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ラブライブ! コネクション!!

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  活動日誌18 わんだふる ・ らっしゅ! 2 『まきりんぱな』

 どうやら、まだ絵里さんと希さんが加入する前の7人だった頃。
 お姉ちゃん達は『ラブライブ!』の第1回大会が開催されることを知った。
 そして、エントリーする為には学院の許可が必要らしくて、理事長室へ直談判(じかだんぱん)に行ったらしい。
 ほら? 絵里さんに言っても「認められないわぁ」って言われるだけだからって。
 あっ、これは凛さんとにこ先輩が言っていたんですよ? 私は話を聞いただけですからね! 信じてくださいね? 絵里さん。
 そんな感じで理事長室へ向かったんだけど、運の悪いことに絵里さんと希さんに鉢合わせたみたい。
 当然、生徒会長の絵里さんは認められないわぁ(猛反対)をしていたらしいんだけど、理事長先生がエントリーに必要な学院の許可を出してくれた。
 その際に『テストでの赤点者を出さないこと』と言う条件が出された。
 まぁ、学業を(おろそ)かにして、学院の為のスクールアイドル活動を始めるのは本末転倒だしね?
 元々スクールアイドルをしてもらう為に入学している訳でもないんだし。
 それこそ、赤点なんて取っていたら絵里さんが完全に許すとは思えないもん。なんてね。
 その話を理事長先生から聞かされた時に、ことりさんは「そんなことある訳ないよ」と笑っていたんだけど?
 お姉ちゃんと凛さん――それに、にこ先輩はその場にカックリと項垂(うなだ)れていた。
 そう、3人とも苦手教科があって、赤点になる可能性があったみたい。
 そんな事実を知った時に、お姉ちゃんが海未さん達に対して、テーブルに指をついて神妙な顔つきで頭を下げながら――
「大変申し訳ありません!」と言ったらしいんだけど、その横で即座に「ません!」と繋いで言っていたんだって。
 確かにお姉ちゃんの直後に言ったのなら適用する――いや、するのかな? まぁ、するとして!
 いない場所で単独に使って適用される訳もなく、ただ花陽さんに怒られるだけだった。
 とは言え、そこは花陽さんですからねぇ? それに凛さんも反省しているみたいだったし。
 お姉ちゃんを怒ることりさんみたいな雰囲気のおかげで、私達もほのぼのしながら眺めていられたのだった。

♪♪♪

「……ねぇ? 雪穂ちゃん達は、これから時間空いてる?」
「「「――えっ?」」」

 凛さんへのお説教を終えた花陽さんは、突然思いついたような表情で私達を見つめると、このあと時間が空いているかどうかを訊ねてきた。
 花陽さんの言葉に驚いた私達は、お互いに見つめ合い(うなず)くと――

「はい、大丈夫です……何かあるのですか?」

 代表して涼風が答えて、このあとに何があるのかを訊ねた。
 そうしたら、花陽さんは笑顔で――

「うん……これから真姫ちゃんの家に行ってみない?」

 そんなことを提案するのだった。
 えっ? 真姫さんの家?? 私達が!?
 さっきと違う意味で顔を見合わせる私達に――

「ほら? 私達、これから真姫ちゃんの家に、生徒手帳を届けないといけないからね?」
「……えっ? かよちん届けてあげるの?」
「凛ちゃんが! ね?」
「……そうだったニャ」
「……だから、もし良かったら一緒に来ない? 詞を渡したいんでしょ?」
「でも、お邪魔(じゃま)では?」
「もちろん、本人がいなければ帰るんだけどね?」
「いえ、花陽さん達のお邪魔なのかなーって」
「あぁ、そっち? 別に邪魔だなんて思わないよ」
「……そう言うことなら、ご一緒します」
「うん! それじゃあ帰ろっか?」

