英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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外伝~二大国の落日~前篇
同日、12:30――――
”カレイジャス”がクロスベルに向かって数時間後、エレボニア、カルバードのそれぞれの帝都、首都では連合軍が一斉に攻撃を仕掛けていた!
~カルバード共和国・首都・大統領官邸~
「大統領閣下!駄目です!敵軍の勢いは凄まじく、我が軍が次々と壊滅状態に陥っています!」
「…………そうか…………クッ……!遊撃士協会どころか七耀教会も何故仲裁すらしてくれんのだ!?」
慌てて部屋に入って来た兵士の報告を聞いたロックスミス大統領は重々しい様子を纏って答えた後机を拳で叩いて叫んだ。
「おのれ……!”六銃士”……!貴様らがクロスベルに居つくようになってからが全てが狂いだした……!そして奴等の陰にはメンフィル!それほどまでにこのカルバードが欲しいのか!?カルバードの真の敵はエレボニアではなくメンフィルだったという事か……!」
怒りの表情のロックスミス大統領が叫んだその時、爆発音共に官邸が大きく揺れた!
「!?まさか……!」
「官邸が爆破されたのか!?」
その事にロックスミス大統領は驚き、護衛の兵士は慌てていた。
「報告!官邸正面門の守備隊が壊滅し、敵の兵器によって封鎖していた門が破壊され、敵部隊が次々と突入してきています!」
その時慌てた様子の兵士が入って来て報告し
「馬鹿な……!?」
「そ、そんな……!ここまで攻め込まれたら……!」
報告を聞いた兵士達は驚いたり表情を青褪めさせていた。
「………………全軍に…………通達。今すぐ武器を捨て…………降伏するように……と……」
「閣下!?」
そして身体を震わせて呟いたロックスミス大統領の言葉を聞いた兵士は驚いてロックスミス大統領を見つめ
「もうこの戦争に勝ち目はない!これ以上兵達を死なせるな!」
「閣下はどうされるおつもりですか……?」
怒鳴るロックスミス大統領の言葉を聞いた兵士は不安そうな表情でロックスミス大統領を見つめ
「……私はこのカルバード共和国を滅ぼす原因となった愚かな大統領としてこの場で責任を取るつもりだ。」
「閣下…………」
重々しい様子を纏って呟いたロックスミス大統領の言葉を聞いた兵士達は悲痛そうな表情をした。
「…………早くしろ。でなければカルバード人の死傷者の数がさらに増えるぞ!?」
「ハッ!」
「今までお疲れ様でした、大統領閣下……!」
「どうか良き来世を……!」
そして兵士達は悔しそうな表情で敬礼をした後部屋を出て行った。するとロックスミス大統領は机の引き出しから銃を取り出して自分のこめかみに当て
「カルバードの民よ!いつか立ち上がり、必ず祖国を取り戻してくれ………!……………」
銃の引き金を引いた!するとロックスミス大統領のこめかみに風穴が空き、こめかみから血が流れ、ロックスミス大統領は絶命し、地面に倒れた!そしてある程度の時間が経つと扉が蹴破られた!
「ロックスミス!テメェの首を貰いに来たぜっ!!…………ん?」
扉を蹴破り、部屋に入って来たギュランドロスは周囲を見回してロックスミス大統領の死体に気付き
「あらあら……どうやら”大統領としての責任”を取られたようですね?正直、私も驚きました。このような判断をくだせる程の覚悟ができているなんて予想外です。」
ギュランドロスの側にいるルイーネは目を丸くしてロックスミス大統領の死体を見つめていた。
「ま、腐ってもカルバードの主って訳か……………………―――――全軍に通達!ロックスミスは死んだ!俺達の勝ちだ!」
「なお、投降する兵士は危害を加えず、逆らう兵がいるなら容赦なく斬り捨てなさい!」
ギュランドロスは静かな口調で呟いてロックスミス大統領の死体を見つめた後振り向いて叫び、ルイーネも続いて指示をした。
「お、俺達がカルバードに勝ったんだ……!」
「きっとエレボニアを攻めている連中も勝っているだろうな……!」
「ああ……!既に俺達のようにほとんどの領地を制圧して、帝都を攻めているという話だしな……!」
「す、凄い……!本当に今日から自治州だったクロスベルが下剋上して大国の仲間入りだ…………!」
クロスベル帝国兵は驚きや嬉しさで身体を震わせ
「おうよっ!ここからがクロスベルが真の繁栄を迎える時だ!」
「オオオオオオオオオォォォォォオオオオオオオオオオオ―――――――――――ッ!!」
そしてギュランドロスの言葉に続くように歓声を上げた!その後ロックスミス大統領の死を知ったカルバード兵達は士気を失くし、次々と武器を地面に落として泣き崩れて降伏した。自暴自棄になり、攻撃を仕掛けた者もいたが連合軍によってすぐに討ち取られ続けた。
こうして…………カルバード共和国は滅んだ!
