ハイスクールD×D~黒衣の神皇帝~ 再編集版
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進路指導のウィザード
吸血鬼との会談(2)
可愛い眷属を今まで交渉に応じなかった吸血鬼の抗争に貸せと言ってきたが、情愛の深いリアスがそれを知って黙っている訳がない。でも今会談に応じているのは俺とアザゼルで、他は純血悪魔と転生悪魔で格が違う事なのか無言を貫いている。それとも本来の闇ギャスパーに恐怖なのかは別としよう。
《ま、その為に来ている様子だが俺の力をただ貸す訳にはいかない。それに関しては一真の旦那にお任せ状態なのでな》
「闇ギャスパーの言う通りで、この力は眠っていた力を俺が引き出した事でここまで会話可能まで至った。コイツの力に関してはまだまだ未知数だが、吸血鬼同士での争いを吸血鬼の力で解決しようと言う口だったか。だがな、元ヴラディ家でも追い出された身として現在グレモリー眷属の一員だ。悪魔として首を突っ込む訳にはいかんが、元々俺らはツッコむ気満々だからな」
《流石は旦那、俺の力を知っていて首を突っ込むとは。旦那以外の者らは知らないから言っとくが、俺の力は本来の吸血鬼が持つ異能を逸脱した能力を持って生まれた者。血族から生まれるケースがあり、今世においてハーフに多く見られる現象となっている。俺もその一人とされているが、カーミラ派の者らでも全部把握している訳ではなさそうに見える》
「そう言う事だし、詳細な資料も持っている我々CBの技術ならコイツの存在も知るようになれた。カーミラ派に無くてツェペシュ側に手掛かりが残っている事もだが、詳細聞くには直接ヴラディ家に聞くしかない。そして問題の聖杯についてだが、所有者は忌み子=ハーフでギャスパーの幼馴染であるヴァレリー・ツェペシュだ」
俺がすらすらと発言後に闇ギャスパーが話すけど、やはり直接聞いた方が早いし聖杯の所有者も関係大有りだ。その名を聞いた途端裏から表になったギャスパー、だが事実であり神器は生まれつき発動するのではなく何らかの切っ掛けにより発現する。近年覚醒し、能力を得た事に関してアザゼルの口から聞く事とする。俺よりも詳しいし研究者だからな。
「俺よりもアザゼルの方が詳しいんでバトンを渡す」
「バトンを渡されたが、神器が発現時期は個人差がある。俺らや天界側が観測と特定前に隠蔽されたと思ってもいいし、聖なる力を嫌う吸血鬼が聖遺物の神滅具を捨てもしない。こちらに預けもしないまま自分らの元に隠す輩とは・・・・一ちゃんは行く気満々のようだが、俺ら三大勢力にとっては面倒事が更に増えた」
「私も思いますが、ここで一つ質問を・・・・ギャスパー・ヴラディは自分を追放したヴラディ家、ツェペシュに恨みはないのかしら。今の貴方が持つ力なら、それが可能だと私らはそう思いたいのだけど」
「私としては今のままでいいですが、それだと納得しないでしょうね。《俺の事も忘れないでもらいたいな、いくら旦那から許可されたからと言って簡単に動く程俺達は愚かではない》今戻ったとしても裏が大暴れするだけですから静観します」
「混じり者、忌み子、擬き、と貴方は如何様な呼び名でヴラディ家を過ごしていたのかしら?感情共有していたのは、ツェペシュ家のハーフであるヴァレリーだけでしたよね?ツェペシュ側のハーフが一時的に集められて幽閉される城内で、貴方とヴァレリーは手を取り合い助け合って生きてきたらしいですね。ヴァレリーを止めたいと思いたいのならすぐに動くべきかと」
「ちょっとお待ちを。貴女方はハーフの子達を忌み嫌ってますが、元々人間を連れ去って慰み者として扱って結果的に子を宿せたのは吸血鬼の勝手な振る舞いによる事ですよ?貴女方に民を食らい散らかされて悔しい思いを持ちながら、憂いに対処してきたのは我々教会の者ですし、そのまま聞いていると趣味で人間と交わっていると言っているようなもんです」
神器説明に三大勢力としての動き、そしてエルメがギャスパーに質問をしてから今までの事を暴露のような言い方を今まで黙っていたシスター・グリゼルダが口を開いた。柔らかい物腰であり、言葉としては毒が満載ながらも笑みだけは絶やさずにな。流石はイリナの上司でゼノヴィアの元保護者だけの事はある。エルメは口元に手をやり、小さく笑む。
「それは申し訳ありませんでしたが、私達も人間を刈るのが吸血鬼としての本質。悪魔や天使も同じだと思っておりますが?人間の欲を叶え対価を得る、または人間の信仰を必要とする。我ら異形の者は人間を糧にせねば生きていけない『弱者』ではありませんか」
「その言い方は少々苛つくが、まるで俺達人間を利用して生きているとしか聞こんが」
