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NARUTO~サイドストーリー~

作者:月下美人
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SIDE:A
  第九話


 へぇ、歳の割にはそれなりに動けるんだな。


 今俺たちはイルカ先生の指示に従って演習場に来ている。現在の身体能力や体術を見るために簡単な模擬戦を行っているのだ。


 ペアは男女に別れて先生が決める。名前が挙がるまで誰が対戦相手なのかわからない。今はザコ・エーくんとモブ・ビーくんが戦っていた。それにしても酷い名前だ。親は何を考えて名付けたんだろうか……。


「木の葉れっぷー!」


「ぐあー!」


 いかにも見よう見真似といった下段の後ろ回し蹴り。そこまで動きは早くないが一応形にはなっている。


 正面からクリーンヒットしてしまったザコくんが膝をつく。すかさず、イルカ先生が片手を上げた。


「そこまで! 勝者、ザコ・エー!」


「いよっしゃー!」


 勝利に喜ぶザコくん。拍手や歓声が上がった。やっぱりこういう授業は好きなのか、結構みんな盛り上がっていた。


「次! 山大アキラとうずまきハルト!」


 おっ、ようやく俺の番か。


 相手はいかにも軟派っぽい性格でチャラチャラした感じの少年だ。服をきくずして来ており、何が格好いいのかズボンをお尻が半分見えそうなくらい下げている。


 先の自己紹介ではずっとニヤニヤした締りのない顔でクラスの女子たちを見ていた。しかも俺の大切な妹である汐音や婚約者のヒナタまでも舐めるようにジロジロと。


 この模擬戦、適当に手加減して流そうと思っていたが、予定変更だ。こいつが相手ならそこそこ痛い目を見せてやろう。


「お兄ちゃん頑張れ~!」


「勝ちなさいよハルトー!」


 前に出るとクラスメイトと一緒に控えている汐音といのが声援を送ってくれる。俺はそれに片腕を上げることで応えた。


 ポケットに手を突っ込んで立っていた大山がニヤニヤした笑みを浮かべながら、気さくに声を掛けてくる。


「なあ、あの子ってお前の妹なんだろ?」


「……ああ、そうだが?」


 前言撤回。気さくではなく馴れ馴れしく声を掛けてきた。


 知り合って間もないのにお前呼びか。随分と癇に障る奴だな。どういう教育を受けてきたんだこいつ……。


 無礼な大山に対する評価が暴落していく中、やつはニヤついたウザったい笑みでこんなことを言った。


「お前の妹、ありゃ将来いい女になるぜ。たまんねぇよなぁ~。何気にうちのクラスって美少女多いじゃん、春野とか山中とか日向とか。ああいう美女や美少女ってよ、チ○コに響っていうか、むしゃぶりつきたくなるぜ」


「………………あ゛?」


 こいつ、今なんていった?


 俺の妹や婚約者を下種な目で見ていた上に、むしゃぶりつきたくなる?


 俺の大切な人たちを脳内で汚したっていうのか?


 この俺を前にして?


 ――許さん……。


 こいつはダメだ。こればかりは。いくら温厚な俺でも流石に堪忍袋の緒が切れてしまった。


 正直、軽い怪我で済まそうと思っていたが、予定変更だ――。


(こいつは半殺しにした上で、忍になる志をここで潰す)


 俺にとって汐音とヒナタは両親も含めて何よりも大切な人たち。男として美少女に目が行くのは分かるが、それをわざわざ俺の前で言いやがった……。


 てめぇは無自覚のうちに俺を完全に怒らせた。その報いを受けてもらうぞ……っ!


