| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

DQ5~友と絆と男と女  (リュカ伝その1)

作者:あちゃ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

37.友情とは何時までも美しい物。愛情はどうだろうか?

<サラボナ-ルドマン邸>
ビアンカSIDE

私は目を覚ます。
ここはサラボナ、ルドマンさん邸のゲストハウス…
隣では静かに寝息をたてている男性…
私の左手薬指には美しいリングが…

私結婚しちゃった!
リュカと結婚しちゃった!!
夢みたい!
嘘みたい!!
大好きなリュカが、私の旦那様!

私もリュカも裸だ…見渡すとベットの上は凄い状態だ…
「激しかったなぁ…」
ポツリと独り言を呟いて考える。
昨晩なのか今朝なのか分からない…兎に角凄かった。
窓の外を見ると、もう日が高い位置にきている。
私は服を着て辺りを探す…パンツが無い…
ふっとリュカを見ると手に握り締めて寝ている…
何でそんなにそれが好きなのよ…

昨晩の披露宴を思い出す。
『私もパンツあげたんです!』
と、酔っぱらったフローラさんのカミングアウトから始まり、
『リュー君の初めての相手は私よ!』
と、素面で叫ぶシスター・フレアに、
『うるさい!私だってリュカの事が好きなんだ!!』
と、きっと記憶が無いと思われるくらい泥酔しているピエールが騒ぎ出した。
そして、私も止せばいいのに、
『でも結婚したのは私よ!』
と…
色んな意味で大荒れの披露宴会場に、トドメのリュカの一言、
『愛人募集中です』
一生忘れられない思い出ね!

おっと!
思い出に浸っている場合じゃない。
パンツ取り返してリュカを起こさないと。
リュカはこの後すぐに皆さんを送り届けないといけない。
リュカの手からパンツを取ろうとするが、握り締めてて取れない。
ちょっと…返してよぉ~

私が一人でもがいているとリュカが目を覚ました。
「おはよう、ビアンカ…何してんの?」
「何って…パンツ返して」
「何で?」
結婚しても変わらないわねぇ…
「あのねぇ~もう日が高い位置にあるのよ!リュカはみんなを送り届けないといけないでしょ!」
「いいよ、待たせておけば…それよりパンツ穿く前に!」
そう言ってベットに押し倒された。



…元気すぎませんか?

ビアンカSIDE END



<サラボナ>
ヘンリーSIDE

昨晩の泥酔による、壮絶なカミングアウトをしっかりと憶えている所為で、最高潮に落ち込んでいるピエールを眺めながら、俺達はする事もなく昼食を食べている。
「やぁ、みんな!おはよう」
ムダに爽やかな挨拶をするリュカが現れた。

「おはようじゃねぇー!何時だと思ってんだ!もう昼過ぎてんだぞ!」
「まーまー、アナタ落ち着いて下さい」
リュカは気にすることなく席に着くと、勝手に俺のメシを食い始める。
こ、こいつは…

「リュー君。ビアンカちゃんは?」
そう言えば姿が見えない…
「ビアンカならまだ寝てるよ」
俺のメシをガツガツ食いながら何事もない様に答える。

「お前昨晩ガンバりすぎなんだよ!」
俺は意地悪くリュカをからかったのだが…
「いやいや…朝は起きてたんだ。でもさっき第2ラウンドになっちゃって…」
「お前…俺達待たせて、何やってんだよ!」
「うん。ナニやってた」
何で恥ずかし気もなく言えるの?
「さて!じゃぁ行きますか!」
俺は殆どメシを食って無いが…まぁいい!

順序的に最初はビアンカさんのお父さん。
そして、俺達ラインハット組。
次いでシスター・アンジェラ。
最後はサンタローズ。
パパスさんの墓前に報告をしたいらしく、この順番になった。
俺もパパスさんの墓参りをしたかったが、個人的にひっそりと行いたいと言うリュカの意見を尊重した。

ヘンリーSIDE END



<サンタローズ>
フレアSIDE

丘の中腹、リュー君の実家があった裏手にパパスさんのお墓がある。
ご遺体も、遺品もない…墓石だけの…
リュー君が一人で造ったお墓…
私は教会正面からリュー君の姿を見下ろし、胸が苦しくなる。

