聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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426部分:第五十九話 盆地での戦いその一
第五十九話 盆地での戦いその一
盆地での戦い
フォルスは今高らかに名乗った。しかしそれで終わりではなかった。
「続いてはだ」
「我等もまた」
「名乗らせてもらおう」
「貴様等もか」
ミロは残る三人を見上げながら言った。
「名乗るというのだな」
「冥土の見上げに聞いておくことだ」
「そしてハーデス様に対して告げるがいい」
「我等の名を」
ハーデスは尊称だった。ここに彼等狂闘士とその主であるアーレスとハーデスの密接な関係が見えてもいた。
「いいな、それで」
「いいだろう」
ミロはその彼等の言葉を受けてみせた。
「聞こう。言うがいい」
「伯爵、レラジエのアーキス」
白く鋭い目の男だった。髪も同じ色だ。
「子爵、マルパスのヴェーヌ」
青い髪を後ろで束ね大きな青い目をした女だ。
「男爵、サブナックのヴェガ」
大柄で鬣の如き金髪に黒い目の大男である。この四人だった。
「我等四人がだ」
「貴様等を滅ぼす」
「名前を覚えておくように今告げたわ」
「それではだ」
彼等はそれぞれの口でまた言うのだった。
「死ぬがいい、心置きなくな」
「苦しまずにはしてやる」
「話は聞いた」
ミロは彼等の名乗りと死の宣告を聞いてもその態度は変えなかった。
「これで満足か」
「無論満足する筈もない」
フォルスは酷薄な笑みを浮かべてそのミロに告げた。
「我等の目的は貴様等全員を倒すことだからな」
「それで何故」
「名乗っただけで終わるというの?」
「あまりにもおかしな話だ」
「確かにおかしな話だ」
このことは復唱してみせたミロだった。
「しかしだ」
「しかし?」
「何だ?」
「このミロを倒すというのはそれ以上におかしな話だ」
こうも言ってみせたのだった。
「実にな」
「おかしいというのか」
「我等がか」
「そうだ。実にな」
ミロは彼等を見上げたままだ。それに対して彼等は見下ろしている。しかしミロはその彼等に対して全く臆するところがなかった。
「何故かと問いたいのならば来ることだ」
「面白い」
フォルスはその彼等の言葉を聞いて述べた。
「それならばだ」
「最初に来るのは貴様か」
ミロはそのフォルスの姿を認めて言った。
「アガレス、貴様がだな」
「このフォルスの力、受けるのだ」
フォルスの小宇宙がその言葉と共に強くなっていく。
「そしてそれで終わらせてやろう」
「いや、ここはアーキスが行こう」
「何を言う、俺だ」
ヴェガも出て来た。
「このヴェガがだ。スコーピオンの首を挙げる」
「それはできないわね」
しかし今度はヴェーヌが言うのだった。三人を制するようにして。
「スコーピオンは私が倒すのだから」
「何を言う、それはだ」
「俺がだ」
彼等は獲物を巡って争いをはじめようとしていた。しかしであった。
その彼等に対して周りにいるインプ達が言ってきたのである。
「いえ、御言葉ですが」
「ここはお任せ下さい」
「是非我等に」
自分達が行くというのである。
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