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とある科学の裏側世界(リバースワールド)

作者:偏食者X
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second contact
  ep.023 さぁ、ゲームの始まりだ

向子とのコンタクトを終えた仁は、佳奈の待つ家に帰ろうとしていた。
しかし、仁はこの途中で悲劇と遭遇した。
普段通らない道を通ると、感じたことのない気配のようなものを感じるように、少し向こう側に見える路地裏に妙な気配を感じたのだ。

『誰かが....居るのか......。』

嫌な予感がさっきからヒシヒシと伝わってきている。
路地裏に1歩、1歩と近付くうちに心臓の鼓動が速く、大きくなっていくのを感じる。
角を曲がった..............。


「っ!!!!!」

そこにあったのは死体。
背中は血で真っ赤に染まり、妙に色白い肌が気味悪い。
肩を叩けばヌルっと起き上がって来そうなくらい、その不気味な感覚が仁を襲う。

「あぁっっっっっっ!!!!」

仁は大声で叫びそうになり、途端に自分の手で自分の口を押え声を必死に殺す。
胃から食道を通って逆流してくる何かを必死に堪え、やっとのことで飲み込んだ。

「はぁ.....はぁ...はぁ.....はぁ....な....なんで死体が...!?」

吐き気を抑えた仁は涙目で言葉を放つ。
先ほど向子からの警告があったため、仁の恐怖はより一層強くなっている。
無理はない。
"命を狙われてもおかしくない"と言われた直後にこんなものを見て恐怖を持たないほうがどうかしている。

「俺も....こんな風になるっていうのか?」

ふと何かを感じた気がした仁は上を見る。
自分も今、誰かに見られ命を狙われてるかも知れないと恐怖を感じたからだ。
しかし、気のせいだったと分かった仁は少し落ち着く。
そして普通は考えないが、死体の観察を始めた。

「右肩から左の腰近くまで斬られている。」

『しかも、一斬りで瀕死の域に達している。』

血の量からしても、この鮮やかな断面は熟練の剣豪でも簡単にできるものではないだろう。
それに逃げたこの人もこの人だ。
普通、そんな負傷をすれば動くことすらできないだろうが、この人はここまで逃げて来た。
とてつもない距離を逃げたのは、血の跡でなんとなく察しがついた。

「ん? これは.....。」

男の手にはUSBが握られていた。
仁は不思議に思ったが、すぐには触らなかった。

『死の直前まで持っていた物、しかもUSBだ。 意味なく持っているとは思えない。』

つまり仁の予想では、このUSBがこの男の死に関係していると考えているのだ。
万に一つそうでなかったとしても決して安心できるものではないだろう。
しかし、この男が死ぬ直前まで何かを伝えようとした、その思いは汲み取ろうと思い、仁はUSBを回収した。

『中には何の情報が入っているんだ?』

仁はUSBを携帯に接続し、情報を見ようとした。
その瞬間、音が聞こえるくらい強力な静電気が流れる。

「いって!」


その頃ー

第0学区ではとある組織が動き出した。

「ねぇ、(かの)。 叶ってば。」

「るっせぇなぁ。 なんだよ比屋定(ひやじょう)。」

2人の前にある巨大なモニターには学園都市のほぼ全域が地図化されて映し出されていた。
その中に1つの点が発生し、点滅しながら移動する。

「お、獲物が餌に食い付いたか。 じゃあ、後始末に行くとするわ。」

1人の青年は立ち上がり、地上に向かった。

「さぁ、ゲームの始まりだ。」

青年は薄っすらと殺意の乗った笑みをする。 
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