リュー君はいつもの様に優しい笑顔で私の元へ来ると、
「じゃ、新妻を待たせると怖いので帰ります」
って、帰ろうとするので思わず抱き付きキスをしてしまった。
最低ね私…
ずっと我慢してたけど、我慢しきれなかったわ…

フレアSIDE END



<サラボナ-ルドマン邸>
ビアンカSIDE

日も暮れ町を月明かりが照らす中、私はリュカの帰りを待ち窓辺で佇んでいた。
「ビアンカさん。一緒に夕食でもどうかね?」
ルドマンさんが気を使って夕食に誘ってくれる。
「ありがとうございます。でも、リュカを待たないと…」
正直リュカが居ない状態で、この人達と食卓を囲むのは気まずい…
「なぁ~に!あの騒がしい連中に捕まり、帰るに帰れないのだよ。遠慮する事はない。さぁ…」
リュカぁ~早く帰ってきてぇ~

リュカが帰ってきたのは、夕食も終わり皆さんとゆっくり談笑(ルドマンさん一家だけ)をしている最中だった。
「いや~、ごめんごめん…ビアンカ待った?さぁ、今晩も頑張ろうか!」
さすがに腹が立ちテーブルの上にあったリンゴを投げ付けてしまった。
「リュカ!さすがに遅すぎるぞ!ビアンカさんの事も考えなさい」
「うん。本当にごめんね。ビアンカ」
そう言って優しくキスをする。
ずるいよ…許しちゃうじゃない…

「…で!リュカ、これからどうするのかね?」
「ちょ、新婚夫婦にそんな事聞かないでよ!決まってるでしょ!」
やだ、もう…恥ずかしい♡
「そう言う事じゃない!次の旅の目的地の事だ!馬鹿者!!」
さすがのルドマンさんも怒り、テーブルの上の果物…リンゴ・オレンジ・グレープ等を投げ付ける。
リュカはその全てをキャッチして食べる!
反省してないわね…でも、あの聞き方は勘違いするわよ!

「あぁ…そう言う事なら今晩中にポートセルミへ行って船を探します」
「船?」
「ヘンリーに聞いたんですが、南の大陸に『テルパドール』と言う国があって、そこに勇者の墓があるらしいので情報もあるかと思って…」
ちゃんと考えてあるんだ…
「ふむ…では、この書状を持って行きなさい」
「?これは…?」
「ポートセルミのドックは全て私が所有していてな…船を1隻用意する様に書いてある」
1隻!?
「申し訳ありませんがルドマンさん。船をお借りする訳にはいきません。海上でも戦闘になる恐れがあり、元通り返せるか分かりません」
「勘違いしてもらっては困る!貸すのではない!譲渡するのだ!」
じょ、譲渡!?
「ルドマンさん!それは「それに…」
驚くリュカの言葉を遮りルドマンさんが語り出す。
「それに、君の旅は世界を巻き込む事になる。伝説の勇者を見つけられなければ、世界は混沌とするだろう。その為に船が必要だ。だから私は君に船を譲渡する。世界を救う勇者を見つけてもらうために」
「………」
リュカが目を閉じ考える。
こういうリュカも格好いい…
「分かりました。ありがたく御好意、頂戴致します」
「うむ。…天空の盾だが…」
「それはお預かり下さい。伝説の勇者と共に頂に戻りますので」


私達はルドマンさんに深くお礼を言い、屋敷を後にする。
屋敷の外に出ると、体中に包帯を巻いた青年が一人こちらへ近づいてきた。
「アンディ…もう動いて大丈夫なの?」
「はい…フローラの看病のおかげで…」
この人も試練に参加した一人の様だ。
「貴方には負けたくなかった。でも勝てる訳無かった…申し訳ありません、助けてもらったお礼を言いに来たのに…でも悔しくて…」
この人はフローラさんの事が本当に好きなんだ…
「今回の勝負は、僕の得意分野だったからね。負ける訳にはいかないよ。次は君の得意分野で勝負に挑めば良いじゃないか」
やっぱりリュカは暖かいなぁ…
「ありがとうございます!本当にありがとうございます…」
泣きながらお礼を言うアンディさんと別れ、町の外でみんなと落ち合う。
リュカとなら私は何処へでも行ける。
私は幸せ者だ…

ビアンカSIDE END



 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