DQ5~友と絆と男と女 (リュカ伝その1)
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38.海です。海と言えば水着。水着と言えば美女。美女と言えば…
<ポートセルミ>
ピエールSIDE
リュカと会いづらい…
あんなめでたい席で…あんな泥酔状態で…あんなふざけた愛の告白をしてしまった。
朝からリュカは忙しく、あまり顔を合わせないのが、せめてもの救いだ。
夜も更け、リュカも一段落し明日の朝一からの船旅の準備も終わった時、私への試練が待っていた。
私はリュカとビアンカ殿に割り当てられた、夫婦用の部屋に呼び出された。
分かっている…
結婚披露宴と言う席で…大勢の前でリュカに対する恋慕を告げてしまったのだ…
そんな女と一緒にパーティーを組む訳にはいかない。
夫婦間の亀裂にも繋がる。
冷静に…笑顔でお礼を言って別れよう…
(コンコン)
「リュカ、入るぞ…って、何してんだ!」
部屋にはいるとリュカがビアンカ殿をベットに押し倒していた。
「あれ!?もう来たの!?」
「人を呼び出しておいて何だ、貴様は!」
「メンゴ、メンゴ!」
(イラ!)
イカン…冷静にならねば…
「で…何用ですか?」
「うん…ビアンカと二人で今後の事を話し合ったんだけど…」
やはり私はここでお別れか…
「リュカ、分かっている…私も考えていた事だ…」
「そうか…やっぱり考えていたか…話が早くて助かる」
「すまんな。迷惑をかけてしまって…」
短い間だったが、楽しい時だった…
「ピエール…水臭い事言うなよ!君の事は分かっているんだ………で、どっちにする?」
「………え?どっちって?」
「だーかーらー!水着だよ!水着!」
「み、水着!?」
「うん!僕が選んだハイレグ・ビキニか、ビアンカが選んだワンピース・パレオ付きか…あ、サイズは合ってるよ。君の事は分かっているから」
そう言うと二人して水着を見せてきた。
「やっぱりピエールはワンピースよね!恥じらいを知っている娘ですもの」
「いやいや…ピエールは着痩せするんだ。その事を分からせる為にもビキニでしょう!」
目の前で新婚夫婦が楽しそうに言い合っている…
「……あの……も、申し訳ないが、私の考えていた事と違った…説明を…お願いしたいのだが…」
「え~とね、無事船も手に入れたし、明日から当分船暮らしじゃん!船で暮らすという事は、周囲は海な訳ですよ!海ったら水着が必要でしょう!?まぁ、僕的には裸でも大歓迎なんだけど…」
「そうじゃない!………そうじゃなくて…私はこのパーティーから出て行くつもりでいたんだ!」
「何で出てくの?…それは困る!」
「困られても困る!」
「君が居ないと船を動かせない」
「リュカ、お前がやればいいだろう!」
「断る!船旅は優雅な物と決めている!それにピエールがいないと戦力が落ちる」
「それこそリュカがいれば何も問題は無いだろう…」
「それについても断る!僕は戦闘はキライだ!」
「我が儘を…私はお前に恋慕を表明してしまったんだぞ!そんな女と一緒に生活出来る訳無いだろ!」
気付くと私は泣いていた。
好きだからか、別れたくないからか…分からない…
「随分と自信家ね!美少女ピエールちゃんは!」
ビアンカ殿が嫌味な口調で食って掛かってきた。
「リュカは貴女と一緒に居ると、妻である私より貴女に気持ちが行ってしまうって言いたいんでしょ!」
「そんなつもりはない!ただ…私が居ると気まずくなるのでは…と…」
「ならないわよ!リュカも私もピエールの事を大事な仲間だと思っているのよ!もう、家族なのよ、私達は!」
「……仲間……家族……」
「もし、リュカの心がピエールに行ってしまっても、取り戻す自信が私にはあるわ!だから私達を見捨てるなんて言わないで…」
ビアンカ殿の優しい口調が、私の涙を止まらなくする。
「わ、私 (ヒック)も…別れ(ヒック)たく…ない…(ヒック)」
リュカとビアンカ殿は、私を優しく抱き締めて囁く。
「じゃぁ、ずっと一緒に居られるじゃない…私達」
・
・
・
一頻り泣き晴れやかな気持ちになったところで、私は自室へ戻る事にした。
「あ!ピエール待って!」
リュカが呼び止める。
まだ私を泣かせる気だろうか?
「何?リュカ…?」
「で、どっち?」
そう言って水着を2つ掲げる…
この男は………
「ワンピースだ!バカ!」
私は怒鳴り、ドアを勢いよく閉める!
ドアが閉まる瞬間、リュカの声が聞こえた。
「チェッ…ビキニの方がエロいのに…」
だから私はあいつが………………大好きだ………
ピエールSIDE END
<テルパドール近郊の砂漠>
ビアンカSIDE
灼熱の砂漠にリュカの歌が響き渡る。
月の砂漠がどうの…と、訳の分からない歌を歌いながらリュカは砂漠を歩き続ける。
「…何であんなに元気なの?」
私はもちろん、他のみんなも耐えられず馬車の中へ避難している。
しかしリュカだけは大きな日傘(と言うよりパラソル)をさし、パトリシアに日陰を作り歌い続けている。
パトリシアと相合い傘をしているリュカを見て、ヤキモチを焼いている自分がいる事に気が付き一人赤面してしまう。
そんな私にマーリンは気付いたらしく、
「あんな男と結婚してしまったんじゃ、馬如きにヤキモチを焼いていたら、気苦労が絶えんぞ!」
って、冷やかされた。
そしたらピエールまでも、
「ビアンカ殿は贅沢だ。ベットの中まではパトリシアは入って行けないのだから、相合い傘くらいは許してやるべきだ」
と、からかわれた。
「しかし、本当に元気じゃのぅ!つい先程あんなに頑張っておったのに…」
ニヤつくマーリンに私は更に赤面する。
少し前に、結構大きめなオアシスがあったので、そこで一休憩をしていた。
そして、そこより少し離れた木陰でリュカと…その…シてしまったのだが…遮蔽物の無い所だった為、みんなに声が丸聞こえだった様です…
そしたらピエールに、
「新婚夫婦でも、もう少し分別を弁えて下さい」
って怒られました。
でもマーリンが、
「まぁまぁ…ピエール…おヌシがリュカと結婚していたら、拒絶出来たかのぅ?」
「私は………分別が……あります…けど…ムリです…きっと…」
凄い赤い顔して俯いちゃった。
気を抜くと奪われかねないわね…気を付けないと!
ビアンカSIDE END
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