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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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外伝~トールズ士官学院の未来~

翌日、13:00――――



~トールズ士官学院・会議室~



「ルーレが制圧されたという事はアンちゃんは無事なのかな……?それにクロウ君は……」

「ゼリカはまだ生きている可能性はあるけどクロウは……」

翌日会議室に教官達が集まってそれぞれが顔を見合わせて話し合っている中、不安そうな表情で呟いたトワの言葉を聞いたジョルジュは目を伏せて呟き

「あ、あの教官……」

「どうして私達までこの場に呼ばれたのでしょうか……?」

「ど、どう考えても僕達だけ場違いなのですけど……」

周囲を見回して戸惑いを感じていた”Ⅶ組”を代表してマキアスとエマがサラに尋ね、エリオットは疲れた表情で溜息を吐いた。

「知らないわよ。プリネ姫が何故かあんた達も一緒に聞くようにと指示をしたんだからこっちは向こうの言う事聞くしかないでしょう?理由を聞いても今日話すからと言って誤魔化されたし……」

マキアスとエマに尋ねられたサラは溜息を吐いて答えた。

「フン、”姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”が面識のない俺達に一体何の用があるというのだ……?」

「恐らく俺達が呼ばれたのには何か理由があると思うが………」

ユーシスは鼻を鳴らし、ガイウスは静かな口調で呟き

「もしかして興味本位で僕達を見たかったのかな~?プリネ姫はオリヴァルト皇子と交友関係があるから、ひょっとしたら僕達の事も聞いているかもしれないし。」

「……いくら何でもそれはありえない。そんな理由で私達をこの場に呼ぶなんて。」

ミリアムが呟いた言葉を聞いたフィーは静かな口調で答え

「そうだな…………っと。―――どうやら来たようだぞ。」

ラウラは頷いた後会議室に入って来たプリネ達を見て呟き、プリネ達が会議室に入るとその場は静寂に包まれた。

「――――お待たせしました、トールズ士官学院の皆様方。メンフィル、クロスベルが今後この学院をどうするかを伝える前にまず先程入った情報をお伝えしましょう。」

「情報だと……?」

「一体何なんすかね?」

プリネの言葉を聞いたナイトハルト少佐は眉を顰め、マカロフ教官は真剣な表情で尋ねた。

「――――2時間前海都オルディスが我々連合側によって制圧され、現在はラマール州全域の制圧を開始している所だ。」

「馬鹿なっ!?」

「し、”四大名門”の本拠地がこんな短期間に全て制圧されるなんて…………」

「これでエレボニアは完全に連合側に包囲されたという事じゃないか……!?」

「残すはヘイムダルのみ……という事じゃな。」

「……という事は今日か明日のどちらかにエレボニア帝国が滅ぶという意味でもありますね……」

レーヴェの話を聞き、教官達が信じられない表情をしている中ユーシスは声を上げ、ハインリッヒ教官は表情を青褪めさせ、マキアスは厳しい表情で呟き、ヴァンダイク学院長とベアトリクス教官は重々しい様子を纏って呟いた。



「……プリネ姫。少し質問したい事があるのだが、いいだろうか?」

その時、ガイウスがプリネを見つめて尋ね

「どうぞ。」

「……”ノルド高原”はどうなるのだろうか。」

「”ノルド高原”…………―――もしかして、貴方は”ノルドの民”なのですか?」

ガイウスの言葉を聞いたプリネは考え込んだ後ある事に気付いてガイウスを見つめて尋ねた。

「……そうだ。」

「そうでしたか。”ノルド高原”に関してはどの国にも所属しないという形にする事をメンフィルとクロスベルの間で決められています。―――無論”ノルドの民”達がこちらとの交友を望むのなら拒みはしませんし、だからと言って領有権を主張するつもりもありません。」

「…………?二大国に戦争を仕掛けているのに、何故”ノルド高原”は放置するのだ?」

プリネの答えを聞いたガイウスは不思議そうな表情で尋ねた。

「フフ……―――何でもギュランドロス陛下達はヴァイスハイト陛下と出会う前、”ノルド高原”にも訪れた事があり、かの高原の素晴らしさをヴァイスハイト陛下やお父様―――リウイ陛下達にも語ったそうでして……ギュランドロス陛下の希望もあり、”ノルド高原”はそっとして置く事にしたのです。」

