英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第161話
~碧の大樹ー神域ー~
「……互いの事もわかったのだから、そろそろ探索組と待機組に編成したらどうだ、バニングス。」
「あ、はい。そうですね。」
話が一通り終わった後のダドリーの提案を聞いたロイドは頷き
「あの、エイドス……さん。”ヴァリマール”って本当にいつでも呼べるのですか?」
ある事が気になったリィンはエイドスを見つめて尋ね
「!!?」
(なっ!?)
リィンの言葉を聞いたエマとセリーヌは血相を変え
「兄様?どうしてそんな事を聞くのですか?」
エリゼは不思議そうな表情で尋ねた。
「……強敵との戦いの時に役立つと思ってさ。」
「確かにあれほどの人形兵器を動かせるのならば戦闘になれば敵を圧倒できるでしょうね……」
「幻獣なんかも一撃なんじゃない?」
真剣な表情で答えたリィンの答えを聞いたセティは真剣な表情で呟き、シャマーラは首を傾げて呟き
「……それに巨大化したというヴァルドさんにも対抗できるんじゃありませんか?」
「フフ、確かにそれは言えてるね。」
真剣な表情で呟いたエリナの意見を聞いたワジは静かな笑みを浮かべて言った。
「ええ、呼べますよ。”契約”も終えているのですか。」
「そ、そんなっ!?ど、どうして……!」
「なんですって!?私達の”導き”どころか”試練”も超えずにどうやって……!」
エイドスの答えを聞いたエマは信じられない表情で声を上げ、セリーヌは表情を厳しくして声を上げた。
「え……」
「エマ?」
「それにセリーヌが……」
「こ、今度は猫が喋ったぁっ!?」
エマとセリーヌの反応に気付いたエリオットは呆け、アリサは首を傾げ、フィーは不思議そうな表情でセリーヌを見つめ、マキアスは混乱し
「ああもう!”神狼”が人の言葉を解しているのだから、今更そんな細かい事は置いておきなさい!」
「えええええええええええええっ!?」
「ほ、本当に喋ったわね……」
「驚きました……」
「おいおい……どうなってんだ?」
呆れた表情で声を上げたセリーヌの言葉を聞いたロイドは驚き、エリィとティオは呆け、ランディは疲れた表情をし
「ほえ~……最近の動物さんって喋れるんですね。ということはコッペ君も喋れるんでしょうか?」
「そんな訳ないでしょう!?」
「もしかしてツァイト君のお仲間かしら?」
フランは呆けた声で呟き、フランの言葉を聞いたノエルは疲れた表情で指摘し、セシルは不思議そうな表情でツァイトに尋ね
「いや…………我が同胞にあのような者はおらぬ。(まさか…………)」
尋ねられたツァイトは静かに答えた後真剣な表情でセリーヌを見つめ
「う~ん……その猫……何か普通の猫と気配が違うよ?」
「ええ………それは私も感じました。」
「もしかして使い魔の類じゃないでしょうか?」
シャマーラとセティもセリーヌを見つめ、エリナは真剣な表情で呟いた。
「細かい事って……」
「……リィンが言ったその”ヴァリマール”という言葉に反応していたが……何か知っているのか?」
「フン、そう言えば委員長はその猫をいつも世話していたな。――――何を隠している。」
一方セリーヌの言葉を聞いたアリサは表情を引き攣らせ、ラウラは真剣な表情で目を細めたユーシスと共にエマを見つめた。
「そ、それは…………」
見つめられたエマは表情を青褪めさせて言いよどんだ。
「…………”導き”……”試練”……そして”機神”を知っているということは……―――なるほど。貴女達は”魔女”の一族なのですね。」
「―――やはりか。」
その時エイドスは静かな表情でエマとセリーヌを見つめて呟き、エイドスの言葉を聞いたツァイトは納得した様子で呟き
「!!!」
「…………」
エイドスの言葉を聞いたエマは血相を変え、セリーヌは警戒した様子でエイドスとツァイトを睨んでいた。
「……もしかして彼女達の一族は貴女に敵対していた一族か何かかい?さっきから気になっていたけど僕達や貴女からできるだけ視線を逸らしていたし、彼女。」
ワジは真剣な表情で尋ね
「それに”魔女”という言葉も気になりますね……」
「まあ普通に考えてオレ達からすれば下手すりゃ、”外法”扱いされそうな呼び方やしな。」
リースとケビンは真剣な表情でエマを見つめていた。そしてエイドスはかつて混迷に満ちたゼムリア大陸で自分が敵対した一族―――――”騎神”と”騎神”の”起動者”の運命を導いた”魔女”の一族を説明した。
「ええっ!?と、という事はエマがその”魔女”の一族なの!?」
「だからエイドス達から視線を逸らしていたのか……」