同日、12:40――――
~エレボニア帝国・緋の帝都ヘイムダル・オペラハウス~
「聖技!グランドクロス!!」
「「ヴェンジェンスエッジ!!」」
「アアッ!?アリアン…………ロード…………!何故貴女が………………!」
一方その頃、帝都のオペラハウスにいる”蒼の歌姫”と称えられている”身喰らう蛇”の”蛇の使徒”の第二柱―――――”蒼の深淵”ヴィータ・クロチルダはリアンヌの奥義、プリネとレーヴェの協力技を受け、全身から血を噴出させながら、ツーヤとエヴリーヌによって絶命した自分の使い魔である巨大な蒼い鳥の死体に一瞬視線を向けた後リアンヌを睨み
「――――真に仕えるべき主を見つけた。唯それだけの事です。」
睨まれたリアンヌは淡々と答えた。
「フ……フ…………まさか貴女がそんな女……だったとはね…………ねえ、レオン…………どうしてそんな小娘になびいたの……?私のどこが不満……なのかしら……?」
リアンヌの答えを聞いた”蒼の深淵”クロチルダは妖美な笑みを浮かべてプリネに一瞬視線を向けた後、レーヴェを見つめ
「――――貴女のような毒婦、こちらからお断りだ、”蒼の深淵”!!」
「人の恋路を邪魔する人は馬に蹴られるという諺があるでしょう!」
見つめられたレーヴェはプリネと共にそれぞれの武器でクロチルダの心臓を貫き
「ガハッ!?おの……れ…………”姫君の中の姫君”…………!貴様の未来に呪いあれ…………!」
心臓を貫かれた”蒼の深淵”クロチルダは憎しみの表情をして心臓を貫いた後、レーヴェと共に自分から離れたプリネを睨みながら絶命し
「――――マスターの幸せは誰にも邪魔させません!十六夜――――”斬”!!」
するとその時ツーヤが抜刀してクロチルダの首を斬り飛ばし
「可愛いプリネを呪おうとするなんて、絶対許さないっ!!ゼロ・アンフィニ!!」
エヴリーヌが膨大な魔力や闘気が籠った矢を放って”蒼の深淵”クロチルダの死体を塵も残さず消し飛ばした!
~同時刻・バルフレイム宮~
「フッ…………見事だ、”六銃士”にメンフィル帝国よ…………”遊戯”は私の敗北だ。」
同じ頃、エレボニア帝国の皇族の居城であり、帝国政府の中心地である”バルフレイム宮”の隠し部屋の窓から見える連合軍によって蹂躙され、次々と命を落としている領邦軍の戦いの様子を見ていたオズボーン宰相は口元に笑みを浮かべていた。するとその時扉が開かれ――――
「やあ、宰相殿。心臓を撃たれたにも関わらず、まさかまだ生きていたとはねえ。本当に人間ではなく”怪物”じゃないかと疑ってしまうよ。」
オリヴァルト皇子が真剣な表情でオズボーン宰相を見つめて呟いた。
「これはこれは、オリヴァルト殿下………よくこの場所がおわかりになられましたな?」
オリヴァルト皇子を見たオズボーン宰相は目を丸くした後静かな笑みを浮かべ
「――――君の最期の頼みの綱である”彼女”が教えてくれたのだよ。」
「ほう?まさかまだ生きていたとは………………それにしても一体どうやって私の”子供”に口を割らせたのですか?」
オリヴァルト皇子の話を聞いたオズボーン宰相は興味深そうな表情をした。
「フッ…………ヴァイス―――――ヴァイスハイト皇帝がベッドの上で彼女に”本当の愛”を教えてくれたようでね。今の彼女はヴァイスを愛する一人のレディにして忠実なる家臣だよ。」
「…………………………」
静かな笑みを浮かべて言ったオリヴァルト皇子の言葉を聞いたオズボーン宰相は呆けて黙り込み
「フフ……ハハ………ハハハハハハハハハッ!これは驚いたぞ、”黄金の戦王”!!まさか情事で”氷”の心を溶かした挙句、自らの”駒”にするとは!見事だ……!まさかここまで私の”遊戯”が狂わされる事になるとはな…………!」