「準備はいいな? では、始めっ!」


 イルカ先生の合図を区切りに、殺意の変わりに闘気を練り始めた。





   †               †               †





「準備はいいな? では、始めっ!」


「ハッハー! 先手必勝だぜぇ!」


 イルカの声と同時に山大が駆け出す。しかし、それも最初の散歩まで。突如、怒涛の威圧感が山大の身を襲った。


 まるで滝のように叩きつけられる威圧感。質量を伴っているのではと勘違いしそうなほどそれは重く、山大の体をその場に押し留めた。


 威圧感の発生源は、眼前の少年。


 三つ年上とはいえ見た目は山大と変わらぬただの少年だ。しかし、その体から陽炎のように立ち上るオーラは一体なんだ? この滝のように浴びせてくる威圧感といい、本当に同じアカデミー生なのか?


 ハルトは無表情でジッと山大を見つめるだけ。それなのに、山大の顔には冷たい汗がにじみ出て頬を伝う。


 大して体格差はないはずなのに、ハルトの体が見上げるほど大きく見えた。


「……どうした? 来ないならこっちから行くぞ?」


 動けないで固まってしまっている山大はゆっくりと近づいてくるハルトに言い知れぬ恐怖感を覚えた。


 ギャラリーの生徒たちも、それまでのスピード感溢れる体術の応酬とは一転して、静謐と言ってもいいほど静かでゆっくりと動く状況に戸惑っている。


 傍から見ればハルトがただ歩いているだけのように見えるのだ。しかし、近寄ってくるにつれて山大の顔が恐怖で引き攣っていく。尋常じゃない緊張感を味わっているのが誰の目で見てもわかった。


 審判をしている中忍のイルカも何が起きているのか分からず困惑していた。


「ね、ねえ汐音ちゃん。ハルトくんたち、どうしたのかな?」


「んー、汐音もわかんない。なんかお兄ちゃんからピリピリするのは感じるけど……」


 汐音のその言葉に腕を組んで眺めていた九喇嘛が意外そうな顔で主の妹を見た。


「ほぅ。汐音は主の気当たりを感じるか」


「気当たり? なにそれクー姉」


「うむ。今お主が感じているのは主が発している気による威圧じゃ。主や激眉毛ほどの気を扱う者ならば、気当たりで相手を牽制したり、場合によっては戦意を殺ぐことも可能じゃ。どうやら主はあの童だけに気を集中して威圧しておるの。他のものからすれば奇妙な光景に見えるじゃろうて」


 九喇嘛の言う通り、ハルトは目の前の少年にだけ気当たりを行っていた。放散しないように集中的に気を流しているため、第三者には分かりづらい。九喇嘛の解説に汐音やヒナタ、何気に聞き耳を立てていたいのは感心した様子でハルトたちを見た。


「ハルトくん、すごいね……」


「さすが汐音のお兄ちゃんだってばさ! いけー! やっちゃえってばさ!」


 頬を赤らめてどこか熱い視線を送るヒナタと、その隣で汐音は「行け行けゴーゴー!」と腕を振り上げた。


 やれやれと首を振りながらもどこか楽しげに主の模擬戦を見守る九喇嘛。人知れず聞き耳を立てていたいのは心の中で黄色い声を上げた。


(ハルトってこんなに強かったの? 火影様のご子息で容姿は抜群。性格もいいし、本当優良物件よね。なにがなんでもものにするのよ山中いの!)


