Three Roses
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第十六話 姉妹が会いその八
「そのうえで」
「結果を出していると」
「私はそう思います、卿がおられるなら」
それならばとだ、オズバルト公はロドネイ公にもこうも言ったのだった。
「マリー様も大丈夫です」
「いえ、私なぞは」
「私は嘘もお世辞も言いません」
オズバルト公はこのことははっきりと述べた。
「そうしたことは家訓で禁じられていて私個人もです」
「お好きでないと」
「はい、ですから」
「真実を言われているというのですか」
「そのつもりです、マリー様には優れた方々がおられますね」
家臣として、というのだ。
「あの方の宝でしょう、ですが」
「それでもですか」
「マイラ様にも私達がいます」
引かない言葉だった、全く以て。
「私に司教が」
「お二方が」
「あくまでマイラ様を盛り立てます」
「そうですか」
「はい、ですが出来るだけ卿達とはよき友人でありたいと思っています」
仕える主は違えど、というのだ。
「私も司教も卿等を嫌いではありませんので」
「それは私もです」
「ですから」
「そうですね、では」
「はい、それでは」
「仕える主は違えど」
「友人でありましょう」
「これからも」
二人でこう話した、そのうえでだった。
この日は二人はそれぞれの主を守っていた、それは太子も同じでだ。
王宮の警護を側近達にさせていた、そのうえで。
王宮の塔の最上階から王宮を見てだ、側近達にこう言ったのだった。
「これからだな」
「はい、あの王宮の中庭において」
「お二方の会見がはじまりますね」
「久しぶりに二人で会われる」
「それがはじまりますね」
「王家と不思議なものだ」
王宮の中の中庭の方も見下ろしてだ、太子はまた言った。
「血を分けた、母親は違えど兄弟でもだ」
「時として敵同士になりますね」
「疎遠にもなりますね」
「お妃様とマリー様の様に」
「そうなってしまいますね」
「そうだ、平民の家でもある話だがだ」
それでもというのだ。
「王家は特にだ」
「そうした話が多いですね」
「王位を争ったりもして」
「血を分けた肉親同士が殺し合う」
「そうしたことがままありますね」
「それがわかっているからだ」
太子はシニカルな口調になった、そのうえでの言葉だった。
「我がロートリンゲン家は家訓で定めている」
「主は必ず長子とですね」
「いなければ長女となり」
「決して争ってはならない」
「皇族の者同士が」
「冷遇してもならない」
皇族ならばというのだ。
「誰が母であろうともな」
「皇族として遇される」
「それも公平かつ大事に」
「そう定めていないとだ」
それこそともだ、太子は言ったのだった。
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