剣聖がダンジョンに挑むのは間違っているだろうか
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第3話・改訂版(一部編集)
前書き
今回登場するテレシアさんの私服は黄緑色のエプロンドレス(リゼロ原作)
あと、ヘスティア・ファミリアは全員が斬魄刀&死神能力持ちor滅却師能力持ちだったりします。(笑)
内訳は後書き参照。(笑)
【視点:テレシア】
どうも。3ヵ月振りに本拠地に帰ると主神のヘスティア様に恨めしいと言わんばかりの膨れっ面で睨まれたテレシアです。
睨まれた原因は分かっています。私がベル君と手を繋いで帰って来たことと、私と手を繋いでいたベル君が顔を赤らめていたのが原因です。
手を繋いで理由――私がギルドで換金した額に驚き、呆然となっていたベル君を連れて帰る為、仕方なく手を繋いでいたと説明したら渋々といった感じでヘスティア様も納得してくれましたけど。
というか別に恋人繋ぎをしていた訳でもないのに、手を繋いでいただけで嫉妬とか大人気無いにも程があるでしょう。……あっ!うちの主神はロリ巨乳。身長相応に精神年齢も子供でした。
そんな精神年齢がお子様なヘスティア様ですが、派閥の主神らしく夕食時に私の帰還祝いをしてくれました。ヘスティア様のバイト先の売れ残り―――多種多量のジャガ丸くんで。
正直、ジャガ丸くん尽くしの帰還祝いで喜ぶのは、どこかの【剣姫】だけです。まぁ、豪勢な料理を出されても私は少食なので、食べきれないという結果は同じですが。
ジャガ丸くんは揚げ物なので、私の場合2個食べただけで胃がもたれますし。というか、ヘスティア様は何を考えてジャガ丸くんを35個も持って帰って来たんでしょう?というか、何で36個も売れ残った?
というか、ベル君と2人でジャガ丸くんを18個ずつも食べる気だったんでしょうか?そんなことをすれば、次の日に胃もたれを起こして寝込むこと位は考え付くと思うんですが……。
まぁ、うちの派閥には2年前に私が購入した魔導冷蔵庫があるんで、残ったジャガ丸くんを保存できるんですけどね。ちなみに2人――正確には1人と1柱は4個目を食べ終えた所で胃もたれを起こしました。
あと、帰宅時に本拠地の前で偶然にも鉢合わせた他の皆は、私より一足早く豊穣の女主人に行ってたみたいで、ジャガ丸くんに全く手を付けませんでした。
と、ここまでが昨日の夜にあった大体の出来事ですね。で、ここからが現在――午前5時前後の私の話です。私は現在、絶賛料理中です。
一応、料理スキルを持っているので料理上手なんです。作ってる料理はコロッケスープならぬジャガ丸くんスープ(ヴィシソワーズ風)です。
一晩経ったとはいえ、ジャガ丸くんを4個も食べたヘスティア様とベル君はまだ胃がもたれているだろうから、胃に優しいものを作ることにしたんです。
そして、昨日のジャガ丸くんも消費できる画期的な料理がこの冷製ジャガ丸くんスープ。スープだからお腹に入れ易い上、原形を留めない程潰したとはいえ、元がジャガ丸くんなので腹持ちもそれなりにいい料理なんです。
と、こんな説明をしている間にベル君が起きた様です。リビングダイニングに相当する部屋から微かな物音が聞こえてきます。
私は常備されているスープカップに冷製ジャガ丸くんスープを入れてリビングダイニングに向かうと、床に座り込んで赤面しているベル君がいました。
