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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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第157話

~碧の大樹ー神域ー~



「あ、サラさん!」

「そちらも今ついたところですか?」

サラを見たエステルは明るい表情をし、ヨシュアは尋ね

「ああ。どうやらここからは徒歩で行かねばならぬようだな……」

ヴィクターは頷いて答えた後真剣な表情で大樹を見つめていた。

「大樹の中にあんな大きな建物に加えてまた大樹があるなんて……」

「一体どういう仕組みでできているんだろうね?大樹の大きさを考えると空間とか滅茶苦茶になっていると思うよ?」

「旧校舎とは比べものにならないくらい不思議な所だよ……」

「ああ……全く理解できない場所だな、ここは……」

アリサは驚きの表情で景色を見つめ、ミリアムは首を傾げ、エリオットとマキアスは不安そうな表情をし

「……それに何度かあった雰囲気――――上位属性のアーツが関係してくる雰囲気も感じられるな……」

「…………ええ……………」

ガイウスは静かな口調で呟き、エマは頷いた後真剣な表情で大樹や建物を見つめ

「……それに徘徊している魔獣も恐らく今までとは比べものにならないくらい強いぞ……」

「確かに……こうして立っているだけでも魔獣の強さが感じられる……」

「フン、決戦の場に相応しい場所という事か。」

ラウラとフィーの言葉を聞いたユーシスは鼻を鳴らした後目を細めて大樹を見つめていた。

「えっと、サラさん……でしたか。その後ろにいる方々が?」

そしてアリサ達が気になったロイドはサラを見つめて尋ね

「ええ、そうよ。トールズ士官学院特科クラス”Ⅶ組”の子達よ。―――ほら、アリサから自己紹介。」

尋ねられたサラは頷いた後アリサに視線を向けた。



「あ、はい。――――アリサ・ラインフォルトです。よろしくお願いします。」

視線を向けられたアリサは自己紹介をし

「へっ!?」

「ラ、”ラインフォルト”!?」

アリサが名乗るとエステルとエリィは驚き

「まさか”ラインフォルトグループ”の会長――――イリーナ・ラインフォルトの関係者か!?」

驚きの表情のダドリーはアリサを見つめて尋ねた。

「ええ。会長のイリーナ・ラインフォルトは私の母になります。」

「ヒュウ!いきなり凄いのが来たじゃねえか!さすがは貴族も通うトールズ士官学院の生徒だぜ!」

アリサが答えるとヨナは興奮した。

「ん?”アリサ・ラインフォルト”……?」

その時ある事に気付いたロイドは首を傾げ

「確かその名前は……」

「オイオイ………って事はこのお嬢さんが……」

「へえ?まさかこんな形で会う事になるとはねえ?」

ジト目のティオ、目を細めたランディ、口元に笑みを浮かべたワジはある人物に視線を向け

「へ?い、一体何なんだよ……?」

視線を向けられた人物―――リィンは戸惑いの表情を見せた。

(あー…………なるほどねえ……あの娘が将来リィン君の……)

(リィン君もロイド君みたいに面食いね……)

(リア充野郎が!エリゼちゃんのように将来が楽しみなお嬢さんじゃねえか!)

(フフ……まさか未来の妻の一人になるとは予想もしないでしょうね♪)

その様子を見たグレイスは苦笑し、エオリアは呆れた表情をし、目を細めたランディは悔しそうな表情をし、カーリアンはからかいの表情になり

「あ、あの……兄様とそのアリサさんという方と何かあるのですか?私が知る限り何の接点もないはずですが……」

「何だか私の名前を知っているようだけど……何かあるのかしら?」

エリゼとアリサは戸惑いの表情で尋ねた。



「え、えーと……」

「まあ、”今は”ありませんね。」

エリゼとアリサの疑問にロイドは冷や汗をかいて苦笑し、ティオはジト目でリィンを見つめながら答え

「エリゼ。」

「キーアさん?どうしたのですか?」

キーアはエリゼに近づき、近づいてきたキーアを見たエリゼは不思議そうな表情をした。

(あのね。アリサはリィンの未来のお嫁さんの一人だよ。最初は政略結婚の為のお見合いだったみたいだけど、確かアリサの方からリィンの事を好きになって、リィンもアリサの事を好きになって結婚したみたいだよ♪それと今思い出したけどあのメガネのお姉さん―――エマっていう人とはアリサ達が結婚して数年後に、リィンとの子供ができた事がきっかけでリィンの奥さんになった一人だよ♪)

