Three Roses
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第二十二話 大学その十四
「敵でも味方でもなくだ」
「敵にもなれば味方にもなる」
「そうした方こそ問題ですね」
「考え様によっては敵よりも」
「厄介なものですね」
「そうだ、マリー王女と彼女の側近達がそれだ」
灰色だというのだ。
「私にとってはな」
「敵にもなれば味方にもなる」
「この国の王位を争ううえでは敵ですが」
「信仰のうえでも」
「しかし王国と戦ううえでは味方であり」
「共に法皇庁とはいがみ合っていますし」
「複雑だ」
太子と彼等の関係、それはというのだ。
「まことにな」
「だからですね」
「太子もその様に思われていますね」
「難しいと」
「対応が」
「そうだ、完全に味方にしたいが」
マリーと彼女の側近達、ひいてはこの国の新教徒達をもだ。
「両国の交易より活発にしたいしな」
「帝国とこの国の」
「そちらも」
「交易は大きな利益を産む」
ここでも実利の話をするのだった、太子はあくまで実利を見てそのうえで考えている。それで交易のことも言うのだ。
「この国とのそれもそうだ」
「帝国の都市の諸同盟も大きな利益を得ていますし」
「北の海のそれも」
「そして南の海でもです」
「交易は我々に大きな利益を得ています」
「異教徒達とも行っている程だ」
実利故にだ。
「法皇庁の北の諸都市を傘下に収めたうえでな」
「そしてこの国ともですね」
「これまで以上に交易を行い」
「利益を得る」
「そうしていきたいものですね」
「そのことも考えるとだ」
さらにというのだ。
「マリー王女達は敵にしたくない」
「絶対に」
「この国自体を手に入れるにしても」
「それでも」
「そう考えているが」
それでもというのだ。
「味方にするのは難しいな」
「どうしても」
「完全なお味方になると」
「そうなってもらえる方ではない」
「そうなりますね、確かに」
「だから消したくはないし消すつもりもだ」
暗殺もというのだ。
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