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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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434部分:第六十話 着陣その三


第六十話 着陣その三

「その小宇宙を感じてのことだな」
「その通りだ。サタナキアが来るのを感じたからだ」
「それはあちらもではないか」
 ミロはアイオロスの話を聞いてこうも考えたのだった。そしてその考えを実際に言葉に出したのだった。
「貴方の小宇宙を感じて。ここに来たのではないのか」
「そうかも知れないな」
 それを聞いてこのことに気付いたアイオロスだった。
「ではお互いが気付いてのことだったか」
「貴方が来なければサタナキアは来なかったかも知れない」
「そして私が来なければあの者もか」
「俺一人で九人と対することになった」
 そうなっていたというのである。
「それは間違いのないことだった」
「それだけはな」
 アイオロスも言う。
「確実だったな」
「そうなったらばだ」
「御前が勝っていたな」
「それは当然のことだ」
 その自信は確かにあるミロだった。
「俺は敗れない。絶対にだ」
「しかしこれもまた運命なのだろう」
 アイオロスは今度はこんな風にも言うのであった。
「私とサタナキアが共にこの場に姿を現わしたことはな」
「そして勝負が流れたことはか」
「そう。そして」
 アイオロスの言葉はさらに続く。次に彼が言ったことは。
「決戦はあの場で行われることになった」
「あの場といいますと」
「やはり」
「そうだ。マチュピチュだ」
 そこだと青銅の者達の問いに答えるアイオロスであった。
「あの場での戦いとなる」
「そうですか。あの古の場所で」
「我等は」
「まずはそこまで行くとしよう」
 アイオロスは言った。
「そこまでな。いいな」
「わかった。しかしだ」
「しかし?」
「一つ困ったことができてしまった」
 こう言いながらアイオロスに顔を向けるミロだった。
「一つな」
「?何がだ?」
「今テントも食料も七人分しかない」
 彼が言うのはこのことであった。テントと食料の問題だったのだ。
「アルパカやリャマの食べるものはどうにかなる」
「それに水もか」
「いや、水もだ」
 だがここでまた言うミロであった。
「水には気をつけている」
「気をつけているというと」
「生水は飲まないようにしている」
 まずはこのことだった。
「できるだけな」
「それはいい心掛けだな」
「その為に飲むにあたって常に一旦沸かしている」
 つまり熱消毒である。そうして湯なり冷えた水なりを飲んでいるというのである。これは衛生を考えるにあたって極めて当然のことである。
「一旦な」
「いいことだ」
 アイオロスはミロのその言葉を聞いて感心した声で述べた。
「それはな」
「しかしだ。それだからこそだ」
「それだからこそ?」
「その水を沸かす為の燃料だ」
 彼が言うのはこのことだった。水を沸かすのもただそこにあるだけではないというのである。そういうことであった。
「我等の中に火を使える者はいない」
「バベルの様にか」
「だから燃料は必要だ」
 あらためて言うのであった。
「それもまた七人分しかないのだ」
「つまり私の分はないのか」
「用意するつもりではあったが」
 こう言いはした。
 
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