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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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第163話

その後メンバーの編成をしたロイドは仲間達と共に探索を開始し、ある程度進むと結界が先を進む通路と、同じように結界が展開している場所が2箇所ある広間に出た。



~碧の大樹ー神域ー~



「ここは……」

周囲の様子を見たロイドは不思議そうな表情をし

「なんだ……?バリアみてぇなのに覆われちまっているが……」

「おそらく何らかの”結界”だと思いますが……」

ランディは目を細め、ティオは考え込み

「フン、大方何らかの仕掛けで先に進めないようにしているのであろう。」

「で、でも……私達、ここに来るまでのフロアごとをくまなく調べながら進んでいたわよね?」

「……もしかしたら見落としていた仕掛けがあったのかも。」

ユーシスは鼻を鳴らした後目を細め、不安そうな表情で呟いたアリサの言葉にフィーは静かな口調で呟き

「う~ん……でもここに来るまでそんな怪しそうな所はなかったわよね?」

「ええ……多分何らかの仕掛けを施されてある事は間違いないのだけど……」

首を傾げながら呟いたエステルの言葉を聞いたエオリアは頷いた後考え込み

「中央のはともかく……左右のものは何なのかしら?」

エリィは考え込みながら呟いた。



フフ……それらは”領域”に通じています。



するとその時マリアベルの声が聞こえてきた!

「誰だ!?」

「……………!」

「………どこかで聞き覚えのある声だな……」

声を聞いたアドルは警戒の表情で声を上げ、ラウラは武器を構え、セリカは静かな口調で呟いた後ロイド達と共に周囲を見回した。

「ベル……!?……ベルなの!?」

そしてエリィが声を上げると、なんと中央にマリアベルの幻影が現れた!

「うふふ……エリィ、もちろんですわ。――――ようこそ”碧の大樹”へ。あなた方に来てもらってキーアさんも喜んでいるでしょう。いえ――――フフ、むしろ哀しんでいるのかしら?」

幻影のマリアベルは妖しげな笑みを浮かべ

「ベル……貴女………!」

エリィは厳しい表情でマリアベルを睨み

「……マリアベル・クロイスか。」

「貴様が…………」

「IBC総裁の娘にして今回の騒動を起こした張本人の一人か……」

「小さい頃に会った時と比べると随分印象が違うわね…………それが貴女の本性だったのかしら?」

マリアベルを見て呟いたセリカの言葉を聞いたユーシスは目を細め、ラウラとアリサは厳しい表情でマリアベルを睨み

「あら……貴女とどこかでお会いしましたかしら?」

アリサの言葉を聞いたマリアベルは不思議そうな表情をしてアリサを見つめて尋ねた。

「――――私の名前はアリサ・ラインフォルト。まだ私達が小さかった頃にお母様―――”ラインフォルトグループ”会長イリーナ・ラインフォルトと共にディーター総裁に会いに行った時、貴女とも顔を合わせたはずよ。」

「ああ、あの時の……ウフフ、まさか特務支援課の皆さんと共にこの場に来るなんて。一体どんな経緯があったのかしら?」

アリサの話を聞いたマリアベルは目を丸くした後妖しげな笑みを浮かべ

「フン、エレボニアを混乱と破滅に導いた元凶の一人がよくぬけぬけとそんな事をほざけるな?」

「そなた達の姦計によってエレボニアどころか世界中にどれほどの被害が出たと思っている?」

ユーシスは鼻を鳴らした後不愉快そうな表情で厳しい表情をしたラウラと共にマリアベルを睨んだ。

「貴女たちの意図はともかく……何が何でも、俺達を阻むつもりではなさそうですね?」

その時ロイドは真剣な表情で尋ねた。



ええ、この”神域”はキーアさんの内面そのもの……あなた方に来て欲しいし、来て欲しくないという心の表れがそのまま反映されています。それが徘徊する守護者という形で現れているという訳ですわ。



「そんな仕組みが……」

「精神的な内面だけでこれだけの空間を構築したのか……」

マリアベルの説明を聞いたリーシャは驚き、ワジは疲れた表情で呟き

「まるで”影の国”みたいだな……」

「確かにあそこは”想念”が関係していましたから、似ていますな……やれやれ。こりゃ”輝く(オーリオール)”の時より厄介になりそうやな……」

アドルが呟いた言葉を聞いたケビンは真剣な表情で頷いた後溜息を吐いた。

「―――どけ。くだらん事に時間を取る必要はない。俺が力づくで破壊する。」

その時剣を構えたセリカがロイド達に向けて呟き

「は、はい。」

セリカの言葉を聞いたロイドは仲間達と共にその場をどいた。

「――――紅燐舞華斬!!」

ロイド達がその場からどくと膨大な闘気と神力を魔剣ラクスハイシェラに纏わせたセリカが結界に叩きつけた!すると結界は粉々に破壊された!