 ハルトは淡々と歩を進めていた。いつもの朗らかで柔和な雰囲気は微塵もなく、能面のような無が顔に張り付いている。


 そして、ジッと山大の目を見ながら独白するように呟いた。


「お前は俺を怒らせた。俺を前にしてふざけたことを抜かしたお前を許せそうにない」


「な、なに言ってるんだ?」


 後ずさりながら困惑する山大。戸惑った様子を見せる山大に構わずハルトは言葉を続けた。


「汐音やヒナタ、山中を下種な目で見た挙句、糞のような想像をした。許しがたい。非常に許しがたい」


 ついに山大の目の前に立ったハルトは低く凄みのある声で言った。


「覚悟は出来てるんだろうな、糞野郎……ッ!」


 ゾクッと山大の背を強烈な悪寒が走った。


 死神に睨まれたような感覚。まさに"死"が目の前に迫っているような、そんな感覚。


 明言し難い恐怖に叫びそうになるが、ハルトの壮絶な気当たりにより体が動かない。ただ無意味に口をパクパクと開閉するのみだった。


 スッと差し出す手。中指を丸めるように折り曲げ、親指でエネルギーを蓄える。俗にデコピンと言われる行為。


 そして――。


「ぶっ飛べ」


 一瞬だけ闘気ではなく殺気を向ける。氷の刃のように鋭く体の奥まで凍える殺気はピンポイントで山大だけに向けられ、その意識を刈り取った。


 気絶すると同時に限界まで溜めたエネルギーを解放する。中指はバネのように勢いよく放たれ、山大の額に直撃した。


 ――バゴォォォオオオオオン!!


 爆音を響かせながら弾かれたように大きく仰け反る山大。放物線を描きながら数十メートル吹き飛んだ。


 デコピンとは到底思えない威力にギャラリーたちは開いた口が塞がらない様子。審判のイルカも例外ではなかった。


 ただ一人、九喇嘛だけは笑いを噛み殺していたが。


「先生?」


「あ、ああ……。勝者、うずまきハルト!」


 勝者の名前が挙がっても、場は静寂が支配していた。


 ハルトと山大の戦いが影響してかその後のテストも妙な緊張感が付き纏い、どこか緊迫した模擬戦となった。





   †               †               †





 俺の超デコピンを受けた山大は大の字になって伸びており、救護室に運ばれていった。


 ちょっとやりすぎたかなと思わなくもないが、アイツは俺の大切な人をやましい目で見てたのだから妥当な結果だと結論付けた。


 汐音たちの元に戻ると、我が妹はキラキラした目で出迎えてきた。


「お兄ちゃんお帰り! すごかったよ! 睨んだだけで動きを止めたり、デコピンで吹っ飛ばしたり!」


「ハルトって強いのね! 驚いたわ」


「う、うん。その……格好良かった」


 汐音、いの、ヒナタがやって来ては黄色い声を上げるのを周りの男子たちは歯軋りしながら見ていた。その様子がモテない男子の怨嗟そのものなのが、少しだけ涙を誘った。


 シカマルたちもやって来た。


「おうお疲れ。なんだよあのデコピン」


 呆れたように言うシカマルに肩をすくめる。


「デコピンはデコピンだよ。まあ超痛いけどな」


「あんなデコピン洒落にならないよ……」


 ポテチを食べながら嫌そうに顔を歪めるちチョウジ。


 その隣でずれたサングラスを中指で押し上げたシノが相変わらずクールな口調で言った。


「ハルトなら別段驚くことではない。何故ならあの九尾を使い魔にした男だからだ」


「まあ当然の結果じゃろう。この妾が認めた唯一の主だからの!」


 シノの言葉に誇らしげに胸を張るクーちゃん。自慢されているようで少し気恥ずかしい。


「それにしても優しいのぅ主よ」


 悪戯的な笑みを浮かべて肘でつついてくるクーちゃん。


 その笑みに嫌な予感がした。


「他の者は狙音伝話術で主がなにを言ったのかは分からんがな。優しいことよのぅ」


「読唇術か?」


「うむ。流石の妾も主の狙音伝話術は聞き取れんからな。しかし、お主もなかなか人間離れしてきてるの」


「そんなことないさ。まだまだ人間の範疇だよ」


 俺とクーちゃんの会話がなにを意味しているのか分からない皆は首を傾げる。ちょっとこの話を解説するわけにはいかないからここで切り上げるとしよう。


 先ほどの実技テストで山大に喋った言葉は第三者には聞かれていない。俺の狙音伝話術は肺を振動させることで声を特定の人だけに聞こえるように超音波へ変えるという技だ。これを使えば他のものに知られることなく会話を行うことが出来る。ちなみにどうやって肺を震動させているかと言うと、気合いだ。為せば成るの精神で気合いを入れて練習した結果、いつの間にか出来るようになった。ガイ師匠の熱血論は意外と馬鹿にならないと感じた瞬間でもある。


 そうこうしているうちに次々と実技テストは進み、とうとうヒナタの番が回ってきた。


「次、日向ヒナタとタラ!」


「は、はいっ」


 ビクッと緊張のあまり体をビクつかせるヒナタ。このままだと上手く実力を発揮できないんじゃないか?


