英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第160話
~碧の大樹ー神域ー~
「あ、あの~……ちょっといいですか?僕達、貴方達の事を情報として貰っていましたけど……その中でどうしても正体を確かめたい人がいるんですけど……」
「正体を確かめたい人?」
「一体誰かしら?」
恐る恐る申し出たエリオットの言葉を聞いたノエルとエリィは不思議そうな表情をし
「フン、わかっていてわざと聞いているのか?」
ユーシスは鼻を鳴らした後Ⅶ組の面々と共にエイドスに注目した。
「?もしかして……私ですか?」
注目されたエイドスは首を傾げ
「な、なるほど……」
「た、確かにゼムリア大陸に住んでいる人々にとっては確かめたい事だよな……」
「え、ええ……普通に考えて信じられない事ですものね。」
「というかよりにもよってその人の名前まで大っぴらに知らせるのはとんでもなくマズイ気がするのですが。プリネ姫、何を考えてその人の事まで教えちゃったんですか。」
エイドスに注目するⅦ組の面々を見たロイドとリィン、エリゼは苦笑し、ティオはジト目で言い
(あのプリネがね~?何で教えたのかしら??)
エステルは小声でヨシュアに尋ねた。
(……多分、ちょっとした悪戯心だと思う。姉さん、極まれにだけど悪戯をするところもあったから……)
(プリネ――――カリンさんが~!?全然想像できないわ……)
(アハハ…………)
呆れた表情で呟いたヨシュアの答えを聞いて目を丸くした後信じられない表情をし、ミントは苦笑していた。
「率直に聞きたいのだが……貴女は”空の女神”―――――エイドスなのだろうか?」
そしてラウラは真剣な表情で尋ねた。
「――――私の名前はエイドス・クリスティン・ブライト。人々からは”空の女神”と呼ばれています。」
ラウラの疑問にエイドスは微笑みながら答え
「勿論彼女は本物の”空の女神”だよ。」
「それはオレらも証明するわ。」
「……この方こそが我ら”七耀教会”が崇める女神――――”空の女神”です。」
さらにワジ、ケビン、リースがアリサ達に言った。
「…………………………」
エイドス達の話を聞いたⅦ組の面々は黙り込み
「えええええええええええええええええ――――――――っ!?」
全員大声で驚きの表情で声を上げた!
「ほ、ほほほ、本当に本物の”空の女神”なのですか!?」
「ど、どどどど、どうなっているの~!?」
「七耀教会……それも”星杯騎士”が認めているんだから本物である事が確定……」
我に返ったマキアスとミリアムは混乱し、フィーはエイドスを見つめながら驚きの表情で静かに呟き
「……まさか生きていて直にお会いする事ができるとは……とても光栄です…………風よ……この導きに感謝を…………」
ガイウスはその場で祈り
「し、しかも”ブライト”って名乗ったけど……」
「そ、それに……そちらの白い翼の女性と容姿がよく似ていますけど……まさか姉妹か……親娘なのですか……?」
アリサは信じられない表情でエステルに視線を向け、エマはフィーナに視線を向けた後尋ねた。そしてエステル達はエイドスやアドル達、ナユタ達との関係を説明した。
「ブライト家が”空の女神”の一族だとっ!?」
「し、しかもあの”赤髪の冒険家の冒険日誌”が実話で”空の女神”の父親だなんて……!」
「という事はあのおとぎ話は実話だったの!?」
「……まさかカシウス卿が”空の女神”の血を引いているとは……」
「こ、これはさすがにあたしも度肝を抜かれたわ…………まさかエステルやカシウスさんが”空の女神”の子孫だなんて…………」
説明を聞き終えたユーシスは驚きの表情で声を上げ、エリオットとアリサ、ヴィクターは信じられない表情をし、サラは表情を引き攣らせ
「そ、それに”空の女神”のご両親どころか先祖までいるって……一体どうなっているんですか……!?」
エマはナユタ達に信じられない表情で視線を向けて言った。
「う、う~ん……毎回僕達の事を知るたびにみんな、驚くね……」
「フフ、信仰している女神の一族なのだから無理ないわ。」
「”神の民”とも言われている”ミトスの民”の一族なんだから当然なの!」
アリサ達の反応を見たナユタは苦笑し、クレハは微笑み、ノイは胸を張り
「一体アドルさんはどんな日誌を遺したのでしょうね?」
「皆さんの話から察するとアドルさんが遺した日誌を元にした本は普通に売られているみたいですから、いっそ買って読んでみたらどうですか?」
「う、う~ん……で、でもそれをしてしまったら今後の冒険の楽しみが一気に薄れるし……」
微笑みながら言ったエレナとフィーナの言葉を聞いたアドルは苦笑し
「やれやれ……女神よ、少しは誤魔化すという事を考えた事はないのか?」
「フフ、今回の件が終われば自分の時代に帰るのですから別に私は気にしませんよ。」
ツァイトは呆れた表情で溜息を吐き、エイドスは微笑みながら答えた。
「え……」
「ね、ねえ……今、その狼……喋らなかった?」
ツァイトの言葉を聞いたアリサは呆け、ミリアムは驚きの表情で尋ね