「す、すごっ!?」

「セリカ殿には一体どれほどの力が秘められているのだ……?」

破壊された結界を見たアリサは驚き、ラウラは真剣な表情でセリカを見つめ

「ま、何にせよこれで進めるな―――」

ランディは口元に笑みを浮かべて呟いた。するとその時結界が再び現れて先へ進む通路を塞いだ!

「なっ!?」

「……結界が復活しましたね……」

再び現れた結界を見たロイドは驚き、ティオは真剣な表情で呟き

「……この様子だと何度結界を破壊しようと同じ結果になるかもしれんな。」

セリカは静かな表情で呟いた。



ウフフ、最後の宴を力づくで全て破壊するなんてマナー違反ですわよ?皆様に楽しんで頂く為に別会場を用意させてもらいました。それが――――それらの”門”ですわ。



「別会場……?」

マリアベルの説明を聞いて仲間達と共に左右の”門”を見たティオは不思議そうな表情をし

「オイオイ……勿体ぶるのは止めてくれねぇか?」

ランディは溜息を吐いて呟いた。



うふふ。簡単なことですわ。この”神域”がキーアさんの内面を反映しているように……それらの門には他の方々の内面を反映した”領域”へと繋がっています。



「他の方々……!?」

「も、もしかして……」

マリアベルの説明を聞いたロイドとエリィは血相を変え

「……”赤の戦鬼(オーガロッソ)”達?」

フィーは真剣な表情で尋ねた。



フフ、”(えにし)”のある者がいれば別会場に入る事も叶いましょう。では――――案内はこれにて、本会場にてお待ちしていますわ。あなた方が無事、生きて辿り着けたらですけど。――――ああ、そうそう。先に言っておきますがセリカさん、レシェンテさん、リタさん、ハイシェラさん、カーリアンさん……その5人は”別会場”には入れないようにしてありますので、彼らを連れて行く事はできませんわよ。



そしてロイド達の疑問に答えたマリアベルの幻影は妖しげな笑みを浮かべた後消えた!





「……………ベル…………」

マリアベルの幻影が消えるとエリィは疲れた表情で呟き

「さすがに戯れが過ぎるな……だが、中央の門はともかく、左右の門に入る事はできそうだ。」

ロイドは疲れた表情で呟いた後考え込んだ。

「問題は”誰”がその先にいるかですか……」

「しかもいきなりこっちの切り札を封じて来やがったな……」

ティオは真剣な表情で呟き、ランディは目を細めて呟き

「……多分セリカさん達がロイド君達に力を貸せば”確実”に負けると思っているからやろうな……」

「……………………」

(フン、くだらん小細工を。)

真剣な表情で呟いたケビンの言葉を聞いたセリカは黙り込み、ハイシェラは鼻を鳴らした。

「でも、逆に考えたら向こうはこっちの戦力を把握していないって事になるんじゃないの?さっき挙げた名前の人達じゃなければ、付いていけるみたいだし。」

「確かにそうだね。それは僕達にとって有利に働くだろうね。」

「まあ何せこっちには、”空の女神”までいるものねえ。」

そしてエステルが呟いた言葉にアドルは頷き、エオリアは苦笑し

「ま、何にせよ関係のあるヤツがいねぇと中には入れないみてぇだし。門を調べてみるか。」

「……そうだね。」

「……はい。」

ランディの提案にワジとリーシャは頷いた。その後ロイド達はまず左の門に近づき、ロイドは結界に触れた。



「……駄目か。どうやら攻撃しても壊せるものじゃなさそうだ。」

結界に触れて何も起こらない様子を見たロイドは溜息を吐き

「せめて誰が中にいるかだけでもわかったら……」

エリィは考え込んだ。するとその時



ククク……カカカ…………俺は……俺のチカラは最強なんだ…………ああそうだ……あの野郎よりもなああっ……!



聞き覚えのある青年の声が聞こえてきた!