 なんとか緊張を解せないものか。よし、ここは一発芸ネタで……!


 汐音たちにジェスチャーで静かにするようにサインを送り、パパッと印を組む。


(無音影分身の術)


 分身時に発生する煙と音を消した、影分身の派生である無音の術。そして、分身に無音変化の術を使わせる。


 あるものに変化した分身体を頭にセット。コートの前を閉じて、ちょっと位置をずらして、と。


 変な目で見てくる汐音たち。ギャラリーの視線を無視してヒナタの肩を叩いた。


「ヒナタヒナタ」


「え、え? な、なにハルトくん」


「首取れちゃったー」


「きゃあぁぁぁぁぁ――――ッ!?」


 頭部に化けた分身体を持ち上げて擬似的に首が取れた風に演出。もちろん本体の俺は頭が出ないように服の中に隠れていた。


 結構完成度の高い一発芸ネタ『ビックリー、首取れちゃった(子供向け)』だ。大人向けバージョンだとさらにリアリティを追求して、分身体の首の切断部から血糊を垂らすというパフォーマンスもあるけど、それだとヒナタは失神しかねないからな。


 それでもヒナタにとっては衝撃的だったようで、顔面を蒼白にして口元を手で覆っていた。


「……ごめん、やりすぎちゃった。ビックリした?」


 ちょっとショッキングだったかな?


 しばらくして正気を取り戻したヒナタちゃんは珍しく目を吊り上げた。本人は精一杯怒っているつもりだろうけど、ぶっちゃけ可愛いだけです。


「も、もう! ハルトくんっ」


「お兄ちゃん、いくらなんでもそれはないよ~」


「やれやれだぜ」


 汐音のジト目に呆れたように首を振るシカマル。あれ、そこまでダメだった?


 でも緊張は解れたようだし、結果オーライということで許してください。


「頑張れヒナタ」


「頑張るってばさ!」


「う、うんっ!」


 俺たち兄妹に背中を押されたヒナタは気合いの声上げた。


 相手のタラはヒナタと同じくらいの身長の女の子だ。少し釣り目で気が強い印象を受ける。


 対面した二人は礼がするとイルカ先生が手を振り上げた。


「始めっ!」


 イルカ先生の手が合図とともに振り下ろされると同時にタラが仕掛けた。


「はっ!」


 そこそこのダッシュ力で接近するとヒナタの鳩尾に突きを繰り出す。なかなか綺麗な突きだ。しっかり体重も乗ってるし。


 対するヒナタは落ち着いて対処する。冷静にタラの突きを右手でいなすと踏み込むと同時に左の掌打を繰り出した。


「やぁっ!」


「くぅ!」


(ほぅ、今のよく防いだな)


 カウンターの形で放たれたタイミングは完璧だった。しかしタラは反対の手でギリギリ防ぐことに成功した。


 互いに間合いの内。一瞬、相手の出方を伺うように空白の間が生じる。


 先に動いたのはタラだった。

 
「ふっ!」


 腰を活かした回し蹴り。綺麗に弧を描いた蹴りをしゃがんで回避すると、軸足を蹴りで払った。


 それをジャンプして避わすと、空中で一回転して踵落しを決める!


