Three Roses
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第二十二話 大学その十三
「そしてその為にはだ」
「この国は乱れてはならない」
「王国に対する力を備え続けなくてはならない」
「帝国の為に」
「そうあるべきですね」
「無論帝国と帝国の民の為だが」
しかしとだ、太子はこうも言った。
「この国とこの国の民の為にもなる」
「このことは間違いないですね」
「例え我等の為でも」
「ならばよし」
「目的は帝国の為であっても」
「それで国も民も幸せになるのだ」
太子は笑って話した。
「悪い筈がない」
「全くですね」
「ではその様にものごとを進めましょう」
「マリー王女についても」
「その様に」
「うむ、しかし彼女が常に完全な味方であったなら」
太子はここで視線を右に、鋭くさせてやって述べた。
「よかったがな」
「全くですね」
「このことはまことに残念です」
「この国の新教徒であられるとは」
「まことに残念なことです」
「灰色はもどかしい」
今度は色に例えてだ、太子は話した。
「かえってな」
「黒でも白でもなく」
「灰色であることは」
「どうにもですね」
「こちらとしても落ち着かないですね」
「黒ならばだ」
この場合は敵という意味でだ、太子はこの色を使った。
「王国にいるのならば」
「その場合は何の躊躇も容赦もなく」
「戦うか消しますね」
「どの様な手段を使っても」
「そうしますね」
「有能な敵と無能な味方はどちらも害だ」
双方共にというのだ。
「無能な味方は適材適所でそれに相応しい場所で有能になるが」
「一つの分野で無能でも」
「それで完全に駄目ではない」
「他の場所で有能であるならそれでいい」
「そういうことですね」
「そうだ、有能とはその場所で有能かどうかだ」
用いるそこでというのだ。
「要は用いる者の目だ」
「その者を何処で使うべきか」
「そのことを見極める」
「それが大事ですね」
「そういうことになりますね」
「そうだ、そう考えると無能な味方はまだどうにかなるが」
しかしと言うのだった。
「有能な敵はだ」
「相応しい場所で能力を発揮しているので」
「それが敵ですので」
「問題ですね」
「まさに」
「破るか。それが出来なければ」
太子は剣呑な言葉で述べた。
「除くしかない」
「黒であるならば」
「それならば」
「白は先程言った通りだ」
味方ならばというのだ。
「何処でどの様にして用いるかだ」
「白は、ですね」
「そうすればいいですね」
「そちらは」
「しかし灰色は違う」
この色はというのだ。
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