Three Roses
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第十六話 姉妹が会いその二
「あの娘は王家の信仰です」
「新教徒ですか」
「しかし私はその王家でありながらです」
「旧教徒だと」
「旧教徒であることに嫌悪はありません」
このことははっきりと答えた。
「むしろ誇りにさえ感じています」
「神の正しき教えだからですね」
「それを信じているのですから」
「だからですね」
「私は旧教徒であることを誇りに思っています、ですが」
「それでもですね」
「信仰も違います」
マリーとは、というのだ。
「ですから」
「お会いになられることは」
「退けてきました、ですが」
「はい、それはです」
「もう、ですね」
「お止めになってです」
そのうえでというのだ。
「お会いになってお話をされて」
「親睦をですか」
「深められて下さい、姉妹なのですから」
司教はマイラにここではあえてこう告げた。
「ですから」
「姉と妹だからこそ」
「共に手を携えられ」
そのうえでというのだ。
「この国を治めて下さい」
「私とマリーで」
「王家は常に一つであるべきですから」
「国を乱さず、ですね」
「その国を平和に治める為に」
まさにその為にというのだ。
「くれぐれもです」
「その様にですか」
「お願いします」
「その一歩として」
「まずはお会いになって下さい」
「そして話をして」
「そこからです」
まさにとだ、司教はさらに話した。
「絆を深めていかれ」
「そうしてですね」
「お二方で国の、エヴァンズ家の柱となって下さい」
「国の、ですか」
「そうです」
まさにというのだ。
「そうなられて下さい」
「エヴァンズ家の柱にもなって」
「左様です、お二方が共にご健在なら」
そして共に手を携え合っていればというのだ。
「必ずです」
「この国は、ですか」
「見事に収まります」
「私もまた柱ですか」
「その聡明さと信仰が」
「そうですか」
「では」
「はい、お願いします」
マリー、彼女と会うことをというのだ。
「その様に」
「そうですか」
「ではお会いになられますね」
「勅命です」
これがマイラの返事だった。
ページ上へ戻る