 素早く飛び退ってそれを回避した。


「……強いな、あのタラ」


「だな。あそこまで動ける子がいるとは正直思わなかったよ」


 クールを地でいくシノが感心したように呟いた。


 ヒナタは日向の宗家の出であるから幼少の頃から厳しい修行を受けてきた。そのため実力は同世代の女子の中では明らかに上位に位置するだろう。


 そんなヒナタを相手に一歩も引かない戦いを繰り広げているあのタラという少女。なかなか鋭い攻撃を出すし、入学前から練習を積んでいたんだろうな。


 しかし、やはり実力はヒナタの方が上のようだ。


「やぁ!」


「あぅっ」


 飛び退った反動を利用して勢いよく飛び出し間合いを積める。タラは着地した隙をつかれる形になったため反応が一瞬遅れた。


 それが勝敗の分かれ目となった。


 放たれた掌底がタラの額を打った。大きく仰け反り、体勢を崩す。


 尻餅をつく形になったタラ。ヒナタが大手を掛けるように掌底が眼前で寸止めされた。


「そこまで! 勝者、日向ヒナタ!」


 勝者としてヒナタの名前が挙がる。注目を浴びて照れるヒナタに俺は拍手を送った。


 汐音も我がことのように喜んでいる。


「やったってばさヒナタ!」


「う、うん。ありがとう、汐音ちゃん」


「なかなか良い動きだったよ」


「そ、そうかな。えへへ……嬉しいな」


 褒められ慣れていないのか、こんな些細な言葉でも照れた笑みを見せてくれるヒナタ。あかん、うちの許嫁が可愛すぎる。 


「あ、今度は汐音の番だ」


 汐音の名前を呼ぶ声が聞こえた。ヒナタの次は汐音の番らしい。


「がんばってね汐音ちゃん」


「ま、お前が負けるとは思わねぇけどな」


「負けたらからかってやるからな汐音!」


「大丈夫だってばさ。みんな勝ってるのに汐音だけ負けるわけにはいかないからね!」


 ヒナタ、シカマル、キバがエールを送る。


 最近は汐音の稽古にも付き合っているから、妹の心配はない。ぶっちゃけアカデミー生の中ではトップの実力を持ってるんじゃないかな?


 流石、俺の妹だけあって優秀な両親の遺伝子を正しく受け継いでいる。成長具合いが半端ないんだ。


「汐音、やり過ぎないようになー」


「わかってるー! よーし、やってやるってばさ!」


 本当に分かってるのか……?


 対戦相手は石渡リク。大柄な男子で身長は一七〇センチくらいか。パッと見て力はありそうだ。


「親が火影様だからって手加減しないからなっ」


「上等だってばさ! 汐音も本気で行くよ!」


 え゛? ちょっと待て! お前が本気を出したら――。


「それでは、始めっ!」


「えーい!」


「ぶふぉっ!?」


 始まりの合図とともに瞬身の術で接近した汐音はチャクラで肉体を強化した上で拳を放った。


 当然、不意打ち気味の一撃をただのアカデミー生――それも入学したての子供が避けれるはずがなく、綺麗にボディーに右の拳が突き刺さった。


 瞬身の術による加速とチャクラでの肉体活性が加算された拳は、女子のそれとは思えない破壊力を秘めており。


 対戦相手の石渡は何かが潰れたような声を上げて、思いっきり吹き飛んだ。


 俺の超デコピンに迫る威力だ。十メートルほど吹き飛び、地面を転がって仰向けになる石渡。気になって近寄ってみると。


「あー。見事に伸びてるなぁ」


 白目を剥いてピクピク痙攣していた。とりあえず救護室に連れて行ったほうがいいかも。


「しょ、勝者、うずまき汐音!」


 イルカ先生がちょっと引いた顔で勝者の名前を挙げる。


 やり過ぎないようにと注意したのに、聞いていなかった妹はVサインを出して暢気に喜んでいた。


「いえーい! やったってばさ!」


 ま、楽しそうだからいいか。

 
 

 
後書き
 狙音伝話術:史上最強の弟子ケンイチの長老より拝借。
 少し調子が悪く、執筆意欲が下がってきていますので少しお休みします。いつ頃再会するかは未定です。 
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