「まあ私が人の言葉を理解している事程度、女神が今この場にいる事と比べれば大した事はないと思うが。」
「いや、そんな問題じゃないから。」
尋ねられたツァイトは答え、ロイドは呆れた表情で指摘し
「ええええええええええっ!?」
「お、狼が喋ったぁっ!?」
エリオットとマキアスは驚きの表情で声を上げ
「フム……”神狼”と呼ばれるだけあって我々人の言葉もわかるのか……」
「それに普通の狼と違って、何か神聖なる気配を感じるな……」
ラウラは感心した様子で、ガイウスは静かな表情でツァイトを見つめ
「フフ、この調子だと私達の存在も驚かれるかもしれないわね。」
「だって、キーアとサティアは未来の人だものねー。」
驚いているⅦ組の面々の様子を見たサティアとキーアはそれぞれ微笑んでいた。
「み、未来っ!?」
「ど、どうなっているのよ!?」
「ま、まさか……私達に明かせなかった人達はリーシャさんを除いてみんな、時を超えているのですか!?」
二人の言葉を聞いたマキアスとアリサは驚き、エマは信じられない表情で声を上げた。
「ええ。――――時代を超えた方法や何故私達がいる理由については聞かないで下さい。色々と複雑な理由や事情がありますので。」
「そ、そんな事を言われても滅茶苦茶気になるよね……?」
「そ、それはそうに決まっているわよ……」
エイドスの話を聞いたエリオットとアリサは不安そうな表情で呟き
「ねえねえ~。君達は知っているの~?」
ミリアムはロイド達を見つめて尋ねた。
(どうすんだよ、ロイド。)
(エイドス様達の事情以上に秘密にすべき話だし……かと言ってこのまま話さないと後々の連携に支障が差し障るかもしれないし……本当にどうする?)
ミリアムの疑問を聞いたランディとエリィは小声で尋ね
(お、俺に判断を求められても困るって!)
尋ねられたロイドは疲れた表情で答えた。
「…………………あのね。時を超えた人達がいる理由はミントが連れてきたからなの。」
その時真剣な表情で黙り込んでいたミントは一歩前に出て答え
「ミント!?」
「…………その者達にまで話してしまってよいのですか?」
ミントの言葉を聞いたエステルは驚き、フェミリンスは真剣な表情で尋ねた。
「うん。だって一緒に戦ってくれる”仲間”に隠し事ってダメでしょう?」
「それはそうだけど……」
ミントの答えを聞いたヨシュアは複雑そうな表情で考え込み
「――――いざとなれば私が全力でその娘を守りますから心配いりません。勿論我が親愛なる友であるエステル……そしてミントとエステルの大切な者達に害を為そうとする者達から守り、例え世界中の人々が相手でも全て私が裁きますわ。」
フェミリンスは静かな表情で答えた。
「ハ、ハハ……”女神”直々に守ってもらっていたら守りは万全やな……」
「しかもフェミリンスさんが相手だと相手の方が哀れとしか思えない。」
「確かに”女神”直々の裁きなんて僕達が裁くよりえげつなさそうだねぇ?」
「それはもう大変な事になるでしょうね。何せ”影の国”に巻き込まれたフルメンバーでようやく勝てた相手なんですから。冗談抜きでゼムリア大陸に住む人々全員を相手にできますよ。」
「かつて人間族を寵愛していたように、今度はブライト家を寵愛しているんだから、根本的な所は全く変わっていないじゃない……」
フェミリンスの言葉を聞いたケビンは表情を引き攣らせ、リースは疲れた表情で呟き、ワジは口元に笑みを浮かべ、ティオは静かな表情で呟き、カーリアンは呆れた表情で溜息を吐き
「私は受けた恩を返しているまで。それに”女神”として人々が紡いだ歴史を歪めさせない為にも時空を操る存在を守護しているだけです。そんな風に言われる筋合いはありませんわ。」
カーリアンの言葉を聞いたフェミリンスは静かな表情で答えた。
(フフ……ちなみにフェミリンスは未来ではお母さん――――エステルや後に昇格したミント姉さんと同じSS級正遊撃士として活動しているのだけど……私の事は勿論、エステルの子孫達――――ブライト家をずっと大切に見守っていて、何か危機が迫れば遊撃士としての仕事を無視してでも優先して駆けつけてくれてね……今ではブライト家にとって大切な”家族”と共に”守護神”のような存在よ。エステルの子孫達からは世代を超えても”家族として”慕われ続けているわ。)
(そうですか…………私にセリカ様という”絆”という名の”救い”ができたように……フェミリンスの”絆”はエステルさん達――――”ブライト家”になるのですね…………)
(クク、”姫神”を家族扱いか。まあ将来は”神殺し”であるセリカも義理とはいえ家族の関係になるのだから”今更”かもしれんな。)
(フッ……確かによく考えてみれば、エステルの娘であるサティアと結ばれる俺にとってエステルは将来義母になるな…………)
サティアの念話を聞いたエクリアは微笑み、ハイシェラは口元に笑みを浮かべ、セリカは苦笑していた。そしてミントは自分の事情を説明して証拠として自分の姿を幼い姿にした後再び大人の姿に戻った。
「じ、時空を操る竜って…………」
(な……何よそれ!?もう滅茶苦茶だわ……!)
