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Three Roses

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第十六話 姉妹が会いその九

「乱れるからな」
「後々ですね」
「そうしたことを決めていなければ」
「国が乱れる素になる」
「災いとなりますね」
「君主の家の争いは国を滅ぼす」
 まさにだ、そうしたものになるというのだ。
「だから我がロートリンゲン家はそうしたことを定めているのだ」
「既にですね」
「そうしているのですね」
「そして皇室が乱れない様にしている」
「国を衰えさせない様に」
「それはあってはならない」
 太子は毅然とした声で述べた。
「国を守る為にはな」
「それを避け」
「そして、ですね」
「無駄な血を流さず遺恨も残さない為に」
「家訓として定めていますね」
「肉親同士で争うなぞだ」
 太子はこのことには心から侮蔑を込めて言った。
「これ以上馬鹿な話はない」
「全くですね」
「よくある話ですが」
「兄弟こそ仲良くすべきです」
「そして共に家を栄えさせていくべきです」
「その逆に争うなぞ」
「まさに本末転倒だ」 
 こうも言った太子だった。
「まさにな」
「全くですね」
「それがあってはなりませんね」
「国を乱します」
「そして荒れさせてしまうので」
「最も災厄を被るのは民だ」
 太子は自国の彼等のことにも言及したのだった。
「民を楽しませるのが至高の冠を戴く者の責務だというのにだ」
「それを巡って争い民を苦しませるなら」
「それだけであってはならないことですね」
「君主になる資格がないですね」
「まさに」
「その通りだ、私も弟や妹達とは仲がいいつもりだ」
 太子にしてもというのだ。
「それが出来ないというのはな」
「悲しむべきことでありますね」
「愚かなことであり」
「愚の骨頂と言う他ない」
 まさにというのだ。
「よくある話だがな」
「そしてその他家の争いにでしたね」
「我々は付け込んできましたね」
「そのうえで乗っ取りもしてきた」
「そうしてきましたね」
「そうだ、我々は争わない様に気をつけているが」 
 ロートリンゲン家はというのだ。
「他の家の争いは歓迎してきた」
「そこに付け込めるので」
「あわよくば乗っ取れる」
「実際にそうしてきましたし」
「都合のいいことでしたね」
「そうだ、だがエヴァンズ家は我等のものに出来ることも可能だしだ」」
 しかもと言うのだった。
「王国に対してもらわないとならないからな」
「内輪揉めされては仕方ないですね」
「それは、ですね」
「それだけはですね」
「避けなくてはなりませんね」
「出来る限り」
「王国は我が国の重要な同盟相手だ」
 まさにというのだ。
「だからこそだ」
「何としてもですね」
「ここで姉妹で仲良くしてもらわないとですね」
「都合が悪いですね」
「我々にとってな、我々としてはだ」
 まさにとだ、また言った太子だった。 
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