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Three Roses

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第十六話 姉妹が会いその十

「この流れは歓迎すべきことだ、これを機にだ」
「姉妹が手を携えてこの国を治め」
「帝国に対してもらう」
「そうしてもらいますね」
「王国には我々も向かうが」
 しかしとだ、太子はここで難しい顔になりこうも言った。
「国内の諸侯も抑えなくてはならないしだ」
「近頃選帝候の方々がまた騒いでいますね」
「王国とお話している方もいますし」
「あの方々がおられるので」
「国内は常に不穏ですね」
「諸侯の力は抑えてもだ」
 それでもとだ、太子は帝室の者しかも次の皇帝として言った。
「それでもだ」
「はい、我が国は元々諸侯の力が強いので」
「特に選帝候の方々が」
 彼等の中には大貴族以外にも教会の枢機卿等もいる、彼等はその管区の大司教でもあり強力な領主でもあるのだ。
「強いので」
「権限を皇帝に集中し諸侯の力を削いでも」
「まだまだ強いですね」
「その諸侯を抑えないといけないですし」
「異教徒の存在もあります」
「そうだ、あの異教徒の国は強い」
 この国のことをだ、太子は言った。
「むしろ我が国よりもだ」
「さらにですね」
「強いですね」
「兵の数も多く」
「船まで多いです」
「あの者達が常にいる」
 それ故にというのだ。
「王国と戦わなくてはならないがな」
「それと共にですから」
「諸侯とその国のことがありますので」
「この国に頑張ってもらわないとですね」
「いけないですね」
「そうだ」
 それ故にというのだ。
「だから姉妹には仲良くしてもらわないとね」
「国が割れては」
「王国に向かうどころではありません」
「だからですが」
「この国には何としても」
「そうだ、一つになってもらうのだ」
 絶対にとだ、太子は側近達に強い声で言い切った。
「何としてもな」
「その為にですね」
「ここは手を打っていきましょう」
「お二方の融和の為に」
「この国に力を貸しましょう」
「そうだ、兄弟は争ってはならない」
 またこう言った太子だった。
「ましてや殺し合いなぞな」
「あの異教徒の国なぞそうですね」
「皇帝となる皇子以外の皇子は皆殺されますね」
「若しくは牢獄の中で飼い殺しです」
「贅沢な暮らしとのことですが」
「何故殺す必要がある」 
 相手が敵である異教徒だけにだ、太子はその言葉に憎しみと侮蔑の目を込めて言った。
「帝室の皇子程いいものはない」
「政治においてですね」
「まさに」
「そうだ、縁組で相手の家に入れてだ」 
 他国なり国内の諸侯のところにだ。
「その家の主にも出来るしだ」
「若しもの時はですね」
「その方が皇帝となられますね」
「皇帝は国の第一の僕だ」
 父である皇帝が常に言っていることだがこの太子もこう考えている。
「その皇帝に何かあればだ」
「その跡を継がれますね」
「そうなれるからですね」
「皇子は必要ですね」
「幾人でも」
「そうだ、それで何故だ」
 その異教徒の国についてだ、太子は忌々しげな口調のまま言うのだった。 
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