ハイスクールD×D~黒衣の神皇帝~ 再編集版
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進路指導のウィザード
吸血鬼との会談(1)
「少し眠くなってきたな・・・・ちょいと仮眠させてくれ」
「一ちゃんは人間のように暮らしているからな。誰かの膝枕で寝ててくれ、吸血鬼が来たら気配で分かるだろうからな」
「そう言う事だ。外には俺の部下が監視させているからな」
と言う事で愛紗の膝枕にて眠った俺であるが、朱里は情報共有として今後に起きる事をアザゼルらとな。夜は更けるが外は静まり返り、皆も会話を少なくした頃に気配を感じ取った俺はすぐに目を覚まして窓の方へ視線を向ける。
「流石だな。すぐに気配を感じ取るとは・・・・ま、俺らも遅れて気配を感じ取れた」
「まあな。旧校舎辺りに冷たい気配を感じ取れたまではいいとして、これが吸血鬼の気配はまるで絶対零度のように凍った感じだな」
「ご主人様、蒸しタオルですので顔をお拭きになって下さい。朱里はご主人様の髪をとかしてくれ」
「分かりました!じっとしてて下さいねご主人様」
起きた瞬間、朱里の鞄から取り出したのを主である俺に手渡した後に顔を拭く。今から会談だからと朱里は髪をとかしながら、俺らの視線が窓に向く途中で祐斗が立ち上がって部屋をあとにする。準備完了と共に、旧校舎周辺一帯に配置している隊員らはピリピリしていた。俺らは吸血鬼の情報提供として、現地にいる者らからの報告書から引用させてCB側のメンバーに告げていた。
「放課後集まってもらったのは他でもない、吸血鬼に関する情報提供だ」
「グレモリー眷属にはギャスパーがいるから情報あると思うが、俺達には何も聞いてないからな」
「そうですね。ソーナは自分の眷属にてリアス達と聞いている思いますし、ここにいる私達はまだ情報がありません」
「そだね~私も知っておいて損はなさそうだし、聞いておいた方がよさそうだしね~」
「では一誠様。吸血鬼に関しての情報提供を」
俺、ヴァーリ、シーグヴァイラ、イリナ、レイヴェルの順だったが一応な。吸血鬼と言う種族は招待された事のない建物には絶対入らないし、鏡に姿が映らず影もないから人間曰く幽霊だと勘違いする。
「それを言うと幽霊が可哀想ではあるが、流水を渡れない所が幽霊と違う所だな」
「私が聞いた事だと、ニンニク嫌いで私達天界関係者のシンボルで言う十字架や聖水が弱いのよね」
「流石教会にて学んだだけの事はある。あとは自分の棺で眠らないと自己回復が出来ないらしいが、ギャスパーと比較するとかなり違う箇所が多いと思う」
「確かにそうですね。ギャスパーさんは影もありますし鏡に姿も映りますし、川も渡れてニンニクも既に克服済みと・・・・では棺に関してはどうなのですか?一誠様」
「アイツは最初だと棺で寝ていたが、外に出てくる頃には自分のベッドで寝るようになったし、棺で絶対と言う事は無くなったから普通に寝ても自己回復出来る」
と言う感じでレイヴェルは端末で打ち込んで、他の皆はノートにて書き込んでいる。一応黒板に書いているので問題ないが、ギャスパーがほとんど克服原因は人間の血が濃いからな。復習にて念話会議してる間、祐斗が下に降りたのは来客の吸血鬼が純血で先程言った通り招待されなければ入る事が出来ない。俺達以外の者らは来客に備えて席から立って『王』の傍に並んで待機。
「一ちゃんは俺と同じく堂々と座っているんだな」
「そりゃそうだ。俺はCB総司令官兼創造神黒鐵としている訳だが、ヴァーリ達は俺らの後ろで待機な」
「分かっているさ。一真さんの指示に従いますし、リアスさんのように背後に立っているようにしますか」
「朱乃と白音は半々だが今回はグレモリー側としてな」
『王』とボスとラスボスが座り、配下は後ろで立って待機となる形で客を待つ。ギャスパーは多少緊張していたが、白音の仙術により落ち着いている。何せ自分を迫害させた吸血鬼が訪れる。今回ヴラディ家じゃないけど、それに近い客だと聞いているからな。気配から察するに来たようだ。
「お客様をお連れしました」
『いよいよ来たな、闇ギャスパーは念話のみ会話を許可する。決して表に出るなよ』
『そうするつもりですので、頼みますよ裏の私《一真の旦那、安心してくれ・・・・ちゃんと指示に従うつもりだからさ》』
祐斗が紳士的な応対で扉を開き、客を招き入れて姿を現したのは中世ヨーロッパのプリンセスが着るようなドレスに身を包む人形のような少女。人形だと思ってしまうのは、顔立ちが美し過ぎてしまいリアル西洋人形で怪しい雰囲気を出している。長い金色の髪をウェーブさせているが、人形のイメージと共に死人のように顔色が悪い。