やがて大声で笑いだして不敵な笑みを浮かべた。
「――――オリヴァルト殿下。どうやらその様子ですと貴方もエレボニア帝国が滅ぶことを受け入れた挙句、”六銃士”に膝をおったようですな?」
「まあね。――――満足かい、宰相殿。貴方が目指した腐敗した貴族勢力が完全に崩壊し、エレボニア帝国どころかこのゼムリア大陸を激動の時代へと変えた事を。」
オズボーン宰相に不敵な笑みを浮かべて尋ねられたオリヴァルト皇子は真剣な表情でオズボーン宰相を見つめ
「ええ、満足ですとも!惜しむらくは”遊戯盤”を用意した私がまんまと嵌められ、完膚なきまでに敗北したことですね。この”遊戯”は”六銃士”とメンフィル帝国の動きを見誤った私の落ち度です。」
「ほう…………その言い方からすると、よもや新たな”遊戯盤”を用意するつもりなのかな?」
不敵な笑みを浮かべて語ったオズボーン宰相の言葉を聞いたオリヴァルト皇子は目を細めてオズボーン宰相を見つめては懐から銃―――――”音銃エウリアーサ”を出して銃口をオズボーン宰相に向け
「フフ…………”いつか用意”し、”再び始める”つもりですよ、新たなる”遊戯”を。―――――それではオリヴァルト殿下、再び貴方とも”遊戯”が出来る事を心から祈っておりますよ。」
見つめられたオズボーン宰相は不敵な笑みを浮かべて会釈した。するとその時オリヴァルト皇子は会釈した後不敵な笑みを浮かべ続けて自分を見つめ続けるオズボーン宰相の眉間目掛けて銃撃を放った!するとオズボーン宰相の眉間に風穴が空くと共に血が流れ始め、脳を撃ち抜かれたオズボーン宰相は不敵な笑みを浮かべたまま即死し、絶命したオズボーン宰相の死体は地面に倒れた!
「悪いけどボクはお断りだね。2度と貴方のような”怪物”は相手にしたくないよ。」
銃を懐に仕舞ったオリヴァルト皇子はオズボーン宰相の死体を見下ろして真剣な表情で呟いた。
「――――終わったのか?」
その時ミュラー少佐が部屋に入って来た。
「…………ああ。君も見てご覧よ、オズボーン宰相の死に顔を。」
「…………撃たれたというのに笑っているな………………」
オリヴァルト皇子の言葉を聞いたミュラー少佐は不敵な笑みを浮かべ続けているオズボーン宰相の死体を見つめて真剣な表情で呟いた。
「下手したら化けて出て来るかもねえ?何せ相手は”怪物”なのだし。やれやれ……いっそリタ君とナベリウス君に宰相殿の魂を見つけたら、2度と生まれ変わらないように滅してくれる事を頼んでおこうかな?」
「…………戯言はそこまでにしておけ。――――先程アル殿から連絡があった。カイエン公とアルバレア公……二人は叔父上とヴァイス殿に討たれたと。」
「……そうか…………これでエレボニア帝国も終わりだね。――――父上達はどこに?」
ミュラー少佐の話を聞いて重々しい様子を纏って頷いたオリヴァルト皇子は真剣な表情で尋ねた。
「現在捜索中との事だが…………ん?まさか…………」
疑問に答えかけたミュラー少佐は鳴り始めた自分のエニグマに気付いて通信を開始した。
「アル殿か。陛下達は保護できただろうか?………………………………――――――何だとッ!?」
エニグマで通信をしていたミュラー少佐は呆けて黙り込んだ後我に返って厳しい表情で声を上げ
「…………………………」
ミュラー少佐の様子をオリヴァルト皇子は真剣な表情で黙って見つめ続けていた。
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