ベル君の視線の先にはベル君が昨日寝ていたソファーがあり、そこにはヘスティア様が寝ている。そういえば、添い寝イベントがありましたね。
「ベル君、おはようございます」
「!!?……お、おはようございます」
「これ、朝ご飯です。まだ胃がもたれていると思って冷製スープにしてみました」
「あ、ありがとうございます」
私が朝の挨拶と共に冷製ジャガ丸くんスープを渡すと、ベル君は律儀にお礼を言ってきた。本当、いい子ですよね。
「朝、早いんですね。いつもこんな時間に起きてるんですか?」
「は、はい。元々田舎暮らしをしていて、畑仕事に駆り出されたりしてたんで、早起きに慣れていて」
「そうなんですか。今日はこれから迷宮に?」
「はい。テレシアさんは?」
「私はミアハ・ファミリアの本拠地に行ったりしますね。依頼されてたアイテムの受け渡しとか、回復薬開発の手伝いとかあるので」
「え?テレシアさんも神様みたいにアルバイトをしてるんですか?」
「ん~、アルバイトじゃなくて互助精神でしょうか?私達ヘスティア・ファミリアとミアハ・ファミリアは同盟派閥ですから」
「え、ええ!?うちの派閥とミアハ・ファミリアって同盟関係だったんですか!!?」
「あれ?知りませんでしたか?他にもタケミカヅチ・ファミリアやヘルメス・ファミリアとも同盟関係なんですよ。だから、私が深層から戻った時とかに素材系アイテムを提供したりしてるんです。
勿論、ただで渡したりはしてませんよ。ミアハ・ファミリアとか回復薬買う時安いでしょう?」
「はい。いつも表示価格の半額で売ってくれます」
「それ、私が素材を取って来たり、回復薬開発を手伝ったりしてるからなんですよ。ヘルメス・ファミリアも魔導具開発を頼んだら、オーダーメイド品を安く作って貰えます。
まぁ、零細派閥同士の持ちつ持たれつの関係ですね。ヘルメス・ファミリアは零細ではなく中堅派閥ですが」
「はぁ~…、そうだったんですか」
ヘスティア様から教えて貰っていなかった派閥の実態に驚きっぱなしのベル君。驚いている姿も可愛い。私、こんな弟が欲しかったんです。
「タケミカヅチ・ファミリアは鍛錬に付き合って貰ったり、パーティに入れて貰ったりできます。ベル君さえ良ければ今度頼んでおきましょうか?」
「えっと、それはまたの機会でお願いします。僕、冒険者になってまだ半月の新人ですから、他の派閥に迷惑はかけたくないですし」
「そうですか。それじゃあ、パーティ組みたい時は私かネコネ、ルルティエ、キウル、ムネチカ、エミリア、レム辺りに言って下さい。予定が無ければ、一緒に迷宮に潜ることもできるので。同じ派閥の眷属なら遠慮する必要もありませんし」
あっ、今更ながら説明しておきます。派閥の同眷属に「うたわれるもの」と「Re:ゼロから始める異世界生活」、「盾の勇者の成り上がり」のキャラがいます。
皆に初めて会った時は驚きました。思わず、「何であなた達がこの世界に居る」ってツッコミを入れそうになったくらいです。
ちなみに、うたわれキャラはネコネ、ルルティエ、アトゥイ、ノスリ、オウギ、キウル、ムネチカ、ヤクトワルト、シノノンの計9名。内シノノンは冒険者じゃありません。
リゼロキャラはエミリア、レム、ラムの計3名。盾勇キャラはアトラとフォウルの計2名です。……もしかしたら、エミリアがクオンポジでレムラムがウルサラポジなのかもしれません。アトラとフォウルはユズハとオボロポジでしょうか?