「ギュランドロス…………?―――まさか。あの人達が……!?」

「ええっ!?」

「ガイウスは知っているのか?」

プリネの答えを聞いて考え込んだ後驚きの表情で言ったガイウスの言葉を聞いたエリオットは驚き、ラウラは尋ねた。

「ああ。―――2年前くらいだったな。ゼクス中将がゼンダー門に来る少し前なんだが……父さん達が高原で魔獣に囲まれていた時、突如光と共に現れて魔獣達を一瞬で殲滅した父さん達の命の恩人で1週間ぐらい集落で俺達と一緒に暮らしていた4人組の旅人だったんだが…………確か今までいた世界とは違うと言っていたな……」

「……という事は”六銃士”の内、4人は異世界出身……」

ガイウスの説明を聞いたフィーは静かに呟き

「それでその後はどうなったのですか?」

エマはガイウスを見つめて尋ね

「俺達が知っている限りの一般常識を学んだ後、今まで世話になった”お礼”だと言って高価な宝石を父さんに渡した後集落から去って行ったんだ。不思議だけど、今でも強く印象に残る人達だったな…………まさかあの人が王になるなんて……」

尋ねられたガイウスは頷いた後驚きの表情をした。

「しかしそうなるとカルバードに関してはどうするのですか?”ノルド高原”はカルバードと領有権を争っているのですし……」

そしてベアトリクス教官は真剣な表情でプリネを見つめて尋ねた。

「カルバードと……ですか?―――現時点でカルバードも領有している地域の約7割を我々連合側によって制圧され、風前の灯です。滅び行く国と領有権を争う必要はないかと思いますが。」

「馬鹿なっ!?カルバードまでもうそんなに侵略されているだと!?」

「し、信じられませんね…………」

「下手をしたらエレボニアとカルバードが同時に歴史から姿を消しそうですね~…………」

プリネの答えを聞いたナイトハルト少佐は驚きの表情で声を上げ、メアリー教官は信じられない表情をし、トマス教官は大量の冷や汗をかきながら呟いた。



「あ、あの、皇女様!私からも聞きたい事があるのですけど、よろしいでしょうか!?」

その時トワが手を上げて心配そうな表情でプリネを見つめ

「どうぞ。」

「そ、その……クロウ君とアンちゃん―――――”帝国解放戦線”リーダーのクロウ・アームブラストと”ログナー侯爵家”の息女のアンゼリカ・ログナーはどうなったのですか……?」

「トワ……」

心配そうな表情で尋ねたトワの言葉を聞いたジョルジュは複雑そうな表情になった。

「アンゼリカ・ログナーに関しましては自ら連合側に降伏し、敵対しないと意思表示をした上、今後ルーレの為に自分も働きたいと申し出た為、彼女は現在屋敷を出てホテルで待機していますよ。」

「よ、よかった~…………アンちゃんが無事で……」

「ゼリカさん…………」

プリネの答えを聞いたトワは安堵の溜息を吐き、アリサは複雑そうな表情をした。

「それでクロウはどうなったのですか……?」

その時ジョルジュは真剣な表情で尋ねた。

「――――”帝国解放戦線”リーダー……コードネーム”C”と呼ばれたクロウ・アームブラストは私が討ち取った。」

「――加えて、機甲兵を操る”帝国解放戦線”のメンバーは全て殲滅しました。」

「!!!そ、そんな…………」

「クロウが死んだなんて…………どうしてこんな事になったんだ………?」

「ち、父上がクロウを…………!?」

「………………………」

ヴィクターとツーヤの答えを聞いたトワは悲痛そうな表情をし、ジョルジュは辛そうな表情をし、ラウラは信じられない表情をし、サラは他のⅦ組の面々がそれぞれ驚きや信じられない表情をしている中、目を伏せて黙り込んでいた。