キーアは無邪気な笑顔で小声で耳打ちをし

「(!!!??)…………なるほど。やはり私の恐れていた事が未来では現実となったのですね。」

キーアの耳打ちを聞いたエリゼは驚いた後膨大な威圧を纏って微笑みながらリィンとアリサ、エマを見つめ

「エ、エリゼ!?一体何なんだよ!?」

「あ、あの~……何で私まで睨むのかしら?(気のせいかしら……?シャロンが本気で怒った時と同じ感じのような気がするわ……)」

「え……えっと……私に何かあるのですか……?」

見つめられたリィンは焦った様子で答え、アリサは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、エマは戸惑い

(…………リィンさんに奥さんがまだいた事もそうですがよりにもよって、その内の一人は”できちゃった結婚”ですか。”わたし達”の内の何人かもそうなりそうだから他人事とは思えないですね。今の所一番怪しいのはリーシャさんかルファディエルさんですけど。)

キーアの小声が聞こえてきたティオはジト目でリィンとロイド、リーシャを順番に見回していた。

「唯の気のせいでは?キーアさん。後で詳しい経緯をお聞きしてもよろしいですか?」

「んー……キーアが知っている事はそんなに多くないし、未来を変えちゃ駄目だから教えたくないんだけどー…………」

3人の疑問を誤魔化したエリゼに尋ねられたキーアは考え込んだ後疲れた表情で答え

「フフ、そのぐらいはわかっています。ですがその前に確認したい事が…………(勿論私は兄様と結婚しているのですよね?)」

エリゼは微笑んだ後真剣な表情でキーアに小声で耳打ちをし

(うん、エリゼもリィンの奥さんの一人だよー。キーアの時代ではアリサとエマもそうだけど、エリゼとリィンの子供もいるよ。)

(そうですか。それなら大丈夫です。(兄様との子供……!男の子かしら?それとも女の子?そして10年後では何人産んでいるのかしら?聞きたいけど……それは未来の楽しみにとっておかないと後で産んだ時の楽しみがなくなるし………凄く迷うわ…………))

キーアの答えを聞いて嬉しそうな表情をした。

(アハハ…………普通の人達より耳が良いあたし達はまる聞こえなんだけどねー。)

(何だか申し訳ないですね…………)

そしてエリゼとキーアの小声の会話が聞こえていたシャマーラとセティは苦笑していた。


「―――エリオット・クレイグです。えっと……よろしくお願いします。」

「―――エマ・ミルスティンです。Ⅶ組の委員長で、エリオットさんと同じ”魔導杖(オーバルスタッフ)”の使い手ですのでよろしくお願いします。」

「へ……」

「”魔導杖”というと……」

エリオットとエマの自己紹介を聞いたロイドは呆け、エリィはティオに視線を向け

「――――話は財団から聞いています。わたしの試験用の魔導杖のデータを元にした改良型を他の試験要員が使っていると。貴方達がそうだったのですか。」

ティオは静かな表情で答えた。

「う、うん。それにしてもティオさんの”魔導杖”って僕達のとは全然違いますね……?」

「え、ええ……何だか凄まじい力があるのを感じますね……」

そしてエリオットとエマはティオが持っている魔導杖――――”エレシュキガル”に視線を向け

「―――まあ、わたしのこの”魔導杖”は特別性で材料を考えると量産は難しい上、財団では実現不可能ですので。それとわたしの事は呼び捨てでいいですよ。恐らくわたしの方が年下ですし。」