あっ、皆のLV.も言っておきましょうか。ムネチカ、ヤクトワルトがLV.6。オウギ、アトゥイ、エミリア、アトラ、フォウルがLV.5。ノスリ、キウル、レム、ラムがLV.4。ネコネ、ルルティエがLV.3です。
「はい、その時は宜しくお願いします。ところでテレシアさん」
「何ですか?」
「パーティを組む人がテレシアさんを含めた7人に限定されてるのには意味があるんですか?」
「……私を含む7人以外と組むと、いきなり中層まで行くことになり兼ねないだけです」
「………分かりました。テレシアさんの挙げた人以外とはパーティを組まない様にします」
「その方がいいです。……ところでベル君」
「はい。何ですか、テレシアさん?」
「君の寝ていた筈のソファーに何でヘスティア様が寝てるんでしょう?もしかして、昨日はヘスティア様と寝―――」
「て、テレシアさん!僕、そろそろ迷宮に行きますね!よ~し、今日も稼ぐぞ~!!」
私がソファーで寝ているヘスティア様のことを聞こうとすると、ベル君は迷宮探索用の荷物を纏め始め、足早に地上へと繋がる扉へと向かった。そして、扉のノブに手を掛けると何かを思い出したかの様に私の方に振り返り―――
「テレシアさん、スープ美味しかったです。御馳走様でした。あと、行って来ます」
「お粗末さまでした。そして、行ってらっしゃい」
食後と出発の挨拶を律儀に言ってきたベル君を私は返答しながら見送った。そして―――
「………ヘスティア様、そろそろ狸寝入りはお止めになられては?」
「……………テレシア君とベル君の阿呆」
「ヘスティア様の恋愛に口を挟む気はありませんが、14歳の子供に手を出すことだけは止めて下さいね。せめてベル君が15になるまで既成事実は我慢して下さい」
「……分かってるよ。というか、テレシア君はボクをどんな目で見てるんだい?」
「私の居ない間に変わり果ててしまった色ボケ女神」
「酷い認識だ!?これでもボクはアテナやアルテミスと一緒で三大処女神と呼ばれてるんだぞ!」
「貞潔な女神は幼気な少年の寝ているソファーに忍び込んだりしません」
「うっ!」
「そんなことより早く朝ご飯を食べて下さい。私も2時間後にはミアハ様の所に行くんですから、それまでに家事を終わらせたいんです」
「……は~い。分かったよ、テレシアお母さ~ん」
「誰がお母さんですか?私はヘスティア様の様な大きい娘がいる歳じゃありません。まだ16歳です」
「分かってるよ~。ところで今日の朝ご飯は何だい、テレシア君?」
「私とベル君の話を途中からでも聞いていたなら分かるのでは?冷製スープですよ。ヘスティア様の大好きな―――」
「ジャガ丸くんスープかい!?」
「はい。すぐに持って来るので待ってて下さいね」
ベル君が出掛けた後のヘスティア様との遣り取りは、ベル君が来る前と割と変わりませんでした。余り認めたくはありませんが、母娘の遣り取りです。どっちが母でどっちが娘かは明言しませんが。
【視点:ベル】
「……神様がソファーで寝てたことを誤魔化そうと思って予定より早く本拠地を出たけど、よくよく考えると誤魔化せてないよね。テレシアさんが変な誤解をしてたらどうしよう……」
いや、ちゃんと説明したらテレシアさんも分かってくれる筈。朝のことで何か聞かれたり、変な気遣いをされたら誤解だってことをちゃんと話そう。
僕はそんなことを考えながら人影の少ない早朝のメインストリートを迷宮のある摩天楼に向かって歩いていた。すると――
「あの…」
「!?」
背後から急に声を掛けられた。気配を感じなかったこともあって身構えながら振り返ると、どこかの料理屋の店員と思しきヒューマンの女性が立っていた。
そして、その掌には冒険者なら誰しもが見覚えのある小さな紫紺の結晶――魔石が乗っていた
「冒険者さんですよね?これ、落としませんでしたか?」
「えっ!?ちょ、ちょっと待って下さいね!」
そういえば、昨日はギルドでテレシアさんの情報を聞いただけで、魔石を換金するのを忘れてた。僕は慌てて魔石入れとして使っている巾着袋の中身を確認する。
その結果、昨日手に入れていた魔石の数より1個少なくなっていることが判明した。巾着袋の紐が緩んでいた為、魔石が落ちたのはそれが原因だろう。