「失礼致しました。織斑様の仰る通りですが、我ら異形の者が生きる事に関してはそれしかありませんので」
異形な者=天使・悪魔・堕天使の三大勢力も人間を利用して対価を得る、人間と三大勢力の狭間にいる俺らにとってはとても遺憾でもある。ま、しょうがないと割り切るけどな。人間を糧で等価交換ではなく狩りで、他の皆はエルメの目を嫌になってくる。自分達以外を酷く蔑んでいて、ハーフのギャスパーに関してもだが覚醒した裏を相手したくないと思ってるに違いない。
『落ち着け、今のお前相手にする程ではない。コイツらは純血として血と階級に拘っている』
『ここは一真さんにお任せしますが、確かに悪魔の貴族社会みたいな感じですね』
《俺としては今すぐにでも闇に葬りたい気持ちだが、旦那の指示に従わないと粛清されてしまう》
『そう言う事だ』
俺と表裏一体のギャスパーと念話しているが、コイツらは二種類しかいないが純粋とその他しかな。するとエルメは後方で待機している吸血鬼を呼び、鞄から書面を取り出す。
「手ぶらで来た訳でもありませんので、書面をご用意させてもらいました」
「アザゼルではなく最初に俺ね、過去に三大勢力の仲介役をやったからかな?」
そう言いながら書面を読んでからアザゼルに手渡すが、俺もアザゼルもため息してから告げる。軽くCB側に念話として聞かせると皆々の顔は、驚きと共に喧嘩を売ってきたかのような顔となる。
「・・・・カーミラ側の和平協議について、か」
「つまり今日ここに来たのは外交として、特使としてエルメが三大勢力の元に派遣されたと言う事だな。流石に俺達が居る事自体が想定外らしいが」
アザゼルと俺の問いにエルメは笑みを見せていたが、こちらに関しては想定外なので多少ビビっていたボディガード。
「はい。我らが女王カーミラ様は堕天使総督様や教会の方々との長年に渡る争いの歴史を憂いて、休戦を提示したいと申しておりました」
「順番が逆だ、お嬢さん。普通は和平の書面が先で、神滅具に関する話は後者になるだろうが。これだと力を貸さなければ、和平には応じないと言っているような口だぜ。ここに一ちゃんが居なければこのままになっているが、残念な事に創造神黒鐵様である織斑一真が居る事でどうなるか分かってんだろうな?」
「隔てる事なく各陣営に和議を申し込み、応じていた我ら三大勢力がこの話し合いに応じなければ他勢力への説得力が薄まります。『各勢力に平和を説いているのに相手を選んで緊張状態を解いているのか』・・・・と。しかも停戦ではなく休戦ですから、普通ならこちらの弱みを突かれた格好となります。が、ここは織斑様の考えを言って下さると幸いです」
ま、ここに俺らがいなければ和平を盾にギャスパーを貸せと言っているようなもんだ。応じなければリアスの体面やサーゼクスの信用を失うし、テロリストとの戦いで殊勲をあげているリアス。申し入れを拒否れば、今後の活動に支障が出ても可笑しくない状況でソーナとシーグヴァイラは他の皆を落ち着かせようとしていた。
『リアスの気持ちも分かりかねますが、ここは一真さんが言ってあげればよろしいかと』
『そのつもりだ。ここで吸血鬼同士の争いは吸血鬼同士でのみ決着を付けると言うのならば、俺いや我としてはとても遺憾であり怒りの咆哮を上げるだろう。任せておけ』
ソーナと念話してる間に、エルメは我が居るのを忘れて嬉しそうに口の両端を吊り上げて言った。しかも想定内の事に、流石のヴァーリ達でも面白味を出させる為か黙っている状態を貫いている。
「ご安心下さい、吸血鬼同士の争いは吸血鬼同士でのみ決着をつけます。ギャスパー・ヴラディをお貸し頂ければ、あとは何もいりませんわ。和平のテーブルに付くお約束と共にヴラディ家への橋渡しも私共が行いましょう」
「おい貴様、我を忘れてその暴言を聞いて『はいそうですか』と行くとでも思ってんのか?仮にギャスパーを送ったとして、無事に返す保障もある訳ないだろう。こちらは犠牲無くして吸血鬼と休戦協定など結べる訳なかろう、ソイツら三大勢力が介入が嫌だと言うなら俺らCB側となら介入可能だろう。闇ギャスパーはどうなんだ?」
《エルメとか言ったな、よくも一真の旦那を怒らせた事を後悔させながら闇に沈ませるか?まあいいとして、そちらは戦力不足と判断するならどちらかに加勢した方がいいと俺は思うぜ。だからギャスパーの事が必要なんだろ》
「結局吸血鬼同士で決着を付けると言うのもふざけた事を言うようになったな。我らを弱者扱いだから力を貸せないと言っているようなもんだ、元々三大勢力が和平となったのも我が仲介役としてやった。貴様達はギャスパーを貸してくれないと和平や休戦のテーブルに付けないとしか聞こえねえ、今すぐにでも消滅対象として吸血鬼と言う種族纏めて粛清してやろうか!どうなんだ!」
