聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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433部分:第六十話 着陣その二
第六十話 着陣その二
「九人一度でもよかったのだがな」
「まあそう言わないでくれ」
アイオロスはミロの横に来た。そうして気さくな調子で彼に言ってきたのだった。
「私も戦わなくてはならないのだからな」
「だからここに来たというのか」
「その通りだ」
またミロの言葉に答えてみせる。
「共に戦わせてもらえるか」
「拒むつもりはない」
ミロはアイオロスを横目に見てこう述べた。
「それをな」
「そうか。それではいいな」
「うむ。頼む」
二人の黄金聖闘士が並ぶ。その後ろには六人の聖闘士達がいる。しかし狂闘士達は彼等よりもその二人の黄金聖闘士を見て述べるのだった。
「黄金聖闘士が二人か」
「まさかサジタリアスまで来るとはな」
彼等はそれを警戒することこの上なかった。
「しかしだ」
「ここで我等はだ」
言いながら再び構えを取る。そうしてそのうえで攻撃を仕掛けようとする。
だがここで。彼等の前にある者が姿を現わしたのだった。それは。
「なっ!?」
「サリア様」
「作戦を変更する」
姿を現わしたサリアはまずは同志達に述べたのだった。
「御前達は撤退するのだ」
「ですが」
「今こそが」
「いや、今は撤退するのだ」
あくまでこう言うのであった。
「ここで決戦をするつもりはない」
「決戦をですか」
「ここではですか」
「そうだ。だから下がるのだ」
告げる言葉は変わらない。
「わかったな」
「わかりました」
「サリア様がそう仰るのなら」
反論はないということだった。実に狂闘士らしい返答であった。
「その様に致します」
「これで」
こう言ってであった。彼等は構えを解いた。そうしてそのうえでミロとアイオロスに対して告げるのであった。
「スコーピオンにサジタリアスよ」
「この通りだ」
「今は退く」
それぞれの口で告げるのだった。
「命拾いしたなとは言わない」
「また次の機会にだ」
こう言うのである。
「その首貰う」
「他の者達もだ」
白銀や青銅の者達についても告げるのだった。
「それではだ」
「去るとしよう」
「では。去ろう」
サリアがまた彼等に対して声をかけた。
「それでいいな」
「はい、それでは」
「ここは」
こうして彼等は撤退するのだった。その撤退は素早く何一つとして残さなかった。残ったのはミロとアイオロス、そして六人の聖闘士達だけだった。
「さて、それではだ」
「何だ?」
ミロはアイオロスの言葉に対して応えた。
「今こうして合流したことか」
「そのことだ。間に合ったな」
「俺一人では不足だったのか」
ミロはそれがいささか不満な様であった。それは微かに顔にも出ていた。
「あの者達の相手は」
「そうではない」
それは否定するのだった。
「それはな」
「ならいいが」
「ただ。あの者の小宇宙を感じたからだ」
「サタナキアか」
あの者とは誰か。すぐにわかったことだった。
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