「す、すみません。それ、僕のみたいです。拾って下さって、ありがとうございます」
「いえ、どういたしまして。……こんな朝早くから魔石を持ち歩いているということは、もしかして一晩中迷宮に潜ってたんですか?」
「これは昨日換金し忘れた魔石で、これから迷宮に潜る所なんです。今日も夕方まで潜ろうかと思って……。あっ!店員さんって、この辺りのお店とか詳しいですか?」
「え?はい。まぁ、それなりに詳しいとは思いますけど」
「よかったら安いお弁当屋さんとか教えて貰えませんか?僕の所の派閥、神様もバイトしてる零細派閥だから、お昼ご飯を安く済ませたいんですよ」
「……ふふっ、ちょっとここで待っていて下さいね」
店員さんはそう言うと、すぐ近くのお店―――豊穣の女主人という酒場(?)へと入って行った。そして、ものの数分で戻って来た彼女の手には1つのバスケットが―――
「これ、よかったらどうぞ。お店の賄いじゃなくて私が作って来たのなんですけど」
「ええっ!?それって、あなたの朝ご飯とかですよね?それを貰うなんて悪いですよ!」
サンドイッチの入ったバスケットを差し出して来る店員さんに申し訳なく思い、僕が遠慮すると―――
「冒険者さん、これは1つの等価交換です。私がお弁当を渡すので、冒険者さんは今日頑張って稼いで下さい。そして今晩、私の働く豊穣の女主人で晩御飯を召し上がって下さい」
「………」
「お客さんが1人でも多く来てくれれば私の給金も上がるので、知り合いの方も連れて来て頂けると嬉しいです」
「……そういうことなら遠慮なく頂きますね。同じ派閥に先輩が何人かいるので、その人達と一緒に伺おうと思います」
「はい。ご来店、お待ちしていますね」
「……そういえば、自己紹介をしてなかったですね。僕、ベル=クラネルって言います」
「ベルさんですね。私はシル=フローヴァです」
僕はシルさんと笑い合いながら名前を交わし合った後、迷宮の入口がある摩天楼へと向かって再び歩き出した。
……それにしても昨日のテレシアさんに続き、今日は酒場の店員であるシルさんと出会えた。やっぱり、迷宮都市に出会いを求めるのは間違ってなかったんだ。
【視点:ヘスティア】
今日も朝8時から夕方の17時まで働いたんだけど、やっぱりバイトって疲れるな~。ヘファイストスの所で引き籠っていた時が懐かしい。
えっ?いきなり時間が飛び過ぎ?そんなことボクは知らないよ。ベル君は朝からずっと迷宮に入ってモンスターと戦ってるんじゃないかな?
つい先日、ミノタウロスに襲われたばかりだから1~2階層の探索しかしてないと思う。1~2階層は最弱のモンスターと名高いコボルト位しか出ないみたいだから。地道に経験値と魔石を稼いでいる筈だ。
テレシア君はミアハの所で回復薬開発の手伝いだったかな?テレシア君が商品開発を手伝い始めてからミアハの店は隠れた名店として知られている。
なんたって、薬屋なのに回復薬だけでなく特殊効果付の防具とかも売られてるからね。例えば、戦闘時回復鎧とか。開発者と命名者はテレシア君だそうだ。
あと、テレシア君が良く利用している店として一部の冒険者にも知られているみたいで、収入もそこそこにあるらしい。2~3年前まで莫大な借金があったみたいだけど、今ではそれも返済済みだそうだ。
借金の話をすれば、ボクも4年前までヘファイストスに生活費等でしてたけど、それもテレシア君のお蔭で完済できた。まぁ、そんなことがあったからこそ、テレシア君が頑張って稼いでくれている今でもボクはバイトを続けているんだけどね。
ネコネ君とアトゥイ君、ルルティエ君、キウル君、エミリア君、レム君、ラム君の7人はオラリオ内にある実家に一時帰宅すると言ってたかな。多分、数日は帰って来ない、というか帰って来れないだろう。
ヤクトワルト君とシノノン君、ムネチカ君の3人はタケの所の眷属達に泊まり込みで武術指南をしに行くと言ってた。この3人も2~3日は帰って来ないと考えていいだろう。
ノスリ君とオウギ君、アトラ君、フォウル君の4人はオラリオ外の実家に一時帰省すると言ってた。10日位で帰って来る予定だったかな?
つまり、暫くの間はテレシア君とベル君の2人と3人だけで過ごすという訳だ。っと、そんな説明をしている内にマイ本拠地に着いてしまった。まだ2人とも帰ってないかな?
