とある科学の裏側世界(リバースワールド)
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second contact
ep.022 情報屋K.A.
前書き
情報屋K.A.
これまでの話を読んでくれている方は
もう誰か分かりますよね。
仁は指定されたバーに辿り着いた。
レトロな作りが風情を感じさせるようなバーだ。
すると、カウンターに座る青年が手招きをしてきた。
「あなたがK.A.さんですか?」
「そうだ。 俺は桐崎 飛鳥だ。」
「本名を名乗ってしまって良かったんですか?」
「直接コンタクトが取れた今は、むしろ名前で呼び合うほうが安全だ。」
どういう理屈かは分からないが、本人が言うからにはそうしておいたほうが良いんだろう。
その後ー
仁は桐崎によって7月19日の真相の一部を伝えられた。
仁は自分の推理が思いの外当たっていたことに驚いたが、それ以上に事件のスケールに驚いた。
「学園都市の市民の記憶を一瞬で消した!?」
恐らく地上で平凡に暮らしている仁からすれば想像も付かない規模の能力だ。
「俺の持っている情報から事件を起こした連中を予測すれば、相手は地上のどんな組織よりも有能で世界相手でも互角でやり合えると思っている。」
無論、桐崎はstudentの一員として事件を起こした犯人の一人なんだが、ここでは敢えて伏せている。
「そんな....世界と......。」
仁は少し怖くなった。
ひょっとすれば自分は今、本来踏み込むべきでない場所に踏み込んでしまったんじゃないかと思ったのだ。
そして、それによって佳奈が巻き込まれるかも知れないという恐怖も感じた。
しかし、それ以上に溢れ出る好奇心を仁は捨てられなかった。
ここで、桐崎は仁に電話番号の書かれた紙切れを渡す。
「俺の知る情報は以上だ。 それ以上知るつもりならその電話番号に掛けてみることだな。」
仁はバーを立ち去った。
仁の気配がなくなると桐崎はある人物に電話を掛けた。
「もしもし、あぁ.......そうだ.......なら良いが...了解だ。」
桐崎は電話を切った。
そして、少し嫌な予感を感じ取った。
翌日ー
不安を残しながらも仁は電話を掛けた。
情報屋が薦める情報屋なんてかなり変な気もするが、そんなことを気にしてられるほど仁の思考は安定していなかった。
「島崎向子です。 どんな情報が欲しいの?」
仁は緊張感を一瞬で失った。
間違い電話だと思ってしまっても仕方ないだろう。
「す......すいません...間違い電話でし....。」
「いや、間違えてなんかないよ。 私は桐崎くんから情報を聞いてるからね。」
その後、向子さんから1時間後にとあるカフェにてコンタクトを取ろうという案が出て、仁はカフェに向かった。
分かりやすいようにカフェの前に居ると、1人の女性から声を掛けられた。
「仁くんだね。 初めまして"島崎向子"です。 親しみを持って"向子さん"とでも呼んでね。」
「え.....あ、はい。」
カフェに入ると向子はマスターに"いつもの"と注文した。どこかの店に行くなら1度くらいはそんな風に注文をしてみたいものだ。
そして、"いつもの"によってやって来たコーヒーが2つ並ぶと話に入ろうとした。
しかし、仁はコーヒーに手を付けない。
「どうしたの? 別に飲んでも良いよ?」
「いや....俺はコーヒーあんまり好きじゃなくて.....。」
「えっ..!?」
「ココアのほうが.....。」
向子はそれを聞いてそっぽを向くと必死に笑いを我慢しているように見えた。
恥ずかしさと悔しさのようなものを感じる仁。
だが仕方がない。
苦手なものを笑顔で飲めるほど仁は容量よくできてはいないのだ。
そして、改めて注文したココアが届くと向子は真面目な表情になって警告した。
「君は今、本来知らないほうが良い所に踏み込もうとしてるんだよ。 此処から先は、いつ命を狙われてもおかしくない。」
「.............。」
「とくに警戒するんだ、objectにはね。」
「object?」
仁は不思議だった。
というのもてっきり彼女もstudentの話をすると踏んでいたからだ。
しかし、そこで上がったのは新たな組織objectだった。
「.......分かりました。」
一向に答えに辿りつけないまま仁はカフェを去った。
そのすぐ後に電話を掛ける。
相手はもちろん仁ではない。
「もしもし、向子さんですか......はい.....そうですか、分かりました、すぐに向かいます。」
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