「じ、実現不可能って……」

「それじゃあ一体どうやって創ったのかしら?」

ティオの説明を聞いたエリオットは信じられない表情をし、アリサは不思議そうな表情で尋ねた。

「―――ウィルさん……”匠王”ウィルフレド・ディオンが集めた特別な素材と彼の技術、そしてウィルさんの娘であるセティさん達によって改造された魔導杖ですから、財団の技術力では実現不可能なんです。」

「えっ!?」

「ほう…………かの”匠王”にそれほどまでの技術力があるとは……」

「……一個人がエプスタイン財団の技術力を超えているって正直信じられない……」

「彼の技術力の素晴らしさは噂には聞いてたが……まさかそのご息女達もそれ程の技術力を持っているとは。」

ティオの説明を聞いたエマは驚き、ラウラは感心し、フィーは静かに呟き、ヴィクターは興味深そうな表情でセティ達を見つめた。

「一応言っておきますが父様―――ウィルフレド・ディオンの技術力が一般の工匠の技術力だと勘違いしないで下さいね?」

「お父さんは歴代の中でも最高の”工匠”ですから。」

「それにあたし達はティオの魔導杖をちょっといじっただけだよ?」

ヴィクターに見つめられたエリナ、セティ、シャマーラはそれぞれ苦笑しながら答え

「あれのどこが”ちょっと”ですか。」

「ハハ……ちなみに俺達の武器や防具も彼女達によって創られた特注品なんだ。」

「今までの戦いで凄く役に立ったぜ?」

「ええ……量産品と違ってさまざまな魔法効果とかもあるし……」

エリナ達の答えを聞いたティオはジト目になり、ロイドは苦笑し、ランディの言葉に頷いたエリィは説明を続けた。



「ええっ!?ま、魔法効果の付与ですか!?」

「ねえねえ。それならついでに僕達の武器や防具も改造とかしてくれないかな?”工匠”って”何でも”できるんでしょ?」

エリィの話を聞いたエマは驚き、ミリアムがセティ達を見つめて尋ね

「おい、ミリアム……」

「さすがにそれは図々しいよ……」

ミリアムの疑問を聞いたマキアスとエリオットは不安そうな表情でミリアムに視線を向け

「え~……でも相手が相手なんだからさ~。いくらメンフィル軍からわけてもらった武器が僕達が持っていたのより強いと言っても量産品を使うより特注品を使った方が戦いが楽になるし。」

「一理あるが……今の状況ではそのような事はできないだろう。」

不満そうな表情で呟いたミリアムの言葉を聞いたガイウスは静かな表情で答えた。

「フフ、”工匠”を軽く見て貰っては困りますね。」

「そうそう!”メルカバ”にある設備だけで十分何とかなるよ!」

「勿論導力技術も知っていますから、魔導杖や導力技術が使われた武器の改造も可能ですよ?」

するとセティ達はそれぞれ微笑みを浮かべて答え

「ええっ!?」

「フム……という事は頼めば我々の武器を強化してくれるのか?」

セティ達の答えを聞いたアリサは驚き、ラウラは尋ねた。

「ええ、皆さんもこれから私達と共に決戦に挑むのですから武器や防具は強い方がいいでしょうし。」

「遠慮なく頼んでね!当然無料でやるから!」

「し、しかし……特注品となると普通に考えて時間もかかると思うのだが……」

セティとシャマーラの話を聞いたマキアスは戸惑いの表情でセティ達を見つめ

「強化や改造程度でしたらそれ程時間はかかりませんよ。」

マキアスの疑問にエリナが答えた。

「嘘っ!?」

「へ~。それなら遠慮なく後で頼ませてもらうわ。」

「それが本当だとすると”工匠”とやらの技術力はとてつもないな……」

エリナの答えを聞いたアリサは驚き、サラは目を丸くした後口元に笑みを浮かべ、ユーシスは真剣な表情でセティ達を見つめた……………… 
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