『何だか生気を感じ取れないお肌の色合いですわね』
『それに真っ赤な双眸はギャスパーよりも濃いな。見た目は俺達と同じ年齢のようだ』
『俺のように見た目と中身の年齢は違うし、悪魔と同様長命で姿も好きに変更できる・・・・それより足元を見てみろよ』
『影がない!ホントに吸血鬼は無いのですわね』
純血の吸血鬼としてで、少女の背後にスーツを着た男女が一人ずついるがボディガードか。どちらも顔色悪く吸血鬼だろうが、遠くから見ている隊員達からも本物は初めてだろう。冷たく刺々しい気配を感じ、生命力な力のオーラを纏ってないし少女が丁寧に俺達に挨拶してくれる。
「ごきげんよう、三大勢力の皆様。特に魔王様の妹君お二人に、堕天使総督様とお会い出来る何て光栄の至りです」
リアスに促されて対面の席に座るが、俺らを見てから名乗りを上げる。
「私はエルメンヒルデ・カルンスタイン。エルメとお呼び下さいませ・・・・一つ質問があります、そちらの御方は何者でどの勢力なのでしょうか?」
「・・・・カルンスタイン。確か吸血鬼二大派閥の一つで、カーミラ派の中でも最上位クラスの家だ。久しぶりだな、純血で高位のヴァンパイアに会うのは。それとその質問に関しては本人から説明する。一ちゃん、自己紹介を頼む」
「初めまして、俺の名は織斑一真。今はその名で通しているが、ここの学生や人間と生活してる時は兵藤一誠と名乗っている。現赤龍帝であり創造神黒鐵とは我の事でありながら、ソレスタルビーイング総司令官をしている者だ。なので三大勢力とは別勢力と言う事で覚えておいてくれて構わない・・・・よろしく頼む、エルメ」
「ソレスタルビーイング・・・・あの有名な創造神黒鐵様にお会い出来る事など驚愕と共に光栄の至りです。では今回は織斑様と呼ばせてもらいますが、別の姿では兵藤様と呼ばせてもらいます」
俺とエルメは立ち上がって握手したが、事前にヴァーリ達へ情報提供の内でカーミラ派についても提供済み。吸血鬼は古より存在する闇の住人で、上級悪魔と似たような階級制度や弱点がある。貴族社会みたいな感じで、悪魔は冥界の住人で吸血鬼は人間界の闇住民達。似てるようだが価値観と文化は違う所が多い。
『悪魔と吸血鬼は互いに縄張りを刺激せずに人間を糧に生きてきたが、天界にいる者達にとっては天敵で共闘しないで今まで一定の距離感だったか』
『まあな。悪魔は今年夏に行われた和平に応じてくれたから、長かった戦争状態を収束させたけど吸血鬼は和平のテーブルすら付こうとしてくれない。ま、今がチャンスだと俺は思う』
『女王と拝謁を許可されているならそうだね~私達天界の教会戦士達は小競り合いが続いてるからねー。数百年前に吸血鬼業界は二つの派閥が誕生したんだっけ』
『ツェペシュ派とカーミラ派で、それぞれ男尊主義と女尊主義としてでしたね。純血を残す為、男か女の真祖を選抜させるかで長年主張させていたけど、数百年前から真っ二つに分かれたと』
俺とアザゼルの説明通りなら、エルメは女尊主義カーミラ派の吸血鬼として来たのだろう。握手後、再び席に座る双方は朱乃がお茶を差し出したのを確認してから開口一番に質問をする俺。
「エルメ、いきなりで悪いが今度はこちらが質問させてもらう。・・・・俺らは別勢力だが、コイツら三大勢力に会いに来た理由は何かな?今まで接触を拒んできたカーミラの者らが、突然グレモリー、シトリー、アザゼル総督の元に来たのは何故だ?」
「・・・・三大勢力と別勢力の織斑様ですが、私らはグレモリー眷属のギャスパー・ヴラディのお力をお借りに来たのです」
エルメは瞑目してから、一度頷いて静かに開いたが俺達以外の者らにとっては予想外な事だろう。まあ実際絶句している三大勢力だが、俺達は絶句ではなく納得をしていたし全員の視線がギャスパーに注がれる。俺はギャスパーに手招きでこちらに来て、隣に座ってもらう事で理由を知ろうとしていた。ただし表ではなく裏に用があると思うが、俺は冷静に質問に答える事にした。
「率直な質問に率直な答えではあるが、コイツらにとっては疑問で一杯だから順を追って説明を頼む。一体吸血鬼世界に何があった?」
「我々吸血鬼世界でとある出来事により、根底の価値観を崩す程の物になってきているのです。そちらはご存じかと思いますが、神滅具を持ったツェペシュ側のハーフから出てしまったのです」
「その事に関しては俺らでも知っていたが事実だったとは。噂程度だと思っていたが、神器所有者でしかも神滅具を持った者が出現ね。一ちゃんらにとっては情報を持ってるから余り驚くリアクションしないんだな」
「そりゃそうだろアザゼル。俺達CBには情報収集が得意な者がいるし、先の先を知っていて未来予知にて出ていたからこちら側は既に調べ済みだ」