我は大天使化により6対12枚の翼をし、創造神黒鐵のオーラを解放しながら闇ギャスパーもリアス達が居る状態のまま暗黒の世界へ引き摺り込もうとしている。覇気と殺気を解放させて、アザゼル達は何とか落ち着かせようにも今の我と闇ギャスパーには何も聞こえない。エルメは顔を強張って、何とか発言しようにも神の怒りを買ったのは間違いなくエルメ側。
「お、おい。ヴァーリ達で何とか出来ないのか?このままでは特使として来たカーミラ派から文句言われるぜ!?」
「俺達はあくまで静観する側だから、何とか出来る訳でもない。いくら眷属だからと言って怒らせる相手を間違えたあちらが悪い」
「そうですね。私達は説得側ではなく、神の怒りを抑えるのはそちら側ではないでしょうか?まあ押さえつければの話になりますが」
「ちょ!ソーナも冷静に分析してないで何とかしなさいよ!一真の婚約者でしょ?」
「一真さんの怒りを冷めたとしても、あちら側から何とかしない限り私達は動く事が出来ない。それに闇ギャスパーを先に停めた方がいいかと」
三大勢力側はただちに二人を止めなければ、いくらアザゼルらでも怪我程度では済まされない。特使であるエルメに話しかける権利もあるし、意見する資格も持っており身勝手な性格が仇となったと気付くエルメ。
聞こえないかもしれんが、椅子から転げ落ちてボディガードの吸血鬼が前に出ても消滅するのがオチとなる。自分らの世界以外どうでも良いのなら、矛盾だらけで理不尽過ぎる事で我と闇ギャスパーは覇気と殺気を抑えた。
「今の内だな。白音、一真とギャスパーに落ち着かせるよう仙術を頼む。そろそろ俺達が動く時だしな」
「了解しました。一真先輩にギャー君、落ち着いて。大丈夫だから」
「やっと動いてくれたようだが、エルメンヒルデよ。命拾いしたな、ここで神の怒りを買い続けるとどうなるか。分かっているよな?いくら特使でも神相手にその言葉遣いはどうかと思うぜ」
「・・・・これが神のお力、ええ私としても本物を感じ取れたと思います。このまま見下していたらどうなっていたか、私でも理解出来ます」
白音の仙術によって我と闇ギャスパーの暗黒が晴れてきて、闇オーラを封印してから元の姿に戻った。ただし口調やオーラは怒りのままだったが、白音の仙術によりまだマシになってきた事でヴァーリの半減を使って怒りを半分にしてくれた。
「・・・・ふぅー。全くこの俺と闇ギャスパーを見下したままだと、本当に粛清対象としてやったが抑えてやったんだから感謝しろ」
「私としてもまだまだコントロール出来てませんが、私は一真さんに守られていますしヴァレリーを助けるなら私の力を使って助けます!」
「そう言うと思ったぜギャスパー。と言う事でエルメよ、この書面を破棄して代わりにこちらで用意した書面を持ってカーミラ派女王に渡して来い。休戦から停戦に変更する気があるなら、こちらの力を貸すと・・・・吸血鬼同士で解決ではなくCB側の力を頼れと言ってな。これは創造神黒鐵による和平協定であり、俺のサイン入りが入ってるから本物だと信じるはずだ」
「か、数々の暴言・・・・ここに謝罪を申し上げます。この書面をカーミラ様にお渡ししてからの話になりますが、それでよろしいでしょうか?」
「それで構わんさ。三大勢力と外交ではなく。こちら側での外交なら問題なく進むはず、あとはカーミラ派の女王さんの回答によるもんだ。創造神の怒りを買いたくはなかろう?」
大天使化を解除し、覇気と殺気を解除した事で白音の仙術もな。書面は和平協定と停戦する為であり、この前三大勢力と俺らCB側との和平同盟と似ている書面と言える。アザゼル達もホッとした所で、エルメも立ち上がり書面を鞄にしまった。
「承知しました。今後貴方様が居る事を忘れずに見下す事は止めておきます・・・・いくら不死であっても神の怒りを喰らいたくはありませんので」
「その書面は連絡用の魔法陣を織り込んでいるから、従者をここに置いといても邪魔だけに過ぎん。良い返事を期待しておく」
「はい。先程の殺気や覇気を直接浴びた私と従者も体験しましたので、二度とこのような事は致しません。それでは失礼致します」
俺とエルメの会話を聞いていた事で氷の微笑ではなく、本物の微笑を見せていたエルメ。闇の住人達はこの旧校舎をあとにし、俺とギャスパーは喉が渇いたので飲み物を飲んで落ち着いていたがアザゼルらのリアクションは見物であった。ま、あれが幻術だと知ったらどう言う顔をするか楽しみだな。
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