Three Roses
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第十五話 衰える身体その十五
太子は自身の側近達に笑って言った。
「あの王女に毒、か」
「それが危惧されています」
「我々がマリー王女に仕込むと」
「その様に」
「それは、だな」
その話が出た根拠についてもだ、太子は笑って言った。
「我が家の者が嫁いだ家では王位継承権を持つ者が次々と死んでだ」
「我がロートリンゲン家の方が王等になられている」
「このことからですね」
「我々ががそうすることが危惧されていますね」
「そうなのですね」
「そうだ、まあそのことはだ」
ロートリンゲン家がこれまで嫁いだ家々の噂についてだ、太子はこのことについても笑ってこう言ってみせた。
「私は知っているがだ」
「仰ることはない」
「それだけですね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「あえてそうしておこう、だが」
「それでもですね」
「マリー王女については」
「そうしたことはされないですね」
「私は毒を使うことは好まない」
太子ははっきりと言った。
「そして万が一マリー王女がこの国の王になってもだ」
「その際もですね」
「対策を既に」
「考えている」
まさにというのだ。
「既にな、彼女は夫がいない」
「ならば、ですね」
「そのお相手をですね」
「ロートリンゲン家から出す」
「そうすればいいのですね」
「それだけのことだ、妃が女王にならずともだ」
それでもというのだ。
「我が家には手があるしだ、あの北の国の王子にもだ」
「縁組をすればいい」
「まだまだ手はありますね」
「それ故にそうしたことは考えておられない」
「そうなのですね」
「これは私の独り言だ」
笑って言う、つまり彼の答えではないというのだ。
「毒は最後だ」
「それを使われることは」
「そうだというのですね」
「だからですね」
「今は、ですね」
「使われないのですね」
「独り言だ」
またこう言った。
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