「……なるほどね。確かに”空の女神”と敵対していた一族なんて、”星杯騎士”に知られたら”外法”認定されて”狩られる”可能性があるでしょうしね。」
説明を聞いたアリサは驚き、ガイウスは静かな表情で呟き、サラは頷いた後目を細めてケビン達を睨み
「「「「………………」」」」
対するケビン、リース、ワジ、アッバスは真剣な表情で黙ってエマとセリーヌを見つめていた。
「―――待ってください。確かにかの一族は私達と敵対していましたが……一部の者達は私達に力を貸してくれていたのです。恐らく彼女はその者達の末裔だと思います。」
「へ……」
「それは一体どういう事なのですか?」
静かな表情で申し出たエイドスの話を聞いたケビンは呆け、アッバスは尋ねた。そしてエイドスは”魔女”の一族の一部が数体の”騎神”達と共に自分達に力を貸し、共に戦った事を話した。
「”善”と”悪”の”魔女”の一族か……」
「確かに一族全員が同じ考えとは限りませんものね。」
「まあ、人それぞれって意味ね。」
説明を聞き終えたアドルは考え込み、エレナとカーリアンは静かな表情で呟き
(まさか…………”ジェンマ”の末裔なのかしら?あの”騎神”からは”クレリア”の力を強く感じたし…………)
フィーナは真剣な表情で考え込んでいた。
「そ……その……すみません……!今まで隠していて……!」
「別に僕達に謝らなくてもいいと思うけど?」
「そうだよね……いつも委員長には助けてもらったし。」
「……何か理由があったのだろう。話してもらえないだろうか。」
頭を深く下げたエマの行動を見たミリアムは不思議そうな表情で呟き、ミリアムの言葉にエリオットは頷き、ラウラはエマを見つめた。
「はい……実は私がトールズ士官学院に入ったのは”灰の騎神”の”起動者”であるリィンさんに力を貸してもらって”姉さん”を止めようとする為だったんです。」
「お、俺!?」
「……一体どういう事ですか。」
エマの説明を聞いたリィンは驚き、エリゼは真剣な表情でエマを見つめた、そしてエマはセリーヌと共にかつて姉と慕っていた”魔女”の一族にして”悪”に落ちた”魔女”――――ヴィータ・クロチルダを止める為に自分達が導く”起動者”であるリィンに会って”灰の騎神”の力を持って対抗する為にトールズ士官学院に入学した事を説明した。
「そんな……あの”蒼の歌姫”が……」
「――――だが、俺達も内戦が起こった時、教室で見せられた不可思議な現象の前に”蒼の歌姫”の声を聞いた。」
説明を聞き終えたマキアスは信じられない表情をし、ユーシスは目を細めて呟き
「その……恐らくですがクロウさんの操っていた”蒼の騎神”――――オルディーネは姉さんの”導き”によってクロウさんが手に入れたんだと思います。」
「ええっ!?」
「クロウが……」
「そう言えば……クロウの操っている機甲兵は他の機甲兵と比べると随分違っていた……」
エマの言葉を聞いたアリサとガイウスは驚き、フィーは静かに呟いた。
「……ま、全てメンフィルによって滅茶苦茶にされたけどね。」
「へ……」
「そこでどうしてメンフィルが出てくるのかしら?」
セリーヌの言葉を聞いたロイドは呆け、エオリアは不思議そうな表情で尋ねた。
「実は―――――」
そしてエマはヴィータ・クロチルダを連合軍が帝都ヘイムダルを責める際に抹殺する作戦を立てていた事をセリーヌが盗み聞きした事や、魔女の一族に伝わるとある”方法”によってリィンがトールズ士官学院に来る事がわかっていたはずなのに、そうならなかったことを説明した。
「何だとっ!?あの”蒼の歌姫”が”結社”の”使徒”だと!?」
「信じられない……エレボニアでは有名なあの歌姫が”結社”の”使徒”だなんて…………とてもそんな人には見えなかったのに…………」
「……ですが、”鋼の聖女”のような高潔な精神を持つ方でも”使徒”であったのですからどんな方でも”結社”に関係する事は充分にありえます。」
「……確かにそうだね。」
「こ、これは驚いたわね……あれ?ってことはアルカンシェルの”炎の舞姫”イリア・プラティエと同等の人気がある”蒼の歌姫”が今日メンフィル軍に抹殺されるって事!?」
エマとセリーヌの話を聞いたダドリーは驚きの表情で声を上げ、エリィは信じられない表情をし、真剣な表情で呟いたリーシャの言葉にワジは頷き、グレイスは呆然とした様子で呟き
「……はい…………」
「……色んな意味で私達の使命はメンフィルによって滅茶苦茶にされたわよ……」
グレイスの言葉にエマは悲しそうな表情で頷き、セリーヌは不愉快そうな表情で呟いた。
「なるほどね……確かに”Ⅶ組”に入るメンツの一人としてリィン・シュバルツァーが入っていたわ。」
