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Three Roses

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第二十二話 大学その十二

「一見すると美しいが」
「その実は、ですね」
「薔薇がある」
「だから下手に手出しは出来ない」
「赤薔薇も然りですね」
「そうだ、摘み取り潰すことはだ」
 その赤薔薇をだ。
「若しすればこの国は大乱に包まれかねない」
「赤薔薇を愛する者達が憤り」
「そのうえで」
「だから私はそれはしないしそうした動きがあれば」 
 その時はともだ、太子は言った。
「止める」
「太子ご自身が」
「そうされますか」
「この国は奇麗なままでロートリンゲン家のものとする」
 大乱で荒廃させずにというのだ。
「ありのままのな」
「だからこそですね」
「マリー王女にも謀は使わない」
「命を奪うまでは」
「いざとなれば一時でも失脚はしてもらうかも知れないが」
 太子はこの選択肢は否定しなかった。
「だが入牢とまではな」
「いかせはしない」
「そこまではですか」
「入牢も危険だ」
 新教徒達の動きを考慮すればというのだ。
「然程強いものではなくな」
「穏和にですね」
「ことを進めるべきですね」
「この国をロートリンゲン家のものとすることを考えると」
「そうあるべきですね」
「そうだ」
 まさにという返事でだ、太子は自身の側近達に返した。
「そしてそのうえでだ」
「北の王国、島国、半島とも一国となり」
「そうして王国にあたってもらう」
「我が帝国の長年の宿敵あるあの国に」
「そうしてもらうべきですね」
「あの国、王国は厄介だ」
 太子はこの国については眉を顰めさせた、整ったその眉をそうさせると顔全体も続いた。眉だけでなく全体が整った顔立ちだが。
「常に我が国に何かしてくる」
「はい、ここ数百年です」
「あの国とは何かあればです」
「衝突を繰り返しています」
「おおむね我々が勝っていますが」
「実に鬱陶しいです」
「あの国は実は案外戦争に弱い」
 口ではあれこれ言ってもというのだ。
「戦えばだ」
「最後には我々が勝っていますね」
「あの国には」
「それはこの国とも常に敵対しているからだ」
 王国には大きく分けて常に二つの敵がいるのだ、外には。中ではこの国も新旧両教徒の対立や諸侯の問題があるがだ。
「我が帝国とこの国とな」
「それが為にですね」
「常に我が国に敗れていますね」
「帝国に」
「最後は」
「これからも勝つ」
 帝国は王国に、というのだ。 
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