 優しく理由を教えてくれた。
 花陽さん達は落とした生徒手帳を渡す為。私達は詞を渡す為。
 どうせ自分達も行くのだから、一緒に行こうと言ってくれたのだった。
 とは言え、花陽さん達にとっては友達だけど、私達にとっては先輩だから。
 いくら部活の先輩だからって、急にお邪魔するのはどうなんだろうって思っていた。
 だから、涼風がお邪魔じゃないかと訊ねたんだけど、花陽さんは家の人へのお邪魔だと思ったらしい。
 花陽さんの言葉を受けて、亜里沙が花陽さん達のお邪魔になるのでは? と聞いてみると、納得したような笑みを浮かべて、問題がないことを伝えてくれた。 
 隣で聞いていた凛さんも笑顔で頷いてくれていたので、私達は顔を見合わせて無言で頷く。
 私の表情も2人と同じだろう。2人は初めて訪れる真姫さんの家に期待が(ふく)らんでいる表情でお互いを見つめていたのだった。
 花陽さんと凛さんに、私が代表で答える――連れて行ってもらいたいことを伝えた。
 そんな私の答えを聞いて、笑顔で頷いた花陽さんは席を立ち上がると鞄を持って、私達に声をかけるのだった。

♪♪♪

 部室の戸締(とじま)りを終えて、部室の鍵を返却する為に花陽さんと凛さんは職員室へ立ち寄る必要がある。
 その為、私達は先に――ごめんなさい。私達は教室へ向かったのだった。
 いや、だって部室にはノートしか持ってきていなかったからね。
 ほら? 真姫さんがいれば、渡すだけだし? いなければ、すぐに戻ってくるだけなんだから。
 鞄はロッカーに入れっぱなしだったんだよね。
 そんな理由から、私達は先に昇降口で靴を履き替えて、花陽さん達とは校門で落ち合うことに決めていたのだった。

「…………」

 私達は自分達のロッカーの前まで来ると、それぞれのロッカーを開けて自分の鞄を取り出す。
 私は鞄を開けると、手に持っていたノートを鞄の中にしまうのだった。
 今日は体育も部活もないから普段よりも隙間のある空間。
 もちろん勉強道具とかは入っているけどね?
 そんな、鞄の中に立てて並べられている背表紙達の間に手を入れて、私はノートを差し込む場所を探していた。だって、このノートには入れる場所があるのだから。
 指を動かして背表紙達を移動していた私の目に、少しくたびれたノートの背表紙が映りこむ。
 まだ入学して1ヶ月くらいしか経っていないから、周りの教科書もノートも真新しい背表紙ばかり。その中に紛れている、くたびれた背表紙。
 私は一瞬だけ、そのノートを眺めると手に持っていたノートを隣に差し込むのだった。
 だけど、このくたびれたノート。実は周りの教科書やノート達よりも私と過ごしている時間は短いんだよ。
 別に粗末に扱っている訳ではないんだけどね? ただ、私と一緒にいる時間が、そうさせているだけなんだよ。
 私はその、くたびれたノートに「お疲れ様……今日はゆっくり休んでね?」って思いをこめた微笑みを浮かべてから――
 隣に入れた新しいノートに微笑みを浮かべて鞄を閉めるのだった。

♪♪♪

 校門で落ち合った私達は、花陽さんと凛さんの誘導で真姫さんの家を目指して歩いていた。

「……そう言えばさ?」
「なぁに、かよちん?」 

 そんな道すがら、唐突に思い出したかのように花陽さんが凛さんに声をかけていた。
 花陽さんの言葉に凛さんが呼応すると――

「真姫ちゃんの生徒手帳って何処に落ちていたの?」

 不思議そうな表情で、そんなことを訊ねるのだった。
 その質問に対して凛さんは――

「んーとねぇ? 確か……凛達のライブのチラシが置いてあった机の下だったような……?」
「……プププッ! クククッ……あはは」
「――ど、どうしたんですか?」

 記憶を呼び戻すように空を(あお)いで、生徒手帳が落ちていた場所を教えてくれた。
 それを聞いていた花陽さんが突然、何かを思い出したように笑い出す。前触れもない笑いに驚いた涼風は、花陽さんに心配そうな表情で声をかけていた。
 すると――