「ただ~いま~」
「お帰りなさい、ヘスティア様」
一応言っておくけど、僕は本拠地に誰も居なくても帰宅時の挨拶をする派だ。今回はテレシア君がいたけど。
「ただいま、テレシア君」
「お帰りなさい、ヘスティア様。そして、私もただいまです」
「うん。お帰り」
帰宅時の挨拶を互いにしながら僕が普段から外出時に着ている外套を脱ぐと、テレシア君は自然な流れでその外套を受け取り、クローゼットへとしまってくれた。
………この遣り取りだけ見ると、ボクとテレシア君が夫婦みたいだ。ボクが夫役でテレシア君が妻役。どうせならベル君が夫役でボクが妻役をやりたい。
「―――ティア様?あの、ヘスティア様?」
「ん?ああ、ごめんよ。少し考え事をしていて」
「考え事ですか?……まさか、疚しいことじゃないですよね?「今晩、ベル君をどう襲おうか?妄想するだけでよだれが出そうだ。グヘヘヘヘ~」とか、そんなんじゃないですよね」
「て、テレシア君!君にはボクがそんな変態に見えるのかい!?」
「少なくとも14歳の少年が寝ている所に忍び込む変態だとは思っています」
「う゛っ!」
今朝のことを持ち出されたら何も言い返せない。けど、ここで変態と認めてしまうと、変態親父神の同類となってしまう。それだけは絶対に嫌だ!!
ボクが必死になってテレシア君に刻み込まれそうな変態という認識を払拭する打開策を考えていると―――
「まぁ、そんなことはさて置き」
「そんなこと!?ボクが変態か否かの重要な話が「そんなこと」なのかい!!?」
「疲れている所申し訳ないんですが、ベル君が帰って来る前にステイタス更新をお願いしてもいいですか?」
「ボクの話は完全スルーかい?」
「いくら年下とはいえ、異性の前で半裸になる勇気は私には無いので、ベル君が帰って来る前にステイタス更新をお願いします。変態予備軍神様」
「ちょっと待ってくれ、テレシア君。君は今、何と書いてヘスティアと呼んだ?」
「いくら年下とはいえ、異性の前で半裸になる勇気は私には無いので、ベル君が帰って来る前にステイタス更新をお願いします。変態予備軍神様」
「いや、同じことを全文言わなくても―――」
「いくら年下とはいえ、異性の前で半裸になる勇気は私には無いので、ベル君が帰って来る前にステイタス更新をお願いします。変態予備軍神様」
「……君はNPCか―――」
「いくら年下とはいえ、異性の前で半裸になる勇気は私には無いので、ベル君が帰って来る前にステイタス更新をお願いします。変態予備軍神様」
「分かった!分かったよ!!ステイタス更新をするから変態予備軍神と書いてヘスティアと読むのは止めてくれ!!」
これ以上変態予備軍神と呼ばれたらボクの精神が0になりそうだったので、大人しくテレシア君の言うことを聞くことにした。
本拠地のリビングダイニングに1つだけ置いてあるベッド。仮眠用 兼 来客用として用意してあるそれに背中を晒した状態でテレシア君が俯せに寝転がった。
そんなテレシア君にボクは跨り、その背中に神血を一滴染み込ませる。すると、いつもの様に波紋が背中に刻まれたステイタス全体に広がった。
ボクは綴られていた神聖文字が薄れるのを確認すると、新しい文字に塗り替え上書きしていった。これがどの神でも共通しているステイタス更新のやり方だ。
で、テレシア君のステイタスは―――
テレシア=ヴァン=アストレア
LV.10
力……S922(EX9922)→S999(EX9999)
耐久…S905(EX9905)→S999(EX9999)
器用…S935(EX9935)→S999(EX9999)
敏捷…S938(EX9938)→S999(EX9999)
魔力…S930(EX9930)→S999(EX9999)
剣士…A→S
騎士…B→A
弓兵…B
槍兵…B
神秘…D→C
精癒…D→C
魔防…D
拳打…E→D
治療…E
【魔法】
≪ゴーア≫