「もはや”女神”と同等の存在と言ってもおかしくないんじゃないか…………?」
「……なるほど。だからこそ女神自身が守っているのか……」
「悪しき事を考える輩の手に彼女の身柄を抑えられては歴史すら変わる所業になるだろうしな……」
説明を聞き終えたエマは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、セリーヌは驚き、ガイウスは信じられない表情でミントを見つめ、ラウラとヴィクターは納得した様子で頷き
「うわ~……まさか”ブライト家”がここまで規格外だなんてね~……」
「アハハ…………冗談抜きで化物一家ね、あんた達って………」
「め、滅茶苦茶すぎる………!」
「普通に考えてありえんぞ!?」
「じょ、冗談抜きでブライト家って凄すぎるね…………」
「た、確かに…………」
ミリアム、サラは表情を引き攣らせ、マキアスは疲れた表情で呟き、ユーシスは声を上げ、大量の冷や汗をかいて呟いたエリオットの言葉にアリサは頷いた。
「えっと……私達自身はそんな時空を操るような事はできませんから、勘違いしないで下さいね?」
「ハハ…………フィーナが言っても説得力がない気がするよ……」
「フィーナさんは女神ですものね……」
そして困った表情をしているフィーナが呟いた言葉を聞いたアドルとエレナは苦笑し
(クレハ、ノイ。”ミトスの民”の技術でさすがにミントさんみたいな力の技術はないよね?)
(さすがに時間を操るなんて高度すぎる技術はないの。)
(あったとしても、絶対に残さないわ。悪用されない為にも。)
真剣な表情で小声で尋ねたナユタの質問にノイとクレハそれぞれ小声で答え
「”化物”って、しっつれいね~……あたし達はエイドス達と違って唯の人間よ!」
「人間を止めているとしか思えないエステルさんが言っても説得力がありませんが。」
頬を膨らませて言ったエステルの言葉を聞いたティオはジト目でエステルを見つめて言った。
「エステルさん、酷いです……その言い方からすると、私やお母様、後はクレハお祖母様達は違うみたいな言い方じゃないですか……」
エステルの言葉を聞いたエイドスは悲しそうな表情をし
「はうっ!?だ、だから私を祖母扱いしないでよ……!」
エイドスの言葉を聞いたクレハはショックを受けた後涙目でエイドスを見つめて言い
「もう、この娘ったら……あまり悪乗りしてはいけないわよ?」
「そうそう!エイドスは一応ゼムリア大陸に住む人々から”女神”扱いされているんだし。」
フィーナは溜息を吐き、フィーナの言葉にエステルは頷いた。
「い、”一応”って…………エステルちゃんくらいやで、”空の女神”をそんなぞんざいな扱いをするなんて…………」
エステルの言葉を聞いたケビンは表情を引き攣らせた後疲れた表情で溜息を吐いた、
(あ、あれが本当に俺達――――ゼムリア大陸に住まう者達が崇めていた女神とその一族なのかっ!?)
(普通の家族のやり取りにしか見えないわよね………?)
(ぼ、僕達が抱いていたエイドスのイメージが粉々に破壊されるな…………)
(――――だが、エイドス達からは暖かな雰囲気を感じる………俺は彼女が”空の女神”である事でよかったと思うな……)
エステル達のやり取りを見ていたユーシスは信じられない表情をし、アリサは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、マキアスは疲れた表情で溜息を吐き、ガイウスは静かな笑みを浮かべていた。
「ハハ……まあそういう訳だから……君達に明かせなかった理由がわかっただろう?」
「どうかミントさんの事は黙っていてもらえませんか?彼女の事は”星杯騎士”でも私達を除いて誰も知りません。」
「ミントちゃんがその身に秘めとる力の危険性はみんな、わかるやろ?」
そしてヨシュア、リース、ケビンの問いかけにサラたちは顔を見合わせた後頷き、了解の返事をした。
「えへへ……ありがとう!」
サラたちの返事を聞いたミントは嬉しそうな表情でお礼を言った。その後ロイド達とアリサ達は互いに気軽な態度で接して欲しい事を伝え合った………………
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