英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第154話
~メルカバ玖号機・ブリッジ~
「フウ…………局長の件と言えば……ロイドさん。確かエレボニア方面からわたし達を手伝ってくれる方達が来るそうですね?」
ロイド達の様子をジト目で見つめて溜息を吐いた後、ある事を思い出したティオはロイドを見つめて尋ね
「あ、ああ……手伝ってくれる人達の詳細なデータはもらっていないけど、何でも士官学院の学院生達らしい。」
見つめられたロイドは戸惑いの表情で答え
「オイオイ……大丈夫か?半人前の兵士達が来ても正直、足手纏いだぞ??」
「ランディさん、言いすぎですよ……」
「そうですよ……せっかく手伝ってくれるのですし……」
ロイドの答えを聞いたランディは疲れた表情をし、ティオはジト目で疲れた表情をしたノエルと共にランディを見つめた。
「いや……その人達も実力はそれなりにあると思う。何でも過去、”帝国解放戦線”と何度かやり合った事があるらしい。」
「ええっ!?」
「へえ?テロリスト達とやり合えるとは中々できるようだね?」
ロイドの説明を聞いたエリィは驚き、ワジは興味深そうな表情をした。
「しかも詳しい話は聞けなかったんだけどさ……その人達が動いていなければ、俺達は死んでいたかもしれない。」
「なっ!?」
「オイオイ……それってどういうことだ?」
真剣な表情で呟いたロイドの話を聞いたノエルは驚き、ランディは目を細めた。
「実は―――――」
そしてロイドはその場にいる全員に”通商会議”の時、エレボニア帝国内で”帝国解放戦線”が”ガレリア要塞”を乗っ取り、オズボーン宰相を殺害する為に”列車砲”を起動して、オルキスタワーごと葬ろうとした事件があった事を説明した。
「何だとっ!?通商会議の時にガレリア要塞の”列車砲”が起動して”鉄血宰相”の暗殺の為にオルキスタワーを狙っただと?」
「ちょ、ちょっと、ちょっと!何それ!?初耳よ!?」
「話からしてどう考えても国外にも知れ渡る話としか思えないのですが…………」
ロイドの話を聞いたダドリーは声を上げ、グレイスは信じられない表情をして声を上げ、ティオは真剣な表情で呟いた。
「…………恐らくエレボニア帝国政府が諸外国への影響を考えて情報規制をしたんだと思う。」
「確かにそんな事が諸外国に知れ渡ったら、他国に弱みを握らせる上、世間から叩かれまくるかもしれないしねえ?」
真剣な表情で答えたロイドの言葉を聞いたワジは口元に笑みを浮かべ
「だ、だからと言って……!万が一本当に撃たれていたらクロスベルにどれほどの被害が出ていた事か……!それなのに警備隊どころかクロスベル政府にも知らせなかったなんて……!」
「しかもあの場には各国の首脳陣もいたのだから、各国にとっても他人事ではないわ…………!」
「国の威信を守る為にそこまでするなんて…………」
「さすがはエレボニアの情報局だな。連中の情報操作の能力はとんでもなく優秀だしな。」
「……………………」
ノエルとエリィは厳しい表情で呟き、セシルは信じられない表情をし、ヨナは真剣な表情で呟き、キーアは真剣な表情で黙り込み
「クッ……!まさかテロリスト共がそんなとんでもない計画を立てていたとは……!狂人共がっ!これでは”D∴G教団”の者達と変わらんではないか!?事情聴取できなかったことが口惜しい!もし連中に口を割らせて、その事が判明すれば白日の下に晒してやったと言うのに……!」
ダドリーは怒りの表情で怒鳴った後悔しそうな表情をした。
「あれ?そう言えば……”通商会議”でセリカさん達や局長達の活躍でテロリスト達を拘束しましたけど……その後どうなったのですか?」
その時ある事に気付いたリィンはダドリーを見つめて尋ね
「…………連中なら拘置所の中で全員自殺した。口の中に隠していた毒性の強い神経毒を使ってな。」
尋ねられたダドリーは悔しそうな表情で答えた。
「なっ!?」
「そこまでするなんて…………」
「………狂気の沙汰ですね……」
「ま、テロリストってのはそういうものでしょ。」
ダドリーの答えを聞いたロイドは驚き、エオリアとエリゼは信じられない表情をし、カーリアンは納得した様子で呟いた。
「でもエレボニア帝国も問題あるよね~?」
「ええ…………自国の意地を守る為にそのような大事があったにも関わらず情報規制をするなんて……」
「”国”としての判断は間違っていない事はわかりますが、それでもこうして実際知ると嫌な気持ちになりますね……」
不愉快そうな表情で呟いたシャマーラとエリナの言葉にセティは頷いた後複雑そうな表情で呟き
「……今の話を聞いた後だと、クロスベルがエレボニア帝国に侵略した事への罪悪感が一気に薄れますね。」
「確かに今の話を聞いたらなあ?下手したらあの場にいた俺達まで死んでいたかもしれねえしな。」
「私にとっても他人事ではないですよ…………あの時私もオルキスタワーにいたのですから……」
呆れた表情で呟いたティオの言葉にランディは頷いた後目を細め、リーシャは溜息を吐いて疲れた表情になった。
「それでロイド……その人達とはどこで合流する事になっているの?」
「ああ……現地で合流する事になっているんだが……」
そしてエリィに尋ねられたロイドが答えたその時
「――――後方に機影を確認しました!映像に出します!」
フランが報告した後端末を操作した。すると画面端末に赤い巡洋艦が映った!
