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とある科学の裏側世界(リバースワールド)

作者:偏食者X
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  ep.019 第三者

 
前書き
これから裏側世界(リバースワールド)は第二章に突入します。
季節は"冬"、それも冬休みです。
第一章は夏休みの出来事なので既に4ヶ月くらいは経ってます。 

 
「つまんねぇの........。」

1人の少年がマンションの屋上に寝転びながら、太陽を手で隠しながら言う。
彼の名前は神薙仁(かんなぎ じん)
能力を持たない一般人だ。
彼は幼馴染の女の子と一緒にanswerという組織を作っていた。
その仕事は事件の解決が基本だが、平和な学園都市にそんな事件はあまり起こらない。
だいたい、レベル0の自分が人と戦うことになれば勝てる可能性のほうが少ない。
そのため、基本的には風紀委員の手伝いをしている訳だが、相手にされていないのかほとんど仕事は来ない。

すると、1人の少女が仁を呼びにやって来た。

「こんなとこに居たの仁。 宿題が残ってるのにそんなボーッとしてる時間なんてないじゃない。」

「分かってるってーの。 佳奈(かな)は終わったのかよ?」

少女の名前は七草佳奈(ななくさ かな)
ふと気づいた頃には陣と出会っていた。
昔は無邪気な女の子でしかなかったが、成長していくに連れ少しずつ馬鹿になっていく仁を幼馴染として放って置けなかったため、今に至っている。
佳奈の能力は温度分別(サーモグラフィ)
五感に頼らず温度でモノを見分けるため、仮に目を潰されたとしても普通に戦うことができる。

「当然でしょ。 ほら戻って来て。」

仁は大きくため息をついて佳奈の元に行った。
佳奈はエリートで仁にいつも勉強を教えている。
仁としても彼女の存在は自分以上に大切に思っているため、彼女には可能な限り従っている。

「はぁ.....終わったぁ。」

宿題が終わり、大きく息を吐いた。
そして軽く伸びをすると部屋の一角を占めるPCの前に移動し、腰掛ける。

今のところ学園都市で謎に包まれた事件が3つあった。
1つ目は『空白の7月19日事件』。
2つ目は『赤い衣服事件』。
3つ目は『軍のミサイル消滅事件』だった。

空白の7月19日事件の真相はstudentによる偽装工作。
的場との一件の後にその日に起こった出来事を人の記憶からもコンピュータのデータからも抹消した。
一般人の視点で見れば"過ごしたはずもない1日が何故か終わっていた"という現象だ。

赤い衣服事件は今、学園都市で薄っすらと噂になっている事件で学園都市の重役やその補佐などを務める者たちが相次いで行方不明になるという事件。
詳細については様々なものが出ているが、行方不明者が最後に目撃されたポイントには血のようなもので真っ赤に変色した服があったらしい。
しかし、どれも共通して外部からの攻撃が一切発見されないのが最大の謎だった。

軍のミサイル消滅事件に関しては、一時期大々的にニュースになっていたのでよく知っている。
この事件があったのも空白の7月19日事件とほぼ同時期に起こっていた。

「この3つの事件。 仁はどう思ってるの?」

仁は腕を組んで右手を口元に伸ばし、下唇を人差し指でなぞる。
仁いわく、これが集中している時の癖らしい。
そして、1つの答えを出した。

「ミサイル消滅と空白の7月19日はまったく同日の事件だったとかならどうだろう。」

「同日の事件?」

仁は下唇をなぞる人差し指を立てて話し出す。
これも仁独特の癖である。

「つまりミサイルは普通に強奪されていて、その後に空白の7月19日事件が発生したんだよ。 あの日の記憶はすべての人が知らない。 ならミサイルを奪われたことも忘れてしまってたんじゃないかな。」

仁はあくまで推測を語っているが、正解である。
2つの事件は同時に起こっていたのだ。
故に、軍は事件によってミサイルの強奪を忘れてしまっていた。

しかしここで佳奈が痛い所をついてきた。

「でも、赤い衣服事件との関連性はないの?」

「それは.........。」

「もう、昨日までは全部関連してるだなんて言ってた癖に今日は今日とで内容が違う。」

「...........ごめん。」

仁が素直に謝る。
これにはさすがの佳奈も言い過ぎたと反省した。

「ちょっと気分転換で散歩でもしない?」

「うん、分かった。」

反省も兼ねて仁と近くのコンビニまで買い物に行く。
いつもは基本、仁が佳奈の分も買っているんだが、今日ばかりは佳奈が仁の分も買ってあげた。

「もう、ココア1つなんて....遠慮なんかいいのに。」

「いいんだよ。 ココアが飲みたかったんだし。」

仁は缶のココアを飲もうと口を近付けたが猫舌なのか少し身震いした。
佳奈はそれを見てクスクスと笑った。 
 

 
後書き
第2章1話いかがでしたでしょうか?
もしもここから見始める人はラブコメかよとか
思うかもしれませんがそんなことはありません。
次回もお楽しみに。 
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