CBにとって知っている情報だったとしても、三大勢力にとってはお初の情報ばかりで驚愕したままとなっていた。
蒼い翼は世界中にあるし、いくら吸血鬼世界にも治安維持部隊が存在していてブラック・シャークからの派遣者。面倒な事が起きてるようだし、これからの事は面白味があるから今まで話してなかった。
「それでツェペシュ側が所有している神滅具は何だ?神器ならまだしも神滅具は厄介な代物であり、現在十三個確認されている」
「その内俺らが持っている神滅具は『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』『白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)』『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』『絶霧(ディメンション・ロスト)』『魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)』の五つだ。悪魔側は『獅子王の戦斧』で、天界側は『煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)』で堕天使側は『黒刃の狗神(ケイネス・リュカオン)』だったか」
CB側と三大勢力が所有している神滅具は八個、メフィストの組織所属者は『永遠の氷姫(アブソリュート・ディマイズ)』に無法者のはぐれ魔法使い集団は『紫炎祭主による磔台(インシネレート・アンセム)』とされている。
未だ所在不明の神滅具は『幽世の聖杯(セフィロト・グラール)』『蒼き革新の箱庭(イノベート・クリア)』『究極の羯磨(テロス・カルマ)』とされているが、『蒼き革新の箱庭(イノベート・クリア)』だけはアジュカが素性を補足していて調査中。
「未だ発見されてない神滅具は三つだが、エルメが敵対しているツェペシュ側の神滅具所有者は『幽世の聖杯』だな?」
「その通りでございますが、まさか織斑様からの口から出るとは思ってませんでした。流石はCB総司令官であり創造神黒鐵様でございます」
「と言う事は事実らしいな。それも聖遺物の一つとされている聖杯とは・・・・面倒事が増えたに過ぎん」
聖遺物は曹操が持つ聖槍だが、そもそも聖遺物の神滅具は三つとされている。曹操が持つ聖槍に先程言った聖杯と聖十字架であり、アザゼルの言う通り面倒事が増えたな。
「最後の晩餐に使用されたブツで、イエスの血を受けたブツ。聖杯は伝説が多い代物だが、神器のはただの聖杯ではなく神滅具で生命の理を覆しかねない代物。エルメよ、不死者の吸血鬼が聖杯で何を求めるんだ?」
「絶対に死なない身体・・・・杭で心臓を抉られようと十字架を突き付けられようとも、自分の棺で眠らなくとも太陽光を浴びても決して滅びない体を得た。ですが聖杯の力はまだ不完全のようです」
「つまりだ、吸血鬼としての誇りを捨ててまで弱点が無い存在になろうとしていると?そこまでして弱点克服したいのかね」
「弱点克服はどこの勢力でも思いたい程だが、確かツェペシュ側はカーミラ派を襲撃している。犠牲者も出ているし、これらの行為をカーミラ派は許されない行為として見ている。いくら同族でも粛清するだろう」
俺らの情報網を甘く見ていたが、それに関して話すとエルメは瞳を暗くし憎悪の色が強くなっていく。吸血鬼の生き方を否定して攻撃してきたツェペシュ側の吸血鬼に、今まで行ってきた動きに対して怒りを覚えているのだろう。攻撃されたら誰だって頭に来るし、カーミラ派の目的は最初に言った通りギャスパーの力。
「なるほど、つまりエルメ達はギャスパーの力に関して知っている様子だ。・・・・表に出て良いぞ、闇ギャスパーよ」
「そうなりますか。私の力を頼ってきたのは嬉しいのと迫害されてきたので半々ですが、ここからは裏の私として喋りましょうか《お、やっと俺の出番が来たか》」
「ッ!既に力を覚醒済みでしたか。なら尚更でありますが、貴方の力を我々に貸してはくれませんか?」
《俺としては嫌な事だな。表裏一体の俺を吸血鬼同士の抗争に参戦させる気か?一つ聞くがヴラディ家、ツェペシュ側の吸血鬼と関係があると言いたいのか》
表から裏となったギャスパーのオーラは闇一色となり、暗黒が広がるはずだったが結界にて抑えているので問題無し。エレガントな態度と口ぶりなリアスであるけど、内心では激情と煮えさせている。
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