「え…………」
「何だありゃ……?」
「アルセイユ……?い、いえ……形も微妙に違いますし……何より色が……」
巡洋艦を見たエリィとランディ、ティオは戸惑い
「嘘!?あの巡洋艦ってまさか…………!」
「エレボニア皇家専用高速巡洋艦にしてアルセイユⅡ番艦の”カレイジャス”じゃん!何でアレがクロスベルに来ているんだ!?」
グレイスとヨナは驚きの表情で声を上げた。
「へ…………」
「エ、エレボニア皇家専用高速巡洋艦って…………」
二人の言葉を聞いたロイドとエリィが呆けたその時
「―――通信が来ているぞ、ワジ。”カレイジャス”からだ。」
端末を操作していたアッバスがワジに報告した。
「繋げてくれ。」
「わかった。」
そしてワジが指示をすると画面端末にヴィクターの顔が映った。
「――――”特務支援課”の諸君。こちら”カレイジャス”だ。私の名はヴィクター・S・アルゼイド。この”カレイジャス”の艦長を務めている者だ。」
「なっ!?ア、”アルゼイド”!?」
「エレボニア帝国のではあの”ヴァンダール”と並ぶ武門で有名な貴族の方がどうして…………」
「それにアルゼイド子爵と言えばあのカシウスさんと並ぶほど有名な”光の剣匠”…………!」
「”光の剣匠”だと!?オイオイオイ……!何でそんなエレボニアの大物がいるんだ!?」
ヴィクターの名乗りを聞いたリィンとエリゼは驚き、驚きの表情で呟いたエオリアの言葉を聞いたランディは声を上げ
「―――異名からしてとてつもない達人のようだな…………」
(クク…………画面越しにしか見えんが中々できそうな雰囲気を出しているようだの。)
セリカは静かな表情で呟き、ハイシェラは口元に笑みを浮かべた。
「―――ヴァイスハイト陛下より連絡が行ってると思うがこれよりトールズ士官学院特科クラス”Ⅶ組”が貴殿達の作戦行動の援護を開始する。」
「は、はい!話は聞いています……!貴方が代表者の方でよろしいのでしょうか?」
ヴィクターの話を聞いたロイドは頷いた後尋ねた。
「――――いえ、”Ⅶ組”の代表者はあたしよ。」
すると画面端末にサラの顔が映り
「サ、サラさん!?どうしてそこに……!」
サラを見たエオリアは驚いた。
「久しぶりね、エオリア。何でもあんた、”使徒”とかいう訳のわからない存在になったんだって?”氷の乙女”の事といい、ホント、世の中何があるかわからないわね~。」
「アハハ…………私にも色々とありまして。けど、どうしてその件を知っているんですか?」
サラの話を聞いたエオリアは苦笑した後不思議そうな表情で尋ねた。
「プリネ姫から”特務支援課”や彼らの協力者―――貴女達の情報はある程度貰っているからね。その時に知ったのよ。」
「なるほど……」
「ええっ!?プリネ姫が……!?」
「プライバシーの侵害です…………」
「ま、まあまあ。」
サラの答えを聞いたエオリアは納得した様子で頷き、エリィは驚き、ティオはジト目で呟き、ノエルは苦笑しながらティオを諌めていた。
「ま、互いの自己紹介とかは現地に着いてからにしましょう。――――それで、今目の前にある”大樹”に突入するのね?」
「はい。……わざわざエレボニアから来て頂きありがとうございます。」
サラの言葉にロイドは頷いて答え
「あ~、別に気にしなくていいわよ。むしろウチの学生達の希望で今回の件に関わらせてもらったようなものだし。それじゃ、現地で会いましょう。」
ロイドの様子を見たサラは苦笑しながら答えた後画面端末から姿を消した。
「それにしてもまさかこんな所でサラさんと会う事になるなんて予想外よ……」
画面端末からサラが消えるとエオリアは驚きの表情で呟き
「エオリアさんの知り合いという事は……もしかして遊撃士の方ですか?」
エオリアの言葉を聞いたリタは尋ねた。
「ええ。―――――”紫電のバレスタイン”って異名で呼ばれていてね……エレボニア帝国に在籍していた遊撃士ではトップクラスの実力を持つ元A級正遊撃士よ。」
「A級正遊撃士……!」
「しかもエレボニア帝国ではトップクラスの実力持ちですか……」
「おおっ!美人で強いって最高ッスね!」
エオリアの話を聞いたロイドとティオは驚き、ランディは嬉しそうな表情をし
「ですが、”元”って言いましたよね?それってどういう意味ですか?」
ある事が気になったエリィは不思議そうな表情で尋ね
「……―――2年前のギルド襲撃事件後、それを弱みに付け込んだエレボニア帝国の情報局の策略によって数多くの支部が撤退せざるをえなくなってね……その際数多くの遊撃士達も遊撃士を辞める事になってしまって……サラさんもその時に辞めたみたいよ。……まさか士官学院の教官に就任していたのは驚いたけど。」
エオリアは静かな表情で答えた。
「経緯はどうあれ……A級正遊撃士クラスが増えるなんて心強いですね。」
「ああ。」
そしてリーシャの言葉にロイドは頷いた………………
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