「ええっ!?お、俺が!?」
その時静かな表情で呟いたサラの言葉を聞いたリィンは驚き
「私も入学した当初、リィンさんがいない事に驚いて、本当に戸惑っていたんです。今でも”私達”の”予言”が当たらなかった事が不思議なくらいです……」
「………(そう言えばリィンは本当ならトールズ士官学院に入学していた運命だったね……)……………」
戸惑いの表情で答えたエマの言葉を聞いたキーアは真剣な表情で黙り込んでいた。
「その……リィンさん。一体どうやって”試練”も超えずに”騎神”と”契約”したのですか?」
エマは真剣な表情でリィンを見つめて尋ね
「エイドスさんが封印を解いて、”ヴァリマール”を呼び寄せたからだけど……」
「ええっ!?」
「何ですって!?」
リィンの答えを聞いて驚き、セリーヌは厳しい表情でエイドスを睨んだ。
「――――ええ、私が解きました。封印も私の神力と魔力をもってすれば力づくで解けますし、解き方も貴女達の先祖より教わっていましたから。」
「何てことをしてくれたのよ!?”起動者”の”導き”には私達が必要不可欠な上、”試練”も必要なのに……その過程を飛ばして力づくで封印を解いて”騎神”を与えてしまうなんてっ!私達にとっては代々受け継がれてきた伝統なのよ!?いくら貴女が”空の女神”だからといって、やって良い事と悪い事があるでしょう!?」
エイドスの答えを聞いたセリーヌは怒りの表情でエイドスを睨んで怒鳴り
「……伝統を大切にする事は悪い事ではないですが、時には破る必要がありますよ?伝統ばかりに目が囚われていては真に護るべき大切な事が見えません。」
「何ですって!?」
静かな表情で語ったエイドスの答えを聞いたセリーヌは怒りの表情でエイドスを睨み
「伝統ばかりに目が囚われていては真に護るべき大切な事が見えない……か。それは我々エレボニア貴族にも言える事だな………」
「父上…………はい……そうですね……」
「……………………」
重々しい様子を纏って呟いたヴィクターの言葉を聞いたラウラは複雑そうな表情をした後頷き、ユーシスは目を伏せて黙り込んでいた。
「セリーヌ!私は気にしていないし、どんな形であれ姉さんを止める事ができたから、もういいでしょう!?第一貴女、女神様に対して何て物言いをしているのよ!?私達の一族は女神様の恩情で今までこうして生きて来られたのよ!?それは貴女も知っているでしょう!?」
「………………」
そしてエマの一喝を聞いたセリーヌは黙り込んだ後怒りの表情でエイドスを睨んでいた。
「え、えっと……?話を聞いていて感じたけど、もしかして色々と手順があったのか……?」
エマたちのやり取りを見ていたリィンは戸惑いの表情で尋ね
「え、ええ……その……申し訳ありません……本来なら何も関係ないリィンさんを私達の都合に巻き込もうとして……」
尋ねられたエマは頷いた後申し訳なさそうな表情をした。
「ハハ、別に気にしていないよ。エマにも色々と事情があったんだろう?気に病む必要はないよ。それにもしそうなったとしても、俺だったらきっと力になっただろうし。もし俺がクラスメイトだったら、クラスメイトとしてもエマに協力する事は当然の事だし、クラスメイトじゃなくても困っている女の子をほおっておけないしな。」
エマの言葉を聞いたリィンは苦笑した後答え
「そ、その……気を使って頂いてありがとうございます……」
リィンの言葉を聞いたエマは頬を赤らめて答え
(リィン……)
(そう言えばリィンさんもそうでしたね、)
(チッ!コイツの危険性を教えるのも忘れていたぜ!)
エマの様子を見たエリィとティオはジト目でリィンを見つめ、ランディは悔しそうな表情でリィンを睨み
(アハハ……リィンさんも将来ロイドさんと同じになるかもね。)
(確かにその素質は大いにありますね……)
(こういう人達ってどうして自然にあんな言葉が出てくるんでしょうね……?)
シャマーラとエリナ、セティは苦笑し
「に・い・さ・ま?早速ですか?ロイドさん同様、本当に油断も隙もありませんね??」
「エ、エリゼ!?一体何なんだよ……!?」
(というか何でそこで俺が出てくるんだよ……)
膨大な威圧を纏ったエリゼに微笑まれたリィンは戸惑いの表情で一歩下がり、ロイドは冷や汗をかいて疲れた表情で溜息を吐いた。
(ねえ、エリゼさんってもしかして…………)
(焼きもちを焼いているの、バレバレ…………)
エリゼとリィンのやり取りを見ていたアリサは冷や汗をかいてフィーに小声で話しかけ、話しかけられたフィーは静かな表情で答えた…………
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