英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第164話
ワジ達が転移して来るとそこは雷が鳴り響き続け、周囲は一面の荒野だった。
~碧の大樹ー象の領域~
「ここが”領域”か……」
「先程とは全く違う景色ですね……」
景色を見たリィンとエリゼは真剣な表情で呟き
「一面の荒野……」
「しかも天気まで変わっているし……”至宝”ってのはとんでもない力ね。」
「………………」
アリサは呆け、サラは目を細め、キーアは複雑そうな表情で黙り込んでいた。
「やれやれ……こんなん見てたらマジで”幻影城”を乗り込む時の事を思い出すやん……」
「……確かに。あの時も一面の荒野だったし。」
ケビンは疲れた表情で呟き、ケビンの言葉にリースは頷いた。
「しかし……所々にあるエネルギーは何なんだ?何かの力は感じるが……」
「恐らく何らかの負のエネルギーなのだと思うのですが……」
「ええっ!?それって触れて大丈夫なの!?」
一方所々の地面に迸るエネルギーを見て呟いたガイウスの疑問にエマは真剣な表情で答え、エマの答えを聞いたエリオットは声を上げた後不安そうな表情になり
「―――やれやれ、ちょっとばかり彼を侮りすぎていたみたいだ。まさか只人の身でここまで”化ける”とはね……」
その時ワジは溜息を吐いた後複雑そうな表情をし
「ワジ……」
ケビンは真剣な表情でワジを見つめていた。
「――――行こう。この先にヴァルドが待っている。今度こそ全身全霊を賭けて叩きのめしてやらないとね。」
そしてワジ達は探索を開始した。
~同時刻・色の領域~
同じ頃ロイド達も”領域”に転移して来た。
「なっ!?先程の景色と明らかに違うぞ!?」
「……これも”至宝”とやらの力か……」
周囲の景色が明らかに変わった事に気付いたマキアスは驚き、ユーシスは目を細め
「これがあの娘の”領域”………」
「えっと……意外な場所ですね。」
周囲の景色を見たエリィやノエルは目を丸くし
「暴れん坊のシャーリィさんの内面とは思えませんが……」
「それは同感。あの”血染めの(ブラッディ)シャーリィ”の内面を現している領域がこんな景色だなんて。」
「私もそれは思ったわ。クロスベルで多くの警備隊員や市民達を傷つけ、殺戮していたあの”血染めの(ブラッディ)シャーリィ”の内面がこんな場所だなんて……」
「警備隊員どころか市民までも……許せん。」
「そうかな~?レクターからはわりと無邪気な性格をしているって聞いたけど。」
戸惑いの表情で呟いたティオの言葉にフィーとエオリアは頷き、エオリアの言葉を聞いたラウラは厳しい表情をし、フィーの言葉を聞いたミリアムは首を傾げて呟いた。
「確かに……いや――――そうでもねぇか?」
「ええ、人の内面には様々な”色”があるように……これもまた彼女の持っている側面の一つなのでしょう。」
一方ランディの言葉にリーシャは頷いた後推測した。
「……なるほどな。そう言えばミリアム……だったか。先程レクターさんの名前が出たけど……」
「もしかしてエレボニア帝国の情報局のレクター大尉の事かしら?」
「うん、そうだよ~。……まあ、”クロスベル独立国”が”クロスベル帝国”になったその日に殺されちゃったみたいだけど。」
ロイドとエリィの疑問を聞いたミリアムは頷いた後答え
「なっ!?こ、殺された!?」
「あのレクターさんが……」
「た、確かにあの後のレクターさんの行方はわからなくなっていましたけど……」
「……一体誰が殺したんだ?」
ミリアムの答えを聞いたノエルは驚き、エリィは信じられない表情をし、ティオは戸惑い、ランディは目を細めて呟いた。
「”黄金の戦王”から話を聞いたクレアちゃんの話だと”微笑みの剣妃”がレクターを暗殺したらしいよ?」
「ええっ!?ル、ルイーネ一佐が!?」
「ルイーネ姐さんか……確かにあの姐さんならやってもおかしくないな。常に微笑みを浮かべているが、裏では何を考えているかわからねぇからな……」
「あの人はルファディエルさんと同類ですからね。」
ミリアムの話を聞いたノエルは驚き、ランディは疲れた表情で呟き、ティオはジト目で呟いた。
「で、でも……どうして殺したのかしら……?」
「ああ……キリカさんは拘束された程度だったのに……」
一方エリィは不安そうな表情で呟き、ロイドは疲れた表情で呟き
「それなんだけどさ……どうやらレクターが”結社”の”蛇の使徒”だったかららしいよ?」
「ええっ!?」
「レ、レクター大尉が!?」
ミリアムの話を聞いたロイドとエリィは驚いた。
「”蒼の歌姫”どころか、軍関係者……それもあの”鉄血の子供達”の中に結社とやらの最高幹部がいたとはな。それを見抜けず重用していた”鉄血宰相”も愚かとしか言いようがないな。」
「……そうかな?あの怪物みたいな人だったら、知っていてあえて利用していた可能性も考えられるけど。」
「……どちらにせよ、既にレクター大尉はこの世にいないのだから、真相は謎のままだな……」
「僕が思うにレクターの件はクレアちゃんが”黄金の戦王”に従う事に決めたきっかけの一つにもなったかもしれないね~。多分だけど、その話を聞かされたクレアちゃん、心が折れたと思うし。当時クロウ達に拘束されていた僕を除いて他の”子供達”はクレアちゃんとレクターのみだったしね~。」
「………その信頼していた唯一の仲間がまさかの裏切り者だと知ったクレア大尉も唯一の希望も失って諦めてしまった……という事か…………」
不愉快そうな表情で呟いたユーシスの言葉にフィーは首を傾げて呟き、ラウラは重々しい様子を纏い、ミリアムの言葉を聞いたマキアスは疲れた表情で呟いた。
「で、でも……それならどうしてオルキスタワーへの突入の手助けをしてくれたのでしょうね?」
「……”執行者”だったヨシュアやレオン少佐の話だと”執行者”もそうだけど、”蛇の使徒”はその人の考えのみで動いているという話だからな……多分、あの時の俺達を手伝えばレクターさんにとって何らかの利益があったのだと思うんだけど……」
不安そうな表情で呟いたノエルの言葉にロイドは答えた後考え込み
「……どちらにせよ、もうこの世にいねぇ奴の事を考えても仕方ねぇだろ。そろそろ行こうぜ。」
「はい……!」
ランディの言葉にリーシャは頷いた。そしてロイド達も探索を開始した。
こうして……それぞれの”領域”の最奥に待ち受けている者達と決着を付ける為にワジとリーシャはそれぞれの仲間達と共に探索を開始した…………
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