「あはは……あっ、ごめんね? 去年のことを思い出しちゃって……」

 目尻に溜まった涙を人差し指で(ぬぐ)いながら、花陽さんが答えてくれたのだった。
 
「あのね? 実は去年の……穂乃果ちゃん達が作ったスクールアイドル募集――と言うより、最初に作ったライブ開催や名前募集にペンで訂正しただけ(・・・・・・・・・)のポスターなんだけど」
「あはははは……」
「ファーストライブが終わってからね? ちょうど去年の今頃かな? まだ私も憧れてはいたけど、踏み出す勇気がなかった頃なんだけどね。ちょうどポスターの貼られている場所の前に置かれた、募集用のチラシが置いてあった机の前にいた真姫ちゃんを見かけたことがあったの」
「はい……」
「もちろん、当時は全然話したことがなかったし、私もこんな性格だから……立ち去るのを隠れて見ていただけなんだけど」
「はい……」
「立ち去ったあとにチラシの前まで行ったらね? 廊下に落ちていた真姫ちゃんの生徒手帳を見つけたんだ?」 
「そうなんですか?」
「うん。それで、ないと困ると思ったから職員室で住所を聞いて届けに行ったの……あっ、その帰りにお母さんにお土産買って行こうと思って立ち寄った和菓子屋さんに穂乃果ちゃんが居たんだよ?」
「……あー、あの日だったんですね? ……あの時は大変お見苦しいところをお見せして」
「う、ううん……私が訳もわからずに勝手に開けちゃったんだし……あの時はごめんね?」
「……? ねぇねぇ、雪穂ぉ? 何の話?」
「――何でも良いのっ!」

 途中まで思い出話をしてくれていた花陽さんに相槌(あいづち)を打っていた私達だったけど、ちょうど初めて花陽さんが私の家――お姉ちゃんの家に来た日だったみたい。
 思い出したように話を繋いでいたので、私はあの日を思い出して、恥ずかしくなって顔を赤らめて謝罪した。
 すると、花陽さんは苦笑いを浮かべて謝罪を返してくれたのだった。
 そんな2人のやり取りを聞いていた亜里沙は、私に何があったのかを訊ねてきたんだけど。
 あんな恥ずかしいことを話せる訳ないじゃん! 
 だから強引にでも話を切り上げようとしたのだった。
 まぁ、私の気迫(きはく)に押されたのか――真っ赤な顔で焦って言ったから察してくれたのか。
 それ以上言及(げんきゅう)されなかったんだけどね? 思い出すだけでも恥ずかしいな。
 そんな私の表情を見て、優しく微笑んだ花陽さんは言葉を繋げるのだった。

「それでね? その日に真姫ちゃんの家にお邪魔して……色々話をして……穂乃果ちゃん達に会って……それで凛ちゃんと真姫ちゃんに背中を押してもらって、私は μ's に入ることが――アイドルになることができたんだよ?」
「かよちん……」

 花陽さんは嬉しそうに、そして感謝の気持ちのこもった微笑みを凛さんに向けて――その後、少しだけ遠くを眺めてから、私達に話してくれた。
 きっと真姫さんとお姉ちゃん達に想いを()せていたのだろう。
 そんな微笑みに、満面の笑みで返していた凛さん。
 そして、そんな暖かい空気に包まれて微笑みを浮かべていた私達。
 私達の知らない花陽さん達の話を聞きながら、真姫さんの家を目指して歩いていたのだった。 
 

 
後書き
Comments 花陽

今日はお休みで、誰も来ないって思っていたからビックリしちゃったよ。
でも、良いタイミングだったのかもね?
せっかく部活の仲間になれたんだし、先輩の家にもお邪魔するのは良いことだと思うよ?

……とは言っても、私じゃなくて真姫ちゃんの家なんだけどね?
その内、私の家にも招待するから遊びに来てね?
あっ、でも……ちょっと待ってて?
うん。新米の美味しい季節になったら遊びにおいでね?
美味しいホカホカでツヤツヤの新米をご馳走するから!

とりあえず、真姫ちゃんの家の訪問を楽しんでいてね? 
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