないのですッ!!」
「死んじゃうのは悲しいことだもん・・・・私も頑張るよ!!」
とクドと小毬が意気込んで
「やはは、何だか面白いことになってますな~~~~。これははるちんの出番かっ!?」
と何やらタンバリンを振り始めた葉留佳。
「理樹君に手なんか出させない・・・今度は私が助けるんだ」
とモデルガンをチェックする沙耶。
そんな皆に理樹はどう説得しようかとおたおたしていると、肩をポンポン、と叩かれる。
理樹がそっちの方に振り向くと、頬に指がツン、と刺さった。
「理樹は油断し過ぎだ、だから・・・・・・あたしたちが守る」
その指を頬に付けながら、鈴が理樹に言った。
いつもは言葉足らずな彼女だ。
だからこそ、たったこれだけで彼女たちが本気であるとわかってしまった。
「お前はあたしがいないとだめだからな。つきっきりで守ってやるから安心しろ。死んだら・・・・・ぶっ殺すぞ」
なんとも物騒な言葉だ。
しかし、「守る」と言う言葉の奥にある、その一つの決意に、理樹はこれ以上「やめてくれ」なんて言えなくなってしまったのだ。
「鈴・・・その時は僕はもう死んでるよ・・・・・」
はぁ、と肩を落としてしまった理樹に、蒔風が話しかけた。
「いい、友達だな。多分、ここにいる誰一人たりとも、その場で言ってるんじゃないな」
「そうだろうね・・・」
「本当にお前が死にそうになったら、命懸けで助けてくれる連中なんだな」
「そうだったしね・・・・」
「だったら・・・・・そいつらはオレが守ろう」
「僕も・・・・何かやるよ」
「それはいい。だが、無茶はするな。決して戦おうとするな。それは俺がやる」
「・・・・うん」
「だからさ!!ウジウジすんな!!!お前は胸張ってこう言やいいんだよ!!」
「え?・・・・うん・・・・ははっ!」
「愉快だろ?」
「そう・・・・だね!!」
そして理樹が皆の前に立って、改めてこう言った
「みんな!!僕のためにいろいろありがとう!!でも、僕は死なない。皆も死なない!!前にも一回死にそうになったところから生き延びた。あの時に比べて今はまだピンピンしてる!!!だから大丈夫だ!!こっちには舜もいるし!!」
理樹が蒔風の方を向き、さらに皆を見渡して宣言した。
「よし・・・・さあみんな・・・・・ミッションスタートだ!!!!」
to be continued
後書き
アリス
「沙耶ちゃん生きてるんですね!!!」
あのまま死んではいません。
それが沙耶ちゃん。
タイムマシンで過去に戻って、それから普通に成長したんだよ!!!
沙耶は死んでない!!!
このゲームには男ばかりに泣かされました。
一番泣いたのは真人が消えるシーンでした・・・・
アリス
「次回、蒔風を見抜いた者?」
ではまた次回
リトルバスターズは・・・・永遠だ!!
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