とある科学の裏側世界(リバースワールド)
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second contact
ep.021 情報漏洩
野口は電話でとある人物と連絡を取っていた。
「もしもーし、島崎向子です。 欲しい情報は何かな?」
「久しぶりですね向子さん。 野口勝哉ですよ。」
「珍客だねぇ。 君が欲してるのは的場くんかな?」
事件以降、的場の身柄は向子によって保護されていた。
それから的場は向子の指示のもと仕事をしている。
的場の仕事は情報屋、ボディーガード、物資の運搬などジャンルを問わずやって来るが、持ち前の容量の良さを生かしてプロ並にこなしていた。
「さすが、向子さんですね。」
「昔は同じ組織で君の先輩をやっていたんだ。 君を観察する時間は余るほどあったさ。」
向子がそう言うのはstudentが結成されるよりも前の話。
野口は情報屋として"アカウント"という組織にいた。
超能力者や無能力者など、様々な人たちが集まって作られたその組織は地上にもパイプがあった。
入りたてホヤホヤの野口の指導役として使われたのが、島崎向子、つまり"向子さん"だったのだ。
情報屋としての基礎からちょっとした戦闘訓練まで向子は徹底的に野口を鍛えた。
そして、ある日にこつ然と姿を消した。
あとから聞いた話だと、その時にアカウントの最高機密の情報をいくつか奪ったらしい。
「とりあえず、的場くんには君たちに協力するように声を掛けておくね。」
「助かります。」
「objectはかなり非道な組織だ。 最悪、地上で大量虐殺だってありえるから注意することね。」
向子は電話を切った。
実は向子も独自にobjectを調べていて、詳しい情報を手に入れるため、潜入捜査の者を雇っていた。
しかし、ここ数日の間にその者とは連絡が取れなくなってしまった。
『捕まってたりなんてしてないかなぁ。』
その頃ー
「はぁ はぁ はぁ..........。」
男は走り回っていた。
左手に手持ちのカバンを持ち、右手にはUSBのようなものが握りしめられてある。
『はやく......逃げなければ..........殺される.....。』
そう、男は逃げ回っていたのだ。
彼は島崎向子に雇われ、先日まで潜入捜査をしていた。
ある時に隙を見てobjectのネットワークに介入し、最近の妙な動きの目的を探っていたのだ。
しかし、その過程で介入がobjectにバレ、データの一部を抜き取って逃げたのだ。
「はぁ....はぁ......はぁ....逃げるんだ.......俺は......。」
男の背中には大きな切り傷ができている。
大きな刀のようなもので斬られた傷だ。
そこから止めどなく血が流れ出し、男の背中を赤黒い色に染めていった。
恐らく誰が見ても彼が助かるとは思わないだろう。
次第に男の視界はボヤケ、立つことすらできなくなる。
目蓋が重くなり、深い眠りにつくように死んだ。
その頃ー
仁は3つの事件を調べるために情報屋を探していた。
その過程で"第0学区"の存在を知った。
「仁、これ!」
佳奈が珍しく驚いている。
そこには一件の情報屋が載っていた。
「イニシャルは"K.A."......佳奈、コンタクト取れるか?」
「うん、やってみるわ。」
そして、見事その情報屋の電話番号を特定した。
仁は連絡を取る。
「情報屋をご所望かい?」
「はい、調べたい事件が幾らかありまして。」
「例の"3つの事件"かい?」
「ッ!」
仁は見抜かれていることに驚いた。
いくら情報屋と言えどすべてが抹消された日の情報なんてあるはずがないと思った。
しかし、返答はあまりにも衝撃だった。
「分かった。 幾らか資料は用意しといてやる。 明日以降に此処に来い。」
「仁、情報屋から指定された場所が分かったわ。」
情報屋が指定したのは地上にあるバーだった。
声を聞いた時はあまり歳の差は感じなかったが、場所が場所のためそれなりの年齢だと思った。
2日後ー
仁は期待と不安を乗せながらバーに向かった。
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