≪ヒューマ≫
≪フーラ≫
≪ドーナ≫
≪サーガ≫
≪スーラ≫
≪シャマク≫
≪トーカ≫
【スキル】
≪剣聖の加護≫
≪技能の加護≫
≪譲渡の加護≫
≪陽光の加護≫
≪暗黒の加護≫
≪涙天の加護≫
≪炎熱の加護≫(NEW)
≪氷雪の加護≫(NEW)
≪流水の加護≫
≪魔窟の加護≫
≪死神の加護≫
≪仮面の加護≫
≪滅却の加護≫
≪剣技の加護≫
≪魔導の加護≫
≪呪傷の加護≫
≪矢避けの加護≫
≪初見の加護≫
≪再臨の加護≫
≪獅子の加護≫
≪正常の加護≫
≪刀神の加護≫
≪鍛冶の加護≫
≪薬師の加護≫
≪歌姫の加護≫
≪料理の加護≫
≪細工の加護≫
≪音楽の加護≫
≪土木の加護≫
≪建築の加護≫
「あ、相変わらずアビリティが出鱈目な成長――いや、これはもう成長じゃなくて飛躍だね。それに魔法とスキルの数も出鱈目だ。それに3ヵ月前には無かった加護が増えてるね。また、生み出したのかい?」
神聖文字は基本的に下界の子には解読できない為、一般的に使用されている共通語に訳す必要がある。
だから、ボクはステイタスの概要を共通語で羊皮紙に記し、それをテレシア君に渡しながら尋ねた。すると―――
「深層には炎熱迷宮と氷雪迷宮の階層があるんです。サラマンダー・ウールさえあれば耐えられる環境の迷宮なんですが―――」
「スキルを生み出したってことはサラマンダー・ウールを持って行き忘れたか、迷宮で紛失したんだね?」
「後者です。まぁ、正確にはモンスターとの戦闘中に破れちゃったんですけどね。サラマンダー・ウールは不壊属性の防具ではありませんし」
テレシア君は服装を直しながら、そう返してきた。不壊属性の防具って―――
「不壊属性の防具なんて、このオラリオでも作れるのは君を含めて10人居るか居ないかだろう?しかも、その殆どが鎧型でサラマンダー・ウールの様な外套型は無いって話じゃないか」
「そうなんですよね。まぁ、いつかは自分の手で作って見せるつもりですけど」
「全く君の向上心には驚くを通り越して呆れてしまうよ。……まぁ、迷宮探索をする以上、新しいスキルを生み出す必要がある時もあるだろうから、そのことに関しては厳しく言わない。
けど、君のステイタスを第三者に知られる様なことだけは避けてくれ。でないと―――」
「娯楽に飢えた神様達に狙われる、ですね?」
「そのことを分かってくれているならいいんだ」
「……いつも色々と心配を掛けてすみません」
「何を言ってるんだ、テレシア君?ボクは君やベル君みたいに迷宮でお金を稼ぐことも出来ないんだ。できることといえば、バイトと君達の心配をすること位さ。その位はさせておくれよ」
「そうですか」
ボクとテレシア君がそんな遣り取りをしていると、リビングダイニングと外が繋がっている扉が開かれ―――
「帰ってきましたー!ただいまー!!神様、テレシアさん!」
ベル君が元気な帰宅の挨拶と共に帰って来た。ベル君の帰宅の挨拶で先程までの若干シリアスな空気が吹き飛ばされてしまい、思わずボクとテレシア君は笑ってしまった。
「えっ?えっ?どうしたんですか、2人とも?いきなり笑い出して……?」
「ううん、何でもないよ」
「そうさ、何でもない。それよりもお帰り、ベル君」
「ベル君、お帰りなさい」
「あっ、はい。ただいま帰りました」
……さて、それじゃあ今日はこの子達の主神としてもう一仕事しようかな。まぁ、仕事って言ってもベル君のステイタスを更新するだけなんだけどね。
後書き
斬魄刀内訳は以下な感じです。
ネコネ=弥勒丸
アトゥイ=捩花
ルルティエ=袖白雪
オウギ=花天狂骨
キウル=銀嶺弧雀
ノスリ=銀嶺弧雀
ヤクトワルト=天譴
ムネチカ=断風
エミリア=双魚理
レム=五形頭
ラム=逆撫
アトラ=鈴虫
フォウル=風死
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