「……まったく。どうして僕みたいな半端者にこだわるんだか。」

声を聞いたワジは複雑そうな表情で呟き

「ワジ……」

「……ま、お前もオレみたいに過去に決着を付ける時が来たって事や。」

ロイドは複雑そうな表情になり、ケビンは真剣な表情で言った。

「どうやらそのようだね……どいてくれ、ロイド。どうやら”彼”は僕との決着をお望みらしい。」

「……わかった。」

そしてワジが結界に触れると結界は消え、転移装置が現れた。

「障壁が消えた……」

「一体どんな仕組みになっているのかしら……?」

結界が消える様子を見たエリィは呆け、アリサは考え込み

「……ローエングリン城の仕掛けと似たような類だろうな。」

「確かに言われて見れば、似ているな……」

ユーシスは目を伏せて呟き、ユーシスの言葉にラウラは頷き

「”影の国”の”試練”を思い出すな……」

「そう言えばあの時もアドルさんやあたし達が指名されて、アドルさん達が石碑に触れると先に進めるようになったわよね?何か関係があるのかしら?」

「……さすがにキーアと”影の国”は関係ないと思いますが……唯、両方とも”至宝”の力ですから関連性があるかもしれませんね。」

アドルの言葉に頷いた後推測したエステルの話を聞いたティオは考え込みながら呟き

「ま、何にせよこれで”領域”って場所に行けるってわけか……」

ランディは目を細めて呟いた。

「ああ……だが今度ばかりはお遊びじゃ済まないだろう。万全の態勢で臨むとしようか。」

「はい……!」

そしてロイド達は左の門に入る前に右の門に誰がいるか調べる為に右の門に近づいてロイドが門の結界に触れた。



「……左の門と同じか。」

「こちらには……一体、誰がいるのかしら?」

エリィが真剣な表情で呟いたその時



フフフ……アハハハハ…………まだかな……まだ来ないのかなぁ……?もう楽しみすぎて待ちきれないくらいだよ……!



聞き覚えのある少女の声が聞こえてきた!

「……………………」

声を聞いたリーシャは複雑そうな表情で黙り込み

「な、何なの、今の笑い声……?」

「狂気に満ちた笑いのように聞こえたな…………」

「フン、俺達がガレリア要塞で剣を交えた”帝国解放戦線”の幹部――――”S”と同類かもしれんな。」

アリサは戸惑い、ラウラは警戒の表情になり、ユーシスは鼻を鳴らした後目を細め

「やれやれ……アイツかよ。しかも、どうやら待ってるのは俺の方じゃなさそうだ。」

ランディは目を細めて呟き

「……それにしてもどうして”血染めの(ブラッディ)シャーリィ”はそこまで”(イン)”との決着に拘るのかしら?」

「……戦いの狂気に呑まれた猟兵は強者との決着に拘る独特の癖があるから、”血染めの(ブラッディ)シャーリィ”も多分それだと思う。」

「……………………」

エオリアの疑問にフィーが答え、フィーの言葉を聞いたランディは複雑そうな表情で黙り込み

(……お前と同類か。)

(この戯けが。あんな小娘とこの我を一緒にするでないだの。)

セリカの念話にハイシェラは不愉快そうな表情で答えた。

「……なあ、リーシャ。できれば彼女のことは俺達に任せて……」

そしてロイドが申し出たが

「――――いいえ。私と彼女はある意味、似たような境遇の存在です。私自身が、この先の道を見出すためにも……私は彼女ともう一度、(まみ)えなくてはなりません。」

「……わかった。」

決意の表情のリーシャを見て頷いてその場をリーシャに譲り、リーシャは結界に手で触れた。すると結界は消えて転移装置が現れた。



「消えましたね……」

「これで”領域”に行けるな……」

その様子を見ていたティオとロイドは呟き

「……相手が相手です。一方的に圧倒されないよう、メンバーを厳選して万全の態勢で臨みましょう。」

「そうだね。」

リーシャの言葉にワジは頷いた。



その後ロイド達は左右の門を同時に攻略する為にそれぞれの門を攻略するメンバーを選び……右の門にはロイド、エリィ、ティオ、ランディ、ノエル、リーシャ、ラウラ、フィー、ミリアム、マキアス、ユーシス、エオリアのメンバーに、左の門にはワジ、キーア、ケビン、リース、エステル、リィン、エリゼ、サラ、アリサ、エリオット、エマ、ガイウスのメンバーに編成し……それぞれ探索を開始した…………! 
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