「あ、あの……でも確かクロウさんはき……いえ、通常の機甲兵より遥かに強力な機甲兵を操縦していましたけど……一体どうやって生身で勝ったのですか……?」

そしてエマは不安そうな表情で尋ね

「機甲兵――――”騎神”についてはアルゼイド子爵と協力し、この私が破壊しました。」

「ええっ!?」

「馬鹿なっ!?生身でアレを破壊しただと!?あ、ありえん……!?」

「それに機甲兵の隊長機には”第5開発部”が開発した”リアクティブアーマー”があったわよね……?それを貫いて機甲兵を全て破壊するなんて…………」

「一体どれだけ凄まじい火力で破壊したんだろうね~?ガ―ちゃんでも傷一つつけられなかったのに……」

「伝説以上の化物だな…………」

「アハハ~……本当に”槍の聖女”って凄いですね~…………」

「そしてあの”リアクティブアーマー”すらも貫く手段を持っているメンフィル帝国…………ホントに規格外な国ね。」

リアンヌの答えを聞いたエマとユーシスは驚き、アリサは考え込んだ後信じられない表情をし、ミリアムは考え込みながら呟き、マカロフ教官は目を伏せて呟き、トマス教官は表情を引き攣らせ、サラは真剣な表情でプリネ達を見つめた後溜息を吐いた。



「色々と話がそれたが……―――プリネ姫。結局この”トールズ士官学院”はどうなるのですか?」

そしてヴァンダイク学院長がプリネを見つめて尋ねるとその場に静寂が訪れた。

「―――こちらとしても歴史ある学び舎をわざわざ潰して、別の施設等を建てるような手間はかけたくありません。基本、今まで通り授業をしてもらって構いません。ただし、一部の授業は色々と変更する事になりますから、本格的な変更は来年度となると思います。ちなみに、今後はエレボニアの時のようにメンフィル、クロスベルの連合側からそれぞれ学院側に経営金を納めます。なお、今後はメンフィル、クロスベルからさまざまな仕事の紹介を今後卒業する学生たちにする予定となっています。―――無論、メンフィルとクロスベル……どちらかの”軍”へ入隊希望がある学生も歴史ある”トールズ士官学院”の卒業生という事で入隊試験を免除して、見習いとして入隊が可能となります。」

「……………………」

プリネの答えを聞いたヴァンダイク学院長は目を伏せて黙り込み

「授業が変わると仰いましたが……具体的にはどのように変わるのですか?」

ハインリッヒ教官はプリネを見つめて尋ねた。

「―――まずは歴史学ですね。戦争終結後は今後変わる事になるエレボニアの歴史に加えてメンフィルとクロスベルの歴史も学ぶ事になります。」

「あ、あの~……いくら何でもその場合だと僕一人ではとても務まらないのですが……メンフィルとクロスベルの歴史に関しましては僕は全く詳しくありませんし……」

プリネの説明を聞いたトマス教官は手を上げて冷や汗をかきながら尋ねた。

「無論、メンフィルとクロスベルの歴史学につきましてはそれぞれの国が教官を用意します。」

「そうなるとエレボニア、メンフィル、クロスベルの3国の歴史を学ぶ事になるから授業の調整が必要じゃな…………」

「学生たちにかなりの負担を強いる事になりますね…………」

「いっそ歴史学は選択式にする方がいいかもしれませんね~…………」

プリネの答えを聞いたヴァンダイク学院長、ベアトリクス教官、トマス教官はそれぞれ考え込んでいた。

「―――次に。軍事学に関しましてはエレボニアの軍事学は廃止し、メンフィルとクロスベルの軍事学……そのどちらかを学んでもらう事になります。」

「……メンフィルはともかく、クロスベルに軍事学を教えられるような人材がいるとはとても思えないがな……」

プリネの説明を聞いたナイトハルト少佐は不愉快そうな表情で呟いた。その後プリネはそれぞれの教官や生徒達に現在決まっている今後のトールズ士官学院の教育方針などについて質問に答えながら説明し、そして戦争終結後、新たな理事が決まるまでは自分が臨時の理事である事を伝え、学院側を驚かせた。



「これで一通り終わりましたね。……まだ何か質問はありますか?」

説明を終えたプリネは周囲の人物達を見回した後尋ねた。

「あ、あの……どうして私達”Ⅶ組”の同席を求めたのですか?」

するとその時エマが手を上げて尋ねた。

「そうですね…………その事については貴方が答えるのでしょう?ヴァイスハイト陛下。」

エマの質問を聞いたプリネは出入口に視線を向け

「え…………」

プリネの言葉を聞いたエマは呆け

「まさか……!」

「ヴァイスハイト皇帝がこの学院に来ているのか……!?」

マキアスとユーシスは血相を変えてプリネが視線を向けている方向を見つめた。

「―――その通りだ。」

するとヴァイス、ラクリール、クレア、アルフィン皇女、セドリック皇子が会議室に入って来た………… 
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