英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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外伝~トールズ士官学院制圧作戦~後篇
~トールズ士官学院・職員室~
「リアンヌ様、アルゼイド子爵。校舎内の制圧は終わったのですか?」
「ええ、今しがた。」
「市民達は解放し。士官学院生達にはそれぞれの教室で待機しているように命じておきました。」
プリネに尋ねられたリアンヌとヴィクターはそれぞれ答えた。
「!!アルゼイド子爵……!」
「馬鹿な……まさか……貴方ほどの武人が祖国を裏切ったのですか!?」
ヴィクターを見たヴァンダイク学院長は目を見開き、ナイトハルト少佐は信じられない表情で叫んだ。
「―――アルゼイド子爵の事はできれば責めないであげてください。彼は領民の安全と引き換えに我々に従軍している形となっているのですから。」
「だ、だからと言って……エレボニア貴族がエレボニアを滅ぼす為に動いているなんて……」
「……………………」
プリネの説明を聞いたハインリッヒ教官は信じられない表情をし、サラは目を伏せて黙り込んでいた。
「……?あ、あの~……もしかして貴女って、”獅子戦役”の時にかのドライケルス大帝と共に活躍した”槍の聖女”――――リアンヌ・サンドロット卿ですか……?その姿といい、その槍や髪といい、伝承通りですよ……?」
その時リアンヌを見つめていたトマス教官は恐る恐る尋ね
「何だと!?」
「た、確かに言われてみれば……その麗しき黄金の髪といい……そのお姿といい…………」
「…………少なくとも”人の域”を超えた彼女を前にわしらでは敵うまい……―――特に”その槍”の前では一軍も退かざるを得ないじゃろうな。」
トマス教官の言葉を聞いたナイトハルト少佐は驚きの表情で叫び、ベアトリクス教官は信じられない表情でリアンヌを見つめ、ヴァンダイク学院長は静かな表情で呟いた後真剣な表情でリアンヌの持つ槍を見つめて言った。
「フフ……ドライケルスも中々良き学び舎を建てたものですね……―――我が名はリアンヌ・ルーハンス・サンドロット。かつて”獅子戦役”では民の為、ドライケルスと共に肩を並べて戦い……そしてメンフィル帝国より”守護神を受け継ぐ者”の意味を込めた名―――”ルーハンス”を頂き、再び民の為に立ち上がった者です。」
「何と……!本物の”槍の聖女”じゃと……!?」
「オ、オイオイ……い、いくら何でもありえないだろう、そりゃ……」
「え、ええ……サンドロット卿は数百年前の人物ですし……で、でも……こうして近くで見ると本物としか思えないですよね……?」
リアンヌが名乗るとヴァンダイク学院長は驚き、マカロフ教官とメアリー教官は戸惑い
「………………?」
シャロンは不思議そうな表情で首を傾げてリアンヌを見つめ
「ええっ!?ほ、本当に本物の”槍の聖女”なんですか!?うわ~……!本物に会えるなんて夢みたいですっ!!―――そうだ!こうしてお会いする事ができたのですから”獅子戦役”の詳しい内容を教えて下さいっ!!」
トマス教官は驚いた後興味津々な様子でリアンヌを見つめて声を上げた。
「トマス教官!今はそんなのんきな話をしている場合じゃありません!―――この際、貴女が本物の”槍の聖女”かどうかは置いて……一つだけ聞きたい。先程貴女が仰ったメンフィルがエレボニアを侵略した理由――――エレボニアに住まう民の為とはどういう意味だ!?」
トマス教官の言葉を聞いたナイトハルト少佐は眉をしかめた後リアンヌを睨んで叫んだ。そしてリアンヌはナイトハルト少佐の疑問に答える為にヴィクターやⅦ組の面々に説明した話をした。
「…………エレボニアに住まう民が平穏な暮らしができるように……ですか………」
「確かに今のエレボニアの状況を指摘されれば、耳の痛い話だな…………」
「今後エレボニアはどうなるのでしょう……?」
「クッ………!」
リアンヌの説明を聞いたベアトリクス教官は重々しい様子を纏い、マカロフ教官は複雑そうな表情で呟き、メアリー教官は不安そうな表情で呟き、ナイトハルト少佐は悔しそうな表情で唇を噛みしめ
「――――メンフィルがクロスベルと同盟を結び、二大国への侵略を決めたのは勿論、自らの勢力を増やす理由もありますが……だからと言って民の事は蔑ろにしたり虐げたりするつもりは一切ありません。それはクロスベルも同じ事。ヴァイスハイト陛下とギュランドロス陛下もその点に関しましては我々に約束しています。」
「………………………プリネ姫。わしからも尋ねたい事があります。」
プリネの説明を聞いたヴァンダイク学院長は目を伏せて黙り込んだ後目を見開いて静かな表情でプリネを見つめて尋ねた。
「何でしょうか。」
「……アルフィン皇女とセドリック殿下は何と仰っているのですか……?先程領邦軍の者達が貴女達によってその御身を拘束されたと言っていましたが……」
「――――セドリック殿下並びにアルフィン皇女はエレボニア帝国が滅ぶことを受け入れ……その場でクロスベル帝国に対して忠誠を誓ったそうです。」
「馬鹿な……殿下と皇女が…………」
「皇族の人達が認めてしまえば、エレボニアに住む人たちはみんな諦めちゃいますね………」
「何という事だ……!何故、お二方はそんなあっさりと決められたのだ……!?」
プリネ姫の答えを聞いたナイトハルト少佐は愕然とした表情をし、トマス教官は表情を引き攣らせながら呟き、ハインリッヒ教官は嘆いた後声を上げた。
「――――どうやら二人はエレボニア帝国がしてきたクロスベル自治州の過去、”百日戦役の真実”等を聞かされてエレボニアが滅ぶことを受け入れたようだ。そのような事をしてまで国を繁栄させるエレボニアに”国”としての資格はないとの事だ。」
「!!!」
「”百日戦役の真実”…………?―――――!!まさかっ!?…………………………」
「”ハーメル”の件まで殿下達は知ってしまったのですか…………」
「なるほどね…………お二方には”クロスベル問題”や”ハーメル”の件は耐えられなかったようね………」
レーヴェの説明を聞いたヴァンダイク学院長は目を見開き、ナイトハルト少佐は眉を顰めて考え込んだ後すぐに思い当たって信じられない表情をした後複雑そうな表情で黙り込み、ベアトリクス教官は辛そうな表情で呟き、サラは頷いた後複雑そうな表情で呟き
「”百日戦役の真実”ってのはよくわからないが……エレボニアはクロスベルに対して長年えげつない事ばかりしていたからな………そのツケが一気に返って来たってことか…………」
「アハハ……ゼムリア大陸の歴史が大きく動きますね~……」
マカロフ教官は重々しい様子を纏って呟き、トマス教官は大量の冷や汗をかきながら呟き
「い、一体何の話なんだ……?」
「”百日戦役の真実”や”ハーメル”とは一体何の事なんでしょう……?」
ハインリッヒ教官とメアリー教官は戸惑っていた。
そしてそれぞれがこれからのエレボニアの未来に不安を抱えている中、夜が更け……翌日、生徒達がそれぞれが住んでいる寮で待機している中、ヴァンダイク学院長を含めた教官達、学院の生徒代表として生徒会長のトワ・ハーシェルや導力技術棟を任されている生徒、ジョルジュ・ノーム、そして何故かプリネによって指名された”Ⅶ組”の面々が会議室に集まっていた…………
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